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2026年5月13日水曜日

19世紀末の園芸施設:41. 給水 IV-3 給水のための揚水の動力と水量の測定方法について

  小川から水を引いて庭に水を撒くのに必要な技術の説明です。敷地に小川が流れているとしたら、なんて素敵なんでしょう!堰を作って、中世の庭のように養魚池も作りたい💜 現実はプラスチック桶に雨水を貯めるのが関の山ですが。。。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

給水 Ⅳ-3


給水のための揚水の動力基準

技術者は、1ポンド(454 g)の物体を垂直に1フィート(30 cm)持ち上げるのに要する力を「1フィートポンド」と呼び、これを一般に「仕事単位」としています。

ワットが提唱した「1馬力」は、1分間に33,000フィートポンドの仕事をすることに相当します。ワットはこの単位を、イギリスの荷役馬が馬車を動かすなどの仕事を9時間連続でこなせるとして計算、定義しました。


人力または馬力 

しかし、ワットの推定は間違っていました。その後の実験で、良好な状態にある馬は、ワットの数値の約3分の2、つまり毎分約22,000フィートポンドの仕事しかできないことが証明されたのです。

ポニーは約11,000フィートポンド、ロバは約4,000フィートポンド、そして人間は約3,000フィートポンドの能力を持っています。それぞれ「1ポニー力」「1ロバ力」「1人力」になりますね。

電力量に換算すると、1000フィートポンド=1355.8 ワット(W)になります。

揚水ポンプに必要な馬力は、家庭用・園芸用では0.1〜1馬力(750 Wくらい)、農業・工事用の強力なエンジンポンプでは5〜6馬力以上、工業用の大型施設では数100馬力(数百kW)に達すると言われています。

性能の良いポンプが消費する力のうち、実際に揚水に使われる仕事量はその約3/4で、残りは摩擦や弁を通過する水のすべりなどで失われます。

さて、上記の揚水動力のいずれかで毎分何ガロンの水をタンクに汲み上げられるかを求めるには、これらのフィートポンド数を10(1ガロンの水のポンド数)で割り、水源と送水タンクの水位差(フィート)を掛け、さらにその結果に4分の3を掛ける必要があります。

言い換えると、確実に必要なフィートポンド数は、1分間に汲み上げるガロン数を10倍し、それに水源と吐出口の間の水位差(フィート)を掛け、さらにポンプの摩擦などによる動力の損失を見込んで1.3倍をかけることです。

水力

水の落差を動力源とする場合は、まず流量(毎分あたりのガロン数)を測定する必要があります(「取扱説明書」233ページ参照--リンク予定)。

この流量(ガロン数)に10を掛け、次に利用可能な落差(フィート数)を掛けます。

これにより、ラムポンプ(流水力のみで動く自動給水ポンプ*)、タービン、あるいは水車で利用できる仕事量が毎分あたりのフィートポンド数として得られます。
*詳しくは https://en.wikipedia.org/wiki/Hydraulic_ram などを参照。

まず、ラムポンプ(落差が3フィート以上あって、毎分5ガロン以下の水量を150フィートまで送水するなら揚水できる、最も安価な動力)の場合、毎分揚水可能な流量を求めるには、利用可能な力(フィートポンド数)を10で割り、次にそれを揚水高さ(フィート数)で割ります。そして、ラムの駆動によって生じる損失があるので、それに0.5倍をかけます。

タービンや水車の場合も、計算方法は同様ですが、運転時の動力損失として0.5ではなく0.25を見込む点が異なります。タービンや水車の方が水の落差だけを利用するラムポンプよりも効率が良いためです。

タービンや水車は、毎分5ガロン以上の水を150フィート以上送水する場合に適しています。

ほとんどのタービンは水車よりも設置費用がかかりませんが、どちらにするかはその土地の状況によって決まります。


風力

風車の風力(フィートポンド数)を求める計算方法は水力ほど単純ではありません。

まず、風速計(「気象学」246ページ参照--要リンク)を用いて風速(フィート/秒)を測定します。風速計がない場合は、羽根やアザミの綿毛が一定時間内に風に乗って飛ぶ距離を観察することで風速を測定できます。

次に、この風速を3乗し、風車の羽の面積(平方フィート)を掛け、33で割ります。
この結果が毎分あたりのフィートポンド数の風力量となります。
この風力で揚水できる水量を求めるには「水力」の項で説明した手順に従います。

例えば、風速が毎秒10フィート、4枚の風車の羽の面積がそれぞれ40平方フィートとすると、
すると、10³ × 40 × 4 = 160,000 / 33 = 4,848 フィートポンドとなります。

さて、水源と庭との水位差が100フィートだと仮定しましょう。
Then 4,848 / 100 = 48. 
4,848フィートポンド/100フィート=48ポンドの水が庭で利用できる計算ですが、
このうち1/3は風車内での摩擦などで失われ、2/3しか利用できないとすると、
48 X 2/3 = 毎分32ポンド
、つまり3.2ガロンの水を組み上げることができ、毎時なら192ガロン、24時間なら4,600ガロンが利用できることになります。


河川・小川の水量測定

河川や小川を動力として利用する場合、一定時間あたりの河川水量を測定する必要があります。
その場合、容量がわかっているバケツで流れて来る水を受け、バケツが満水になるまでの時間を記録することで測定できますが、
最も一般的に用いられる方法は、ノッチ(切り欠き構造)や堰を利用することです。

この測定方法について、チャールズ・L・ヘット氏(ブリッグ在住)による説明は以下のとおりです。

必要な測定装置は、図109に示すような厚さ1/2インチ (1.25 cm) の松材で、小川の幅に対し十分な長さがあり、V字の切り欠きが入っているものです。切り欠きは角度90°のV字形です。

