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2026年10月4日日曜日

18世紀のガーデニング:『誰もが庭師に』1月の家庭菜園での作業:キュウリとメロン2/2(発芽から定植まで)

寒さ厳しい1月に、畜ふんでの発酵熱下で、か弱い苗を育てるので、繊細な管理が要求されます。その場合の栽培管理方法が丁寧に解説されています。参考になることも多いですが、電気ヒーターなどで簡単に暖房できる現代のありがたさもつくづく感じます。

『Every man his own gardener(誰もが庭師に)』

1月の家庭菜園での作業

キュウリとメロン:発芽から定植まで

発芽したその日のうちに、その畝(うね)に前述の方法でさらに少しタネをまいておくのがよいでしょう。というのも、この時期の苗は様々な原因で枯れてしまう危険が高いからです。したがって最善の方法は、同じ畝に短い時間間隔で3回に分けてタネをまくことです。そうすれば、仮にいったん播種が失敗しても、次回、次々回の播種で成功する可能性が残ります。

最初の種まきであれ、その後の種まきであれ、発芽して2、3日経った頃には、小さな鉢に植え替える必要があります。その鉢も同様に温床(ホットベッド)内に置かなければなりませんが、その方法は次の通りです。


苗を鉢に植え替える前日に、肥沃で乾燥した土を鉢に詰めてフレーム内に置いておき、翌日までそのままにして土を温めておきます。

当日、鉢の縁から1インチ(約2.5cm)ほどの深さまで土を取り除きます。鉢に残した土の中央を少しくぼませておきます。苗は指を使って丁寧に持ち上げますが、その際、根をできるだけ傷めないようにし、根に付着した土もなるべく落とさないようにします。そして、根が鉢の中心に向くように苗を置いて、先ほど取り除いた土を使って、茎の根元を1インチほどの厚さで覆います。

キュウリの場合は1つの鉢に3〜4株を植え、メロンであれば1つの鉢に2株を植えます。

もし土が完全に乾いている場合は、根元にだけ少量の水を与えます。そして、すぐに鉢を苗床の土の中に埋め込みます。その際、鉢同士は密着させて並べ、鉢の間の隙間を土で埋めます。最後に、フレーム内の苗床全体を土で覆います。これは、堆肥から直接立ち上る強烈な蒸気が植物を枯らしてしまうのを防ぐためです。


植物の根が過度な発酵熱にさらされていないか、毎日注意深く確認してください。もしそのような兆候が見られたら、鉢を少し引き上げるか、あるいは苗を守るのに必要と思われる高さまで持ち上げ、過熱の危険がなくなってから、再び鉢の縁の高さまで埋め戻すようにします。


苗床の状態が良ければ、苗を植え替えから2、3日後には根付いているでしょう。もっとも、早ければ24時間(1日)で根付くこともあります。


苗がしっかりと根付いたら、日中で最も暖かい時間に少量の水を与えます。特に日光が当たっている時に行うと、植物により良い効果を与えることができます。鉢の土が乾いているのに気づいたら、その都度、適度な水やりを繰り返すようにしましょう。そのため、必要に応じてすぐに水やりができるよう、水を入れたボトルを1〜2本、常にフレーム(温床枠)の中に用意しておくとよいでしょう。


発酵が活発になって苗床の温度が上がってきたら、その熱をできるだけ長く保つために、乾燥した敷きわら(わら屑や古干し草、あるいは乾燥させたシダなどを長めにカットしたもの)を苗床の外囲に積み上げてください。その際の積み上げ高さは、枠の内側の土の高さに合わせて、段階的に高くしていくようにします。

こうすることで、大雨や降雪に見舞われた際にも苗床を守ることができます。もし雨や雪が苗床に直接降り注ぐと、苗床が冷やされて急激に熱が奪われ、植物の生育が著しく阻害される恐れがあるからです。


発酵熱が維持されているなら、温床内の温度と外気温に応じて、毎日、ガラス枠を少し傾けて植物に外気を取り入れてやることができます。ただし、外気が冷たい場合や風が吹いているときは、前述の通り、空気の入り口を覆うようにマットを枠から垂らしておくことを忘れないでください。これにより、風や冷気が直接フレーム内の植物に当たるのを防ぎ、単に開口部を開けている場合よりも、植物にとってずっと良い形で外気を取り入れることになります。


