ガーデンウォールやエスパリエのレールができたら、次の作業は、壁栽培やエスパリエの果樹を植える土壌となるボーダーの造成です。
ボーダーの幅、深さ、土壌構成について以下よりメモ。
60 cm 四方の穴を掘るだけでさえ、人力では、ひ弱な現代人には重労働です。現代に以下のボーダーを忠実に再現しようとなると、重機を使ったプロにお任せしかないでしょう。
労力も財力もない場合は、遮根シートや大型ポットなどの現代資材で工夫してミニサイズのボーダーもどきを作るのが関の山?その場合でも、本書のエッセンスには参考になることがあると思います。
--------------------
THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.
「促成栽培、果樹園芸およびキッチンガーデン」
WALTER NICOL 著 第3版、1802年
BOOK II:壁栽培と果樹園の果樹
SECTION II:アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジク、ナシ、プラムのさまざまなボーダーの幅、深さ、構成について
庭のレイアウトルールに従えば、壁が高いほどボーダー幅を広くしなければなりません。ボーダーに沿う歩道の幅はボーダー幅の半分にします。 私の意見では、壁の高さを 3.6 m 未満にすることはめったにありません。(約40年後のミセス・ラウドンは「 3 m以上は高すぎ!」と書いています。) しかし、壁の高さが 3.6 m 未満でもボーダー幅を極端に狭くしてはいけません。必要最低限の幅を確保します。(壁栽培の場合のボーダー幅は3.6 mを確保し(?)、壁が高ければボーダー幅もさらに広くするということ。) エスパリエの場合、3.6 m が中程度の幅です。
アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジク用のボーダーの深さは 60〜90 cm にすべきです。壁部で深さ 90 cm 、歩道部で深さ 60 cm にする必要があります。梨とプラムの場合は壁部で120 cm、歩道部で 90 cm にします。(イギリスの本なので、残念ながら、柑橘類についての解説はありません。)
土壌が湿っていて、かつ底部が砂利や粘土の場合は、庭にとって適切とは程遠い状況です。過湿を解消するために、ボーダーの正面に沿って底の深さまでの排水溝を走らせる必要があります。 そして果樹に向いた栽培ベッドを作らなければなりません。 そのための最も一般的な方法は底部を石やレンガで舗装することですが、莫大な費用がかかります。 しかも、底が排水によって前もって完全に乾燥していないと、それはほとんど役に立ちません。 したがって、排水は慎重に行ってください。
底を作る際には次の方法を実践してください。これはどんな舗装よりも好ましいことがわかっており、しかも、はるかに安価です。
底を壁から排水溝まで傾斜させて、15 cm の落差をつけます。 まず、滑らかに延びるタイプの良質のロームを 5 cm 敷き、ローラーをかけます。 次に、同じ量のきれいなピットまたは川の砂利を置き、ローラーをかけて落ち着かせます。 この上に、またロームを 2.5 cm の層に敷き、同様にローラーをかけます。 これらの作業はすべて、材料がかなり乾燥した状態で行う必要がありますが、最後は全体を少し湿らせて、表面に艶が出るまでローラーをかけます。その後、水かけとローラーによる転圧を交互に繰り返して、固く締固まった状態を作り、砂利がローム中にしっかりと埋め込まれた状態を作ります。
こうして、レンガや石の舗装よりもはるかに少ない費用で、より自然で優しい性質の根が侵入しない底が形成されます。(現代なら、暗渠パイプと遮根シート利用???)
アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジクに最も適した栽培ベッドの土壌組成は、軽い砂壌土3/4と強い粘土質ローム1/4です。これに、堆肥として適量の厩糞、牛糞、泥灰土(marl) を混ぜます。アプリコットとイチジクはリンゴやサクランボよりもかなり多くの動物性堆肥を必要とします。 梨とプラムの場合は、強い粘土質ローム3/4、軽い砂壌土1/4を堆肥とよく混ぜます。
しかし、私はこういった組成だけが果樹のボーダー用であるとは決して思いません。 樹木はさまざまな土壌でよく育ち、実を結んでいます。ただし、上記の材料を調達できる場合は、この組成、幅、深さにほぼ合わせることをお勧めします。
果樹のボーダーを本方法で作った場合には、さまざまな種類の木を分類する必要があります。 つまり、梨やプラム、そしてリンゴ、サクランボなどを同種だけでまとめることです。 同種でまとめれば、 ボーダーを準備する前に、植えることができる本数とスペースを決定するだけです。
堆肥は植える前に適切に準備する必要があります。植える前に、2、3回、溝を掘って堆肥を入れ、よく混ぜておきます。 そして、腐植土の状態を維持するために、完熟した少量の糞や他の肥やしを季節ごとに混ぜ入れます。 この作業で木の根を傷つけないように注意してください。