フランス革命(1789年)の頃、1782年ロンドンで出版された園芸書です。なんだか期待をもたせる序文です。
当時最先端のきわめて実践的な栽培法が園芸暦として解説されているそうなので読んでみたくなりました。
なお、温暖化の影響が顕著でなかった19世紀の園芸書はどれも、暑さ対策はせいぜい「外気をたっぷり取り入れて」といった程度です。暑さに対する園芸指南は現代の園芸書に期待です。
19世紀あたりの温室やフレームを使った園芸に関する記事などを覚え書きとしてメモしています。
フランス革命(1789年)の頃、1782年ロンドンで出版された園芸書です。なんだか期待をもたせる序文です。
当時最先端のきわめて実践的な栽培法が園芸暦として解説されているそうなので読んでみたくなりました。
なお、温暖化の影響が顕著でなかった19世紀の園芸書はどれも、暑さ対策はせいぜい「外気をたっぷり取り入れて」といった程度です。暑さに対する園芸指南は現代の園芸書に期待です。
19世紀(1800年代)の園芸施設(主に温室)について、本書を辿ってきましたが、いよいよ最後の「保険」の項になりました。
現代日本の温室の保険といえば “園芸施設共済”が思い浮かびます。台風や大雪などの自然災害、火災、病虫害などに対応していて、掛け金の半分は国が負担してくれる有難い保険ですが、農家さん対象です。非農家だと、一般住宅向け保険に含めるようなかたちになるでしょうか。
19世紀の園芸施設の保険対象や補償の考え方は現代と合い通じるものがあって、ルーツを感じさせてくれます(もちろん、現代の新しい施設や設備用にアップデートされていますが)。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
庭師や園芸家は火災や雹(ひょう)によって甚大な被害をしばしば被ることがありますが、保険契約によってそれに備えることをしていないと、さらに残念なことになると言わざるを得ません。
激しい雹を伴う嵐のような災害が発生した際、保険会社が提供する補償を受ける被災者がいかに少ないかという現状は奇妙で注視するべき事実です。
以下は、代表的な保険会社であるロイヤル・ファーマーズ保険会社が親切にも私に提供してくれた情報であり、参考になると思われます。
グリーンハウス(温室)やコンサバトリーについては、火災補償額100ポンドあたり年間4シリング6ペンス(保険金額の0.225%)の賭け金で契約できますが、園芸施設内部にある植物や果実などの動産については、特別な事情がない限り保険の対象とはなりません。
こうした園芸施設において配管内を空気や水が循環する方式で暖房する場合、配管が可燃物に直接接触しておらず、かつ熱源(火炉)が施設建屋の外部に設置されていれば、危険なものとはみなされることはありません。
落雷による損害については、落雷によって火災が発生しなかった場合でも、補償の対象となります。
また、ガラスが雹(ひょう)の被害を受けた場合の損害を補償する保険契約も、以下の保険料率で契約可能です。
板ガラス(1平方フィートあたり16オンス以上):20シリング(100ポンドあたり)
〃 (1平方フィートあたり13オンス) :30シリング(100ポンドあたり)
プレートガラス :40シリング(100ポンドあたり)
クラウンガラス :42シリング(100ポンドあたり)
ここで、£1(1ポンド)は20s(20シリング)として計算。
ガラスを補償対象とする場合は以下の事項を申告する必要があります。
・ガラスの種類。
・ガラス面の特定に必要な、各建物の概要および寸法。
・当該建物に含まれるガラスの面積(平方フィート数)。
・建物の所在地。
・ガラスの1平方フィートあたりの価格(再取り付けおよび枠の塗装費用を含む)。
・各建物におけるガラスの推定価額。
・建物内のすべてのガラスを補償対象からはずす場合は、補償対象部分を明示する必要があります。
現代日本においては、基礎がなく、被覆のプラスチックフィルムを簡単に取り外しできる温室(プラスチックフィルムハウス)なら法律上の建築確認申請は必要ないらしいですが、家庭用の場合、10平米以上の広さ、防火地域、自治体の定めるルールなどで、諸々、法律遵守や許可のとりつけが必要です。ここに解説されているのは19世紀の海外(イギリス)の法的規制ですが、現代日本の法的規制のルーツにつながるものもあるんだな、と感じさせます。