ノッチ(切り欠き)は面取りする必要があります。切り込みの深さは5インチ (12.5 cm) とします。

このノッチは毎分約107ガロン(405 リットル)の水を通すことがわかっています。

図110に示すように、これにノッチと正確に同じ高さの段差を刻んだ杭と0.1インチ単位で目盛りを付けた定規があれば装置は完成です。


図109 ― 水流量を測定するノッチの板




図110 ― ノッチの板と高さを合わせる杭

ダムの設置(水を堰き止める)場所を選定したら、鋭利なシャベルで両岸に溝を掘り、ノッチの板を流れの断面方向にしっかりと押し込み、水の流れを完全に遮断します。必要に応じて、周囲の柔らかい粘土を押し入れて流れをしっかり遮断してください。

次に、水面からノッチの板の両方の上端が同じ高さになるように押し下げて調整します。

水位がノッチの底に近づいたら、堰から約3フィート上流の小川の底に杭を打ち込みます。そして、水位がノッチの底へ上がってきた瞬間に、杭を水面と完全に同じ高さになるまで打ち込みます。つまり、小川のその水位とレベルを同じにします。

やがて水はノッチを通って流れ始め、供給量に応じた高さにまで上昇します。ノッチを越えて流れる水の深さを測定することで、必要な水量を推定できます。

次に、定規の端を杭の段差に当て、水面の高さを注意深く測定すれば、流量を知るのに必要な水深を0.1インチ単位で求めることができます。
この水深に対応する流量(ガロン/分)を表XXXIVに記載します。

表 XXXIV ― 河川の水位測定
---------------------------------------------------------------
ノッチ(切り欠き)の         水量(ガロン/分)
下端からの水深(インチ) 
---------------------------------------------------------------
           1.0 1.90  
           1.1 2.42 
           1.2 3.00 
           1.3 3.67 
           1.4 4.41 
           1.5 5.24 
            1.6 6.16  
           1.7 7.17 
           1.8 8.27 
           1.9 9.47 
            2.0 10.76 
            2.1 12.16 
            2.2 13.66 
            2.3 15.27 
            2.4 16.98 
            2.5 18.81 
            2.6 20.75 
            2.7 22.80 
             2.8 24.97  
            2.9 27.26 
            3.0 29.67 
            3.1 32.20 
            3.2 34.87 
            3.3 37.65 
            3.4 40.57 
            3.5 43.61 
            3.6 46.80 
            3.7 50.12 
            3.8 53.57 
            3.9 57.17 
            4.0 60.90 
            4.1 64.78 
            4.2 68.80 
            4.3 72.97 
            4.4 77.29 
            4.5 81.75 
            4.6 86.37 
            4.7 91.14 
            4.8 96.08 
             4.9 101.15 
             5.0 106.39 
---------------------------------------------------------------

設置作業時間を短縮するために、水位が上昇している間、ノッチ(切り欠き)を粘土で塞いでおくことをお勧めします。

堰によって水流を十分にせき止め、ほぼ池ような状態にする必要があります。また、堰の上流の水面と下流の水面の落差は、切り欠きを通過する水深の2倍以上でなければいけません。

高い精度が求められる場合は、水準器を用いて堰を調整し、水準器と平行定規を用いて、杭の先端を堰の上端と正確に水平にする必要があります。

表面を薄い鉄板で覆った切り欠きにすると効果的です。木材の切り欠きは鉄板の切り欠きより水の摩擦による抵抗が大きくなるので、抵抗を最小限にとどめるには、切り欠きを鉄面のものより大きくする必要があります。

2026年4月22日水曜日

19世紀末の園芸施設:41. 給水 IV-2 配水方法と硬水について

 ダムの水が減って、しばらく節水が呼びかけられていましたが、4月の雨が数日おきに降っています。少しは解消されていますように。

さて、本項では電気が一般的ではない時代の水の汲み上げ方法を知ることができます。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

給水 Ⅳ-2


配水方法

水はバケツなどで汲み出す(小規模な庭や温室内のタンク場合)か、必要に応じてポンプで汲み出すことができます(タンクが大きすぎる場合や汲み出しが困難な場合)。

あるいは、大規模施設では、作業員が時間を見て、貯水タンクから地上に設置された配水タンクへ水をポンプアップすることもできます。

このような仕組みのもと、配水タンクにつながった立ち上がりパイプとストップバルブ(止水弁)を備えた配管を庭の各所へと敷設することで、水やりの度に毎回ポンプ運転や汲み出し作業をすることなく、必要な時にホースやじょうろで各所に水やりすることができます。

ボイラーに軟水(雨水)を安定して供給するためには、このような配水方法にしておくことが不可欠です。

暖房機器の膨張タンクへの給水には、自動ボールバルブではなく、蛇口を使用すべきです(193ページ参照:あとでリンク予定)。

地上に設置する配水タンクは、スレート、鋳鉄、または錬鉄で作ることができます。

亜鉛メッキ鋼板は、中規模の配水タンクに最適です。

非常に大型の配水タンクの場合は、内側にフランジを付けてボルトで固定した鋳鉄板製のタンクが最適です。

小型以上のサイズの錬鉄製または鋳鉄製のタンクの場合は、内部を鉄製のタイボルトで固定する必要があります。 

タンク間の接続管、分配管、立ち上がり管、給水管などが金属製の場合、金属管は凍結から保護する工夫が必要です。

何らかの理由で全ての管の凍結を防止するのが不可能な場合は、霜が降りて凍結が発生する際に、露出している金属管の内部全体の水を排出できるように施工しておく必要があります。

常に水が入っているむき出しの金属管のわずかな部分でも凍結によって破裂する恐れがあるのでそれを防ぐために、金属管を数インチ、カットして、そこにインドゴム製のチューブ管を挿入するという方法が時に採用されます。こうすることで、凍結時の水の膨張に対処できます。

凍結による水道管の破裂を防ぐもう一つの方法は、凍結しやすい部分の管内に、両端を密閉した小さな空のインドゴム製のチューブを挿入します。

水を入れて密閉した樽、貯水槽、タンクなどは、中の水が凍結して破裂するのを防ぐことが可能です。そのためには、空のシャンパンボトルを1本か2本、口を下にして浮かべておくと効果的な場合があります。(水が凍って増えた体積が空のボトルに収まるため)

インドゴム製のチューブであれ、ボトルであれ、内部には圧縮性のある空気がクッションの役目を果たし、それが圧縮されることで凍結による水(氷)の膨張を相殺します。

立ち上がりパイプに適した高圧密閉型のストレート式全開弁については、198ページ

(あとでリンク予定)をご覧ください。 


硬水

大昔の家屋は一般に谷間に建てられていました。谷が風よけになってくれるだけでなく、小川に近い場所だからです。

ドアや窓の気密性の向上、暖房方法の進歩、そして揚水設備が充実するとともに、現代の家屋は高台に建てられるようになりました。

多くの田園地帯にある邸宅では、飲料水、生活用水、農業用水として硬水の確保が重要な課題となります。
(ヨーロッパだと井戸、池、小川、泉はどれも硬水が多いからこう書かれている?)

