温室内は高温多湿なことが多いので、結露が着いたり水滴が落ちたりしやすくて、植物にとっても建物にとっても大問題。当時は防滴性の被覆フィルムも循環扇もなくて、ハウスも小さくて、今以上に湿度や水滴の管理が大変だったことでしょう。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
結露と滴下
原因
「湿度計」の項で述べたように、大気は目に見えませんが、様々な量の水分を保持しています。
温度が高いほど、空気が保持できる水分量も多くなります。
したがって、たっぷり水分を保持している高温の空気の温度が低下すれば結露が発生し、その結果、その目に見えない水分の一部が凝縮して水滴となります。
暖かい季節、冷水の入ったグラスの外側に生じる水滴、露、霧などは、いずれもその例です。
したがって、ハウス内外の気温差が大きいほど、ガラスハウスの内側で結露を生じ、その結露水は滴り落ちるか、ハウス内側の屋根面をつたって下へ流れる可能性が高くなることがわかります。
十分な換気は余分な湿気を外気へ排出し、水滴を防ぐのに大いに役立ちますが、大量の換気を行えば気温が下がってしまうので、ハウス内の高温を維持するのに何らかの工夫が必要になることも少なくありません。
屋根の勾配が小さいハウスほど、滴下する可能性が高くなります。もちろん、水滴が植物に及ぼす悪影響についてここで言及するまでもないでしょう。
凝結した水は凝結する際に熱(凝結熱)を一部放出するので、冷たくなっています。
水分が鉄の表面で凝結した場合、特にその鉄製部分が適切に塗装されていない場合は、錆びやすく、鉄はすぐに摩耗してしまいます。できた錆の一部は植物に落ちます。
構造上の予防策
ハウスの内部では結露が発生しやすいことを認識しつつ、植物、鉄製の部分、木材の部分への悪影響を可能な限り和らげるよう対策を講じるべきです。具体的には、桟や垂木は水が滴りにくい形状にすること、水分が屋根面を伝って下まで流れるようにすること、桟、垂木、天窓が接する板材の頂部は水が切れるように斜めにすること、そして、費用を気にする必要がなく、望ましいと判断するなら、ハウス内に雨樋を設置することで結露水を受け、回収します。そして、鉄骨や木造材は両方ともしっかりと塗装しておくなどの対策が挙げられます。
山(棟部)と谷(樋部)が続く連棟ハウスの屋根は、水平に設置された雨樋の数が多いため、とても滴下が発生しやすいものです。
ジョセフ・パクストン卿は、谷部の樋を施工する際、板の両側に小さな窪みや補助溝を設けることで、屋根からの滴下をかなり防ぎましたが、これは材質を弱め、必ずしも効果的ではありません。
また、骨材から滴下が起こらないようなハウスを建てたとしても、ガラスに結露した水はサッシバー(ガラスの格子)に遮られて、そこから流れ落ちることができず、結露した場所から直接滴り落ちるか、ガラス面を伝って流れ落ち、結局ガラスの重なった部分で滴り落ちてしまいます。
ハウス内の滴下は、結露によって引き起こされる以外に、ガラス板の重なり部分からの雨漏り、開閉中の換気口の継ぎ目から滴り落ちる雨水、あるいは換気口の開口部自体からの雨漏りによっても発生します。
屋根の勾配が非常に小さい(26度よりかなり小さい)場合、ほぼ確実に結露による滴下が生じます。 結露による以外の滴下の問題は、いかなる状況でも換気装置との接合部から濡れるおそれがないように作ることによって回避できるはずです。3 番目の換気口自体の問題は、換気に関する項で述べています。
屋外の滴下
ハウス内部の滴下のほか、雨どいや屋根の排水システムの不具合が原因で、ハウス外部でも滴下が発生することがあります。滴下が有利なのは、木材などの骨組みがレンガの壁の上にのせて建築されている場合だけです。この場合、側面のガラス板に当たった雨水やそこで結露した水がレンガの壁を流れ落ちないようにするべきですが、そのためにはレンガの壁上のプレートの張り出し部分が下向きなになるよう小さな凹みを作ればいいでしょう。
この凹みが滴下水を捕らえ、壁を伝って流れ落ちることなく、地面に滴り落ちるようにできます。
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