↑全体の目次一覧
ラベル 栽培技術 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 栽培技術 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年5月28日日曜日

[近況]栽培ヘタのための水やり

セルトレイ・ポット・プランターの水やり

植木鉢やプランターの水やりは「表面が乾いたらたっぷりと」と書かれているのをよく見かけますが、栽培センスのない私は乾かしすぎたり、やりすぎたり、なかなか要領がつかめません。かといって数鉢のためにポンプやセンサーを買って自動かん水システムを作るほどではないし・・・

そこで、1日で植物が消費する水量を計算するシート(右にリンクあり)を作りました*。(*日射エネルギーのほとんどが葉からの蒸散(植物の水消費)に使われると仮定して計算。温度や湿度の変化は考慮していません。葉の茂り度合い(葉面積指数, LAI)や天気変化(Yahooの天気予報)は加味できるようにしています。)

毎朝、計算量をかん水して、日没頃に水がなくなっていれば良し!としてみます。

これで、もくろみとおり「かん水は朝1回のみで、鉢皿の水捨ても不要!」となるでしょうか?


検証結果

① 10cm×15cmの発芽セルトレイ

    5月22日    48 cc    ○    (ほぼ葉が出ていないのでLAI=0.5)
    5月23日    89 cc    ○
    5月24日    90 cc    ○
    5月25日    80 cc    ○
    5月26日    46 cc    ○
    5月27日    82 cc    ○    (本葉が出てきたのでLAI=0.75に変更)

② 3号苗ポット(パッションフルーツ)

    5月22日    50 cc    ○    (とりあえずLAI=1.0で)
    5月23日    94 cc    +    (少し水が鉢皿に残っていた)
    5月24日    94 cc    ○
    5月25日    84 cc    ○
    5月26日    48 cc    +
    5月27日    57 cc    ○    

③ 1号素焼き鉢2つ

    5月22日    31 cc    ○    (土のみなのでLAI=0.5)
    5月23日    57 cc    ○    
    5月24日    57 cc    ○
    5月25日    51 cc    ○
    5月26日    29 cc    ー    (少し水が不足気味だった)
    5月27日    35 cc    ー    (素焼き鉢は鉢表面からも蒸発するので要検討)   

今のところ、素焼き鉢以外は鉢皿に大量に水が残ったり、乾燥しきったりしていないので、この方法でしばらく水やりを続けます。

2023年5月14日日曜日

19世紀流菜園の堆肥作り:ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

ここでの「肥料」は有機肥料、堆肥のことです(化成肥料が一般に使われるようになる前の時代だから)。

日本だと人糞や魚粕が肥料に含まれそうですが、乳製品や肉の消費の多いお国柄なので人糞や魚にまで手を出す必要はなかった?また鶏糞も記述にないです。

堆肥の病原菌や耐性菌の人への危険性については16世紀同様19世紀も無邪気で何も書かれていません。

第3章 堆肥肥料とその使用方法について。

家庭菜園で好まれる肥料(堆肥)には、馬糞、牛糞、豚糞、羊糞、鳩糞、すす、石灰、ローム質泥灰土、貝殻の泥灰土、海藻、木灰、ハリエニシダの灰 *、シダの灰、石炭灰、腐葉土、およびキャベツの葉・茎・雑草等植物残渣の腐食土があります。これに、とても効果的なものを加えることができます。それは液体ですがもっとも養分に富み、野菜が必要とする栄養成分のほとんどを含んでいます。すなわち畜糞の堆肥塚から出てくる排液です。

-----

* 私は、ハイエニシダの灰だけで野菜の生産が5〜6倍になるという驚くべき効果を目撃したことがあります。その場所の一部にハイエニシダの灰を施用しました。施用した区も施用しなかった区も似た性質の土壌(硬くて湿った粘土質のローム)だったので、効果の違いは明白でした。その効果は数年持続し、また、その後に植えられた材木用の樹木でも効果がありました。

-----

肥料は単独または混合して施用されます。しかし、後者の方が最適であることは確実で間違いありません。確かなことは、適切な発酵が行われていないと、その影響は果物や野菜にいやな不快な風味を与えることになります。不適切な量を施用すれば、作物はかなり不健康になり、どの植物の樹液も汚染されてしまいます。

馬小屋の糞、海草、石灰、腐食した植物残渣を混合したものを3、4ヶ月野積みにして、その間に2、3回切り返せば、ほとんどの庭地にとって優れた堆肥になります。牛糞、豚糞、羊糞に煤やその他の種類の灰を混ぜたものも同じです。鳩糞、泥灰土、腐食植物残渣もよく混ぜると、重土向けの最適な堆肥になります。また、鳩糞を控えめに使用すれば軽い土にも使用できます。

牛の糞、つまり乳牛や去勢牛の糞や豚糞で、わずかに発酵しているものは、軽くて熱性の土壌に非常に適した肥えた肥料になります。乾燥しやすく吸収力のある土にとっては、これより優れた肥料、これより長く持続する肥料はおそらくないでしょう。その理由は、他の糞に比べて水分を長時間保持し、発酵が遅いからです。

鳩糞、石灰、すす、灰などは決して単独で施用してはいけません。その必要量は比較的少なく、他の物質と混合しないと均一に撒くのが困難です。しかし、これらは一般に、良質の土、芝生、草地、または牛やその他の冷たい性質の畜糞の堆肥に与える必要があります。堆肥を与える土壌の寒さ、熱さの性質に応じた量を施用します。堆肥が一体になるよう十分な時間をとって完全混合するようにします。

泥灰土(marl)は、ほぼすべての土壌に適した優れた肥料です。そして、あらゆる種類の牛糞や腐食植物残渣と同様に単独で適切に施用することができます。貝殻の泥灰土(シェルマール)と呼ばれる種類が大変好まれます。強性の土にはたっぷりと施用すべきですが、軽い土には控えめ施用します。ローム質のなら軽い土の土地に最も適しています。

馬糞は単独で施用する場合、あまりに生の状態で使用したり、発酵させすぎたりしてはいけません。

通常、2 ~ 3 週間野積みして、その間、1、2回切り返す必要があります。この状態であれば1トンは温床で使用された1年経過した堆肥3個分に相当します。

この肥料、実際にはどんな種類の糞でも、単独で使用する場合は、耕すまで決して野積みした堆肥塚から栽培地に運び入れてはいけません。空気にさらされると有効成分が蒸発し、効果が薄れてしまうためです。

海藻を施用する場合、単純に土地にかけて使うなら、水揚げ直後に施用する必要性が上記の肥料よりもずっと大きいです。すぐに腐敗し、排液が下に流れて失われるからです。

海藻を混合して使用する場合、混合した堆肥塚は、そのため、より頻繁に切り返します。そうすれば排液が失われることはなく、堆肥の他の成分がそれを吸収することができます。

馬糞、羊、鹿、ウサギなどの糞は寒くて湿った土壌に最も適しています。これらすべて、あるいはこれらのうちのどれかに石灰を加えた堆肥を入れるのも有益であることがわかります。このような土壌には、石炭灰、鳩糞、石灰からなる堆肥も有効です。 あるいは木の灰、ハリエニシダの灰、シダの灰、厩舎の糞など、 あるいは、鹿の糞、ウサギの糞、すす、草木灰などが良い肥料になります。

堆肥は効果が高いものほど塩分や油分が含まれる傾向があり、その傾向に応じた量を施用する必要があります。

そのため、ハトの糞は馬糞よりもはるかに少なめに使用する必要があります。揮発性の塩類がより多く含まれているからです。従って、より強力な非揮発性のアルカリ塩類を一定量含む草木灰は、さらに少量を適用します。また、石灰は石灰質の中で最も強力であるため、通常は泥灰土よりもはるかに少ない量を使用すべきです。

腐食植物残渣の堆肥は単独でも混合でも使用できます。どんな土壌でも施用量に違いはありません。程度を問わず、全く傷害を引き起こす心配がありません。ほとんどすべての植物は土やそのほかの肥料の助けを借りずにこの堆肥だけで完璧に生い茂ります。

それはアンブロシア(神の食べ物の意)のようです。そして、糞尿塚からの排液は野菜にとって蜜のようなものです。ただし、後者はあまりにもたっぷりとそれに浸けすぎると、むしろ作物を酩酊させることになります。

肥料の重要性と効果**は、現在では一般的に評価、認識されています(少なくとも最近は以前よりもはるかに高く評価されています)。肥料を与えることは地球上のすべての庭師や耕作者にとって不可欠な義務であるように思われるでしょう。堆肥材料を収集する際には注意が必要で、施用する時も倹約して巧みに散布します。この目的のために、堆肥塚の排水を集めるのに井戸や貯水槽などが利用されます。そしてどんな種類の堆肥も施用する時は、施用する量に応じて均等に撒くように細心の注意を払う必要があります。

すべての動物性物質は、適切に施用すれば良い肥料になります。動物は直接、あるいは最終的に植物から栄養を得るので、それが適切に分解されると、植物の成長を促進する優れた物質となります。したがって、糞は一般に他の肥料よりも優れています。そして、含まれる油の割合が多いほど肥料価値も高くなります。

空気中の亜硝酸によって糞から粘液が生成され、それにより油分が最も簡単に削減されて、植物の必須の食べ物すなわち栄養分となります。したがって、私たちのやるべきことは、糞を注意深く収集し、注意深く施用することです。

-----

**適切に施用された場合の堆肥の効果は次のように単純に定義できます。土壌の粘性・粗さ・多孔性の改善効果です。 発酵を促進し、栄養物質を伝達し、植物の根に栄養を与えます。 それによって植物の栄養成長と生殖成長が進みます。

-----

また、糞の堆肥塚にあらゆる植物の茎、葉を投げ入れ、十分に腐るまで放置し、その後または糞の収集中に石灰、泥灰土、灰、すすなどを混ぜれば、大幅に増量することができます。堆肥塚からの排液を塚全体に頻繁にかけてやると、その効果が大幅に高まります。ドリップ*** をしっかりかけておいしく焼き上げるローストのようです。