庭師や管理人の仕事は通常、井戸、池、小川、泉からの水を運ぶ作業に充てられるため、ここでは硬水の揚水とポンプによる汲み上げについてのみ述べます。


揚水方法

最初に浮かぶ質問は「最も安価で信頼性の高い揚水方法は何か?」ということです。

ポンプの動力源は、必要な水量、揚水高さ、その他、現地の状況に応じて、以下のいずれかを選択することができます。

1. 若者や成人男性。

2. ポニーまたは馬。

3. 水力ラム(利用する水の一部または全部を動力源として揚水に利用する。あるいは、ダイヤフラム機構により、近隣の水源からの汚水を動力源として、きれいな水を揚水する)。年間を通して近くに落差のある流れがあれば、タービンまたは水車も使用可能。

4. 風車(風が吹く場所で、かつ景観を損なわない場合)。

5. 上記の動力源がいずれも利用できない場合は蒸気機関、ガス機関、またはライダーの熱気機関*

* こちらの説明がわかりやすかったです。https://www.stirlingkit.com/ja/blogs/news/how-rider-ericsson-engine-paved-the-way-in-mid-19th-century-stirlingkit

これらの様々な動力源を比較検討するためには、何らかの基準に照らし合わせる必要があります。  この比較基準については、次に続きます。

2026年4月5日日曜日

19世紀末の園芸施設:41. 給水 IV-1 軟水での給水と貯水

4月らしく、これからは給水の記事です。

こちらは、まとまった雨も降りましたが、まだ節水継続中です。

水道代の節約のためにも、年中、庭の水まきは工夫しなければと思います。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

給水 Ⅳ-1 

給水は非常に広範な課題ですが、ここでは概略しか触れることができません。

給水には軟水の場合と硬水の場合の2種類があります。

軟水の方が硬水よりも園芸向きですが、庭師は硬水も扱わなければならないことがよくあるので、両方について少し触れておきましょう。


軟水での給水

露地の庭への散水、園芸用温室でのかん水、ボイラーへの給水、あるいは蒸発用などには、軟水すなわち「雨水」の方が硬水すなわち「地中水」よりも優れていることがよく知られています。

英国の降水量は地方によって大きく異なり、年間20インチ(508 mm)から70インチ(1778 mm)までと、幅があります。

カンバーランド地方のある地域では、年間135インチ(3429 mm) もの降雨量が記録されています。

しかし、英国の平均降水量を約30インチ(762 mm)とし、屋根で集水できる雨量を年間18インチ(457 mm)と見積もっても、それほど大きな間違いではないでしょう

(「気象」の項を参照)(ちなみに、日本の年間降水量は1700 mmくらいです。)

なぜなら、雨が屋根の傾斜よりも急な角度で降ったり、あるいは屋根面で雨水が吸収されたり蒸発したりするので、そういった毛細管現象による雨の損失は一定割合で発生するものだからです。

園芸においては、軟水の供給源として建物の屋根の雨水が不可欠です。

長期に晴天が続く事態に備え、少なくとも3か月分の雨水を屋根から集めておくのが賢明です。


貯水

屋根に降り注いだ雨水は、建物の大きさや管理者の意向に応じて、様々な方法で貯水されます。 

浴槽、樽、亜鉛か鉛で内張りされた木製タンク、亜鉛メッキ鉄製のタンク、セメントで固めたレンガ造りのタンク、あるいは井戸などが貯水槽として利用されます。

が、一般的には、ごく小規模な建物を除けば、コンクリート製タンクに勝るものはありません。

1万ガロン(38 m3)以上の容量のタンクとして、最も頑丈で安価、かつ実用的なのは、鉛直断面が半卵形をした円形のタンクで、しっかりと突き固めたコンクリートで作られ、上にコンクリート製のドームを持つものです。

頂部を一体のドームにすることが難しい場合は、中央に鉄柱を立て、そこから円周に向かうアーチを張ることで支えることができます。

このようなタンクはどんな横方向からの力にも耐える最適な形状であり、横方向に渡す壁(トラバースウォール)などで補強する必要がある上に角や隅からの漏水が常に起こりやすい大型の長方形のタンクよりもはるかに優れています。

軟水は埃、霜、日光から保護する必要があります。そうしないと(藻などの)植物が生えるからです。また、軟水を貯蔵するタンクは常に換気し、清掃用のマンホールを設けておく必要があります。

園芸用建物の内部で使用する水は、少なくとも使用前に一定期間、建物内の適切な場所に設置されたタンクに貯水しておくことが極めて重要です。そうすることで、水温を温室内の室温に近づけることができます。

この目的のためのタンク(ハウス内に置くタンク)は、セメント、コンクリート、または亜鉛メッキ鉄製で、木製の蓋で覆われたものです。水は雨樋を通って直接タンクへ入るようにするか、それが不可能な場合は、一般的な貯水槽からポンプで送水できるようにします。

前者(直接雨樋から流れ込むタイプ)の場合、オーバーフローパイプを設ける必要があります。さもないと、激しい嵐の時、ハウス内部が予期せず浸水してしまう危険があります。

タンクの容量を決定する際には、以下のデータが参考になるでしょう。

「1英ガロン(0.00454609 m3)あたり、華氏62度(摂氏17度)の蒸留水なら10ポンド(約4.5kg)が貯水できます。」

1立方フィートは6.24ガロン(約6.25ガロン)の容量に相当し、重さにすると62.425ポンド(約28.3 kg)です。

前述の平均降雨量に基づくと、長さ100フィート(30 m)、幅15フィート(4.5 m)の温室では、年間約2250立方フィート(64 立方メートル)の雨を集水できます。

したがって、3か月分の水を確保するには、貯水タンクの容量は560立方フィート(= 2250 x (3/12))、つまり約3500ガロン(= 560 x 6.25)以上のサイズが必要です。

2026年3月21日土曜日

[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:春本番!