お金と労力をかけられない場合は、トンネル栽培や温床、コールドフレームになってしまうのは、19世紀も現代も似たようなものですね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
園芸用建物では法律や慣例上判断しなければならないことが頻繁に生じます。
苗生産業者や販売目的の園芸業者など、営利目的で使用する温室を建設する者に関しては、明確な法的規定が定められています。
こうした業者が賃借人の場合、賃借人が建設した建築物は、賃貸借期間中であれば賃借人はいつでも自由に取り外すことができます。
一方、商売目的以外で温室を建設する者に対しては、法律は次のように定めています。
「土地や建物(不動産)に固定された温室は、その一部となる」という原則に加え、「庭に建てられ、ガラスと木材で構成され、かつモルタルで煉瓦の基礎に接合された温室は、それを建設した賃借人が勝手に取り外すことはできない」とされています。
苗生産者や市場販売する園芸業者は小木や低木を取り外すことも認められていますが、商売上の必要性がない場合は認められません。この点に関して、法律の規定は極めて明確です。
しかし、賃借人が、例えば住宅に接合、あるいは庭の塀の上や塀に接して小さな温室を建て、賃貸借契約終了時にそれを撤去して持ち去る権利を法的に確保したい場合には問題が生じます。
彼らは、温室を一般的な煉瓦の基礎の上に据えたり、借りている土地や建物(不動産)に固定したりしてはならないことを理解しています。
しかし、温室を建ててくれる業者は容易に見つけることができますし、その業者は彼らに対して、「レンガの基礎とその上に載る木製の土台(木枠)の間にはモルタルが使われていない」ことや「ボルトとナットで一時的に壁に固定するだけにすれば、温室自体を借りている土地や建物(不動産)に固定・定着しないようにする」ことで、その温室は「借主の所有物」とみなされますよと賃借人を説得するはずです。
やがて賃貸借契約の終了時が訪れ、借主が温室を運び出そうとすると、家主が立ちはだかり、家主の権威を盾に温室を撤去することを禁じます。
不意を突かれた借主は自らの法的権利を思い出して、家主と争う決意をします。そして裁判沙汰となります。
弁護士による、こと細かな法理の応酬が繰り広げられますが、借主が勝訴する見込みは薄いでしょう。
著者がこれまで見てきたいくつかの事例から判断するなら、借主が賃貸中に自費で建てた温室を撤去する法的権利が完全に保証されることはまずありません。例外は、完全に車輪付きの構造にして、いつでも好きな時に裏門から出し入れできるようにした場合だけです。
しかし、上記のような法的な困難さが生じる可能性に対して解決策があります。それは次のような方法です。
借主は温室を建てる前に、家主から確約を取り付けておくのです。その確約とは、借主が温室建設前の状態に敷地を戻すことを条件に、賃貸借期間中であればいつでも借主がその温室を撤去することを家主が認める、というものです。
そうすれば誰もが納得し、不必要で煩わしい訴訟も防ぐことができます。
レンガ組みに設置されたボイラーを金属配管や一般的なセメント接合の配管にしたりすると、撤去できなくなります。
しかし、ゴム製などの取り外し可能な継手(ジョイント)を使用した温水配管にすれば、レンガ組みに設置されたボイラーから容易に外して撤去することができます。あるいは、継手付きの配管にして、ボイラーも可搬式の独立型のものにすれば、「借主の所有物」として取り外して持ち去ることができます。
軒や雨樋が隣地の敷地に張り出している場合、隣地の所有者は、雨水が自分の土地に流れ込むなどの実害が発生するのを待たずに、それらの撤去を要求できる法的権利を持っています。
ただし、この措置を講じる前に、その所有者に通知し、問題となっている張り出し部分を撤去してもらうほうが賢明です。
張り出した雨樋や軒が20年間、何も措置されずに存在していた場合は地役権が生じます。
2人の借家人どうしが隣接している共有壁(庭壁など)に沿って、あるいはその上に温室を建設しようとする場合、慎重な予防措置として、それぞれの家主の同意や合意を事前に取っておく必要があります。