-----

 *** ドリップたっぷりの美味しいローストは美食家から満面の笑みを引き出します。

-----

2023年5月9日火曜日

19世紀流菜園の土作りⅡ:ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

 第2章は19世紀流の培養土作りについて書かれています。「赤玉土」、「鹿沼土」、「黒土」、「桐生砂」、「バーミキュライト」、「ピートモス」、「腐葉土」、などなどはるばる遠くの土を購入して配合する現代の培養土作りに比べると、19世紀流は「粘土質のロームと砂質ローム+石灰」のシンプルなレシピで、あとは各自の地域で入手可能なもので工夫してね!って感じです。世界中の土を簡単にポチッと購入できるので、つい散財しがちな私は19世紀流を見習いたいと思います 🙋

第2章 培養土の特性と多様さ;その改良手段

多くの土地に見られるように、同じエーカー内でも異なる種類の土壌からなる土地は幸運なことですが、必ずしもそうであるとは限りません。

元々(あるいは自然に)そうなっていない場合は技術で補わなければいけません。 さまざまな果物や野菜を栽培するには、作物が完全に生育するのに適したさまざまな培養土が必要です。

しかし、特定の野菜ごとに特定の土壌を準備しようと思うのはばかげています。菜園の土壌の種類としては、限定された以下の土壌だけを考えればいいでしょう。

-- 強い粘土ロームと軽い砂壌土ローム(この 2つは主要土壌です):

4分の1を粘土ローム、4分の3を砂壌土ロームで配合した土。

半分を粘土ローム、半分を砂壌土ロームで配合した土。

4分の1を砂壌土ローム、4分の3を粘土ロームで配合した土。

これに、適切な管理と施肥を行えば、一般的な園芸野菜を最高の出来で生産することができます。

しかし、土を改善するためには、その性質を尊重すべきです。可能であれば、どんな作物も生産できるようにするのがよいでしょう。

したがって、私たちのやるべきことは、家庭菜園の土を作ったり改善する場合、果菜や果樹を実らせるのに適した培養土にして芽が出るように努めることです。

そのような土は植物の根に付着するのに十分な粘り気が必要ですが、土が結合しすぎているのもよくありません。結合しすぎた土だと、根が養分を求めて伸長・拡大するのが確実に遅くなるでしょう。

したがって、やや砂質がちで中程度の粘り気があるロームが、ここでの目的に最も合った土と見なすことができます。そしてそれには二重の効果があります。つまり、

利用価値の高い種類の食用野菜の大部分は、そのような土を好みます。それはコチコチの堅い土よりも少ない手間で作業できますし、ひどい干ばつの時もあまりひびが入ったり、乾いたりすることがありません。また、強く霜が降りた場合、柔らかい植物を押し出してしまったり栄養を排出してしまうといったことがあまりありません。

土の粘着力が強すぎると、植物の柔らかい根は地中に弱々しくしか根をはることができず、病気になり、潰瘍になり、枯れます。

土壌が軽すぎて、貧栄養の場合、そこに植えられた植物は支えに必要かつ不可欠な安定性と栄養を求めて虚しく根を遠くへ伸ばします。

健康的でよく成熟した完璧な野菜を生産したいなら、適切な土つくりに不注意や無関心であってはいけません。糞を大量に投入したとしてもその力を完全に信頼することはできません。あまりにもむやみに糞を施用すれば、食用植物の品質に影響を与え、有益とはなりません。

したがって、私たちの努力が一貫して成功をおさめることができるように、最初にこの目的に適した土壌の構成や改善に適切に慎重に費用をかけましょう。最善の判断をしていけば、この意図に完全に答える土作りができるでしょう。

ゆえに、庭の土つくりは、壁を建築する前あるいは建築中に行う方が、建築後よりも確実かつ容易に達成できます。しばしば最初の土つくりが適切に対処されていなかったことが後で判明したり、その後の費用がさらに必要になったりします。芝生、低木、歩道などが土作りの主な障害となって伐採撤去を要するはめになったりします。

しかし、これらを検討する上で、家庭菜園の改善から得られる確実に有利な点を優先事項として考えるべきです。家庭菜園は特に、季節の経過に従って変化し、わずかな費用で、前とのシーズンと同じようにすべての面を更新していくことができる利点があります。

多くの場合、菜園の土壌はわずかな費用でかなりうまく改善することができます。

したがって、土壌層の底が湿っていて下層土が腐敗状態になっている場合は、うまく排水することが最高の改善策の 1 つであることは間違いありません。

土がカチカチなら、小さな砂利、海砂、かなりの量の小石や貝殻、石炭の灰、石灰質の砂利、砕いたレンガのかけら*、レンガの窯の灰などを加えます。

そして何よりも、冬の間や作物が栽培されていないときは常に尾根状に土を積み上げておきます。こうすれば、天候の作用をその表面に最大に与えることができます。

土壌が養分のない砂または砂利などの場合、-- 粘土、または粘着力の強い粘土質ロームを追加し、粘土質の下層土に溝を通すか、同様に池の泥を洗掘するか、あるいは粘土質の地域に見られるような排水路を削って作るなどします。

金属物質(鉄分)が豊富で一般に鉄色に見える土壌は、フォックス ベントまたはティルと呼ばれます。これらの物質は、土壌と混合密着しているか、あるいは土壌と一緒にかなり固化していることがよくあります。かなりの量であり、これは粘着性で非常に重い土壌です。

そのような土壌は、どんな作物にとっても最悪です。改善なしには、ここでの目的に全く不適格です。

ここでの目的のため、石灰はあらゆるものに使えることがわかるでしょう。慎重に適用して、その土を頻繁に掘ったり溝を切ったりすれば。そうすると、土と石灰がよく混ざり合い、大気がそれらに十分に作用してくれます。大気にさらさなければ、石灰はそれほど効果的に働かず、土壌の細かい粒子はうまく分割されたり改善されたりしません。

-----

* 私は、砕いたレンガのかけらとレンガ窯の灰を混ぜ合わせた効果を目にしたことがあります。それを冷たくて湿った日陰の粘土質の土地にたっぷり与えると、驚くべきことにたった1回で肥沃になりました。粘土は焼成されると、その性質と効果が完全に変化するという証拠です。

-----

注意する必要はないかもしれませんが、鉄分を減らすためには土壌に含まれる鉄分の量に応じた石灰量が必要です。この量を確認するために、磁石が有用でしょう。土塊の 1 つを焼いて灰にして還元させ、粉末にして、土または残留物から鉄分の粒子を磁石で分離します。 これにより鉄と土の割合がわかります。

このようにして、土壌を改善するために必要な石灰の量を判断することができます。通常の場合、ゆとりを持って、倍量の中程度の石灰を想定すると、1 エーカーあたり 150 から 400 ウィンチェスター ブッシェルが必要量となります。

石灰を素早く、すなわち粉末の状態で施用し、最初に過剰な水分を排出するように注意しながら土壌を適切に改善していきます。

上で示唆したように、土地の畝立て(塚に積む)は、特に固い土壌で最も素晴らしい効果をあげます。地面に作物がないときに、畝立てを決して省略してはいけません。

死んだ(有機質のない)砂ロームや腐敗した砂利であっても、それらを改善することには無限の利点があります。しかし、非常に軽い砂質土壌では、この方法を過度に実行することはお勧めできません。それは一時的なものだからです。

経験によって証明されているように、塚に積むことで土壌を部分的に太陽光線にさらしたり部分的に日陰にしたりして、月に一度溝を切れば、新鮮なものを追加するだけのどんなやり方よりも早く土地の肥沃度を回復させます。

こうすれば、作物に有害な成分が土壌にたくさんある場合、大気の作用によって有害成分を排出または吐き出させることができます。特に夏や冬の休閑期間が効果的です。ただし、冬の場合は、表面をひっくり返して、できるだけ頻繁に表面に霜がおりるように注意する必要があります。そして、霜がとけるたびにひっくり返して新しい表面にしておきます。

2023年5月2日火曜日

19世紀流菜園の土作りⅠ:ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

19世紀(それ以前からも)において、それなりにお金をかけたキッチンガーデンといえば壁で囲った菜園でしょう。16世紀なら菜園の囲いは生垣や囲垣で、かなり贅沢な場合のみ壁囲いといったところでしょうか。

また、16世紀の単に耕すだけの土作りから、19世紀には土壌層を反転する、すなわちプラウ耕が菜園の土作りでも常識になったようです。その方法が詳しく解説されています。しかし、いくら限られた面積とはいえ菜園の土を人力だけで反転するなんて、現代人からすると苦役としか思えません。マメトラや耕運機がなくては無理ですよね。

土壌の無機物も有機物もすべて解明されるようになれば、現在関心を持たれている不耕起栽培で楽に最高の収量を安定して得られるように菜園が進化するかもしれませんね。

ちなみに、土壌の微生物分析結果を見たことがありますが、同定できた菌は全体のわずか8%しかなくて、90%以上は何の菌か特定できないことにびっくりでした。土壌の、特に有機物の完全解明はもう少し先なのでしょう。

第1章 菜園の土壌の適切な深さと状況

キッチンガーデンの野菜は「新天地と呼ばれるような場所(新しい土)」で最もよく育つというのが一般的な認識です。これは多くの事例が証明しています。

また、ガーデナーの間で不満もあります。自分の土地の「使い古された場所」では特定の種類の野菜が収穫できないというものです。

その原因は土が貧弱で栄養がないとか、野菜の生産にまったく適していないということではありません。おそらく、すでに過多の状態となっているからでしょう。

そういった場所は何年もこれら特定野菜の栽培下にあったため、その土を適切な変化で回復させるには相応の土地面積が必要なのですが、それが十分ではないのです。

壁囲いの菜園ではこういった不満は最も一般的なものであり、それは家族に十分な野菜を提供するだけの面積を確保する費用、または十分な深さの土壌を作るための費用をケチったことによって生じるように思われます。