苗床を作ってから2週間ほど(多少前後あり)経ったら、熱が足りなくなっていないか注意深く確認してください。

熱がかなり下がってきたと判断したら、先の助言に従って苗床の周囲に敷いておいた藁(わら)、干し草あるいはシダなどを、苗床の前面や後面から取り除きます。

そして、熱の低下具合に応じて必要と思われる面(前か後ろの片側または前後両側)に、新鮮で発酵中の馬糞を「ライニング」します。このライニング層の厚さ幅は18インチ(約45cm)としますが、高さは苗床の馬糞塚よりもごくわずかに高くする程度にとどめてください。高くしすぎると、土や植物への伝熱が急になりすぎるからです。


ライニングし終えたらすぐに、その上面を土で2インチ(約5cm)の厚さに覆ってください。

こうすることで、新しい馬糞から出る刺激の強い蒸気が立ち昇るのを防げます。もし覆わない状態で換気のためにフレームを持ち上げると、その蒸気が内部に入り込み、植物に甚大な被害を及ぼすことになるからです。


ライニングを施すとすぐに発酵作用が始まり、苗床の温度が大きく回復して、さらに2週間ほど良好な状態を維持できるようになります。

側面に「ライニング」してから10〜12日後、苗床の両端面に置いていた敷きわら等を取り除き、そこに同様に発酵中の馬糞を積み上げてください。これにより、さらに2週間ほど温度を維持・増強することができます。

ライニングを施した後、その周囲全体を覆うように乾燥した長めに切ったわら等を厚く敷き詰めるとよいでしょう。そうすることで、吹き付ける冷たい雨や雪から苗床全体を保護し、苗床を植物の生育に適した温度に保つことができます。


このように適切な時期に熱をもった馬糞でライニングし、必要に応じて更新することで、苗床の温度を適切に維持することができます。その結果、植物は順調に生育し続け、果実を実らせるための大きな温床(本床)へ定植するのに適した大きさになるまで育てることができます。


なお、発酵馬糞が十分にあって、適切な設備が整っているならば、栽培を滞りなく最速で進めるため、苗床を作ってから約2週間後に、2つ目の「育苗用」温床を準備するとよいでしょう。これは、最初の苗床の熱が低下し始めた頃に鉢植えの苗をそこへ移して前述した方法で鉢を土に埋め込んで管理するためのものです。

この2つ目の温床の温度を前述の方法で維持し続け、最終的に本床(本栽培の温床)へ定植するのに適した大きさになるまで、ここで苗を育て、生育を促します。(次月の項を参照のこと)


「本葉」が幅が2〜3インチ(約5〜8cm)ほどの大きさに2枚展開し、茎が1〜2節ほど伸びた頃が、最終的な生育場所となる大型の温床(ホットベッドの本床)へ定植するのに適した時期です(次月の項を参照)。

なお、苗は第1節または第2節になった段階で「摘心」を行う必要があります。つまり、中心部に小さな芽のような形で伸びてきた最初の茎の先端を、2月の項で説明する通り、節のすぐ近くで摘み取るのです。

2026年9月20日日曜日

[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:2026年夏(6, 7, 8月)のまとめ

 ようやく涼しくなりかけましたが、

今年の夏も暑かった!しかも、ここでは2ヶ月近く雨が降らず、日照りの毎日でした。

”自然に還る”のキッチンガーデン 

2026年夏(6, 7, 8月)のまとめ

マルベリーの6月

 桑の木も大きくなって、たくさん実を付けました。毎日、午前・午後の2回ともザルいっぱいの収穫ができて幸せいっぱい。収穫量は多分2.5 kg以上あったと思います。ミニトマトも育苗しました。


途端に猛暑の7月

 7月初旬に梅雨明け。途端に猛暑になりました。暑いし、蚊は出るし。。。全然庭に出る気が起きない。。。。ミニトマトを定植したくらい。

 しかし、桑の木と柿の木の枝が伸びすぎて、お隣へ侵略しそう!あわてて枝を自宅に誘引しました。盛大にカットしたいけれど、それは葉が落ちてからヤルゾ!!!

