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2023年10月29日日曜日

19世紀流栽培 ターニップ(カブ):ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

ターニップは和・洋・中いずれでも、煮てよし、蒸してよし、漬けてよし、ローストしてよし、の料理のしがいがある野菜ですね。本書では3月から8月初めまでがタネまきシーズンとありますが、今では品種改良が進んで年中栽培できるのかも(冬は保温が必要でしょうが)。

「発芽毎、ターニップのタネをまく」

第4章 キッチンガーデンの野菜の栽培 
第25節 ターニップ(カブ)

菜園の軽い土壌は、一般にターニップの栽培に最適ですが、十分に肥料を与えておく必要があります。ターニップ用の肥料としては単一種類の堆肥よりも混合した堆肥の方が好ましいです。

いずれの場合でも、灰、すす、鳩の糞はどんな種類のものであっても避けるべきです。

粘性の強いロームでは、過湿でなく、掘ったり、溝を切ったり、休耕したりするなどの作業で十分に土塊が砕かれていれば、この野菜をたっぷりと生産してくれます。

3 月 始めのタネ蒔きは十分に早いといえます。これより早くタネを蒔いても収穫までいくことはめったにありません。 それらは通常、苗になっても、くさってしまいます。 促成用のボーダーに蒔いたものは、いくつかは育てることができますが、あまり当てにできません。 どの栽培シーズンでも、開けた露地が最高の環境です。

連続してタネを蒔くには、直近に播種したタネが地上に発芽したらすぐに次のタネを蒔くようにしてください。 これを8月初めまで繰り返します。

品種「アーリーホワイトダッチ」は通常、夏収穫用に播種し、品種「イエロー」*は冬収穫用として自家消費や市場出荷のために播種されています。

一般に農地では、広くバラ蒔きで播種し、土壌の質に応じて株同志の間隔が9インチ(22.5 cm)から15インチ(37.5 cm)になるよう間引きます。

しかし、家庭菜園では、条間12 ~ 24 インチ(30~60 cm)のスジ蒔きとし、株間6 ~ 8 インチ(15~20 cm)で1列に並ぶようにする方法が選ばれることもよくあります。

いずれの場合も、雑草は取り除いて注意深く清潔に保つ必要があります。 乾燥した天候下では、生育初期の株に頻繁に水を与える必要があります。

ハエ類(fly)はしばしば非常に厄介な害虫ですが、幼苗を数日間食害するだけなので、作物を確保する最も効果的な方法は、厚くタネを蒔き、それによって植物でいっぱいにすることです。

それでも、ハエはその苗を部分的に食害することがよくあります。その対策として、同じ場所に再び播種することもありますが、ハエによって再び食害されるか、苗の揃いが悪くなるため、この方法が成功することはめったにありません。

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* 不思議なことに、イギリスでは黄色種のターニップはほとんど使われていません。 ロンドンではほとんど知られていないと思います。 しかし、風味と栄養の両方の点で、白い品種よりもはるかに優れていることは確かです。 また、同じ程度の霜でも黄色種は傷害を受けません。 牛の餌にする場合、黄色の3株が白の4株に相当します。 そして黄色種は一般に、より適正な耕作地であれば、その生産性もぐっと高くなります。

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このキッチンガーデンのヤサイの章を終える前に言いたいことは、すべての種子や苗は植え替え時または都合が許す限り、すぐに地面に蒔いたり植えたりするべきだということです。そうすれば、植物は最も生き生きとした状態になり、即座に生育を始めます。 また、休耕地だった場合を除いて、土が非常に湿った状態の時は掘ったり耕したりしてはいけません。

2022年12月31日土曜日

Navew(ナビ、カブの一種):「The Gardeners Labyrinth」第56章

本章のNauewesはカブの1種のNavew(ナビ)のことかと思います(間違ってたらごめんなさい)。ナビは今となってはターニップに収れんしちゃったみたいです。本書でしょっちゅう出てくる古代ローマの偉人プリニーが書いた大古典書「プリニウス博物誌」で“ナプス”と書かれているものがナビだと思います。ナプスの防虫対策はカラスノエンドウを一緒に蒔くことだと書かれてました*。