野菜はその多くの種類が、囲いのない開けた場所の菜園でも、高い壁で囲まれた菜園と同様に (それ以上ではないにしても) 生育します。こもれびや木で日陰になるような場合は紛れもなく悲劇です。良い果菜は収穫できません。そういった場所では壁囲いの菜園であってもうまく育てることはほとんどできないでしょう。

しかし、壁で囲まれた土地の場合は確かに野菜の生産に最も適しているでしょう。壁は北風を防ぐなどの寒さよけになるので、野菜の促成的な栽培に向いているからでしょう。

ご推察のとおり、このように壁で囲まれた場所は長年、菜園として使われてきました。

この壁は相当の費用をかけて建設されるものです。その土地はかなりの費用をかけて溝が掘られ、歩道が作られ、配置されます。

このようにして作った菜園では料理に使うための健康な野菜が生産できることが何より大事です。 

この望みを達成する方法についていくつかのヒントを書きましょう。それらは私が部分的に実践して成功した方法です* 。

-----

* 私が「部分的に実践した」と申したのは、実践には何年もかかるからであり、(私の状況の変化によって) 実際にそれを完遂することができなくなったからです。しかし、その理論は合理的であり、園芸と農業どちらの改善にもなると思います。今後、国の豊かな土地において、多くの独創的な改善を遂げる人が現れることでしょう。

-----

菜園の土作りの方法

1)まず、土の深さは24 インチ(60 cm)から 36 インチ(90 cm)必要です。

多くの場合、多大な費用と労力なしでは達成できません。このような土地の確保は一回で行いますが、二次的なこと(費用?)も考慮しておかなければなりません。

土作りの費用は庭作りの費用の10から20パーセントをあてることができれば、ほとんどの場合、十分でしょう。

この時、自然土の深さが 24 インチ(60 cm)に満たなければ、客土すなわち隣接する畑の土を持ち込むことによって確実に土作りできます。 ただし、トレンチ(溝)を掘って下層土(それがどんな組成の土であっても)を多量に客土と混ぜ合わせることはお勧めできません。

実際、多くの場合、菜園で下層土と表層の腐食土を無分別に混合するとほぼ台無しになってしまいます。


2)次に、地形などの環境を考慮する必要があります。 本章の冒頭でその課題に関して245ページにすでにいくつかのヒントを書き記しています。

そして、ここでさらに注意すべきは、菜園を低平地に築くのが良い場合はほとんどないということです。そのような場所では心土が乾いていることはめったにないからです。

そして、低平地は傾斜地に比べて排水が必要ですが、その排水が困難だからです。

北向きの土地も避けるべきであり、南、南東、または南西向きの土地にすべきです。 ただし、東向きや西向きも往々にして、優れた環境になりえます。

傾斜度が1/12〜1/30あるいは 1/40あれば、一般に排水効果が得られます。 なお、1/25 くらいの傾斜が最も効果を発揮します。


3)私が書き記したルール、そのルールの内、部分的に実践したのは次の方法です。

すなわち、 地表から栽培作物を取り除き、3スピット(シャベルの刃の長さが1スピット)の深さの溝を掘り、下の層と上の層を入れ替えます。その場合、中層は入れ替えず中層の土のままです。 

翌年は地表から栽培作物を取り除いたら、2スピットの深さのトレンチを掘ります。こうすれば、地表に中層が来ることになります。

その次の年は地表から作物を取り除いたら、また3スピットの深さのトレンチを掘ります。そうすれば、以前中層で今は上の層にある土が下の層へ移り、最初に上の層で今は下の層になっている土は再び上の層(作土層)になります。

このように交互に土を入れ替えていきます。2スピット深さのトレンチを掘ったら翌年は 3スピットの深さのトレンチを掘ります。そうすれば、上の層(作土層)は常に入れ替わって、各層の土は6 年休んで 3年(4年休んで2年?)栽培土になるといったローテーションになるでしょう。

こうすれば、作土層は常に健康な野菜を生産するための「新しい土**」であり続けます。

そのためまた、土壌層が浅くて入れ替え(反転耕)ができない状態で常に作物が栽培されている場合よりも必要な肥料の量ははるかに少なくなるでしょう。

[土壌層に掘ったトレンチ内の3層を反転させていく方法。6年で一巡する。]


上で述べたように、土壌層の厚さは 24 ~ 36 インチ(60~90 cm)必要です。トレンチの深さをこれより浅くするのも深くするのもお勧めしません。

深すぎると、天候や太陽熱の影響を受けていない深い層が地表面になってしまう可能性があり、その場合、トレンチを掘って入れ替え作業をした後、作土層は未熟で改善にしばらく時間がかかる土になってしまいます。

-----

** 確かに実際にはそのようなものは存在しないため、”新しい土壌”という呼び方は私たちが新しい土壌について持っている認識と一致していると思います。 しかし、このプロセスによって、作土層は大幅に修復されるでしょう。

-----

土壌層が 2スピットの深さしかトレンチを掘ることができないくらい浅く、客土して土壌層を深くするような費用も捻出できないような場合でも、上記のヒントは有用です。

3年または4年ごとに定期的にトレンチ(溝)を掘り、土壌層のの上下を入れ替える作業を行うことにより、作土層はその半分の期間休むことができます。 このようにうまく反転耕を行って適切に輪作するなら、健康な野菜を何年にもわたって生産することができるでしょう。→上下を入れ替える際に有機物をはさみこむことの重要性に言及されていませんが、現代では重要な注意点でしょう。堆肥などの有機物を入れないで耕運機で調子良く反転していくと土壌が締め固まっていくでしょうから。

多くの場合、一挙に菜園全体を反転するのは不適切で大変ですし、そのような提案をするつもりもありません。

一度に菜園の2 分の 1 か 3 分の 1 だけこの反転作業を行うのが適切で容易です。実際にどのように作業するかは状況次第で決めることができます。

ただし、よく観察して底土(心土)が濡れていたり、水に浸かっていたりする場合は、トレンチを掘る際に、各トレンチが正確に同じ深さになるように注意する必要が必ずあります。トレンチの底に凹凸が残っていて均一でなく、トレンチ間に隆起が残っていたりすると、水は土壌中に停滞し、その結果、腐敗の原因となって、果樹であれ野菜であれ、どんな作物にも生育障害をおこすことになります。

2023年4月21日金曜日

ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

著名な造園家であるWALTER NICOL氏の19世紀初頭(1802年)の書「THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.(促成、果実、キッチンガーデナー)」にある、キュウリの促成栽培果樹の壁栽培やエスパリエについて以前、メモしました。

4月になってヤサイが育ち穫れるシーズンになったので、第III部のキッチンガーデンを読んでいます。

イギリスは産業革命がスタートして、農業社会から工業社会へ突き進んでいく時代の幕開け期です。この時代の気運が農地やキッチンガーデンにも及んでいて、本書のイントロダクションも「勤勉に耕せ!」といった雰囲気です。といっても、その動力源はまだ畑なら牛、庭なら人です。大型機械や化学製品での収奪とまだ無縁な世界です。

当時の人が目指していた農業の工業化がたどり着いた現代は、有機農業や不耕起栽培や自然農法などが注目されるので、本書のような人力一辺倒で化成肥料や化学農薬が現れる前のキッチンガーデンの指南書も一興です。

「促成栽培、果実栽培、キッチンガーデン」by WALTER NICOL
第Ⅲ部 キッチンガーデン
「はじめに」

必要は発明の母と言われますが、それはまさに産業界にとって第1にして最大の促進剤です。

したがって、なぜ北の国々が南の国よりも園芸と農業の技術においてはるかに進んでいる、その理由は、おそらく、北は土壌と気候に恵まれておらず、その結果、生活の快適性や必要品の生産性が南よりも低いためなのでしょう。

交易が拡大し、人々が互いにより親密な交流を持ち始めると、現実の欲求だけでなく彼の地から想像でかきたてられる欲求も相互に見出すようになり、それを満足させる手段が採用されるようになります。

島国(英国)の私たちには、その進歩はゆっくりとした歩みでした。

しかし今では、他の時代には知られていなかった、変革進歩の精神があらゆるコミュニティに宿っています。

園芸と農業の部門もこうして急速に進歩したのですが、独創的で勤勉な人々がその才能と忍耐力を発揮できる部分がまだ十分に残されています。

土を耕すことによって食べ物を育てるさまざまな方法は、ガーデニングと農業という 2つの範疇で理解する必要があります。

ガーデニングと農業は密接に関係しており、互いにほぼ同盟関係にあります。

両者の主な取り組みの違いは、使用される機具とその使用方法にあります。

ガーデニングは人が労働源であるのに代し、農業ははるかに多くの部分を牛の働きによっています。

プラウ(牛がひく鋤)は最も役立つ道具ですが、小規模ではスペード(シャベル・スコップ)ほど効果的ではありません。

したがって、ややもすると生産が行き過ぎがちになる畑よりも庭に優れた点があると言えます。

ガーデナーである私たちが勤勉であればあるほど、その見返りは大きくなるでしょう。

関心と同じく思慮分別は、ガーデニングでも農業でも、高い技術を要する産業であれば必要とされるものであり、それがさらなる進歩をもたらします。

肥料の価値と効果、その施用、品質、特性、土壌の整え方についての正しい知識は、農業の進歩の根本であり、その後の発見へとすべてつながっています。

こういったことは、農業よりもガーデニングの方がより綿密に行うことができ、失望するリスクも少ないものです。したがって、園芸(ガーデニング)における発見と進歩は、一般に農業より一足先んじてきました。

庭の野菜だけでなく、開拓畑の穀物でも効果的な耕作、掘削、溝掘りなどが豊富な収穫をもたらすための最重要事項であることがわかるでしょう。

このような土作りは農地よりもガーデニングの方が集約的に実現でき、畑よりも庭の方がより生産的であるというもう1つの理由になっています。

3つめの理由は、状況によりますが、地域性、防護施設の有無などが考えられます。

ただし、それは常に有効というわけではありません。多くの種類の野菜、特に最も有用な野菜は、保護された場所よりも開けた場所にある庭の方が、より良いとまではいかなくても、同等の生育能力を発揮することがわかっているからです。

庭の土地は一般に農地よりも高く貸し出されます。家族を維持するために割り当てられる庭の面積はかなり小さいものです。

庭主は、熱心さ、勤勉さ、そして忍耐力を発揮する必要があります。

成果を信じ、能力を最大限に発揮して自分の土地を耕し、管理すべきです。

こうしたことが庭が畑よりも生産的であることの理由でしょう。

そして最終的に、

個人の庭は実用性と同時に娯楽の対象でもあるため、一般に、手入れや管理などがしやすい、最も便利な場所に作られます。

そうして、軟弱な食用植物を最も熟練した努力で栽培しても、特にその土壌が栽培に適していない場合、しばしば困惑させられます。

さらに、偶発する気象現象や天候の大きな変化すべてに誰が太刀打ちできるでしょうか?