 梅雨明け後、全く雨なし。満開直前だったアーティチョークも枯れました。

梅雨明け前のアーティチョーク(6月)
 今年も咲いてくれました。が、、、

梅雨明け後、満開になる前に枯れちゃいました。(7月)

枯れっ枯れの8月

 7月初旬の梅雨明け以降、8月も降雨なし。雑草までもが枯れ上がる始末。

 あまりの暑さに日中蚊も出てこないのは嬉しいのですが、暑くて人間も庭に出る気力なし。。。

 世間は節水キャンペーンをやっているし、水道代も怖いので、水撒きもせずズボラを決め込んでいたら、花が咲いていたミニトマトがすっかりカラカラに枯れているのを発見。収穫は1粒のみ(笑うしかない)。。。柿は1果を残して全て落果! 

 2ヶ月近く雨なし。8月末にようやく1回だけ雷雨がありました。日本列島は大洪水に見舞われた地域もありました。各地、過不足なく降ってくれたら、どんなに良いことでしょう。

楽しみにしていたミニトマト(7月)
百均ダイソーで買ったタネから。

ミニトマトはもちろん雑草も夏枯れ!(8月)
蚊が出ないのと草刈りしなくていいのはありがたいですが、何も育たない。。。


柿落果(7月)
  たくさん着果していたのですが、どんどん落果。

柿、最後の一果(8月)
唯一残った一果。収穫までいけるか?
台風で落ちませんように。








2026年8月29日土曜日

18世紀のガーデニング:『誰もが庭師に』1月の家庭菜園での作業:キュウリとメロン1/2(苗床の準備から発芽まで)

 1月は、早出しのキュウリとメロンの促成栽培を始めます。まずは温床の苗床の準備と発芽までです。

厩舎の未熟畜ふんを90cmの高さに積み上げて・・・となかなかワイルドで、かつ、こまめな注意が要求されます。

『Every man his own gardener(誰もが庭師に)』

1月の家庭菜園での作業

キュウリとメロン:苗床の準備から発芽まで

多くの園芸家にとって、いかに早くキュウリを収穫するかを互いに競い合い、優れた成果をあげることは大きな目標です。そのため、1月中に必要な準備を完全に整えておく必要があります。

具体的には、苗を育てるための「温床(ホットベッド)」用の堆肥を準備することです。キュウリは本来、非常にデリケートな性質を持つ外来作物であり、英国の気候下で屋外で育てられるようになる6〜7月までは、フレームやガラス面で覆い、人工的な熱を利用して保護・育成する必要があるからです。

フレームやガラスで覆った温床を利用すれば、2月、3月、4月あたりに完璧なキュウリ果を収穫することができます。

早出しの栽培に適したキュウリの品種は「早生イボあり短形」、「早生イボあり房成り」、「早生イボあり長形」です。どれも早生品種ですが、最後の「早生イボあり長形」は際立って見栄えのするキュウリ果になります。

早生(わせ)のメロンも必要なら「ロマーナ・メロン」や「カンタロープ・メロン」が最適です。

キュウリやメロンを促成栽培するなら、1月の今すぐに新鮮な馬糞を確保して育苗用の小さな温床(育苗床)を作る必要があります。そこで育てた苗は、後に実らせるため、より大きな温床内の畝へ定植することになります。

育苗用には、1枚または2枚の(彩光)ガラス窓を備えたフレーム程度の小さな温床で十分です。特に自家用であれば、適切な発熱性のある馬糞を荷車1台分、あるいは大型の手押し車(一輪車)で12〜15杯分ほど用意すれば、ガラスサッシ1枚分のサイズの温床で十分育苗することができます。それより大きな育苗温床にするなら、これに準じて厩肥量を調整すればよいでしょう。

厩ふんを入手したら、あらかじめ準備を整える必要があります。具体的には、塚状に積み上げてよくかき混ぜ、8日から10日ほど放置し発酵を促します。その期間が過ぎれば、温床(ホットベッド)を作るのに適した状態になります。

