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2025年10月19日日曜日

19世紀末の園芸施設:40. 様々な暖房方法 III-4 低圧(常圧)温水暖房 −循環を確実にするための水柱圧力と蒸発容器−

はるか昔、大学で水理学を受講したはずなのに、ここで解説されている温水循環に必要な水柱の計算式の根拠がさっぱり思い出せません。しかも華氏とフィート・インチ単位だし。。。😅😅

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

様々な暖房方法 Ⅲ 

低圧(常圧)温水暖房


循環を確実にするための水柱圧力等について

温水パイプ内の温度を低下させず維持するには、温水が一定の速度で循環、つまり動いている必要があります。

この動きは、既に説明したように、一方の水柱(ボイラーと接続した流入管内の水)がもう一方の水柱(ボイラーと接続した戻り管内の水)よりも軽くなることによって生じます。

この2つの水柱の重さ(密度)の違いがこの動きを生み出す水頭(圧力)差です。

そのため、様々な条件下で常に熱を供給するために必要な流れを生み出すのに必要最低限の圧力差を把握することが非常に重要です。

(「熱」の項から抜粋した)以下の表が役立ちます。

表XXIIIは、長さ100フィート、外径4インチのパイプが60 °F(16 °C)の空気にさらされた場合に熱循環に必要な最小の流速をパイプの水温別に示しています。

表XXIVから、プロニーの式を用いて流速から水頭差を推定できます。


表XXIII. — 熱循環に必要な温水の流速

表XXVは、異なる温度におけるそれぞれの水柱の高さを示しています。212 °F(100 °C)での水頭差は12インチです。

これらの表を使用するには行きの水温を求めます。戻りの水温は210°F(99 °C)になります。必要な流速については、表XXIIIの3列目を参照してください。

4インチ径のパイプの長さが100フィートでない場合は、パイプの長さに比例して流速を求め、増減します。

次に、表XXIVで、与えられた流速に対応する2列目の数値を読み取ります。これにインチ単位のパイプの長さを掛け、インチ単位のパイプの直径(4インチ)で割ると、必要な水頭(インチ)が得られます。

水頭(圧力を生み出す水柱の垂直の高さ)がわかったら、表XXVの行きの水温に対応する3列目の数値で割ります。その結果が、熱の循環に必要な水頭の最小高さとなります。

長さ 500 フィート、直径 4 インチのパイプで必要な水頭の最小高さを見つけたいとします。このとき、ボイラーから出る水は 210 °F で、ボイラーに戻る水は 190 °F とします。


表XXIV.—パイプ内の水の摩擦


表XXIIIから、100フィートの長さのパイプに必要な流速は'0817(インチ/秒)であり、これに5を掛けると(100フィートと500フィートの比率)、'4085(インチ/秒)となり、これは4インチをわずかに上回る値です。

したがって、表XXIVの2列目を'00119(インチ/秒)と見なし、これに長さを掛け、直径(インチ)で割ると、('00119 x 6000)/4インチ = 1785の水頭となります。

この揚程を表XXVの行きの水温に対応する3列目の数値で割ると、1フィート785インチ/092インチ=19'5となり、必要な柱の高さは19フィート5インチとなります。

パイプの長さは同じ、すなわち500フィート(約150メートル)とし、行きの水温を210 °F、戻りの水温を190 °F ではなく150 °F とした場合は以下のようになります。

100フィート4インチ径のパイプにおける速度は、'0224(インチ/秒) × 5(500フィートなので5倍する)='112インチとなります。

表XXIVによれば、'0001572インチに長さを掛け、直径(インチ)で割ると、水頭は

('0001572 x 6000)/4 = '2358インチとなり、

こ​​れを表XXVに示されている数値'254で割ると、水頭は0.773フィート、つまり1フィート未満となります。

 

表XXV. 異なる温度における水柱の高さ


したがって、長さ 500 フィートの 4 インチ径のパイプにおいて、水が 210 °F で送り出され、190 °F で戻る場合、最低点の流入口からパイプの上部までの上昇の合計は最低 19フィート5インチ 必要であることがわかります。;一方、同じ長さのパイプで、水が 210 °F で送り出され、150 °F で戻る場合の上昇はわずか 1フィート 0インチ で済みます。

このように、行きと戻りの水​​温差が大きいほど、ボイラーからパイプ上部までの間に必要な温度上昇は小さくなり、加熱ができるパイプ長さは長くなります。

また、水柱の鉛直高さ(水頭差)が高いほど、パイプを長くすることができ、水の循環も容易になります。

これら2つの点を合わせると、行きと戻りの水​​温度差が大きく、水柱が高いほど、全体の循環が容易になり、ボイラーでの必要な燃焼量とそれに伴う燃料の無駄な使いが減り、より大きな放熱面積で加熱できることがわかります。

これまでの計算はすべて4インチ径のパイプについてでした。径が2インチや3インチのパイプでは計算が異なりますが、園芸施設では2〜3インチのパイプは放熱用に使用されることはほとんどないため、ここでは説明しません。

パイプに狭窄部や曲がりがあるとそこで摩擦損失が発生するため、できるだけ避けるべきです。

実現可能なら、循環を促進し摩擦損失を減らすために、放熱パイプは9フィートに付き1/2インチの傾きをつけるべきでしょう。

しかし、多くの場合、パイプをこの傾きにすることは不可能であり、場合によっては完全な水平にせざるをえないことがあります。

これは残念なことですが、流れはそれほど速くないものの、それでも熱を回復させ循環を生じさせるのは十分です。

この場合、ボイラーを設置する深さに大きく左右されます。


蒸発容器

温水パイプ内の水分の蒸発速度は、大気中に存在する水分量、露出面、蒸発させる水の温度、そして周囲の空気が静止しているか動いているかによって決まります。

したがって、大容量のタンクを用意するよりも、パイプ上に蒸発容器を設けてそこに少量の水を入れる方が有利であることは明らかです。

後者(蒸発容器)の方が、タンクよりも蒸発をうまくコントロールできます。

このような蒸発容器は、放熱パイプに鋳込んで作った垂直フランジ、またはパイプにフィットするように底部が凹面になっている亜鉛製の容器が利用できます。(「促成栽培ベッド」および「湿度計」の項を参照のこと。)

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