この国では多くの不利な条件の下で園芸や農業に従事しなければなりません。特に早春に多くの不利な条件が存在しますが、そのことはヨーロッパ大陸ではあまり知られていません。

天候がより厳しいということではなく、それは確かに問題視されますが、天候の変化が大きいことが問題で、まさに植物にとってとても重要な第一の成長促進となる太陽光にあまり恵まれていないという不利な条件があります。

ですから、力の及ぶ限り、私たちが働くにあたってこの不利な条件を改善できるよう、どのような方法であれ可能な限り、土地のあらゆる場所で以下のような高度な栽培を行うことが求められます。それによって、作物が気候に適応し健康になるよう努めましょう。

そうすれば、間違いなく良い効果をもたらし、目標の達成に大きく貢献します。

まず排水がポイントです。 なぜなら、潜在水が土壌中に溜まったままで、野菜*、穀物、樹木が最高の生産性をあげることは絶望的だからです。

そして、この頻繁に行うべき管理作業の実践方法が確立され公開されたことは、この国にとって喜ばしいことです。おそらく、これ以上に価値のある利得はないでしょう。

* 一般的に受け入れられている言葉に従えば、野菜だけで自然の王国のまるごと1分野を形成しています。


読者のみなさんは、ジョンストン氏の説明のように、私がエルキントン氏のことを言っていることにおそらくお気付づきでしょう。彼はそれに言及しています。→ジョンストン氏やエルキントン氏は当時有名だったのでしょうか?

その次は、効果的な耕作、掘削、溝掘り、土の入れ替え、そして土壌の通気をまず実現すべきで、私たちはそれらに特別の注意をはらう必要があると思われます。

そして、 土壌の一部分だけを疲弊させないようにしましょう。その他の土壌部分は不活性状態のままになっているだけであり、おそらく同じ時期に同じように作物を生産することができます。

おそらく一度も、または少なくとも何年もの間、不活性状態にあった土壌はコールタールの轍やスペードを突き刺したりすることで分割し、その結果「人間と獣の食べ物」を生産できるように変えましょう。

その新鮮で疲弊していない土壌は長年連続栽培して過度に負担をかけ疲弊している土壌をタイムリーにその負担から解放してやることができます。

しかし、私たちがこの隠された宝物(新鮮で疲弊していない土壌)を探し出し、それを利用して栽培している間、楽観的になりすぎないようにしましょう。

腐っている砂利、鉄のような漂れき土、腐食している砂といったものは私たちの生産活動を妨害するので、混ざって持ち込むことのないよう気をつけましょう

次の重要なポイントは、土壌を改善するかリフレッシュするのは非常に有用なことです。

疲弊した土壌を大幅に回復させるには肥料(堆肥、有機肥料)を慎重に施用する必要があります。

肥料の有用な成分には多くの種類があります。

賢明な人は必ず、土の粘りが強すぎる場合は土壌を肥沃にし、粒子化する効果が最も明白な成分を施用します。また、土が軽すぎて多孔質である場合は、接着力を高め、肥沃になる成分を施用します。


次のポイントは技術と適切な作付です。技術に関しては、練習と経験のみによって成功を確実にすることができ、完璧を達成することができます。

作付に関しては、賢明な人なら、人が労働を休むように土地も生産から休む必要があること、すなわち、いつも作物を植えて土地に負荷をかけすぎているのは、働きっぱなしの人と同じく、悪い結果をもたらすということを心にとどめています。なので、正しい道を踏み外すことはないでしょう。

さらに、栄養価も低く、健康的でもない作物を2倍収穫するよりも、それより少ない量だけれども品質の良い作物を作る方が確かに望ましいことです。賢明な人は土壌の持つ強さと能力に合わせた収量にするものです。

そして、これはもう一つ検討すべき事項、つまり雑草の問題へとつながります。

それぞれが関連しあっている自然界のあらゆるものの中で、最も嫌われるのは雑草の庭で、支離滅裂で非常識な存在です。

➜➜➜➜➜

収穫することを目的として種をまいたり、植えたりしていますか?

健全でよく成熟した作物を育てていますか?

かけた費用と労力に見合う報酬を得るつもりですか?

同時に、怠慢によって土壌を貧弱にし、作物が成長・成熟するのに必要な栄養を奪う雑草を生やしていませんか?

結果として、望むリターンが得られていますか?

➜➜➜➜➜

必要と思う課題に注意を集中しましょう。最終的に、植物を栽培して食べ物とする成功の秘訣は、次の項目に大きく影響されます。

☑️土壌の質に関する正しい知識

☑️効果的な排水

☑️効果的な耕作

☑️効果的な掘削

☑️効果的な溝切り

☑️控えめな施肥

☑️適切な作付け

☑️注意深い草取り

☑️こまめな収穫

☑️賢明な休耕を挟んだローテーション


2022年5月7日土曜日

果樹やハーブの食害対策 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第27章

第27章は果樹やハーブを食害する虫やカタツムリの駆除方法です。主に古代のギリシャやローマ時代から伝わる方法が紹介されています。

ギリシャやローマ時代から1500年以上経った16世紀も科学的認識は変わっていなかったようです。(それに比べると現代の科学的知見には圧倒されます。)

もっとも、農作業の楽しみは古代から現在まで普遍だと言えます。紀元前106年生まれのキケローも以下のように書いています。

「・・・とはいえ収穫ばかりが楽しいのではない、大地そのものの力や本性もわしを楽しませる。大地は耕されて柔らかくなった胸に蒔かれた種を受け入れると、まずそれを隠して抱き続け・・・次に自らの湯気と圧力で温かくなった種を二つに割り、そこから緑の新芽を引き出す。それは根毛に支えられてゆっくりと成長し、節のある茎で身をもたげると、早思春期に入ったかのように莢に包まれる。莢から出ると、穂状に組み上がった実りを生み出し、小鳥に啄まれぬよう芒の砦で守られるのだ。」(「老年について」キケロー著 中務哲郎訳 ワイド版岩波文庫 251)

本章でお勧めされている害虫対策のうちニゲラやロケットの混植は、効果の程度はどうあれ、抵抗なく試すことができそうです。

第27章。カタツムリ、 エダシャクトリ 《果樹の害虫》、体の長い蛾、ノミハムシや土中の虫による傷害や食害に対して、樹木や果実、香味野菜に利用できる有効な駆除方法とその秘訣。 

地上でも地下でも庭の宝(作物)に忍び寄って来る様々な虫や獣による被害を全く見なかったり認識できないような鈍い視力の人はいない(と、私は信じています)。こういった外敵の攻撃のため植物は弱わり収穫は得られなくなります。迅速な対策が実行されない限り、植物は最終的に力尽き枯れてしまうことになります。

害虫が繁殖し、ひんぱんにあるいは多数見つかると、火や(庭の敷地または畑の)鉄製の蒸気装置といった大掛かりな手段でも追い払ったり駆逐できなくなります。

したがって、ここで、農夫と庭師の両方に最も役立つ(と思える)方法を述べましょう。この厄介で迷惑な被害に対抗する有効な対策をお教えします。それは古代の人とその後の人の両方が経験から発明し記した優れた技術です。

その問題に対する過去の記録から教えを求めたいと思います。まず最初に、農業について書いたギリシャの偉人アフリカヌスは、庭の植物や根に有害な土中の虫の巣穴や深穴へ雌牛や雄牛の糞を燃やした煙を風で送って燻せば、駆除して一掃できると報告しています。

賢者プリニーは自身の歴史書の中で、こう書いています。「庭主や庭師が塩を含まない純粋なオリーブ油のしぼりかすを撒けば、害虫を追い払い食害から植物やハーブを守ります。」

もし害虫がその悪行や糞を堆積させることによって植物の根に裂傷を与えるならば、この方法で一掃します。

ハーブのロケットを使った自然療法を栽培ベッドのあちこちで行えば、植物やハーブはノミハムシにかじられたり傷つけられたりすることはありません。

キャベツやすべての香味野菜はラデッシュ/ダイコンを混植することによってノミハムシの食害をかなり防ぐことができます。

賢者アナトリウスは同様のことを自身のギリシャの農業書の中で断言しています。ニゲラ(bitter fitches)もラデッシュ/ダイコンと一緒にベッドに植えるべきだと。

古代の経験者の証言によると、ニゲラのタネを大根やナタネと一緒にベッドに植えると大変役立ちます。

酸っぱいものやきつい酢も有効で、H••ban?のジュースで薄めてノミハムシ類に振りかけます。

ギリシャのパンフィロスの報告によれば、ハーブのニゲラロマーナを一晩浸けた水を植物に振りかけると、ノミハムシをやっつけます。

その他の忍び寄って来る敵の食害や傷害から土に埋めた種子を守りたいなら、(私が前に言ったように(第16章))タネを蒔く前にシニグリンまたは屋根万代草の液に一晩浸けます。そうすればどの種子でも食害されずにすむでしょう。カタツムリの殻の中に種子を入れることは、先に述べたアナトリウスが書いているように、私がカメと名付けた方法と同じだと思います。巧者パラディウス・ルティリウスが同じことを実践したことを省くことはできません。彼は次のように書いています。庭師が土にタネを蒔く前に、カメの皮の中で種子をすべて乾かすか、庭のいろいろな場所、特に非結球キャベツの間にハーブのミントを蒔くなら害虫や有害な這い回る動物の繁殖を許しません。

