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2021年8月29日日曜日

壁栽培やエスパリエ向きの果樹

 THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.

「促成栽培、果樹園芸およびキッチンガーデン」

WALTER NICOL 氏の本(1802年)でとりあげられている壁栽培向きの果樹は、

リンゴ

アプリコット

オウトウ

イチジク

洋ナシ

プラム

このうちリンゴ、オウトウ、洋ナシは高温を嫌うため北向きの壁で栽培できる品種もあげられています。

ここにはありませんが、ミセス・ラウドン(1840年)ではモモ、ネクタリンが、イギリスでは南壁での栽培が必須な果樹として登場しています。


エスパリエ向きの果樹として、

リンゴ

オウトウ

洋ナシ

プラム


ブドウの垣根仕立てはエスパリエそのものと思うのですが、ブドウは本書では温室栽培の果樹の扱いで、壁栽培やエスパリエ向きの果樹として挙げられておらず、温室栽培の章で詳しく解説されています。


これら果樹の植え付け間隔は次のように記載されています。

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高さ3.6mの壁の場合:リンゴは6m間隔で配置します。 アプリコットは9m、 オウトウは6m、イチジクは3.6m、梨は9m、プラムは6m離します。 高さ4.5mの壁の場合、リンゴは4.5m、アプリコットは7.2m、オウトウは4.5m、イチジクは3m、梨は7.2m、プラムは4.5m離します。 同様に、3〜5.4mの高さの壁でも同じ比率で配置します。

エスパリエの場合、リンゴは9m、オウトウは6m、洋ナシは9m、プラムは6m離します。 しかし、これらは壁と違ってレールの両側を使えば、2倍の本数を植えられるので、同品種2本を一緒に配置すべきです。これにより、2本のうち1本を間引いても、必ずどの品種も残せることになります。

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我が家は九州の暖地、しかも極小の庭なので、どれも植えられそうにありません。小型の柑橘果樹や低木のベリー類でエスパリエもどきができたらいいなと思います。

16世紀の有名な園芸書“Gardners Labyrinth”の挿絵。19世紀の壮大な庭園に比べたら16世紀の庭は素朴にも感じられます。これは庭のごく一部分を描いたもの。壁やあずまやでの立体栽培も描かれていて、壁栽培やエスパリエに近いものを感じます。(我が家の極小の庭は全部でこの絵の広さくらいです。こんな雰囲気にできたらいいな。)

2021年8月15日日曜日

果樹用ボーダーの幅、深さ、構成

 ガーデンウォールやエスパリエのレールができたら、次の作業は、壁栽培やエスパリエの果樹を植える土壌となるボーダーの造成です。

ボーダーの幅、深さ、土壌構成について以下よりメモ。

60 cm 四方の穴を掘るだけでさえ、人力では、ひ弱な現代人には重労働です。現代に以下のボーダーを忠実に再現しようとなると、重機を使ったプロにお任せしかないでしょう。

労力も財力もない場合は、遮根シートや大型ポットなどの現代資材で工夫してミニサイズのボーダーもどきを作るのが関の山?その場合でも、本書のエッセンスには参考になることがあると思います。

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THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.

「促成栽培、果樹園芸およびキッチンガーデン」

WALTER NICOL 著 第3版、1802

BOOK II:壁栽培と果樹園の果樹

SECTION II:アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジク、ナシ、プラムのさまざまなボーダーの幅、深さ、構成について



庭のレイアウトルールに従えば、壁が高いほどボーダー幅を広くしなければなりません。ボーダーに沿う歩道の幅はボーダー幅の半分にします。 私の意見では、壁の高さを 3.6 m 未満にすることはめったにありません。(約40年後のミセス・ラウドンは「 3 m以上は高すぎ!」と書いています。) しかし、壁の高さが 3.6 m 未満でもボーダー幅を極端に狭くしてはいけません。必要最低限の幅を確保します。(壁栽培の場合のボーダー幅は3.6 mを確保し(?)、壁が高ければボーダー幅もさらに広くするということ。 エスパリエの場合、3.6 m が中程度の幅です。


アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジク用のボーダーの深さは 60〜90 cm にすべきです。壁部で深さ 90 cm 、歩道部で深さ 60 cm にする必要があります。梨とプラムの場合は壁部で120 cm、歩道部で 90 cm にします。(イギリスの本なので、残念ながら、柑橘類についての解説はありません。)


土壌が湿っていて、かつ底部が砂利や粘土の場合は、庭にとって適切とは程遠い状況です。過湿を解消するために、ボーダーの正面に沿って底の深さまでの排水溝を走らせる必要があります。 そして果樹に向いた栽培ベッドを作らなければなりません。 そのための最も一般的な方法は底部を石やレンガで舗装することですが、莫大な費用がかかります。 しかも、底が排水によって前もって完全に乾燥していないと、それはほとんど役に立ちません。 したがって、排水は慎重に行ってください。 


底を作る際には次の方法を実践してください。これはどんな舗装よりも好ましいことがわかっており、しかも、はるかに安価です。


底を壁から排水溝まで傾斜させて、15 cm の落差をつけます。 まず、滑らかに延びるタイプの良質のロームを 5 cm 敷き、ローラーをかけます。 次に、同じ量のきれいなピットまたは川の砂利を置き、ローラーをかけて落ち着かせます。 この上に、またロームを 2.5 cm の層に敷き、同様にローラーをかけます。 これらの作業はすべて、材料がかなり乾燥した状態で行う必要がありますが、最後は全体を少し湿らせて、表面に艶が出るまでローラーをかけます。その後、水かけとローラーによる転圧を交互に繰り返して、固く締固まった状態を作り、砂利がローム中にしっかりと埋め込まれた状態を作ります。

こうして、レンガや石の舗装よりもはるかに少ない費用で、より自然で優しい性質の根が侵入しない底が形成されます。(現代なら、暗渠パイプと遮根シート利用???)