この地域内に温室を建設する際は、同法の規定(別表 I)に従わなければなりません。その表には次のように定められています。
「すべての建築物は、煉瓦、石材、またはその他の堅固かつ不燃性の材料で築かれた壁によって囲まれていなければならず、その基礎は、堅固な地盤、あるいはコンクリートやその他の堅固な下部構造の上に設置されなければならない。」
いくつかの事例において、その表に記載された規定として、木材などの可燃性材で壁を建設することを禁止する判例が出ています。
ただし、第6条によれば、以下の条件を満たす温室(「窓枠、扉、および骨組みに必要な木造部分」および、建物全体)は、本法の適用対象外とされます。
「公道・私道を問わず、最寄りの通りや路地から少なくとも8フィート(約2.4 m)離れていて、かつ、最も近い建物や隣接地との境界から少なくとも30フィート(約9.1 m )離れている場合」は本法の規制から除外する。
いずれの場合も、建設に着手する前に地区の測量官へ申告し、本法で定められた手数料を支払わなければいけません。
建物のすぐ近くで火を扱う場合や蒸気輸送の配管にする場合などについては、本法第21条で以下の通り規制されます。
1. 営利や製造目的で使用する焼成炉または加熱炉の直下の床およびその周囲18インチ(約46 cm)の範囲の床は、不燃かつ非伝熱性の材料で作らなければならない。
2. 煙、加熱空気、蒸気、あるいは高温水を輸送する配管は、街路、路地、馬車道および公共道路に面した建物の外壁に取り付けてはならない。
3. 加熱空気あるいは蒸気を輸送する配管は、可燃性材料から6インチ(約15 cm)以上離して設置しなければならない。
4. 高温水を輸送する配管は、可燃性材料から3インチ(約8 cm)以上離して設置しなければならない。
5. 煙またはその他の燃焼生成物を輸送する配管は、可燃性材料から9インチ(約23 cm)未満の距離に設置してはならない。
本条の規定を遵守しない者は、各違反ごとに20ポンド以下の罰金を科すものとし、その罰金は治安判事立会いのうえで徴収されるものとする。
別表IIに基づき地区測量官に支払うべき手数料は以下の通りです。
床面積が400平方フィート(約37 m2)以下かつ高さが2階建て以下の建築物については……
増築ごとに、
・追加面積が100平方フィート(約9.3 m2)またはその端数ごとに、
・床面積が400平方フィート以下かつ平屋(1階建て)の建築物ごとに、
その手数料は10ポンドを超えないものとする。
・これは園芸用建築物に通常適用される手数料である。
郊外や地方においては、地方委員会等による管轄を無視してはならない。
建築家、測量士等の専門職の報酬基準は、「ハースト」によれば以下のとおりです。
予備スケッチおよび設計の完了、敷地測量、基本図面、仕様書および概算見積書の作成、実施設計、直接的な監理・監督(現場常駐監督員を除く)を含む業務に対し、工事見積額の5パーセントとする。
この報酬規定に基づき、建築家は図面1式、トレース図1式、および仕様書2部を提供する義務を負うものとする。ただし、建築家への報酬はあくまで図面および仕様書の「使用」に対する対価であり、それらの所有権は業務完了後も建築家に帰属するものとする。
上記に加え、以下の費用を別途請求することができる。
・工事入札の手配および審査:0.5パーセント。
・彫刻物、ステンドグラス、その他類似の制作物(建築家自身が設計を行わないものの、全体的な監理を行うもの)について、芸術家や専門業者等と調整を行う業務:2.5パーセント。
・旅費および付随経費
・「測量・鑑定料金」に基づいて、工事の出来高を算定し、追加・変更工事(増減工事)に関して施工業者の請求内容を査定・承認する業務。
・小規模な工事や特殊な工事については、別途料金を取り決めることができる。
・小規模な新築工事や修繕工事における計測業務(内訳明細書の作成を含む):2.5%
・図面および仕様書に基づく数量の算定、ならびに小規模または複雑な工事の数量明細書の作成:2.5%
・極めて小規模な工事については、日当制とする。
・大規模な建築物については、その規模および複雑さに応じて算定する。
・リトグラフ(印刷)代および旅費・交通費は別途請求とする。
今や、気象の測定には通信機能付きの測器や記録・分析アプリもあって便利で効率的!