*プリニウス博物誌植物編、大槻真一郎編、八坂書房

第2部24章 ナビ(カブの一種) の上手な播種と栽培に必要な技術と管理



上図がナビ(左:ナビ・ジェントル、右:ワイルドナビ)
下図がターニップ(左:グレートターニップ、右:ロングルートターニップ)
どちらもカブですが、ナビの方がニンジンっぽい形です。
(The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。)


ナビはターニップ(洋種カブ)と同様、よく耕して整えた土に播種します。園主が鋤を入れた土地に植えれば、どのような気象にも耐えることができますが、乾燥した、どちらかというと痩せていて砂利混じりの、よく耕やされた土地を好みます。

よく耕した細かい土にタネを蒔けば、よく繁茂します。りっぱなナビを作るには、3年以上経過した種子でないことを確認してください。種子が古いとキャベツ(アブラナ)になってしまいます。

密集して発芽した場合、間引きます。間引いた苗は別のよく整えた場所に間隔を空けて移植します。これらはまた、成長するにつれて丁寧に除草し土を耕してやる必要があります。そうすれば、より大きく、よりりっぱに成長するでしょう。8月に採った種子をよく耕した土地に丁寧に蒔きます。

種子を蒔くには地面が雨で十分に湿るまで待つ必要があります。降雨後すぐに蒔けば、順調に迅速に発芽します。しかし、いずれにせよ、園主や庭師は日陰に蒔かないように注意する必要があります。

日陰の場所は、地面は肥沃でよく手入れされていても、植物にとって不適であり有害だからです。

同じ土地に何回も蒔くと、ナビはターニップに変わり、ターニップは ナビに性質を変えます。

園主は11月にナビを収穫する必要があります。そして冬の間ずっと保存するために、地下室の砂の中に根部を埋めておかねばなりません。そうすれば、冬の間だけでなく早春の四旬節の頃まで食べることができます。

根部がかなり長く、歯ごたえがあって、大きすぎず、1本だけがまっすぐで下向きに尖っているのが価値の高いナビです。

ナビと合わせるのに最高なのは、ラディッシュの根部、少量の塩、ハチミツ、マスタード、おいしい香辛料、酢を加えたものです。香辛料なしでも作ることができ、健康的で有益な取り合わせです。


ナビの薬効

偉人ガレノスは、ナビについて2度の熱さと 1度の湿気の性質を持つと報告しています。

ナビはやわらかく茹でれば栄養たっぷりですが、そうしないとほとんど消化されません。茹でれば、水分を含んで膨らみ柔らかい肉質になりますが、ターニップよりも小ぶりです。ターニップは前もって茹でる必要がありますが、ナビの場合はまず最初に水で茹でた後、さらに2番目の水で丁寧に茹でます。 そうすれば、硬さが和らげられ、長所を生かし短所を避けて栄養を引き出すことができます。

完全に茹でられていないナビは消化が悪く、静脈の血行調整や自然な力を止めてしまうのに加えて、体に過剰なガスを生じます。従って、きれいな水で2回茹でて、胃でより多くの栄養を消化できるようにします。3回目は最も脂肪の多いスープに移し、そこで十分な柔らかさになるまで煮てから食べます。もっと消化をよくするためには3回目は新鮮な牛乳で煮ます。

種子を砂糖と混ぜて食べると、精子を増やすことができます。種子を潰して飲めば、毒に対して特に効果があります。これを蜜蝋と混ぜて塗ってもこの効果が得られます。


[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:かすかに秋の気配

 9月に入っても35℃超え、最低気温も27℃と暑いです。 ただ、熱湯の中にいるような空気感は、日陰で風があれば、やわらいできたような。。。いや、単に、自分が暑さに順化しただけかも(笑) 夕方なら草刈りする気力が、ようやく戻ってまいりました。暑さで弱っている雑草は比較的抜きやすいで...