 お彼岸3連休、春本番を感じる晴天です。

カラスノエンドウが生い茂った”自然に還る”のキッチンガーデンを黄色のモンシロチョウが舞っています。

まずは冬を耐え抜いて花満開のシクラメン

トンネル内で冬を過ごしたチャードもわさわさしています。茹でたら茎は赤いまま、葉は濃い緑になりました。後ろの青菜は大して育たずに花が咲いてしまいました。

冬から育てていたコールドフレーム内の子カブもとう立ちです。

冬こしの花の小苗、ちっとも大きくなっていません。栽培下手で花まで行きつかなさそう。

バラの新芽。赤くて花みたい。

虫食いミカンも芽がでています。

桑はすくすく葉を出してベイビーの実も着けています。

やさいの苗。左の二つは爪楊枝で囲って垂直仕立て栽培にしてみました(笑)。


日中は、春というより初夏のような陽気で、まもなく蚊のシーズンになると思い出され早くも緊張です。

梅雨時にはナメクジも大量発生するので、育苗用にナメクジ除けのネットの袋を作っています。上だけカバーしても裾の隙間から入りそうなので袋状です。チャックか何かで簡単に開閉できるようにしたい。ブロガーの皆様の工夫を拝見せねば。。。


2026年3月18日水曜日

19世紀末の園芸施設:40. 様々な暖房方法 III-11 低圧(常圧)温水暖房 −炉とボイラーの設置−

温水暖房の解説、これで完了です。

1800年代の温水ボイラーはいかにもアンティークな姿で魅力的です。現代の装置に比べたら、とっても不便そうではありますが。。。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

様々な暖房方法 Ⅲ 

低圧(常圧)温水暖房


ボイラーの配置

ボイラーの能力は、すでに述べたように(191ページ)、水柱高さが高いほど大きくなります。したがって、ボイラーを加温パイプより低い位置にするほど、暖房性能は向上します。

一方で、水柱高さを1フィート高くするごとに、水柱の底部にかかる圧力は1平方インチあたり433ポンド(=2.99 MPa, 304.44 mH2O)増えることを忘れてはいけません。

水柱の太さ、水管の形状、直径、絶対長さ、傾斜の有無、ねじれの有無、あるいはボイラーへの挿入位置は、圧力には全く影響しません。

圧力は鉛直高さにのみ比例します。

例えば、占有面積6平方フィート (0.56 m2) のボイラーが建物の地下室に設置されているとします。直径4インチ (10 cm)、長さ20フィート (6 m) の放熱管が40フィート (12 m) 上方に設置され、径1インチ (2.5 cm) の流入管と戻り管で接続されている場合、ボイラーにかかる全圧力は6トン13 cwt(1平方インチあたり17.32ポンド, 0.12 MPa, 12.18 mH2O)をわずかに上回ります。(1 cwt = 112 ポンド)

径4インチの流入管と戻り管が長さ200フィート (61 m) の放熱管と接続されている場合でも、鉛直高さが同じであれば、ボイラーの内圧は全く同じ、すなわち1平方インチあたり17,32ポンド、つまり総圧力は6トン13cwt強となります。

要するに、ボイラーが発揮すべき仕事量に見合うように、ボイラーを固定する地下深さを決めることが重要だとわかります。

なお、このボイラーの限界より高い水柱圧をかけてもボイラーが爆発することはありません。

水は圧力下で体積が縮むことはほとんどないのと同様、圧力がかからなくなったり、圧力に対する抵抗がとれたりした場合も、体積はほとんど変わらないので、ボイラーは単にひび割れるだけでしょう。

排水不良やその他の状況により、地下深さを非常に浅くする場合もあります。

この場合、ボイラーを安全に設置できる最小深さは、187~191ページに記載されているデータから容易に計算できます。ただし、ボイラーからの流出水と戻り水の差が大きいほど、垂直柱を短くする必要があり、ボイラーとこの配管部の高低差が小さくなるように設置することを常に覚えておいてください。

配管をボイラーより下に下げることはできません。

配管をどこに設置するにしても、ボイラーは必ず最も低い位置に設置しなければなりません。

Box氏はこれを次のように非常に明確に示しています。

図108は最も低い位置に設置したボイラー、図108aは最も低い位置と最も高い位置の中間に設置したボイラーを示しています。


図108              図108A
ボイラーの位置を変えた場合の配管内水温の垂直線図。


いずれの場合も、水はボイラーから210 ℉ (99 ℃)で出て、そのまま水管に入るので、行きの水柱の平均温度は190℉(88 ℃)、戻りは平均140℉ (60 ℃)になることがわかります。

したがって、循環を引き起こす駆動力は190℉および140℉の水柱の比重の差と言えます。 

図108Aでは、水柱内の平均温度はどちらも160℉ (71 ℃)と同じなので循環は起こり得ません。

ボイラーをパイプの真上に設置して、垂直に高く水柱を掲げることで、パイプを加熱し循環を起こすことも可能かもしれません。その場合は適当な水柱の高さになっていることを確認し、ボイラーに入る水と出る水の温度を決定します。