さらには、AIに「毎日、気象を測ってデータシートにまとめて、毎週アドバイスレポートを送って。」とかお願いしておくと、どんどん作ってくれるんでしょうね。
でも、ここで紹介されているのは手書き用のデータ記録シートです。これはこれで、毎日の気象の変化を書き留めてレトロな気分を味わうのも楽しいかも(時間があるなら)。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
風向も大切な測定項目であり、これを正確に知るためには、矢羽が局所的な風や何かによって誘導された風の流れの影響をできる限り受けないように注意する必要があります。
矢羽は風向きに容易に追従し、摩擦は最小限に抑えられ、抵抗は軸の片側にだけ集中してかかる必要があります。
抵抗が両側に等しくかかっていると、矢羽は風向き方向を向かず、全く機能しません(スロットル式換気装置と同じ原理です。参照リンク予定)。この場合、矢羽は平衡状態に陥っています。
降雨量は、漏斗型の測器部分と100分の1インチ精度で目盛りを付けたガラス製の計量カップを組み合わせれば簡単に測定できます。
「給水」の項(リンク予定)で述べたように、イギリスの年間降雨量は20~70インチ(508~1778 mm)ですが、平均は30インチ(762 mm)と考えてよいでしょう。屋根から集めることができる雨水量は年間約18インチ(457 mm)です。
気圧と降雨量はインチ単位で、温度計は°F単位で測定されます。インチや°Fの端数は小数で表わします。
イギリスで使用されている温度目盛は華氏°Fで、凝固点は32°F、沸点は212°Fとされ、32〜122°Fの間の華氏温度は等間隔に比例配分された数値になります。他の国では、摂氏温度℃(凝固点0℃、沸点100℃)やレオーミュール温度°Ré(凝固点0°Ré、沸点80°Ré)といった、我々のと異なる2つの温度単位が用いられています(図122)。
以下の風速と風圧の対応表は参考になるでしょう。
以下は、『園芸学雑誌』から抜粋した、1週間分の気象観測の記録シート(単位は現代に合わせて改変)です。
もちろん、温室などの様々な場所で温度を測定する必要がある場合、列を追加することができます。
19世紀の気圧計と温度計はちょっとレトロだけど現代のもの変わらないのが、図版から見てとれます。ただし、温度計の中身は水銀だったりしますけど。
シンプルで丈夫なバイメタル方式の温度計は、現在でも同じ原理の火災報知器やハウスの低温警報装置などいろいろなところで、目立ちませんが、活躍してくれてますよね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
大気の状態、すなわち気温や関連するあらゆる事象、さらには、その測定機器は、栽培において非常に重要であるため、ここでは初歩的な気象学について少し触れることにいたしましょう。
図版は、ネグレッティ氏とザンブラ氏のご厚意により提供いただいた版画から引用しています。
よく知られているように、大気の重さは常に変化していますが、大気圧と正確に釣り合う水銀柱の高さで大気の重さを測定することができます。
この水銀柱が「気圧計」と呼ばれるもので、園芸家にとって最も有用な気象観測機器の一つです。この気圧計の測定値と気温などの他の気象指標とを併せて用いれば、多くの場合、天候の変化を予測するのに役立ちます。
気圧計を用い測定を行う際には、通常、管内の水銀の高さを気温華氏33度(摂氏0度)と海面高度で「補正」します。
園芸家にとって気圧計の次に重要な気象観測機器は「温度計」すなわち温度を測る器具です。
温度計はごく一般的な器具なので説明は不要でしょう。水銀温度計の動作原理としては、水銀は熱によってガラスよりもはるかに大きく体積が膨張するという事実に基づいている、とだけ述べておけば十分でしょう。
アルコール温度計も同じ原理で動作します。
このように、よく知られた水銀温度計やアルコール温度計を使えば、温室内外の気温だけでなく、促成栽培の温床、庭の土壌、暖房装置の温水パイプなどの温度も測定できます。
しかし、温度計近くの温度をいつでも確認できるというだけでは十分でないこともあります。
自分が不在の期間中、ある場所の最高温度や最低温度が何度であったかを知りたい場合があります。
最高温度や最低温度を知るために、水銀やアルコールの入った管の中に針が取り付けられている温度計が作られます。針の位置で、水銀柱またはアルコール柱が到達した最高点と最低点を知ることができます。
通常、図114と図115に示すように、最高温度を示す温度計と最低温度を示す温度計が使用されています。
気温を測定する際は、太陽光やその他の放射の影響を受けない場所で測定するのが一般的です。
そのため、温度計は通常、地面から約4フィート(1.2メートル)の高さに設置し、太陽光線だけでなく、他の物体からの熱や冷気の放射も遮ることができる場所で測定します。
太陽からの放射熱を測定することも有用です。
そのためには、放射熱を吸収するために球部が黒く塗られた温度計を、可能な限り空気を抜いたガラス容器に封入します。(図116参照)
こうすることで、大気中の熱の伝導や対流の影響を除くことができます。