メロンを栽培するような、風当たりが弱く乾燥していて、かつ午前中の日差しや南からの日光がよく当たる場所に温床(ホットベッド)を設置します。

温床は、地面に直に作ることも、あるいは浅い穴を掘ってその中に作ることも可能です。穴は使用するフレーム枠の大きさに合わせて、深さ6〜12インチ(約15〜30cm)、幅4〜5フィート(約1.2〜1.5m)程度にします。

しかし、この時期のようにまだ春浅い季節には、地面に直に作る方が一般的で、最適でしょう。なぜなら、発酵熱が下がってきた際に、温床の側面に(底面まで)新鮮で発熱する堆肥を積み増して熱を補うことができるからです。

また、穴の中に作ると温床の底に水が溜まりやすく、それによって堆肥が冷やされ、熱がすぐに失われてしまうことがよくありますが、地面上に作ればそのような事態も防ぐことができます。

次に、フレーム枠の大きさに合わせて、4本の杭で苗床(ベッド)の寸法を印つけします。その際、枠よりも縦横それぞれ2〜3インチ(約5〜8cm)ほど広めに杭を打っておくようにします。

この準備ができたら、枠の大きさに合うように苗床を作り始めましょう。

堆肥を積み上げる際は、よくほぐして混ぜ合わせながら行い、作業を進めつつフォークの背で叩いて固めます。足で踏んで固めることはお勧めしません。強く踏み固められた苗床は、自然にゆっくりと馴染ませたものほどうまく発酵しないからです。

このようにして、苗床の高さが3フィート(約90cm)程度になるまで堆肥を積み上げていきます。高さはそれより5〜6インチ(約13〜15cm)高くなっても問題ありませんが、3フィートの高さは必ず確保するようにしてください。

所定の高さの苗床が完成したら、すぐにフレーム枠とガラスサッシを設置します。

熱が上がってくるまでは密閉しておき、熱が苗床の頂部まで伝わってきたら、蒸気を逃がすためにガラス面を持ち上げます。

苗床を作って3〜4日経ったら、土を被せる準備をします。その際、まず苗床の沈み方に不均一な箇所がないか確認し、枠とガラスサッシ(フレームとライト)を外して、凹凸をならし表面を平らに整えてから、再びフレームを設置します。そして、フレーム内の苗床全体を覆うように、厚さ約3インチ(約7.5cm)の乾いた土を入れます。

次に、肥沃で乾いた土を小さな鉢に詰め、それらをフレーム内に置いて、ガラスサッシを被せ、鉢の中の土が温まるまで密閉しておきます。

土が温まったら、各鉢にキュウリかメロンの種を数粒ずつ蒔きます。そして、鉢土と同じ土をタネの上に約半インチ(約1.3cm)の厚さで被せます。

それが済んだら、鉢を苗床の中央に置き、苗床の土をそれぞれの鉢の周囲に寄せます。

タネをまいた後の最初の3、4日はマット1枚だけで毎晩ガラスサッシを覆うようにします。

しかし、発酵熱が低下してくるにつれて覆いを厚くしていきます。その際、覆いのマットの端がフレームの側面から地面に着くほど垂れ下がらないように注意してください。きっちり覆うと有害な蒸気がこもり、そこに植物が密閉されてしまうと、徒長し黄色っぽく不健康な色になってしまう恐れがあるからです。

また、覆いをする際には次の点にも留意してください。苗床に強い熱や蒸気がこもっている間は、夕方にマットをかける際、ガラスサッシの上部の角を0.5インチ(約1.3cm)ほど、あるいはそれより多少多めか少なめに持ち上げ、蒸気を逃がすのが適切です。その際、持ち上げたガラスの隙間部分を保護するよう、マットの端を少しだけ垂らしておきます。

苗床(温床)自体がまだ非常に高温なので、鉢の中の土が熱くなりすぎないよう細心の注意を払う必要があります。種を鉢にまく意義がここにあります。

というのも、タネをまいた後に「焼け(過熱による傷害)」の兆候が見られた場合、タネや苗を一切乱すことなく、危険の原因となっている発酵堆肥から鉢を容易に遠ざけることができるからです。

そして、毎日苗床の状態を点検し、フレーム内部にこもった強烈な蒸気が「焼けるような」熱を帯びている間、適切に換気します。こうすれば過剰な熱によるあらゆる害を防ぐことができます。