次に、パイプの配置図を作成し、図108および108aと同様に、パイプ全体にわたって様々な位置の温度を正確に記録します。

上昇水パイプと下降水パイプの水温を求めれば、どのような駆動力が循環に利用されるかが一目でわかります。

2つの水柱の差を計算する際には、必ずパイプの垂直部の温度のみを加算し、水平パイプの温度は加算してはいけません。

循環用の水タンクを用いてボイラーを給湯加温部より上にすることもできますが、これはあまり好ましい方法ではありません。

どのような場合でも、可能な限りボイラーは給湯加温部より下に設置すべきです。

給湯加温部に対するボイラーの水平位置については、一般的にその場所の状況によって決まります。

立て掛け式屋根の連続ハウスを暖房する必要がある場合は、一般的に、ボイラーをそのハウスエリアの中央の、後壁の後ろに配置し、両方向へ熱を供給することをお勧めします。(196ページ参照)

これができない場合は、ハウスエリアの端に設置しても問題ありません。なぜなら、最も熱を必要とするハウスの近くにボイラーを設置する必要はないからです。すなわち、肝心なのは給湯加温部の場所ですから。ボイラーの配置は、加温パイプの放熱面積とボイラーと加温部との間の配管の保温によって決まるからです。

その他の条件が同じであれば、ボイラーは、燃料の投入と給水が容易にできる場所、煙突の設置が容易な場所、見苦しくない場所、そして、焚き付け口の排水が容易で、焚べる作業からできるだけ近い場所に設置する必要があります。


燃料

燃焼は一般に光と熱の発生を伴う化学反応です。

通常の燃料では、炭素は大気中の酸素と結合して炭酸ガスを生成し、水素も同様に酸素と結合して水を生成します。

水素を含んだ可燃物に酸素も存在する場合、酸素:水素が重量比8:1で結合して、水9が生成されますが、利用可能な熱は発生しません。

このような可燃物中に存在する酸素が結合しなかった余剰の水素は、当然ながら熱として利用できます。

ペクレ、プレイフェア、ド・ラ・ベシュらの実験から、一般的な可燃物の化学組成は次の表のとおりであることがわかっています。


表XXXI. 各種燃料の化学組成


デュロンの実験によれば、炭素が酸素、そして水素と適切な原子比で燃焼により結合すると、炭素+酸素は炭素1ポンドあたり12,906 BTUの熱を、炭素+水素では水素1ポンドあたり62,535 BTUの熱を発生することが分かっています。

(1ポンドの水の温度を32°F(=17.78℃)上げるのに必要な熱量が1 BTU(British Thermal Unit:英国熱量単位)です。これは、約1,055J、約252calに相当します。)

上記のデータから、上記の各種燃料が発生する熱量(BTU)の表を簡単に作成することができます。

例えば、1ポンド (454 g) の石炭の場合、次のようになります。

炭素        0.804x12,906 = 10,376 [BTU]
水素        0.0519  - 0.070/8 = 0.04206x62,535 = 2,630[BTU]

13,006 [BTU]


表XXXIIは、各種燃料の最大加温能力を比較しています。

ボックス氏は、石炭を例に次のように考察しています。


5%は燃カスの灰となり、

20%は煙突からの排気によって失われ、

12%はボイラー室での燃焼時の放射熱によって失われ、残りの63%が加温に利用されます。


表 XXXII. 各種燃料から発生する熱量

燃料に水分が含まれている場合、可燃有効重量が減少するだけでなく、実際の燃料に含まれる熱が水の蒸発熱として消費されてしまいます。

すなわち、通常の状態の木材には20%の水分が含まれているため、燃焼物の重量は80%となります。さらに、残りの20%の水分を蒸発させるのに4%の熱が必要となるため、燃焼物の有効重量は、結局、約76%に減ってしまいます。

この項目の冒頭で、大気中の酸素が燃焼を促進すると述べましたが、燃料への大気供給に関する詳細な説明は「炉とボイラーの設定」の項(p.212)に記載されています。

ラムフォード氏らの実験に基づき、フッド氏は、各種パイプ内水温と空気温度における、径4インチパイプ(長さ100フィート(約30メートル))を加熱するのに必要な、1時間あたりの石炭量を示す表を提示しています。

石炭の通常の燃焼速度は、火格子1平方フィート (30 cm X 30 cm) あたり毎時約10~11ポンド (4〜5 kg) です。

しかし、どの燃料が最も多くの熱量[BTU]を出すかが分かったとしても、それで全てが終わったわけではありません。

この点だけを基準にすると、表XXXIIを見れば、石炭と木炭はどちらもコークスよりも優れていることが分かりますが、実際には、コークスが温水暖房に最も適した燃料であることが多いのです。

表 XXXIII. 石炭消費量


コスト計算も必要です。

ボイラーによっては、石炭、コークス、木材どれでも燃焼できるものもあれば、石炭用やコークスを投入することで効率が格段に向上するものもあります。

ボイラーの設置面が良質な遮熱材でできているか、そうでないかによって、効率は大きく異なります。

石炭は、特定の条件下では、熱が失われ燃焼バーが詰まると、石炭が浪費されやすくなります。

石炭燃焼では煤が堆積しますが、煤のような高断熱体がボイラー内部などを覆ってしまうと、煙突から逃げる熱が大きくなって損失を促進してしまいます。

コークスではこのような弊害は生じません。屋敷の暖房で煙突から煙が立ち上る光景は見苦しいものです。

もちろん、完全燃焼なら、煤も煙も発生しません。しかし、温水ボイラーや炉の製造業者は、まだ完全燃焼を実現できていません。それが実現するまでは、石炭は通常、コークスに取って代わられるでしょう。


ここで、「石灰窯式暖房」システムの利点について簡単に見てみましょう。

その燃料は炭酸カルシウム(石灰石)です。これを石炭と混合し、窯で加熱します。すると、炭酸が赤熱して蒸発し、石灰が残ります。

本来であれば大気中に放出される熱は、温水器の駆動熱源として利用できます。

確かに、その観点からすれば熱にはコストがかかっていないと言えるかもしれません。しかし、このシステムは、実際には、非常に大規模な施設で、石灰製造のような商業活動を行う場合にのみ利用できます。