大気は、目には見えませんが一定量の水分を保持しています。
気温が高くなるほど、この水分量も多くなります。
しかし、気温の上昇と水分量は、必ずしも常に同じ比率で変化するというわけではありません。
大気が目に見えない状態で保持できる水分量には最大値(限界値)があり、それ以上には保持できない「飽和点」があります。
飽和点を超えると、水分は凝結し、露、霧、靄などとして目に見えるようになります。(「凝結と滴下」の項を参照のこと(リンク予定))
以下は、グレイシャーの湿度表から引用したもので、華氏0度から80度までの気温とそれに対応する水蒸気圧を水銀柱の高さで示しています。
この表から、ある温度の空気は目に見えない状態で一定量の水蒸気を容易に保持できるが、その空気の温度を下げると、すぐに飽和点に達して凝縮が起こることがわかります。
空気は常に一定量、目に見えない水分を含んでいますが、いったん、気温を上昇させて外部から大量の水分を取り込むと、そのあと、わずかに気温が低下しただけで飽和点を超えてしまうことがありえます。
また、表35に示すように、温度と飽和度は必ずしも同じ比率で変化するわけではないため、ある温度の空気と別の温度の空気が接触している場合、どちらの空気も飽和に達していなくても、接触によって全体として凝縮と完全飽和が生じる可能性があります。
例えば、まだ飽和しきっていない空気が、同じ温度で水分量が少ない空気と接触すると、より少ない水分を含んだ空気は前者の空気に含まれる水分の一部を吸収し、両者の水分量が平衡状態に達する傾向があります。
この原理を応用すれば、湿った室内空気に外気を入れることで室内を乾燥させることができることがおわかりになるでしょう。もちろん、外気がすでに完全に飽和していた場合や、室内の空気が外気と触れた時に内外気温の温度差によって結露が生じる場合は、この方法で部屋を乾燥させようとしても無駄です。
この原理とその適用には、どんな種類の換気でも留意しなければいけません。
(「換気」、「果物室」の項を参照のこと リンク必要)
したがって、大気の相対湿度を知る必要が頻繁に生じます。
表36.湿度計の指標(グレイシャーによる)
乾・湿球温度と相対湿度の関係
大気の相対湿度は湿度計、すなわち2つの温度計を組み合わせた装置(図117「湿度計、乾湿球」を参照のこと)で測定します。一方の温度計の球部(乾球)は通常通り大気に晒し、もう一方の球部(湿球)はモスリン布で覆い、小さな容器内の水に浸けた糸で布を常に湿らせておきます。
蒸発は温度を下げる作用があるため、空気が乾燥している時ほど湿球面からの水分の蒸発量が多くなり、湿球温度は乾球温度よりも温度が低下します。一方、大気中の水分量が多いければ水の蒸発速度は遅くなり、乾球と湿球の温度差は小さくなります。
表36と併せて湿度計の測定値を読み取れば、外気だけでなく、温室内の湿度を測定する際にも非常に便利なことがわかるでしょう。
空気に含まれる水分が飽和に達すると、乾球温度と湿球温度の差は0になります。
「露点」とは大気中の水分量が飽和状態に達した時の大気の温度です。
つまり、草の上に置いた温度計の測定温度(すなわち草による高湿度(相対湿度が100%近い)下の温度は露点を測定する方法として、湿度計の湿球温度測定ほど便利ではないものの、飽和点を知る上で同様の効果があります。
小規模な農園でも、大規模で重要な温室群でも、気温が一定の温度を上回ったり下回ったりした場合に庭師が警報を受けられるようにすることは極めて重要です。
日中は、庭師やその助手がそれぞれ注意していれば、外部からの警報を受ける必要はありません。
しかし、夜間は気温が突然低下したり、予期せず厳しい霜が降りたり、火の始末が不十分だったりする危険性があり、庭師が疲れ果てて熟睡していたりする可能性も考えられます。
こうした悪状況が重なれば、どんなに厳重な監視体制を敷いていても事故が起こり得ます。そして、その結果生じる悲惨な事態は、庭師なら知るところです。庭師は、たった一晩で、何ヶ月、あるいは何年もかけて築き上げてきた努力の成果を完全に失ってしまったことを目の当たりにするのですから。
しかしながら、この極めてシンプルな装置を用いることで、こういった危険をすべて回避し、昼夜を問わずいつでも、ハウスの温度が設定温度を下回ったり上回ったりした瞬間に、庭師は確実に警報を受け取ることができるようになります。
その装置とは、最高最低温度計と警報器とを組み合わせた電気式の自動警報装置です。
以下に説明します。
図118は、温室内に設置される電気式温度計(文字盤部分)を備えた装置を表しています。温室内の温度は、一定の範囲を超えても下回ってもいけません。
庭師の寝室にベルを設置し、電池は都合の良い場所に設置することができます。
絶縁した電線を電池の一方の端子から温度計の一方の接続ネジへ接続し、もう一本の電線は温度計のもう片方の接続ネジからベルの片方の端子に接続します。そして、ベルの空いたもう片方の端子と電池の空いている端子にも電線を接続します。
温度計近辺の温度があらかじめ設定された一定の値を超えるか下回ると、温度計の両端の導線が接触し、電気回路が起動します。そして、温度が設定値に戻って導線の接触が切れるまで、ベルが鳴り続けます。