ニゲラやロケットのタネを(私が前に述べたように)香味野菜類の間に埋めます。月の最初の1/4期(新月から上弦の月まで)に蒔かれたそれらのタネはとても効果があります。

多くの場所で庭やブドウ園の木に大きな損害を与えるシャクトリムシと蛾の幼虫に対しては、イチジクの木の灰を草木に振りかければ追い払うことができます。

イチジクの灰とともに植物やハーブに振りかけるものがほかにもいくつかあります。

樹木の灰の場合、これらの害虫を駆除するためには(経験的な報告によれば)灰だけを単独で撒きます。

また、ラテン語で、シラー、またはスクイラと名前が付けられた大きなタマネギをベッドのあちこちに植えたり播種したりする人もいます。あるいは、庭のさまざまな場所に吊るす人もいます。

他に、庭のあちこちに川カニ・エビ?(Creuisses)を釘で固定する人もいます。これらの対策でだめなら、雄牛か雌牛の尿とオリーブオイルの搾りかすをよく混ぜ合わせて煮て熱くなるまでかき混ぜたものを利用します。この混合物が冷えてから香味野菜や樹木に振りかければ、巧者アナトリウスが自身の体験で報告しているように非常に効果があるでしょう。

偉人プリニーは自身の実践において、血のように赤いもので触れると有害な虫を同様に追い払うことができると言っています。

賢者パラディウス・ルティリウスは、庭主や庭師が庭の通路すべてで乾燥したネギ坊主なしのニンニクの葉の大きな束を燃やし、これに雄ジカ/雄ヤギの糞を加えると、その匂いが庭のあちこち特に害虫が最も多く群がっている場所へと到達し驚くほどに迅速に駆除するのを目撃だろうと言っています。

偉大な知識人のプリニーは報告しています。香味野菜のタネをニゲラのタネと一緒に混ぜて播種すれば、この香味野菜から木の枝へと匂いを届けることができます。

多くの場所で角に掛けられたカニ?(Crevices=Creuisses?)が使われているようです。

ギリシャ人の観察報告によると、これらはまた塚に集まっている害虫を駆除し増殖を抑えます。

庭師が庭から蛾の幼虫かシャクトリムシを採ってディルと一緒に水に入れて、これを冷たくしてハーブまたは木に振りかけると、その混合物で巣や幼虫さえ濡らし浸すので、それをなめてしまい迅速に効果が行き渡るでしょう。

しかし、この作業中、庭師はその混合物が顔や手に落ちないように非常に用心する必要があります。

これらに加えて、庭主または庭師は、木の大きな枝あるいはハーブの茎の近くで、強アルカリ性の石灰と硫黄を一緒に燃やすと、それは確実で簡単に準備できる駆除方法になります。

あるいは、庭主はナッツの木の下で育っているキノコを燻すか、家畜の哺育小屋/ヤギの小屋?か苦い芳香性のゴム樹脂を燃やすか、あるいは雄ジカのツノを燃やして煙を作って風に乗せて土中の虫をいぶします。

ブドウの木の灰を3日間水に浸し、その後ハーブと樹木の両方へたっぷりと振りかける方法もあります。

多くの栽培ベッドでは、タネを蒔く前にイチジクの木の灰で作った灰汁の中にタネを浸して柔らかくします。

当代の農夫や庭師は簡単な方法を発見して今や至る所で普通に使われています。これは、雨が降った後の暖かい太陽の下または陽の当たっている所で早朝に果実や香味野菜の葉または木の大枝を揺すります。夜の寒さによって動きの鈍くなっている虫はすぐに落ちるか、這い戻ることができません。その結果、地面に落ちた蛾の幼虫を庭師はすぐに殺害できるというわけです。

持ち主がハーブと木に忍び寄るその他の敵(パラディウスとルエリウスはこれを「ハーブとネギのどちらも無駄にするもの」と名付けました)を駆除したい場合、新しく屠殺された去勢された雄の羊の胃袋を購入することをいとわなかったギリシャのディオファネスの方法を思い起こしてください。その胃袋には羊の排泄物の汚物がまだいっぱい入っています。それを最も被害の大きい場所に埋めて土で軽く覆います。

2日後、庭師はそこに体の長い蛾やその他の忍び寄る敵がこぞって集まっているのは見つけるでしょう。持ち主は胃袋を取り出して遠くに運ぶか、這い出してこないようにその場に深く穴を掘って埋めてしまいます。庭師がこれを2、3回繰り返し行えば敵どもは完全に消滅し、庭を台無しにするあらゆる種類の忍び寄る敵を完全に駆除します。

フランダースの農夫たちは、蛾の幼虫が木のてっぺんまで登ってきて住み着かないように、見事に作ったわらの切れ端を木の大枝に巻いて結び固定することで株を武装します。まるで罠の仕掛けが敷設されているようです。害虫は最終的に追い払われるか、道半ばで迅速にまたは罠に遭遇した直後に引き返します。

カタツムリの退治方法は特別です。庭師がキッチンハーブにオリーブ油の搾りかすか煙突のすすをふりかけると、まるでニゲラのタネをハーブの間に蒔いたのと同じ様に、キッチンハーブから追い払うことができます。私が前に言ったように、栽培ベッドのその他の騒々しいうじ虫類や忍び寄る動物に対しても効果があります。

生鮮野菜を栽培している場合は、庭のすべての区画、ベッド、ボーダーにフェネグリークの粉末を混ぜ合わせた水を十分に振り撒くか、あるいは、私が以前書いたように経産ロバの肉のない頭骨を庭の中央に立てます。

偉人イリウス・フロントは、ヤサイの間にハーブのロケットのタネを蒔くか混植するなら、どの菜園でもン大いに役立つと述べてています。

しかし、偉人のデモクリトス、フロント、ダメージロンがギリシャの農業の教訓としてわたしたちに伝えているように、塩水に溶けたガチョウの糞をヤサイに振り撒くと栽培している庭師にとって耐え難い損害がもたらされるでしょう。


ーーーーーーおまけ

今、旬のアスパラを使った16世紀風サラダ。

強めに塩茹でしたアスパラにゆで卵の黄身の裏ごしとアーモンドパウダー、溶かしバターをかけたもの。さらにグラニュー糖をかけるとエリザベス王朝風になるそうで。

そのまんまの味です(笑)。日本人には胡麻和えの方がしっくりきそうですが、趣向を変える効果はあるかも。 

2022年4月10日日曜日

16世紀のかん水方法:「The Gardeners Labyrinth」第24章

第24章は、16世紀のジョウロやポンプなどによる水やり事情が解説されています。今でも馴染みのある井戸の手押しポンプや手動で加圧する散水ポンプが、庭の栽培ベッドの配置も合わせてわかるような挿絵で描かれています。今は系統電源や太陽光発電などで電動ポンプを動かす時代ですが、人力のポンプも何だか楽しそうに思えてきました(毎日の仕事となると辛いでしょうが)。

第24章  庭のベッドに水をまくのに適した時間、どのような水が植物に必然的に使用されるべきであるか、そして最近発明された水やりに最適な様々な容器について。

月齢に合わせてベッドにタネを蒔いたら、(空気に十分な湿気がない場合)水やりに注意を払う必要があります。土の性質が良くても、非常に乾燥していて雨が降らない場合、種子も芽を出したばかりの柔らかい植物も萎び枯れてしまいます。

そのため、庭師は誰でも自分の庭の土の性質と状態を慎重に調べる必要があります。土自身が非常に湿っている場合、乾きすぎている場合、両極端について学ぶべきです。 庭のベッドの水やりは、もっと熱心に、もっと勤勉に、そして必要に応じて頻繁に行います。

そこで、庭主や庭師すべてにとって必要な季節毎の指示を解説いたしましょう。(私の書いた指示は)特に目新しいものではありませんが、生育中の植物に水をやるのに必要な日時について述べましょう。 あらゆる作物の最も若い植物体を見れば、干ばつの後や夏の旱魃が起こるような暑い日が長く続くときに、主に水やりが必要であることがわかります。それは、大犬座またはシリウスの上る頃、私たちの国では一般に7月17日頃にあたります。

そして、栽培ベッドへの水やりは、(プリニーが述べているように)朝の日の出の直後と夕方なら土に太陽の熱が少し残っている時に行うべきです。

本著者がプリニーと同じことを主張する理由は、正午のようにその日の暑い時間帯に水をまくことは、水が太陽熱によって熱くなっているので、植物の若く柔らかい根を煮てしまうからです。

そして、栽培ベッドへ水をやる際に、庭師は特別な注意と配慮を払う必要があります。庭師は植物を濡らしすぎないように注意し、少なくとも水をやりすぎて植物が膨れすぎないようにします。やりすぎると、その後、植物体を守っているワックス成分が弱くなって死んでしまいます。

植物の水やりに最もお勧めの水は、川から引き込んだり、川から流れ出たりしたものです。その他、狭い小川の満ちたり引いたりする水、あるいは湧き水が流れ込んで一方向に流れている軟水です。

しかし、庭師が特に深い井戸から汲み出した井戸水、または深い穴から汲み出した水を使用するしかない場合は、この汲み上げた水を2、3日間、または少なくとも 一定時間、太陽熱で暖めるために、戸外に置きます。少なくともこの水は、汲み上げたばかりの生水で、かつ冷たいので、水やりやベッドに散水したりすると、柔らかい若い植物を弱らせ枯らしてしまうおそれがあります。

植物の年齢もまた、水やりが必要な時に、どれくらい湿らせるべきかを庭師に教えてくれます。新しく出た柔らかい若い植物の場合は少なめでやさしい水やりが必要であり、 成長したハーブ類は適度に温かい水をたっぷりやると喜ぶでしょう。