領地に石灰石がなく、あるいは石灰製造に全く関わっていない貴族や紳士がわざわざ石灰石を購入して、それを領地まで運搬させ、その場所に石灰工場を建設し、製造した製品を販売するなどという事業を、年間わずかな石炭やコークスの節約のために行うことはないでしょう。

木材と泥炭はどちらも発熱量が少ないですが、木炭に加工すれば発熱量は2倍以上になります。

​​しかしながら、現在に至るまで、木材、泥炭やそれらの製品は燃料として広く普及していません。 

そのほかに、様々な人工燃料が開発されています。、その主な原料は、石炭粉、石炭くず、コークス、泥炭、樹皮、タンニン、おがくず、植物繊維、ピッチ(タールなどを蒸留した後に残る黒色のかすや樹脂)、タールなどです。

ピッチとタールは一般に車両の接着剤として利用されています。

これらの燃料すべてに共通する大きな欠点は、石炭に見られるように、その接着成分が燃焼せずに蒸発しやすいことです。燃焼が阻害されると、熱が無駄になり、火格子が詰まって空気の供給が妨げられます。

炭化水素、通常石炭ガスと呼ばれるものは温水暖房装置の燃料として使用されることがあります。

この燃料には利点が1つあります。それは、見張りが不要であることです。一度点火すれば長時間燃焼し続け、もちろん、好きなように燃焼を調整することができます。

一方、石炭ガスの燃焼にかかるコストは、コークスと比較して、5倍(最も完全な燃焼の場合)から12倍(燃焼が不完全で熱の大部分が利用されない場合)にもなります。

石炭ガスの燃焼生成物は植物に非常に有害であり、(石炭ガスストーブを温室から完全に隔離していない限り)温室内の植物に深刻な被害を与えるのを防ぐのは困難です。

にもかかわらず、非常に小さな暖房には石炭ガスを使ったストーブが使われていることがよくあります。放熱パイプの長さが短い場合を除いて、石炭ガスを使用することは現実的ではないと考えます。


燃料の供給

ボイラーは目的に最適化可能ですし、望み通りに設置できるでしょう。配管は適切に設置され、適切な加熱面積を確保できます。暖房装置全体を完璧な状態で稼働させることができるでしょう。

ただし、その暖房装置がうまく稼働するかどうかは、管理人次第です。

管理者の職務は多岐にわたり、重要なものです。ここではそのいくつかについて述べてみましょう。

どの燃料を選ぶかは、多くの場合、燃料供給係の役割です。

どの燃料を選択するかは、燃料の入手しやすさとその地域での価格、敷地内で廃棄することになる廃棄物が再利用できるかどうか、使用するボイラーのタイプ、そしてボイラーが必要とする作業内容によって決まります。

炉に燃料を投入する際、投入回数が多いほど燃料消費量が増え、投入間隔が長いほど燃料の節約につながることを覚えておかなければなりません。

ただし、燃料供給係はさらに細心の注意を払わなければなりません。長時間の燃焼は、炉の容積が大きい場合にのみ経済的になるからです。

また、炉床上に供給する燃料の厚さについても適切な判断を下す必要があります。

これもボイラーの形状によって異なります。

可能な限りデッドプレート(火除け板)を使って新しい燃料を炉床に投入する前に一部を加熱することを忘れてはいけません。

一般に、燃えている層が薄く明るいほど、一酸化炭素は発生しにくく、それに伴う熱損失は少なくなります。

ダンパーと炉扉の開け閉めは、燃料の量と投入頻度に応じて適切に操作する必要があります。

これらの作業は、一般に燃料供給係の能力を試すものとなります。

これらの点に関しては、経験こそが唯一の指針となりますが、次のことを覚えておくと良いでしょう。

・ダンパーは常に燃焼を維持できる範囲でできるだけ閉じておくべきであること。

・強い火力にする場合は火格子の上部から空気を供給する必要があること。

・空気の供給と排出が多すぎると、燃焼が速くなり、気流速度が増し、煙突から熱が逃げてしまうこと。

・空気の供給が少なすぎて排出が多すぎると、二酸化炭素が発生すること。


燃料供給係は、以下の事項を確認しなければなりません。

・空気管とバルブが正常に作動していること。また、それらを含む装置のどの部分にも、汚れなどが詰まっていないこと。

・給水タンクの底に常に水があること。

・使用する水はきれいな雨水であること。

・そして、ボイラー、火格子、煙道、煙突にクリンカー(石炭の燃焼または製錬の副産物として生成される灰とシリカの溶解物)や煤などが付着していないこと。

2026年2月20日金曜日

19世紀末の園芸施設:40. 様々な暖房方法 III-10 低圧(常圧)温水暖房 −炉とボイラーの設置−

ボイラーのお話も終盤で、設置上の具体的なアドバイスになりました。薪のストーブやキッチンストーブとも関連する話題では?と思いました。家庭菜園で温室暖房に専用の薪ストーブをお持ちの方はめったにいらっしゃらないでしょうが、ご自宅の居間やキッチンで薪ストーブを楽しんでいらっしゃる方は結構多いのかも。うらやましぃ〜です。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

様々な暖房方法 Ⅲ 

低圧(常圧)温水暖房


炉とボイラーの設置

ボイラーの成否は、その設置方法に大きく左右されます。

設置以外の条件も重要ですが、注意深く&間違いなく設置することが、暖房の成否を分けることは間違いありません。

「燃料」の項で述べるように、燃焼に必要な酸素は空気から供給しなければいけません。

したがって、まず最初に留意すべきは、様々な燃料が必要とする空気の量を知ることです。

完全燃焼の場合、1ポンド(約450 g)の炭素を燃焼させるのに必要な空気量は最低限158立方フィート(約4.5 m3)、1ポンドの水素を燃焼させるには最低限473立方フィート(約13.4 m3)の空気が必要です。どちらも、空気が62°F(17℃)として想定される数値です。