タネをまいてから3〜4日もすれば、芽が出てくるでしょう。

その頃には、毎日ガラスサッシの上側の端を少しずつ持ち上げて新鮮な空気を入れ、換気を行うのが適切です。

また、鉢の土が乾いているようなら、一晩温床内に置いておいた汲み置きの水を少量与えて適度に湿らせ、夜間は引き続きガラスサッシに園芸用マットを掛けて覆うようにしてください。

この時期、もし温床の熱が強すぎると感じたら、夕方に覆いをする際、支え棒を使ってガラス枠を少し持ち上げ、蒸気を逃がすようにします。

その際、持ち上げたガラス面枠の端からマットが垂れ下がるように枠へ固定しておけば、植物に悪影響が及ぶことはなく、むしろ良い効果が得られるでしょう。(マットがかかっていることで外の冷気がゆっくりと入るため)

熱が落ち着いてきたら、夜間はガラスサッシをしっかりと閉めても構いませんが、日中は機会を見つけて常に新鮮な空気を入れるよう心がけてください。ただし、風が強い日や空気が非常に冷たい日は、前述のように開口部にマットを掛けておくとよいでしょう。

2026年8月9日日曜日

18世紀のガーデニング:『誰もが庭師に』序文

フランス革命(1789年)の頃、1782年ロンドンで出版された園芸書です。なんだか期待をもたせる序文です。

当時最先端のきわめて実践的な栽培法が園芸暦として解説されているそうなので読んでみたくなりました。

なお、温暖化の影響が顕著でなかった19世紀の園芸書はどれも、暑さ対策はせいぜい「外気をたっぷり取り入れて」といった程度です。暑さに対する園芸指南は現代の園芸書に期待です。


2026年7月19日日曜日

19世紀末の園芸施設:44. 保険

  19世紀(1800年代)の園芸施設(主に温室)について、本書を辿ってきましたが、いよいよ最後の「保険」の項になりました。

 現代日本の温室の保険といえば “園芸施設共済”が思い浮かびます。台風や大雪などの自然災害、火災、病虫害などに対応していて、掛け金の半分は国が負担してくれる有難い保険ですが、農家さん対象です。非農家だと、一般住宅向け保険に含めるようなかたちになるでしょうか。

 19世紀の園芸施設の保険対象や補償の考え方は現代と合い通じるものがあって、ルーツを感じさせてくれます(もちろん、現代の新しい施設や設備用にアップデートされていますが)。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

保険

 庭師や園芸家は火災や雹(ひょう)によって甚大な被害をしばしば被ることがありますが、保険契約によってそれに備えることをしていないと、さらに残念なことになると言わざるを得ません。

激しい雹を伴う嵐のような災害が発生した際、保険会社が提供する補償を受ける被災者がいかに少ないかという現状は奇妙で注視するべき事実です。

 以下は、代表的な保険会社であるロイヤル・ファーマーズ保険会社が親切にも私に提供してくれた情報であり、参考になると思われます。

グリーンハウス(温室)やコンサバトリーについては、火災補償額100ポンドあたり年間4シリング6ペンス(保険金額の0.225%)の賭け金で契約できますが、園芸施設内部にある植物や果実などの動産については、特別な事情がない限り保険の対象とはなりません。

こうした園芸施設において配管内を空気や水が循環する方式で暖房する場合、配管が可燃物に直接接触しておらず、かつ熱源(火炉)が施設建屋の外部に設置されていれば、危険なものとはみなされることはありません。

 落雷による損害については、落雷によって火災が発生しなかった場合でも、補償の対象となります。

 また、ガラスが雹(ひょう)の被害を受けた場合の損害を補償する保険契約も、以下の保険料率で契約可能です。


板ガラス(1平方フィートあたり16オンス以上):20シリング(100ポンドあたり)
〃   (1平方フィートあたり13オンス) :30シリング(100ポンドあたり)
プレートガラス                                            :40シリング(100ポンドあたり)
クラウンガラス                                            :42シリング(100ポンドあたり)