そして、この水はじょうろまたは他の方法でベッドにやさしく振りかける必要があります。散水後、若いハーブの根が水を吸い上げるのを確認できるでしょう。早すぎたり多すぎる過剰な水やりになったりしてはいけません。適切な水やりによって、植物はむしろ克己精神を保ち、土壌の通気も可能となります。

一瞬でベッドに十分な水が行きわたることはないので、適切な水やりのためには、土壌と植物が吸水するように、水をそっと振りかけます。水と一緒に植物に肥料を与える場合、母乳や栄養のあるパップ(幼児・病人用の柔らかい食べ物)のように与えれば、若いまだ軟弱な植物はすくすくと成長するでしょう。そうでない性急な水やりは、若いひ弱な植物を非常に困らせ、死の危険にさらします。

太陽の下に置いた水に庭主や庭師が適度な量の糞を混ぜた水は間違いなく大いに役立ちます。この混合水で穏やかに水やりしたり広く散水したりすれば、同時に、若いひ弱な苗や成長中の若いハーブに適切な栄養を与えることにもなります。

塩水と同様冷水は、どの種類の植物にとっても有害であることが知られていますが、テオプラストスは塩水の方が水やりに適している特定の植物があると報告しています。

私たちの庭のベッド用の一般的なジョウロは、狭い首、大きな胴体、やや大きな底を持ち、小さな穴がたくさん開いていて、水を入れるための適切な穴が上部にあるものです。その穴に親指を置いて空気を閉じ込めれば、ジョウロを回転させたり底を垂直に傾けたりする際に良い助けになって、水やりが必要な場所に手際よく水を与えることができます。

この種の最高級のジョウロは、庭の場所から場所へと水を運ぶのにも簡単で最適です。ロンドンの最高級の庭や現在知られているイギリスの食堂の一角で、この形が多く使われています。本体はすべて銅でできており、大きな胴体と細い首をもち、同じ銅製の丈夫な持ち手が胴体と首部に巧みに固定されており、必要に応じて庭のあちこちに持ち運ぶことができます。 

しかし、水で満たしたジョウロを真っ直ぐに持ってもっと容易に迅速に運ぶには、海外に運ばれる理髪屋の水瓶(Barbers water pot) のように、ポットの口に巧みに固定されたもうひとつの強力なリングまたはハンドルのふたが役に立ちます。それは運搬以外の役にはたちませんが、水で満たされたポットを必要な場所に運ぶのを容易にします。

しかし、これの一方に付いたハンドルは、特に、小さな穴がいっぱい開いた頭部を持つ長いパイプから水を噴出させるのに役立ちます。これは、ポンプと呼ばれることもあります。これは容器の底からジョウロの頭部まで繋がっていて、このハンドルが水をジョウロの長いパイプへと導き、容器の水がすべてなくなるまで巧みに水を導き散水します。

庭師が地下またはそのすぐそばにポンプを持っている場合は、長くて幅の狭い雨樋(溝通路)を使って、庭の全てのベッドへ水を直接引くことができます。その間の経路に沿って多量の水を必要とするハーブの根にまんべんなく十分に届けることができます。

この方法を理解してもらうために、次にわかりやすく図化しました。

[庭の雨樋を使ってポンプで水やりする方法]


水を汲み上げて、噴出口を胸あたりに設置したスズで作られた大きな噴水でベッドに散水するものがあります。水を上向きに噴出させれば、噴出口から雨のようなしずくにして植物に散水することができます。さまざまな時間にベッドの上へ散水することで、植物に十分な水分を供給します。

植物やハーブに水をやるのに、お薦めの、もっと簡単な別の方法は、噴出するように成形されたスズの大きな容器による方法です。しかし、それは分割されている点が異なります。そのため、これは同じ金属のパイプが下から立ち上がっていって、とても高くまで到達する方式です。水が打ち出される上部または末端に多くの小さな穴が付いている大きなパイプ方式で、小さなポンプ方式の後に作られたより大きなパイプによる方式です。そのパイプの地下側の末端に、小さな穴がいっぱいある錫の厚い四角いプレートが巧みに固定されていて、ポンプ当番が両手で十分押し下げることによって、水を汲み上げ、強制的に送り出します。

このようにして準備された装置は、深い容器または水槽にセットする必要があります。庭主や庭師が最初にポンプで水を汲み上げ始めようと考えている場所で、力一杯手で押し下げれば、水を上昇させ、セットした高さのパイプ穴から水が放出します。こうして、水滴が空中を落下し雨の形となって、所定の場所に十分な水が与えることができます。その後、庭師は水槽と容器を別の水やりが必要そうな場所に移すことができます。 3〜4か所で同様に行えば、庭のベッドやボーダー全部を十分に湿らすことができるでしょう。

水槽を備えたこの容器の形が容易に想像できるように、ここに忠実に描かれた図をご覧ください。

[水槽にセットしたポンプによる水やり方式]


庭に池があったり、そばを小川が流れているなら、庭主や庭師は恵まれています。木の装置(ほとんどの人はスキフ(一人でかいで漕ぐ小舟)と呼んでいます)を使って、非常に簡単迅速に庭のすべてのベッドに十分水やりすることができます。

キュウリ、メロン、ウリなどの多くの水分を与えれば最速で成長するような植物にとっては、この方法は十分ではなく、庭師は苦労するかもしれません。ウールや織りの布の端切れの片方をトングのように鋭くカットして、水を満たしたポットの底に置き、カットした端を外に垂らして4本の指の深さにします。ポットはいくらか前に傾けます。これにより断続的に水が滴ります。上記の植物の成長にしたがって滴る速度が増します。この方法を実践するには各植物に一つずつこのようなポットを用意します。この方法はフィルタリングと呼ばれています。

2021年11月3日水曜日

キュウリの促成栽培 in 19世紀(後半)

キュウリの促成栽培は「燃焼暖房の温床より発酵熱の温床がいいよ」というのが前回の内容でした(アスパラガスはその逆で、燃焼暖房の方をお勧めされています。)。発酵材料の家畜糞はさぞや臭かったろうし有害微生物もいっぱいで、とても現代では採用し難いです。かろうじて植物性の発酵材料なら心情的に許せますが、人体に有害な微生物がいないわけではないので、現代人が安易に手を出せるものでもありません。もちろん通常の庭仕事だって有害な微生物を吸って肺症にかかるなどの心配があります。将来、安全安心に微生物が完全コントロールできるようになりますように。

さて、今回は発酵塚の上に栽培床(ベッド)を作っていよいよ栽培開始です。200年以上前のキュウリの促成栽培はどんなものか、お楽しみください。

----------------------------------

【発酵塚の準備】

この時(12月中旬か1月初め頃)あるいは1月20日頃に最高品質の厩糞(馬糞)を十分な量、塚に混ぜ、56日置いて熟成し、それから切り返して2つめの塚の上によく振りかけます。この状態で、2月始めまで置いておくことができます。その頃には栽培床(ベッド)を作る準備が整います。栽培ベッドに便利なサイズは1ライトのボックス(1.2m長のフレーム)となるでしょう。

畜糞がバラバラに乾燥していて焼けるような状態なら、混ぜたり切り返す過程で少量の水を加えることをお薦めします。これは発酵を促進し、適切な日に向け早めに発酵を落ち着かせるでしょう。これは将来の成功をかなり左右します。

いよいよ栽培ベッド作りにとりかかります。周囲をフレームよりも30cmほど幅広くとって、フレームの高さは後ろ1.5m、前1.2mとします。フォークで塚をよく叩き、畜糞がくずれるようなら、12度踏み込みます。

どんな場合も必ず踏み込みを行う人もいれば、全く踏み込まない人もいます。しかし、栽培ベッドを作るときに糞が粗くバラバラな状態だったら1回か2回は踏み込みを行うのが作法といえましょう。踏み込むことによってベッドのどこが傾きそうかかわかりますから。そして、全体が均一に落ち着けば結果的に植物に好影響をもたらします。特に尾根状(高畝?)の栽培ベッドにおいては。もし畜糞が窪めば、植え付ける腐植土層にひびが入るのは避けられません。これは柔らかな根にとっては明らかに障害となります。

塚にある程度の高さがあるなら、アスパラガスの栽培ベッドの項で述べたのと同じ方法で注意して芝を貼ります。

----------------------------------

【フレーム内の準備】

フレームを設置して、その中に最も細い海砂か山砂を敷きます。望ましいのは、前もって砂はライト(フレームのガラス面)下にて15 cm以内の厚さにして完全に乾かしておくことです。この砂層の上に軽い砂質ロームを5 cm厚で敷きます。

----------------------------------

【タネまきとフレームの管理】

それから約15 cm径の植木鉢かトレーに完熟腐葉土*を満たし、タネを撒きます。そして同じ腐葉土で1.25 cm覆土します。鉢かトレーは栽培ベッドの真ん中に一列に鉢の縁まで埋めます。後ろ側に30 cm離して他のを埋めます。ライト(ガラスの蓋)を設置して、夜間は二重のマットでカバーします。

*この腐葉土の準備方法はこの本の別の章で述べられています。

蒔いたタネはネズミに食べられないよう注意しなければいけません。ネズミはこの早春の季節に温床辺りでとてもよく見かけます。タネを撒いた鉢の上にサイズのぴったり合う鉢を被せます。鉢底の穴は敵が侵入しないよう小さな穴のものにします。この被せた鉢は朝に取り外さないといけません。そして発芽して2.5 cmの草丈になるまでは毎夜被せます。この害獣は主に夜間に悪さをするからです。昼は植物はたっぷりの日射を受ける必要があります。

栽培ベッドは24時間内に発酵熱で暖まり始めるでしょう。ライト(ガラス蓋)の後ろ側を2.5 cm程度、前はその半分の1.25 cm持ち上げて少し換気するようにします。立ち上る有害な湿気を排出するためです。日没時毎晩フレームにマットを掛け、天候が良ければ朝8時までかそれより早くにマットをとりはずします。植物が伸び始めたら換気や水やりに注意を払います。