しかし、煙突から排出される空気を分析すると、通常、約半分の酸素は燃焼に使われず、排気に残っていることが分かります。したがって実際には上記の2倍の量の空気が必要ということになります。

燃焼中に酸素が十分に供給されるのであれば、酸素原子2個が炭素原子1個と結合して炭酸ガス(CO2)が生成されます。

酸素量が不十分で、炭素原子1個が酸素原子1個としか結合できない場合は、一酸化炭素ガス(CO)が生成されます。
あるいは、酸素(O)と炭素(C)の比が2対1未満で1対1以上の場合、空気中の酸素の一部は炭酸ガスの生成に、残りは一酸化炭素ガスの生成に利用されます。

表XXVII.— 各種燃料の燃焼に必要な空気量

一酸化炭酸ガス(CO)が生成する際の発熱量は二酸化炭素ガス(CO2)が生成する場合の半分以下です。

ファーブルとシルバーマンの実験によると、1ポンド(約450g)の炭素が燃焼して一酸化炭素ガスになった場合には4,453 ジュールの熱しか発生しませんでした。一方、デュロンの実験によれば、同量の炭素が燃焼後二酸化炭素ガスになった場合は12,906ジュールの熱が発生することが示されています。(単位熱量「ジュール」については、「燃料」の項を参照。)

燃料分析(221ページ)によると、石炭には平均0.804の炭素が含まれており、(石炭中に存在する酸素を考慮すると)0.04206の水素が過剰に含まれていることがわかります。

したがって、1ポンドの石炭に必要な空気の立方フィートを求めるには、次の式を用います。

(0.804 x 158) + (0.04206 x 473) x 2 = 294 立法フィート(62°Fの空気)

このような計算式で、表XXVIIは作成されています。

ボックス氏は、蒸気機関の煙突からの排気(空気と燃焼生成物の混合)の温度を550°F(288 ℃)と想定した場合の様々な燃料における排気の体積を次のように推定しています。

表XXVIII — 様々な燃料を燃焼させた後に煙突から排出される空気の体積、など。

温水ボイラーは蒸気機関に比べ燃焼がはるかに遅く、燃焼生成物が炉から排出される(または排出されるべき)温度も低くく、62°F(17°C)と 500°F(260°C) の間で空気の体積は約2倍に膨張するため、前述の数値は多少修正される可能性があります。

このように、炉へ取り入れる空気の量に大きく依存することがわかります。

空気が少なすぎると一酸化炭素が発生しやすく;多すぎると通風速度が速くなって、(多くの愚かな燃焼作業者は喜びますが)炎が大きくなりやすくなります。すなわち、少なすぎても多すぎても燃焼効率は低下します。

空気は火格子および扉から炉内に入り、煙突から排出されます。

燃焼速度を適切にコントロールためには排気口の大きさを調整します。

空気は火格子の上からも下からも通過できますが、通常、より完全に燃焼させるには、下からのみにすることをお勧めします。

一般的に、火格子と同じ高さに、燃料を投入したりくべたりするための扉が炉に一つ設けられ、その下に灰を掻き出すための扉がもう一つ設けられています。

厚みが薄い火格子は厚いものより燃焼が長持ちします。空気は火格子が薄い方が厚いよりも素早く通過するので、より冷たい空気が供給されるからです。

火格子の厚さと空気層の厚さはどのサイズの火格子でも一定とみなすことができますが、中央の深さは、表に示すように長さに応じて変える必要があります。

そのため、火格子は固定されていますが、煙突へ通じる排気口の大きさは通常ダンパーによって調整できるようになっています。ダンパーの開度を適切に調整することが極めて重要であり、燃焼作業者が有能であるかどうかを判断するための主要な判断材料の一つとなります。

両扉とも、特に上の扉は正確な寸法のものである必要があります。

上の扉は、炉とボイラーの間に空気が入り込んで炉が冷えないように、きちんと閉まる必要があります。

下の扉は、必要に応じて火格子への空気の流入量を調節するのに利用します。

経験的に、またフッドやボックスなどの研究者による調査から得られた、火格子の最適な寸法を表XXIXに示します。

表XXIX.— 火格子の寸法
上部の厚さ7/8インチ。底部の厚さ3/8インチ。空間の隙間は3/8~1/2インチ。とした場合

火格子の長さは3フィート(0.9 m)を超えないようにします。

燃料の消費速度は、炉に入る空気の量、つまり火格子の表面積に依存し、炉全体の大きさには依存しません。

ただし、格子の面積が同じであれば(流入する空気の速度が同じなら)、炉が大きければ大きいほど、燃料を許される範囲で(積める限度量まで)、より多く保持でき、長時間燃焼を維持させることができます。


温室暖房における重要なポイント。


表XXX — 火格子面積と加温パイプの長さの関係(フードによる)​​


火格子面積に比例する燃料消費量は通風速度によって多少変化する可能性はありますが、他の条件が同じであれば、1平方フィートあたり1時間あたり10~11ポンドの石炭は妥当な消費量と考えられます。

このことから、それぞれの長さの加温パイプに対応した格子面積は、216ページの表XXXに示すとおりです。

温水ボイラーのなかには、一連の管で構成された特殊な火格子がボイラーに接続されているものもあります。

その目的は、加熱面積を増やすことです。

加熱面積を増やせば、ある程度、熱効率が上がりますが、水管の加熱される面積はさほど大きくないので、ボイラーの熱性能を大幅に向上させることはできません。これは、冷たい空気は水管の両側を絶えず通過するに過ぎないだけでなく、実際には炎の下の面は熱供給に全く貢献しないこと(201ページ参照)を考慮すれば、大きな効果はないと結論づけられます。

同時に、水管を使用すれば必然的に水圧が高くなることも認めざるを得ません。なお、ボイラーが火格子に接続され、戻り管はボイラーだけでなく水管に接続されているように注意する必要があります。そうしないと、この利点が失われます。