ベルの音を聞いた庭師は、温度計が設置されているハウス内の温度を上げる(あるいは下げる)ための対策を直ちに講じるでしょう。
それぞれ異なる最高温度と最低温度を計測できる温度計を複数個用意し、複数のハウスに設置する場合も、それらすべてを同じ一つの電池とベルに接続することができます。
この温度計は、金属コイルが熱や冷気によって膨張・収縮する原理を利用しています。
ガルバニック回路の構成要素であるこのコイルが一定値を超えて膨張または収縮すると、調整可能な白金製の調節ネジに接触し、回路が繋がってベルが鳴ります。
これは、水銀温度計を使った電気式自動警報装置よりもはるかに信頼性が高く、便利です。水銀温度計はガルバニック作用によって酸化し、接触不良を起こしやすく、調整が容易ではないからです。
小川から水を引いて庭に水を撒くのに必要な技術の説明です。敷地に小川が流れているとしたら、なんて素敵なんでしょう!堰を作って、中世の庭のように養魚池も作りたい💜 現実はプラスチック桶に雨水を貯めるのが関の山ですが。。。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
技術者は、1ポンド(454 g)の物体を垂直に1フィート(30 cm)持ち上げるのに要する力を「1フィートポンド」と呼び、これを一般に「仕事単位」としています。
ワットが提唱した「1馬力」は、1分間に33,000フィートポンドの仕事をすることに相当します。ワットはこの単位を、イギリスの荷役馬が馬車を動かすなどの仕事を9時間連続でこなせるとして計算、定義しました。
しかし、ワットの推定は間違っていました。その後の実験で、良好な状態にある馬は、ワットの数値の約3分の2、つまり毎分約22,000フィートポンドの仕事しかできないことが証明されたのです。
ポニーは約11,000フィートポンド、ロバは約4,000フィートポンド、そして人間は約3,000フィートポンドの能力を持っています。それぞれ「1ポニー力」「1ロバ力」「1人力」になりますね。
電力量に換算すると、1000フィートポンド=1355.8 ワット(W)になります。
揚水ポンプに必要な馬力は、家庭用・園芸用では0.1〜1馬力(750 Wくらい)、農業・工事用の強力なエンジンポンプでは5〜6馬力以上、工業用の大型施設では数100馬力(数百kW)に達すると言われています。
性能の良いポンプが消費する力のうち、実際に揚水に使われる仕事量はその約3/4で、残りは摩擦や弁を通過する水のすべりなどで失われます。
さて、上記の揚水動力のいずれかで毎分何ガロンの水をタンクに汲み上げられるかを求めるには、これらのフィートポンド数を10(1ガロンの水のポンド数)で割り、水源と送水タンクの水位差(フィート)を掛け、さらにその結果に4分の3を掛ける必要があります。
言い換えると、確実に必要なフィートポンド数は、1分間に汲み上げるガロン数を10倍し、それに水源と吐出口の間の水位差(フィート)を掛け、さらにポンプの摩擦などによる動力の損失を見込んで1.3倍をかけることです。
この流量(ガロン数)に10を掛け、次に利用可能な落差(フィート数)を掛けます。
これにより、ラムポンプ(流水力のみで動く自動給水ポンプ*)、タービン、あるいは水車で利用できる仕事量が毎分あたりのフィートポンド数として得られます。
*詳しくは https://en.wikipedia.org/wiki/Hydraulic_ram などを参照。
まず、ラムポンプ(落差が3フィート以上あって、毎分5ガロン以下の水量を150フィートまで送水するなら揚水できる、最も安価な動力)の場合、毎分揚水可能な流量を求めるには、利用可能な力(フィートポンド数)を10で割り、次にそれを揚水高さ(フィート数)で割ります。そして、ラムの駆動によって生じる損失があるので、それに0.5倍をかけます。
タービンや水車の場合も、計算方法は同様ですが、運転時の動力損失として0.5ではなく0.25を見込む点が異なります。タービンや水車の方が水の落差だけを利用するラムポンプよりも効率が良いためです。
タービンや水車は、毎分5ガロン以上の水を150フィート以上送水する場合に適しています。
ほとんどのタービンは水車よりも設置費用がかかりませんが、どちらにするかはその土地の状況によって決まります。
まず、風速計(「気象学」246ページ参照--要リンク)を用いて風速(フィート/秒)を測定します。風速計がない場合は、羽根やアザミの綿毛が一定時間内に風に乗って飛ぶ距離を観察することで風速を測定できます。
次に、この風速を3乗し、風車の羽の面積(平方フィート)を掛け、33で割ります。
この結果が毎分あたりのフィートポンド数の風力量となります。
この風力で揚水できる水量を求めるには「水力」の項で説明した手順に従います。
例えば、風速が毎秒10フィート、4枚の風車の羽の面積がそれぞれ40平方フィートとすると、
すると、10³ × 40 × 4 = 160,000 / 33 = 4,848 フィートポンドとなります。
さて、水源と庭との水位差が100フィートだと仮定しましょう。
Then 4,848 / 100 = 48.