庭師は誰でもこの国では悲観的です。この国ではこの季節、日が短いだけでなく曇って薄暗いからです。それは大陸の人にはほとんどわからないでしょう。植物の健康と活力に日射が必須なのに、厳密に言ってこの国では許されないことなのです。 ガラスだって頻繁に洗って拭き、埃やゴミで日射熱や太陽光線が遮られないように常にきれいにしておかなければいけません。

朝に快適な蒸気が少量発生するなら良い兆候です。しかしこれが多量ではいけません。フレームのカバーを外した後1時間内に消える程度にとどめます。それ以上の量の蒸気は好ましくありません。植木鉢やトレーの底を頻繁に調べてください。発酵熱があまりに強く昇ってきているようなら、若い細根が焼けるのを防ぐため少し持ち上げます。必要とあれば完全に地表に置きます。もし水が必要なら少し水やりします。しかし、それはフレーム内か同様の別の場所であらかじめ数時間汲みおいておかなければいけません(水温を合わせるため)。

温床内の温度計を見て作業することは一般的なやり方ではありませんが、ストーブ(燃焼暖房)などでの作業と同様、確かに望ましいことです。・・・温度計が高価だったのでしょうね。

この季節の変わりやすい天候下では播種床は1521の範囲であれば大丈夫です。温度を見れば、さらにマットを追加してかける必要があるかどうかもわかるでしょう。

----------------------------------

【育苗時の管理】

草丈が約2.5 cmになったら、育苗ポットに植え替える時期です。育苗ポットは径が約10 cm深さも10 cmものにします。種まきしたのと同じ種類の腐植土に植えかえます。ポット内で各苗をできるだけ離して34苗植えます。ごく一般的に行われていますが、指で腐植土に穴を空けたり押してはいけません。代わりに、まず土を苗のサイズに従ってポットの半分か2/3まで満たします。そして、苗の葉が鉢の縁よりも上に来るように、かつ鉢の側面に寄らないように置いて、(ふるいにかけた)腐食土をポットの縁の高さまでゆったりと入れます。そして少量の水で全体を落ち着かせます。再びポットを縁の深さまで埋めます。それには前もって砂の層を作って、播種の時と同様にベッドの表面に砂質ロームを約5 cmの厚さに敷いておかなければなりません。ここで育苗する間、天候の状態に応じて、空気、蒸気、水をきちんと管理します。そして発酵熱で根が焼けていないか、ポットの底を頻繁に調べます。

悪い蒸気がベッド内に充満しているなら、夜間1.25 cm隙間を空けておくことをお薦めします。その上にマットの端を垂らして、空気がそこから抜けるようにします。しかし、マットはベッドのライニングを包み込むほど低く垂らさないようにします。それでは蒸気を逃す代わりに中に留めてしまうからです。日中は、ベッドの中の蒸気や湿気を取り除くために、フレームの前と後ろから適度に空気を入れて換気します。日射熱を利用できる時は、砂の表面などを頻繁にかき混ぜます。そうすることでベッドの内部空気を浄化し、良い効果をもたらします。水やりはほとんど不要です。34日に1回だけでおそらく十分でしょう。 ただし、水やりする時は必ず根の先端に十分な量が届けられるようにしなければなりません。

天候が厳しい時はベッドの1側面か複数の側面を覆うのが良いと思われます。ただし、これにより植物が阻害を受けていないか時間をかけて調べなければいけません。また、植物が突然の熱や急激な熱によって傷害を受けていないかにも注意が必要です。

----------------------------------

【定植の準備】

上記の様な方法で、必要とされる生産量に応じてライトフレーム(ガラス蓋付きのフレーム)の数(123かそれ以上か)が決まります。それに見合う必要量の畜糞を用意しておきます。

そして、各苗が本葉4枚になったら、播種床や育苗床で説明したのと同じ方法で移植用のベッドを作ります。畜糞の状態から発酵熱が強すぎると思われる場合は、先に述べたようにベッド全体に芝を貼ります。しかし、適切に発酵しているなら、各ライトの中央に大きな丸い芝を貼って、その上に植物を置けば、一般に過熱を避けることができるでしょう。しかし、後者の場合(芝の上に植物を置く場合)、芝を貼る前に畜糞の表面は軽い砂かよく量を減らした古い樹皮15 cmの厚さで覆っておきます。それは前もって完全に乾かしておかなければなりません。

フレーム*とライトをセットして、夜間はマットでカバーし、熱を立ち上らせます。穏やかな温度に達したら、猫車3台分の腐植土+(前もって完全に乾燥させて積んでいたもの)をベッドの各ライト幅に合わせて均等に広げます。

フレームは後ろは30インチの深さ、前は15インチの深さに設置すべきです。

+ 3/4は入手可能な最も肥沃な黒ローム(可能なら牧草地からのもの)14は落ち葉の腐食土で、十分な量の厩糞とよく混ぜたものが、私が長年使ってきて成功したものです。

----------------------------------

【定植】

24時間後、ベッドは苗を植え付ける準備が整います。しかし、植え付ける前に、ベッド表面から十分な量の腐植土を集めて、各芝の真ん中か、各ライトの中央に、ガラスまで12.515 cm以内の距離となる丘を作ります。厚さ37.5 cmで、頂部は2530 cmの幅になるはずです。

ポットの土塊を受け入れる穴をつくります。土塊はポットから注意して取り出し、この丘の表面の高さに合わせて植え付け、全体に少量の空気を含んだ水で落ち着かせます。植え付け時、植物の地上部はキュウリの種類によりますが、多かれ少なかれ約7.5 cmの径に広がっています。もっと伸びている種類もあります。

こうすれば、熱、蒸気、換気、かん水はすでに示したやり方で、ハウス内の環境状況と実ができ始めるまでの植物の活力に応じて調整できるでしょう。ここではそれ以上言いませんが、キュウリの剪定や摘果について検討したのち、この話題に戻りましょう。

----------------------------------

【栽培管理:摘芯】

植物が本葉を形成したら、芯芽を摘み取ることが絶対に必要と考える人もいますが、 私はそうは思いません。なぜなら、私が繰り返し行ってきた詳細な観察と公平な試験結果から、芽を摘むか摘まないかは結果的に変わりはないと断言します。4本目のランナーかつるを出し始めるまで摘み取りも摘芯も考えません。また(あまりにつるが少なすぎてフレームの側面で茂っていないというのでなければ)キュウリの実の着果を確認するまで摘芯は考えなくてよいのです。実をつけてたらこれらのつるを切り落とす時です。ただし、6節の長さに達しにくい場合もあるかもしれません。そこで繁殖力のあるつるを作るために切り落とします。植物が健康なら繁殖力のあるつるを作るのにほとんど失敗しないでしょう。

----------------------------------

【栽培管理:受粉・収穫】

もし雄花の量が極端に多いなら、その一部を指*で優しくこすり取ります。通常の数だけしか花が咲いていないならこれは賛成できません。自然にやさしく空気を入れます。しかし、それができない場所で無理に受粉したり受粉の邪魔をしたりしてはいけません。雌花が十分に成長したら、最も強く健康な雄花を選んで丁寧に受粉するようにします。それが実の成熟を促進します。ここで注意していただきたいのは、実や雌花が雄花と受粉していないと、実が大きくなって食卓にぴったりのサイズになっても、タネは熟さないということです。雄花の花粉が虫などによって運ばれたり、フレームを通過する風によって受粉するのはよくあることですが、人の手で受粉の些細な手間をかける方がより確実な方法です。果実がきれいな形に実っていれば繁殖用のタネができているという目印になります。

メロンやキュウリの強くて古いつるの剪定以外はナイフを使うべきではないとここでわかるでしょう。健全な状態のキュウリの葉ほど脆いものはないので、必ず細心の注意を払って丁寧に取り扱う必要があります。

受粉した実は膨らみ、収穫が早まります。そのやり方はこうです。強くて健康そうな雄花を選びます。茎を摘み取ります。花びらやがくを取り除き、雄しべと葯だけを丁寧に残します。指の間にそれをはさみ、葯を雌花の懐に入れます。それは新しい実のような形をしているので容易に識別できます。そして指ではさんでいる茎をねじると、雄花の花粉が擦り落とされて、雌花の結実器官である柱頭に付着します。

植物に問題がなければ、ベッドの発酵熱が消失する前に順調に成長するでしょう。2月半ば頃にベッドが作られたとするなら、一般に最初に着果した数個がその時までに確実に収穫できます。23日か24日頃に植えられて、天候に恵まれたなら3月中下旬までに収穫に適した株になっているはずです。(これは蒔かれたキュウリの品種に大きく左右されます。現在、キュウリの種類は非常に多く、ほとんどの園芸家が自分のお気に入りの品種を持っているため、どの品種が良いかを私が述べるのはおこがましいかもしれません。特に、多くの知られた品種が同等の能力を持っています。)

----------------------------------

【栽培管理:発酵の継続】

この時までに発酵熱がかなり減衰している場合は、後面と両端の面をライニングする準備をします(発酵材を新たに上塗り追加すること)。少し発酵させた新しい厩糞を一定量、ベッドの古い面や端面と混ぜる作業をします。アスパラガスのベッドで示した方法と同様、まずその面を切り落として、それが落ち着くように作り上げます。その後、芝か腐葉土でカバーします。植物が成長するにつれてガラス面に接触しないように、適時、レンガやタイルでフレームを持ち上げる必要があります。

また、根を広く生長させるために、この時までに、丘を拡張する必要があるでしょう。そこで、ベッドの表面を、パイナップルの鉢などを埋めるのに使う小さなハンドフォーク(熊手)で砂や樹皮面の深さまでかき上げます。そして、もし熱で根が焼けていたならば(根が障害を受けるような経験を私は2度したことがあります。)、そこを腐植土で置き換えます。フォークで根が現れるまで慎重に丘(hill)の側面を崩し、必要なら少量の水を注ぎます。そのあと、表面を丘の高さまで最初*の時と同質の新鮮な腐植土で盛り上げます。しかし、この作業はライニングする数日前に行うか、ライニングした数日後に延期するかしなければいけません。ベッドが内も外も同時に冷えている時には植物はチェックを受けることができませんから。