アプリコット、リンゴ、サクランボ、イチジクに最も適した栽培ベッドの土壌組成は、軽い砂壌土3/4と強い粘土質ローム1/4です。これに、堆肥として適量の厩糞、牛糞、泥灰土(marl) を混ぜます。アプリコットとイチジクはリンゴやサクランボよりもかなり多くの動物性堆肥を必要とします。 梨とプラムの場合は、強い粘土質ローム3/4、軽い砂壌土1/4を堆肥とよく混ぜます。


しかし、私はこういった組成だけが果樹のボーダー用であるとは決して思いません。 樹木はさまざまな土壌でよく育ち、実を結んでいます。ただし、上記の材料を調達できる場合は、この組成、幅、深さにほぼ合わせることをお勧めします。


果樹のボーダーを本方法で作った場合には、さまざまな種類の木を分類する必要があります。 つまり、梨やプラム、そしてリンゴ、サクランボなどを同種だけでまとめることです。  同種でまとめれば、 ボーダーを準備する前に、植えることができる本数とスペースを決定するだけです。


堆肥は植える前に適切に準備する必要があります。植える前に、2、3回、溝を掘って堆肥を入れ、よく混ぜておきます。 そして、腐植土の状態を維持するために、完熟した少量の糞や他の肥やしを季節ごとに混ぜ入れます。 この作業で木の根を傷つけないように注意してください。

2021年8月9日月曜日

図解 ガーデンウォールの断面図

 ガーデンウォールの構造と環境(続き)

細部と地下について、図にしてみました。

THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.「促成栽培、果樹園芸およびキッチンガーデン」 WALTER NICOL 著 第3版、1802年 BOOK II より


1840年の「レディのためのガーデニング入門」(Mrs. Loudon著)のガーデンウォールの説明から図にしてみたものも右に書き添え。

私の勘違いや理解不足があったらごめんなさい。






2021年8月8日日曜日

ガーデンウォールの構造と環境(続き)

ガーデンウォールの構造と環境の続きです。

細部と地下について。

THE FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER.「促成栽培、果樹園芸およびキッチンガーデン」

WALTER NICOL 著 第3版、1802

BOOK II より

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最も見栄えが良く、最も役立つ笠石の作り方は、壁の両側で2インチの厚さまで石を斜めにし、できるだけ突き出します。 一般的に行われているように、下に溝を付けます。

庭に最も適したガーデンウォールの高さ、そして、一般に果樹の樹液の脈動に適した壁の高さは 3 m です。 しかし、変化幅を調べると、壁の高さは庭の広さ、またはむしろ見かけ上の広さに対応する必要があります。 ただし、最小値を 3 m と最大値を 5.4 m としたいと思います。 ここでは、地表面からの高さについて述べています。 0.9 m 未満のガーデンウォールは建てるべきではないことに注意してください。ほとんどの種類の木は 90 cm の土の深さを必要とします。

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と、ガーデンウォールについてはここまでしか書かれていませんが、38年後のミセス・ラウドンのガーデニング入門では、・・・

笠石/笠木は支えを付けて壁から30 cmも突き出す、と突き出しが大きくなっています。

この笠石/笠木の下にフックを列状に付けて、カーテンを吊るし、花を守る方法が紹介されています。

「果樹を植えるボーダーの土の深さは 90 cm 」という簡単な記述から、「(表土層は)45 cm の深さとし、根がその地表面近くにとどまるように」注意しなければならないと、浅くなる方向に変化しています。

根が壁の裏側にアーチとなって広がらないように、壁は丈夫で深い基礎の上に設けること。

下層へ根がのびないように、表層土の底は排水の効いた石層やアスファルトなどにすることで、下層への根の伸びを遮断するように。

と解説がより具体的になっています。


ガーデンウォールとそこでの壁栽培の果樹に目を奪われますが、その地下も工夫されていることを私は初めて知った次第です。理解不足もありますが、後で図にしておこうと思います。


2021年7月31日土曜日

図解 ガーデンウォール

WALTER NICOL 著「FORCING, FRUIT, AND KITCHEN GARDENER」(1802年)の

  BOOK II壁栽培と果樹園の果樹

    第1章 第1節のガーデンウォールの解説を絵にしてみました。

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ガーデンウォールは樹高 30 m の樹林地の中に作られました。

樹林と壁の間は 90 m 離されています。近いと樹林が作る日陰に入っちゃいますから。そこに、低木類と歩道とボーダーが配置されます。

南向きのレンガ製のガーデンウォールで果樹を壁栽培するという趣向です。

ガーデンウォールの高さは3〜3.6 mと書かれています。1, 2 世代後のミセス・ラウドンは3 m以上は高すぎ2.4 m が適当と書いています。中産階級、庶民へと普及するにつれて土地も狭くなり、高い壁では内部の菜園に大きな日陰を作ってしまうようになったから、だと思います。



[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:かすかに秋の気配

 9月に入っても35℃超え、最低気温も27℃と暑いです。 ただ、熱湯の中にいるような空気感は、日陰で風があれば、やわらいできたような。。。いや、単に、自分が暑さに順化しただけかも(笑) 夕方なら草刈りする気力が、ようやく戻ってまいりました。暑さで弱っている雑草は比較的抜きやすいで...