また、水管は固体の格子よりもはるかに燃焼が長持ちすることは間違いありません。

空気の供給は最も重要ですが、空気の排出については重要であるものの二次的な重要性でしかありません。

煙突に通じる炉の喉部は、空気の流入に比べて小さくする必要があります。

煙突の高さと断面積を決定する規則がいくつかありますが、それらはすべて、温水ボイラー用の煙突ではなくて、もっと強力な燃焼用の煙突に適用される規則です。

一般的に、煙突の高さはその場所の状況によって決められます。

断面積は、1時間あたりに消費される石炭約10~12ポンドにつき、14~20平方インチとします。

デッドプレートは、これは火格子表面の一部を塞ぐプレートですが、炉の前面からの熱をふせぐのに役立ちます。また、一部のボイラーでは、燃料を炉内に投入する際に、まずデッドプレート上に燃料を置き、十分に加熱されてから火口に押しやることで、完全に燃焼させるのに役立ちます。

ボイラーの型式ごとに設置方法が異なります。各ボイラーメーカーは通常、自社のボイラーに最適な設置方法の詳細を提供しています。

なお、設置場所は熱伝導率の低い材料で作る必要があることに注意してください。

ボイラーを設置する場所の内側は耐火レンガで覆う必要があります。

通常、煙突には普通のレンガが使用されますが、必要に応じて下部は耐火レンガで覆うことも可能です。

一般的に、モルタルはポルトランドセメントよりも優れています。ポルトランドセメントは耐熱性が低いためです。

煤扉(煙突の掃除や清掃ができない部分に取り付けられるドア)はピッタリとしていて、煙道などに煤が堆積しないようにする必要があります。

燃料庫、炉、ボイラーは、常に雨風の当たらない小屋で守る必要があります。そうしないと、ボイラーがいくら優れた断熱材の中に設置されていても、放射と対流によって熱が奪われるからです。


2026年1月31日土曜日

19世紀末の園芸施設:40. 様々な暖房方法 III-9 低圧(常圧)温水暖房 −独立型のボイラー−

   ボイラーの中でも作り付けでない、移設できるタイプの独立型ボイラーについての項です。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

様々な暖房方法 Ⅲ 

低圧(常圧)温水暖房


独立型のボイラー

ボイラーの設置場所に最適な材料は熱伝導率の低い素材(例えばレンガ)ですが、ボイラーを可搬式にしたいことが往々にあります。

可搬式の独立型ボイラーの場合は、通常、レンガではなく鉄が用いられます。鉄は熱が伝わりやすいので熱が逃げやすく、熱効率は若干犠牲にしなければなりません。

非常に小型の可搬式ボイラーは保温材で囲わなくてもはそれほど問題はありませんが、大型の可搬式ボイラーはストークホール(炉の前の作業部)の作業者が熱の輻射を受けないように何らかの手段を講じる必要があります。

通常の独立ボイラーは直立した円錐形で、水平断面の形は長方形または円形です。これは実質的には改良型のサドルボイラーと同じです。

図105は水平断面が長方形の円錐形独立ボイラーを示しています。

このボイラーは、前面にスライドドアがあり、背面にある絞りダンパーで空気の出入りを調整しています。

点線は円錐形の「フィーダー(燃料庫)」を示しており、ここに燃料を積んでおくことができます。

図105. 円錐形の独立ボイラー


直径4インチ、約100フィート(30メートル)以下の長さのパイプしか加熱する必要がなく、ストークホールのスペースが非常に限られている小型ボイラーにはこのようなタイプが非常に適しています。


図106と107は大型の独立型ボイラーを示しています。

これらのボイラーは、非常に巧妙な構造のエアジャケット(特許取得済み)を備えています。 

ご覧のとおり、ボイラーの周りには鉄製の囲いがあり、その囲いの外側にさらにもう一つの鉄製の囲いがあります。

外側の囲いの底部の孔から、この2重の囲いの間の空間へ空気を送り込みます。

内側の囲いに空けられた孔から入った空気の一部は火格子の下側に送り込まれ、残りの空気は2つの囲いの間を上昇し、炉の上部へ送り込まれます。

燃焼のための空気(酸素)の供給は火格子の下側に限られているため、炭酸ガス(CO2)が発生しますが、空気を上部から追加してやると炭酸ガスは炭酸(H2CO3)に変わるので、燃焼がスムーズに行われ熱損失が少なくなります。(213ページ参照)。

図106. 独立型の熱風炉ボイラー(デニス社特許、特許出願公開コードA2C)


さらに、二重の炉の囲いの間を絶えず空気が通過することによって生じる対流が外側の囲いから放射によって外へ逃げる熱を炉内に戻してくれます。

すなわち、この装置は「保温機能」と「給気加熱機能」を同時に備えていることになります。

さらに、炉の底だけでなく上部にも酸素が供給されるため、燃料をより厚く積んで燃やすことができるので、空気を火格子の下側からのみ供給するタイプよりも、焚べる作業が少なくてすみ、燃焼が長持ちします。

機関車などのボイラーでは、火格子に空気を供給するための様々な工夫があります。炉内の燃料が厚く積まれて燃焼している場合、火炉の上部からも空気を供給する必要があることがよく知られています。さもないと、二酸化炭素が満ちて燃焼不全になり、熱損失が甚大になるからです。


独立型ボイラーは、暖房を必要とする住宅内に設置してはいけません。

ボイラー自体から放射される熱を住宅の暖房に利用しようとするのは間違った節約方法です。

燃焼生成物が住宅内の空気と混ざり合うと、重大な被害を発生させる恐れがあるからです。


図107. 熱風囲いのある独立型の管状ボイラー。(デニス社特許、特許出願公開コードA1C)


19世紀末の園芸施設:41. 給水 IV-3 給水のための揚水の動力と水量の測定方法について

  小川から水を引いて庭に水を撒くのに必要な技術の説明です。敷地に小川が流れているとしたら、なんて素敵なんでしょう!堰を作って、中世の庭のように養魚池も作りたい💜 現実はプラスチック桶に雨水を貯めるのが関の山ですが。。。 HORTICULTURAL BUILDINGS.  By...