ここで、£1(1ポンド)は20s(20シリング)として計算。


ガラスを補償対象とする場合は以下の事項を申告する必要があります。

・ガラスの種類。

・ガラス面の特定に必要な、各建物の概要および寸法。

・当該建物に含まれるガラスの面積(平方フィート数)。

・建物の所在地。

・ガラスの1平方フィートあたりの価格(再取り付けおよび枠の塗装費用を含む)。

・各建物におけるガラスの推定価額。

・建物内のすべてのガラスを補償対象からはずす場合は、補償対象部分を明示する必要があります。





2026年7月3日金曜日

19世紀末の園芸施設:43. 法的規制

 現代日本においては、基礎がなく、被覆のプラスチックフィルムを簡単に取り外しできる温室(プラスチックフィルムハウス)なら法律上の建築確認申請は必要ないらしいですが、家庭用の場合、10平米以上の広さ、防火地域、自治体の定めるルールなどで、諸々、法律遵守や許可のとりつけが必要です。ここに解説されているのは19世紀の海外(イギリス)の法的規制ですが、現代日本の法的規制のルーツにつながるものもあるんだな、と感じさせます。

 お金と労力をかけられない場合は、トンネル栽培や温床、コールドフレームになってしまうのは、19世紀も現代も似たようなものですね。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

法的規制

園芸用建物では法律や慣例上判断しなければならないことが頻繁に生じます。 


賃借人の備品や設備について

苗生産業者や販売目的の園芸業者など、営利目的で使用する温室を建設する者に関しては、明確な法的規定が定められています。

こうした業者が賃借人の場合、賃借人が建設した建築物は、賃貸借期間中であれば賃借人はいつでも自由に取り外すことができます。

一方、商売目的以外で温室を建設する者に対しては、法律は次のように定めています。

「土地や建物(不動産)に固定された温室は、その一部となる」という原則に加え、「庭に建てられ、ガラスと木材で構成され、かつモルタルで煉瓦の基礎に接合された温室は、それを建設した賃借人が勝手に取り外すことはできない」とされています。

苗生産者や市場販売する園芸業者は小木や低木を取り外すことも認められていますが、商売上の必要性がない場合は認められません。この点に関して、法律の規定は極めて明確です。

しかし、賃借人が、例えば住宅に接合、あるいは庭の塀の上や塀に接して小さな温室を建て、賃貸借契約終了時にそれを撤去して持ち去る権利を法的に確保したい場合には問題が生じます。

彼らは、温室を一般的な煉瓦の基礎の上に据えたり、借りている土地や建物(不動産)に固定したりしてはならないことを理解しています。

しかし、温室を建ててくれる業者は容易に見つけることができますし、その業者は彼らに対して、「レンガの基礎とその上に載る木製の土台(木枠)の間にはモルタルが使われていない」ことや「ボルトとナットで一時的に壁に固定するだけにすれば、温室自体を借りている土地や建物(不動産)に固定・定着しないようにする」ことで、その温室は「借主の所有物」とみなされますよと賃借人を説得するはずです。

やがて賃貸借契約の終了時が訪れ、借主が温室を運び出そうとすると、家主が立ちはだかり、家主の権威を盾に温室を撤去することを禁じます。

不意を突かれた借主は自らの法的権利を思い出して、家主と争う決意をします。そして裁判沙汰となります。

弁護士による、こと細かな法理の応酬が繰り広げられますが、借主が勝訴する見込みは薄いでしょう。

著者がこれまで見てきたいくつかの事例から判断するなら、借主が賃貸中に自費で建てた温室を撤去する法的権利が完全に保証されることはまずありません。例外は、完全に車輪付きの構造にして、いつでも好きな時に裏門から出し入れできるようにした場合だけです。

しかし、上記のような法的な困難さが生じる可能性に対して解決策があります。それは次のような方法です。

借主は温室を建てる前に、家主から確約を取り付けておくのです。その確約とは、借主が温室建設前の状態に敷地を戻すことを条件に、賃貸借期間中であればいつでも借主がその温室を撤去することを家主が認める、というものです。