4,848フィートポンド/100フィート=48ポンドの水が庭で利用できる計算ですが、
このうち1/3は風車内での摩擦などで失われ、2/3しか利用できないとすると、
48 X 2/3 = 毎分32ポンド
、つまり3.2ガロンの水を組み上げることができ、毎時なら192ガロン、24時間なら4,600ガロンが利用できることになります。
この測定方法について、チャールズ・L・ヘット氏(ブリッグ在住)による説明は以下のとおりです。
必要な測定装置は、図109に示すような厚さ1/2インチ (1.25 cm) の松材で、小川の幅に対し十分な長さがあり、V字の切り欠きが入っているものです。切り欠きは角度90°のV字形です。
ノッチ(切り欠き)は面取りする必要があります。切り込みの深さは5インチ (12.5 cm) とします。
このノッチは毎分約107ガロン(405 リットル)の水を通すことがわかっています。
図110に示すように、これにノッチと正確に同じ高さの段差を刻んだ杭と0.1インチ単位で目盛りを付けた定規があれば装置は完成です。
ダムの設置(水を堰き止める)場所を選定したら、鋭利なシャベルで両岸に溝を掘り、ノッチの板を流れの断面方向にしっかりと押し込み、水の流れを完全に遮断します。必要に応じて、周囲の柔らかい粘土を押し入れて流れをしっかり遮断してください。
次に、水面からノッチの板の両方の上端が同じ高さになるように押し下げて調整します。
水位がノッチの底に近づいたら、堰から約3フィート上流の小川の底に杭を打ち込みます。そして、水位がノッチの底へ上がってきた瞬間に、杭を水面と完全に同じ高さになるまで打ち込みます。つまり、小川のその水位とレベルを同じにします。
やがて水はノッチを通って流れ始め、供給量に応じた高さにまで上昇します。ノッチを越えて流れる水の深さを測定することで、必要な水量を推定できます。
次に、定規の端を杭の段差に当て、水面の高さを注意深く測定すれば、流量を知るのに必要な水深を0.1インチ単位で求めることができます。
この水深に対応する流量(ガロン/分)を表XXXIVに記載します。
堰によって水流を十分にせき止め、ほぼ池ような状態にする必要があります。また、堰の上流の水面と下流の水面の落差は、切り欠きを通過する水深の2倍以上でなければいけません。
高い精度が求められる場合は、水準器を用いて堰を調整し、水準器と平行定規を用いて、杭の先端を堰の上端と正確に水平にする必要があります。
表面を薄い鉄板で覆った切り欠きにすると効果的です。木材の切り欠きは鉄板の切り欠きより水の摩擦による抵抗が大きくなるので、抵抗を最小限にとどめるには、切り欠きを鉄面のものより大きくする必要があります。
ダムの水が減って、しばらく節水が呼びかけられていましたが、4月の雨が数日おきに降っています。少しは解消されていますように。
さて、本項では電気が一般的ではない時代の水の汲み上げ方法を知ることができます。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
水はバケツなどで汲み出す(小規模な庭や温室内のタンク場合)か、必要に応じてポンプで汲み出すことができます(タンクが大きすぎる場合や汲み出しが困難な場合)。
あるいは、大規模施設では、作業員が時間を見て、貯水タンクから地上に設置された配水タンクへ水をポンプアップすることもできます。
このような仕組みのもと、配水タンクにつながった立ち上がりパイプとストップバルブ(止水弁)を備えた配管を庭の各所へと敷設することで、水やりの度に毎回ポンプ運転や汲み出し作業をすることなく、必要な時にホースやじょうろで各所に水やりすることができます。
ボイラーに軟水(雨水)を安定して供給するためには、このような配水方法にしておくことが不可欠です。
暖房機器の膨張タンクへの給水には、自動ボールバルブではなく、蛇口を使用すべきです(193ページ参照:あとでリンク予定)。
