寒さ厳しい1月に、畜ふんでの発酵熱下で、か弱い苗を育てるので、繊細な管理が要求されます。その場合の栽培管理方法が丁寧に解説されています。参考になることも多いですが、電気ヒーターなどで簡単に暖房できる現代のありがたさもつくづく感じます。
『Every man his own gardener(誰もが庭師に)』
1月の家庭菜園での作業
キュウリとメロン:発芽から定植まで
発芽したその日のうちに、その畝(うね)に前述の方法でさらに少しタネをまいておくのがよいでしょう。というのも、この時期の苗は様々な原因で枯れてしまう危険が高いからです。したがって最善の方法は、同じ畝に短い時間間隔で3回に分けてタネをまくことです。そうすれば、仮にいったん播種が失敗しても、次回、次々回の播種で成功する可能性が残ります。
最初の種まきであれ、その後の種まきであれ、発芽して2、3日経った頃には、小さな鉢に植え替える必要があります。その鉢も同様に温床(ホットベッド)内に置かなければなりませんが、その方法は次の通りです。
苗を鉢に植え替える前日に、肥沃で乾燥した土を鉢に詰めてフレーム内に置いておき、翌日までそのままにして土を温めておきます。
当日、鉢の縁から1インチ(約2.5cm)ほどの深さまで土を取り除きます。鉢に残した土の中央を少しくぼませておきます。苗は指を使って丁寧に持ち上げますが、その際、根をできるだけ傷めないようにし、根に付着した土もなるべく落とさないようにします。そして、根が鉢の中心に向くように苗を置いて、先ほど取り除いた土を使って、茎の根元を1インチほどの厚さで覆います。
キュウリの場合は1つの鉢に3〜4株を植え、メロンであれば1つの鉢に2株を植えます。
もし土が完全に乾いている場合は、根元にだけ少量の水を与えます。そして、すぐに鉢を苗床の土の中に埋め込みます。その際、鉢同士は密着させて並べ、鉢の間の隙間を土で埋めます。最後に、フレーム内の苗床全体を土で覆います。これは、堆肥から直接立ち上る強烈な蒸気が植物を枯らしてしまうのを防ぐためです。
植物の根が過度な発酵熱にさらされていないか、毎日注意深く確認してください。もしそのような兆候が見られたら、鉢を少し引き上げるか、あるいは苗を守るのに必要と思われる高さまで持ち上げ、過熱の危険がなくなってから、再び鉢の縁の高さまで埋め戻すようにします。
苗床の状態が良ければ、苗を植え替えから2、3日後には根付いているでしょう。もっとも、早ければ24時間(1日)で根付くこともあります。
苗がしっかりと根付いたら、日中で最も暖かい時間に少量の水を与えます。特に日光が当たっている時に行うと、植物により良い効果を与えることができます。鉢の土が乾いているのに気づいたら、その都度、適度な水やりを繰り返すようにしましょう。そのため、必要に応じてすぐに水やりができるよう、水を入れたボトルを1〜2本、常にフレーム(温床枠)の中に用意しておくとよいでしょう。
発酵が活発になって苗床の温度が上がってきたら、その熱をできるだけ長く保つために、乾燥した敷きわら(わら屑や古干し草、あるいは乾燥させたシダなどを長めにカットしたもの)を苗床の外囲に積み上げてください。その際の積み上げ高さは、枠の内側の土の高さに合わせて、段階的に高くしていくようにします。
こうすることで、大雨や降雪に見舞われた際にも苗床を守ることができます。もし雨や雪が苗床に直接降り注ぐと、苗床が冷やされて急激に熱が奪われ、植物の生育が著しく阻害される恐れがあるからです。
発酵熱が維持されているなら、温床内の温度と外気温に応じて、毎日、ガラス枠を少し傾けて植物に外気を取り入れてやることができます。ただし、外気が冷たい場合や風が吹いているときは、前述の通り、空気の入り口を覆うようにマットを枠から垂らしておくことを忘れないでください。これにより、風や冷気が直接フレーム内の植物に当たるのを防ぎ、単に開口部を開けている場合よりも、植物にとってずっと良い形で外気を取り入れることになります。
苗床を作ってから2週間ほど(多少前後あり)経ったら、熱が足りなくなっていないか注意深く確認してください。
熱がかなり下がってきたと判断したら、先の助言に従って苗床の周囲に敷いておいた藁(わら)、干し草あるいはシダなどを、苗床の前面や後面から取り除きます。
そして、熱の低下具合に応じて必要と思われる面(前か後ろの片側または前後両側)に、新鮮で発酵中の馬糞を「ライニング」します。このライニング層の厚さ幅は18インチ(約45cm)としますが、高さは苗床の馬糞塚よりもごくわずかに高くする程度にとどめてください。高くしすぎると、土や植物への伝熱が急になりすぎるからです。
ライニングし終えたらすぐに、その上面を土で2インチ(約5cm)の厚さに覆ってください。
こうすることで、新しい馬糞から出る刺激の強い蒸気が立ち昇るのを防げます。もし覆わない状態で換気のためにフレームを持ち上げると、その蒸気が内部に入り込み、植物に甚大な被害を及ぼすことになるからです。
ライニングを施すとすぐに発酵作用が始まり、苗床の温度が大きく回復して、さらに2週間ほど良好な状態を維持できるようになります。
側面に「ライニング」してから10〜12日後、苗床の両端面に置いていた敷きわら等を取り除き、そこに同様に発酵中の馬糞を積み上げてください。これにより、さらに2週間ほど温度を維持・増強することができます。
ライニングを施した後、その周囲全体を覆うように乾燥した長めに切ったわら等を厚く敷き詰めるとよいでしょう。そうすることで、吹き付ける冷たい雨や雪から苗床全体を保護し、苗床を植物の生育に適した温度に保つことができます。
このように適切な時期に熱をもった馬糞でライニングし、必要に応じて更新することで、苗床の温度を適切に維持することができます。その結果、植物は順調に生育し続け、果実を実らせるための大きな温床(本床)へ定植するのに適した大きさになるまで育てることができます。
なお、発酵馬糞が十分にあって、適切な設備が整っているならば、栽培を滞りなく最速で進めるため、苗床を作ってから約2週間後に、2つ目の「育苗用」温床を準備するとよいでしょう。これは、最初の苗床の熱が低下し始めた頃に鉢植えの苗をそこへ移して前述した方法で鉢を土に埋め込んで管理するためのものです。
この2つ目の温床の温度を前述の方法で維持し続け、最終的に本床(本栽培の温床)へ定植するのに適した大きさになるまで、ここで苗を育て、生育を促します。(次月の項を参照のこと)
「本葉」が幅が2〜3インチ(約5〜8cm)ほどの大きさに2枚展開し、茎が1〜2節ほど伸びた頃が、最終的な生育場所となる大型の温床(ホットベッドの本床)へ定植するのに適した時期です(次月の項を参照)。
なお、苗は第1節または第2節になった段階で「摘心」を行う必要があります。つまり、中心部に小さな芽のような形で伸びてきた最初の茎の先端を、2月の項で説明する通り、節のすぐ近くで摘み取るのです。