そうすれば誰もが納得し、不必要で煩わしい訴訟も防ぐことができます。

レンガ組みに設置されたボイラーを金属配管や一般的なセメント接合の配管にしたりすると、撤去できなくなります。

しかし、ゴム製などの取り外し可能な継手(ジョイント)を使用した温水配管にすれば、レンガ組みに設置されたボイラーから容易に外して撤去することができます。あるいは、継手付きの配管にして、ボイラーも可搬式の独立型のものにすれば、「借主の所有物」として取り外して持ち去ることができます。



共用壁*、等
*隣り合う2つの土地や建物の境界線上に建てられ、双方の所有者が共有している壁

軒や雨樋が隣地の敷地に張り出している場合、隣地の所有者は、雨水が自分の土地に流れ込むなどの実害が発生するのを待たずに、それらの撤去を要求できる法的権利を持っています。

ただし、この措置を講じる前に、その所有者に通知し、問題となっている張り出し部分を撤去してもらうほうが賢明です。

張り出した雨樋や軒が20年間、何も措置されずに存在していた場合は地役権が生じます。

2人の借家人どうしが隣接している共有壁(庭壁など)に沿って、あるいはその上に温室を建設しようとする場合、慎重な予防措置として、それぞれの家主の同意や合意を事前に取っておく必要があります。


都市建築法
(ロンドンおよびその近隣地域を対象とする。)

この地域内に温室を建設する際は、同法の規定(別表 I)に従わなければなりません。その表には次のように定められています。

「すべての建築物は、煉瓦、石材、またはその他の堅固かつ不燃性の材料で築かれた壁によって囲まれていなければならず、その基礎は、堅固な地盤、あるいはコンクリートやその他の堅固な下部構造の上に設置されなければならない。」

いくつかの事例において、その表に記載された規定として、木材などの可燃性材で壁を建設することを禁止する判例が出ています。

ただし、第6条によれば、以下の条件を満たす温室(「窓枠、扉、および骨組みに必要な木造部分」および、建物全体)は、本法の適用対象外とされます。

「公道・私道を問わず、最寄りの通りや路地から少なくとも8フィート(約2.4 m)離れていて、かつ、最も近い建物や隣接地との境界から少なくとも30フィート(約9.1 m )離れている場合」は本法の規制から除外する。

いずれの場合も、建設に着手する前に地区の測量官へ申告し、本法で定められた手数料を支払わなければいけません。

建物のすぐ近くで火を扱う場合や蒸気輸送の配管にする場合などについては、本法第21条で以下の通り規制されます。


1. 営利や製造目的で使用する焼成炉または加熱炉の直下の床およびその周囲18インチ(約46 cm)の範囲の床は、不燃かつ非伝熱性の材料で作らなければならない。

2. 煙、加熱空気、蒸気、あるいは高温水を輸送する配管は、街路、路地、馬車道および公共道路に面した建物の外壁に取り付けてはならない。

3. 加熱空気あるいは蒸気を輸送する配管は、可燃性材料から6インチ(約15 cm)以上離して設置しなければならない。

4. 高温水を輸送する配管は、可燃性材料から3インチ(約8 cm)以上離して設置しなければならない。

5. 煙またはその他の燃焼生成物を輸送する配管は、可燃性材料から9インチ(約23 cm)未満の距離に設置してはならない。

本条の規定を遵守しない者は、各違反ごとに20ポンド以下の罰金を科すものとし、その罰金は治安判事立会いのうえで徴収されるものとする。


別表IIに基づき地区測量官に支払うべき手数料は以下の通りです。

新築建築物の手数料

床面積が400平方フィート(約37 m2)以下かつ高さが2階建て以下の建築物については……

増築ごとに、

・追加面積が100平方フィート(約9.3 m2)またはその端数ごとに、

・床面積が400平方フィート以下かつ平屋(1階建て)の建築物ごとに、

その手数料は10ポンドを超えないものとする。

・これは園芸用建築物に通常適用される手数料である。


地方委員会等

郊外や地方においては、地方委員会等による管轄を無視してはならない。



建築家、測量士等の専門職の報酬基準は、「ハースト」によれば以下のとおりです。

建築家の報酬

予備スケッチおよび設計の完了、敷地測量、基本図面、仕様書および概算見積書の作成、実施設計、直接的な監理・監督(現場常駐監督員を除く)を含む業務に対し、工事見積額の5パーセントとする。