地上に設置する配水タンクは、スレート、鋳鉄、または錬鉄で作ることができます。
亜鉛メッキ鋼板は、中規模の配水タンクに最適です。
非常に大型の配水タンクの場合は、内側にフランジを付けてボルトで固定した鋳鉄板製のタンクが最適です。
小型以上のサイズの錬鉄製または鋳鉄製のタンクの場合は、内部を鉄製のタイボルトで固定する必要があります。
タンク間の接続管、分配管、立ち上がり管、給水管などが金属製の場合、金属管は凍結から保護する工夫が必要です。
何らかの理由で全ての管の凍結を防止するのが不可能な場合は、霜が降りて凍結が発生する際に、露出している金属管の内部全体の水を排出できるように施工しておく必要があります。
常に水が入っているむき出しの金属管のわずかな部分でも凍結によって破裂する恐れがあるのでそれを防ぐために、金属管を数インチ、カットして、そこにインドゴム製のチューブ管を挿入するという方法が時に採用されます。こうすることで、凍結時の水の膨張に対処できます。
凍結による水道管の破裂を防ぐもう一つの方法は、凍結しやすい部分の管内に、両端を密閉した小さな空のインドゴム製のチューブを挿入します。
水を入れて密閉した樽、貯水槽、タンクなどは、中の水が凍結して破裂するのを防ぐことが可能です。そのためには、空のシャンパンボトルを1本か2本、口を下にして浮かべておくと効果的な場合があります。(水が凍って増えた体積が空のボトルに収まるため)
インドゴム製のチューブであれ、ボトルであれ、内部には圧縮性のある空気がクッションの役目を果たし、それが圧縮されることで凍結による水(氷)の膨張を相殺します。
立ち上がりパイプに適した高圧密閉型のストレート式全開弁については、198ページ
(あとでリンク予定)をご覧ください。硬水
大昔の家屋は一般に谷間に建てられていました。谷が風よけになってくれるだけでなく、小川に近い場所だからです。
ドアや窓の気密性の向上、暖房方法の進歩、そして揚水設備が充実するとともに、現代の家屋は高台に建てられるようになりました。
多くの田園地帯にある邸宅では、飲料水、生活用水、農業用水として硬水の確保が重要な課題となります。
(ヨーロッパだと井戸、池、小川、泉はどれも硬水が多いからこう書かれている?)
庭師や管理人の仕事は通常、井戸、池、小川、泉からの水を運ぶ作業に充てられるため、ここでは硬水の揚水とポンプによる汲み上げについてのみ述べます。
揚水方法
最初に浮かぶ質問は「最も安価で信頼性の高い揚水方法は何か?」ということです。
ポンプの動力源は、必要な水量、揚水高さ、その他、現地の状況に応じて、以下のいずれかを選択することができます。
1. 若者や成人男性。
2. ポニーまたは馬。
3. 水力ラム(利用する水の一部または全部を動力源として揚水に利用する。あるいは、ダイヤフラム機構により、近隣の水源からの汚水を動力源として、きれいな水を揚水する)。年間を通して近くに落差のある流れがあれば、タービンまたは水車も使用可能。
4. 風車(風が吹く場所で、かつ景観を損なわない場合)。
5. 上記の動力源がいずれも利用できない場合は蒸気機関、ガス機関、またはライダーの熱気機関*
* こちらの説明がわかりやすかったです。https://www.stirlingkit.com/ja/blogs/news/how-rider-ericsson-engine-paved-the-way-in-mid-19th-century-stirlingkitこれらの様々な動力源を比較検討するためには、何らかの基準に照らし合わせる必要があります。 この比較基準については、次に続きます。
フランス革命(1789年)の頃、1782年ロンドンで出版された園芸書です。なんだか期待をもたせる序文です。 当時最先端のきわめて実践的な栽培法が園芸暦として解説されているそうなので読んでみたくなりました。 なお、温暖化の影響が顕著でなかった19世紀の園芸書はどれも、暑さ対策はせい...