* 私はここでベッド全部を直ちに土で満たすよう指示してきました。もし促成を上記のお勧めする時よりも早く始めていなければ、それで十分満足がいくでしょう。しかし、もし促成をそれよりひと月か6週間早く始めたいなら、より強力な発酵熱のベッドとより多くのライニングが必要になるので、一気にベッド全体を盛り上げるのは軽率な行為となり、結果的に根焼けの危険を増すことになります。

----------------------------------

【栽培管理:かん水】

植物は今や活発に成長するでしょう。そして実をたくさん成らせるでしょう。季節が進むにつれて実の品質が向上するように、毎日すぐに新鮮な空気で十分換気しなければなりません。晴れて穏やかな天気の5月が来たら、ガラスは日中完全に取り外すことができます。ジョーロの散水口から大量の水を頻繁に与えます。季節が進むにつれ、花を暖める効果があります。かん水をキュウリ以上に多く必要とする植物は他にほとんどありません。 そしてかん水が差し控えられれば、優秀な観察者はキュウリの木が不満であることにすぐに気づくでしょう。

水やりの最も適切な時間は朝8時頃か夕方4時頃です。季節に応じて1時間早くしたり遅くしたりします。可能なら、植物が育っている気温と常に同じ水温にすべきです。そうすれば、成長は停滞せず、水分や栄養の調達者である柔らかな根毛に不要な努力をさせません。同様の理由で、一度に極端に多量の水も与えるべきではありません。

----------------------------------

【栽培管理:間引き・誘引】

ツルや葉は適度に間引きして、順番通りにすべて規則的にレイアウトし、お互いが交差しないように管理します。 また、 枯れた葉や腐った葉が見られたら取り除くよう注意してください。それは植物にとっては、動物が閉じ込められて腐敗した空気を呼吸するような不快なものです。そのほか、キュウリを一度にたくさん剪定するのも避けなければいけません。切り口からの多くの樹液が流出してしまい、植物は枯渇してしまいます。

----------------------------------

【ライニング(発酵材の追加上塗り)】

4月初旬か中旬頃、ベッドの正面をライニングする必要があるかもしれません。正面は後ろや両端面と同じ方法でライニングします。しかし、後面や両端面と同じ頻度で正面のライニングを更新する必要はまったくありません。正面のライニングは優しい熱(日射熱)を受け与えてくれます。それは4月じゅう続きます。 結局、底熱はほとんど正面に影響しません。

キュウリの後継株用のベッドは3月と4月に建設できます。上記と同様に栽培します。季節が進むにつれ、ベッド(の発酵熱)を少し軽めにします。

私は燃焼ピットにおけるメロンの誘引柵(水平な横木と支柱からなる柵)について取り扱うつもりですが、それはメロンの栽培を述べる時にいたしましょう。キュウリとメロン、2つの植物の栽培は非常によく似ています。 ここでは、同じ腐植土を使ってもキュウリはメロンよりも多くの空気と水を与える必要があることを述べるだけに留めておきましょう。

----------------------------------

ハンドガラスやベルガラス

ハンドガラスやベルガラス下でのキュウリの栽培は、促成栽培の一種ではありますが、一般にとてもよく理解されており、改善の余地はありません。上記と同じ品質の腐植土に植え、暑い季節には十分な量の水を与え、秋はできるだけ冷気と湿気を避けるべきで、それ以上さらに述べて時間を無駄にする必要はないでしょう。

----------------------------------

【害虫

私はキュウリを観察してきて、キュウリに寄生する昆虫はアブラムシ以外ほとんどいなかったと結論付けます。・・・当時がうらやましい限りですアブラムシは、ほとんどすべての庭師によく知られているタバコの燻蒸によって、いかなる状態またはいかなる状況においても素早く駆除されます。 

----------------------------------

2021年10月24日日曜日

キュウリの促成栽培 in 19世紀(前半)

 秋も深まりだいぶ涼しくなりましたので、そろそろ促成栽培の記事にもどります。

著名な造園家であるWALTER NICOL氏の書「THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.(促成、果実とキッチンガーデナー)(1802年)に、キュウリの促成栽培が詳しく書かれています。

日本でも江戸時代から明治・大正(20世紀初頭)にかけて、当時の日本に合うように工夫したキュウリの促成栽培方法が書き残されています(多分、江戸時代より伝わる技術と西洋の情報を融合し実践したもの)。本書は、それより100年前の、原初的な促成栽培の基といった趣です。

現代にアレンジするなら、明治・大正の実情に特化した方法よりもこちらの方がむしろ自由な発想につながりやすいかもしれません。

--------------------------------------------------

1書・第2章 キュウリ


特にロンドン辺りでは、ガーデナーたちはこぞってキュウリの早出し生産に取り組んでいます。すなわち、1月か2月にキュウリを供給することを目的として、さまざまなことを試みています。

この目的のため、英国の各所で多くの方法が実践されてきました。なかには成功している方法も1,2例あります。しかし、それらの方法には問題があったり費用がかかりすぎたり、一般にこの目的を達成する上で満足のいくものではありません。


畜糞を発酵材料とした発熱温床でキュウリやメロンを促成する旧来の方法に反対する意見があります。その理由は、この種の植物(キュウリやメロンといったウリ科)は発酵熱といった制御が難しい荒々しい熱で焼けやすいこと、栽培ベッドに達する発酵蒸気で植物が青白くなるためとされています。

---これらの反対意見はもっともなことで、一般にあまりによく目にするところでもあります。

しかし、長年キュウリとメロンの促成栽培を行なってきた私は、幸いなことに、この荒々しい熱や発酵蒸気で障害を受けたることが一度もありません。 以下で説明する私の実践方法は、迷い少なく、最小の費用で、世間的に見ておそらく最も生産的な方法であることをわかっていただけると思います。


残念ながらMacPhial氏の方法は彼自身の要求に応えられませんでしたが、それを残念に思うガーデナーは多くないと思います。(問題の対象はさておき)明らかに、それは、一般的かつ必要な肥料資源(畜糞)を大幅に使ってしまうやり方で、キッチンガーデンを消耗させてしまう傾向があるからです。


前年の古い栽培ベッドに新らたにライニングを施す(畜糞を上掛けする)方法もキュウリの促成栽培に試されましたが、これもうまくはいきませんでした。古い糞は新しい畜糞よりも有害な湿気を多く含んでいることが原因でした。栽培ベッドに残っている古い畜糞からの湿気によってライニングの発酵熱が頻繁に奪われるのは実に厄介なことでした。同じ原因、すなわち多すぎる熱と蒸気が、前者と同様に、この方法でも生じたのです。


キュウリとメロンの晩成栽培なら燃焼暖房のピットで栽培可能かもしれませんが、促成栽培の場合は畜糞発酵の温床の方がずっとうまく栽培できることを私は見てきました。この原因は明らかに、メロンやキュウリは穏やかで湿気のある熱を好み、乾燥しがちな燃焼暖房には弱いからです。しかし、乾燥しがちな燃焼暖房は余計な湿気を乾かし、遅着きの晩生の実の成熟を早めるので、晩秋には効果的なのです。


皮なめし業者のバークがたくさんあるが、価値の高い畜糞が不足している地域では、メロンやキュウリは外側を糞や寝藁で固めたバークの栽培ベッドでうまく栽培することができます。もしくは 煉瓦や石、木枠を当てて芝を貼るなどして壁を造ってやればうまく栽培できます。

ただし、潰瘍病を伝染させないないよう、どの生育段階でも植物の根がバークに触れないよう注意しなければなりません。


温床を掘り下げる、あるいは部分的に掘り下げることもできます。これは一般に、通常の温床とほとんど違いはありません。

私は掘り下げを否定するものではありません。その掘り下げは適切にできていれば、かなり整然とした庭の区画ができるからです。しかし、優先順位を間違えてはいけません。もしその場所が自然と湿っていて完全に乾かすように注意が払われていないなら、庭師の掘り下げた手間は間違いなく徒労に終わるでしょう。


キュウリの播種床は12月中旬か1月初め頃に準備するのが通例です。私は1月初めに準備するのが好きですが、ほとんどは2月始めに準備されます。自分で試したり他の人の方法もよく見てきましたが、早すぎる時期に作った播種床はその後のシーズン中ずっと何の目的もなく残されたフレームよりもトラブルが多く、当惑することになります。

経験上、2月の初め頃に種まきした植物はどの時期に播種したものよりも生育がよく、果実も早く収穫できます。


キュウリやメロンの苗をパイナップル温室、乾燥暖房室、早期促成栽培用温室等で育て、温床に移植する人もいます。しかし、温室で育てられた苗は、専用に準備された播種床で育てられた苗と同じでないことをお知らせしなければなりません。温室では温室本来の作物が優先されますが、播種床はそれ専用だからです。さらに温室とでは気候の違いが大きいのです。


キュウリは早い時期にパイナップル温室に置かれたボックス植えでうまく育つことがあります。しかし、パイナップル温室の燃焼ストーブの熱はキュウリに合うように調整できるものではありませんから、ほど良く換気された環境にして、肥沃な軽いコンポストでボックスを満たし、かん水で十分に元気づけるようにするべきで、それ以上のことをここでことさら多く述べる必要はないでしょう。

なお、一般的なことを話していることをご理解いただきたい。例外も多くあります。植物についても同様です。


このことを十分な前提として、2月始めにタネまきした(あるいは播種予定の)苗を想定して畜糞の温床でのキュウリ栽培の作業にとりかかります。

------------------------

と、キュウリの促成栽培の具体的な温床での作業へと解説は続きます。


18世紀のガーデニング:『誰もが庭師に』序文

フランス革命(1789年)の頃、1782年ロンドンで出版された園芸書です。なんだか期待をもたせる序文です。 当時最先端のきわめて実践的な栽培法が園芸暦として解説されているそうなので読んでみたくなりました。 なお、温暖化の影響が顕著でなかった19世紀の園芸書はどれも、暑さ対策はせい...