この報酬規定に基づき、建築家は図面1式、トレース図1式、および仕様書2部を提供する義務を負うものとする。ただし、建築家への報酬はあくまで図面および仕様書の「使用」に対する対価であり、それらの所有権は業務完了後も建築家に帰属するものとする。

上記に加え、以下の費用を別途請求することができる。

・工事入札の手配および審査:0.5パーセント。

・彫刻物、ステンドグラス、その他類似の制作物(建築家自身が設計を行わないものの、全体的な監理を行うもの)について、芸術家や専門業者等と調整を行う業務:2.5パーセント。

・旅費および付随経費

・「測量・鑑定料金」に基づいて、工事の出来高を算定し、追加・変更工事(増減工事)に関して施工業者の請求内容を査定・承認する業務。

・小規模な工事や特殊な工事については、別途料金を取り決めることができる。

測量士の報酬

・小規模な新築工事や修繕工事における計測業務(内訳明細書の作成を含む):2.5%

・図面および仕様書に基づく数量の算定、ならびに小規模または複雑な工事の数量明細書の作成:2.5%

・極めて小規模な工事については、日当制とする。

・大規模な建築物については、その規模および複雑さに応じて算定する。

・リトグラフ(印刷)代および旅費・交通費は別途請求とする。


2026年6月12日金曜日

19世紀末の園芸施設:42. 気象学 Ⅱ 風向,風速,雨量の測定とデータシート

  今や、気象の測定には通信機能付きの測器や記録・分析アプリもあって便利で効率的!

 さらには、AIに「毎日、気象を測ってデータシートにまとめて、毎週アドバイスレポートを送って。」とかお願いしておくと、どんどん作ってくれるんでしょうね。

 でも、ここで紹介されているのは手書き用のデータ記録シートです。これはこれで、毎日の気象の変化を書き留めてレトロな気分を味わうのも楽しいかも(時間があるなら)。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

気象学 Ⅱ.


風向計

風向も大切な測定項目であり、これを正確に知るためには、矢羽が局所的な風や何かによって誘導された風の流れの影響をできる限り受けないように注意する必要があります。

矢羽は風向きに容易に追従し、摩擦は最小限に抑えられ、抵抗は軸の片側にだけ集中してかかる必要があります。

抵抗が両側に等しくかかっていると、矢羽は風向き方向を向かず、全く機能しません(スロットル式換気装置と同じ原理です。参照リンク予定)。この場合、矢羽は平衡状態に陥っています。


風速計

この測器(図119参照)は風速を測定するのに有用なことが多いです。この風速計がない場合は、風圧計で風の圧力を測定します。


図. 119.—風速計 

雨量計

図120 ― グレイシャー式 8インチ雨量計

図121 ― ネグレッティ&ザンブラ式 5インチ雨量計

降雨量は、漏斗型の測器部分と100分の1インチ精度で目盛りを付けたガラス製の計量カップを組み合わせれば簡単に測定できます。

「給水」の項(リンク予定)で述べたように、イギリスの年間降雨量は20~70インチ(508~1778 mm)ですが、平均は30インチ(762 mm)と考えてよいでしょう。屋根から集めることができる雨水量は年間約18インチ(457 mm)です。

気圧と降雨量はインチ単位で、温度計は°F単位で測定されます。インチや°Fの端数は小数で表わします。
イギリスで使用されている温度目盛は華氏°Fで、凝固点は32°F、沸点は212°Fとされ、32〜122°Fの間の華氏温度は等間隔に比例配分された数値になります。他の国では、摂氏温度℃(凝固点0℃、沸点100℃)やレオーミュール温度°Ré(凝固点0°Ré、沸点80°Ré)といった、我々のと異なる2つの温度単位が用いられています(図122)。


以下の風速と風圧の対応表は参考になるでしょう。

表 37 ― 風速と風圧の対応表(モルズワースによる)


図 122 温度スケール


以下は、『園芸学雑誌』から抜粋した、1週間分の気象観測の記録シート(単位は現代に合わせて改変)です。
もちろん、温室などの様々な場所で温度を測定する必要がある場合、列を追加することができます。


図122.  気象観測記録シート






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