ボイラーのお話も終盤で、設置上の具体的なアドバイスになりました。薪のストーブやキッチンストーブとも関連する話題では?と思いました。家庭菜園で温室暖房に専用の薪ストーブをお持ちの方はめったにいらっしゃらないでしょうが、ご自宅の居間やキッチンで薪ストーブを楽しんでいらっしゃる方は結構多いのかも。うらやましぃ〜です。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
様々な暖房方法 Ⅲ
低圧(常圧)温水暖房
炉とボイラーの設置
ボイラーの成否は、その設置方法に大きく左右されます。
設置以外の条件も重要ですが、注意深く&間違いなく設置することが、暖房の成否を分けることは間違いありません。
「燃料」の項で述べるように、燃焼に必要な酸素は空気から供給しなければいけません。
したがって、まず最初に留意すべきは、様々な燃料が必要とする空気の量を知ることです。
完全燃焼の場合、1ポンド(約450 g)の炭素を燃焼させるのに必要な空気量は最低限158立方フィート(約4.5 m3)、1ポンドの水素を燃焼させるには最低限473立方フィート(約13.4 m3)の空気が必要です。どちらも、空気が62°F(17℃)として想定される数値です。
しかし、煙突から排出される空気を分析すると、通常、約半分の酸素は燃焼に使われず、排気に残っていることが分かります。したがって実際には上記の2倍の量の空気が必要ということになります。
燃焼中に酸素が十分に供給されるのであれば、酸素原子2個が炭素原子1個と結合して炭酸ガス(CO2)が生成されます。
酸素量が不十分で、炭素原子1個が酸素原子1個としか結合できない場合は、一酸化炭素ガス(CO)が生成されます。
あるいは、酸素(O)と炭素(C)の比が2対1未満で1対1以上の場合、空気中の酸素の一部は炭酸ガスの生成に、残りは一酸化炭素ガスの生成に利用されます。
ファーブルとシルバーマンの実験によると、1ポンド(約450g)の炭素が燃焼して一酸化炭素ガスになった場合には4,453 ジュールの熱しか発生しませんでした。一方、デュロンの実験によれば、同量の炭素が燃焼後二酸化炭素ガスになった場合は12,906ジュールの熱が発生することが示されています。(単位熱量「ジュール」については、「燃料」の項を参照。)
燃料分析(221ページ)によると、石炭には平均0.804の炭素が含まれており、(石炭中に存在する酸素を考慮すると)0.04206の水素が過剰に含まれていることがわかります。
したがって、1ポンドの石炭に必要な空気の立方フィートを求めるには、次の式を用います。
(0.804 x 158) + (0.04206 x 473) x 2 = 294 立法フィート(62°Fの空気)
このような計算式で、表XXVIIは作成されています。
ボックス氏は、蒸気機関の煙突からの排気(空気と燃焼生成物の混合)の温度を550°F(288 ℃)と想定した場合の様々な燃料における排気の体積を次のように推定しています。
温水ボイラーは蒸気機関に比べ燃焼がはるかに遅く、燃焼生成物が炉から排出される(または排出されるべき)温度も低くく、62°F(17°C)と 500°F(260°C) の間で空気の体積は約2倍に膨張するため、前述の数値は多少修正される可能性があります。
このように、炉へ取り入れる空気の量に大きく依存することがわかります。
空気が少なすぎると一酸化炭素が発生しやすく;多すぎると通風速度が速くなって、(多くの愚かな燃焼作業者は喜びますが)炎が大きくなりやすくなります。すなわち、少なすぎても多すぎても燃焼効率は低下します。
空気は火格子および扉から炉内に入り、煙突から排出されます。
燃焼速度を適切にコントロールためには排気口の大きさを調整します。
空気は火格子の上からも下からも通過できますが、通常、より完全に燃焼させるには、下からのみにすることをお勧めします。
一般的に、火格子と同じ高さに、燃料を投入したりくべたりするための扉が炉に一つ設けられ、その下に灰を掻き出すための扉がもう一つ設けられています。
厚みが薄い火格子は厚いものより燃焼が長持ちします。空気は火格子が薄い方が厚いよりも素早く通過するので、より冷たい空気が供給されるからです。
火格子の厚さと空気層の厚さはどのサイズの火格子でも一定とみなすことができますが、中央の深さは、表に示すように長さに応じて変える必要があります。
そのため、火格子は固定されていますが、煙突へ通じる排気口の大きさは通常ダンパーによって調整できるようになっています。ダンパーの開度を適切に調整することが極めて重要であり、燃焼作業者が有能であるかどうかを判断するための主要な判断材料の一つとなります。
両扉とも、特に上の扉は正確な寸法のものである必要があります。
上の扉は、炉とボイラーの間に空気が入り込んで炉が冷えないように、きちんと閉まる必要があります。
下の扉は、必要に応じて火格子への空気の流入量を調節するのに利用します。
経験的に、またフッドやボックスなどの研究者による調査から得られた、火格子の最適な寸法を表XXIXに示します。
火格子の長さは3フィート(0.9 m)を超えないようにします。
燃料の消費速度は、炉に入る空気の量、つまり火格子の表面積に依存し、炉全体の大きさには依存しません。
ただし、格子の面積が同じであれば(流入する空気の速度が同じなら)、炉が大きければ大きいほど、燃料を許される範囲で(積める限度量まで)、より多く保持でき、長時間燃焼を維持させることができます。
火格子面積に比例する燃料消費量は通風速度によって多少変化する可能性はありますが、他の条件が同じであれば、1平方フィートあたり1時間あたり10~11ポンドの石炭は妥当な消費量と考えられます。
このことから、それぞれの長さの加温パイプに対応した格子面積は、216ページの表XXXに示すとおりです。
温水ボイラーのなかには、一連の管で構成された特殊な火格子がボイラーに接続されているものもあります。
その目的は、加熱面積を増やすことです。
加熱面積を増やせば、ある程度、熱効率が上がりますが、水管の加熱される面積はさほど大きくないので、ボイラーの熱性能を大幅に向上させることはできません。これは、冷たい空気は水管の両側を絶えず通過するに過ぎないだけでなく、実際には炎の下の面は熱供給に全く貢献しないこと(201ページ参照)を考慮すれば、大きな効果はないと結論づけられます。
同時に、水管を使用すれば必然的に水圧が高くなることも認めざるを得ません。なお、ボイラーが火格子に接続され、戻り管はボイラーだけでなく水管に接続されているように注意する必要があります。そうしないと、この利点が失われます。
また、水管は固体の格子よりもはるかに燃焼が長持ちすることは間違いありません。
空気の供給は最も重要ですが、空気の排出については重要であるものの二次的な重要性でしかありません。
煙突に通じる炉の喉部は、空気の流入に比べて小さくする必要があります。
煙突の高さと断面積を決定する規則がいくつかありますが、それらはすべて、温水ボイラー用の煙突ではなくて、もっと強力な燃焼用の煙突に適用される規則です。
一般的に、煙突の高さはその場所の状況によって決められます。
断面積は、1時間あたりに消費される石炭約10~12ポンドにつき、14~20平方インチとします。
デッドプレートは、これは火格子表面の一部を塞ぐプレートですが、炉の前面からの熱をふせぐのに役立ちます。また、一部のボイラーでは、燃料を炉内に投入する際に、まずデッドプレート上に燃料を置き、十分に加熱されてから火口に押しやることで、完全に燃焼させるのに役立ちます。
ボイラーの型式ごとに設置方法が異なります。各ボイラーメーカーは通常、自社のボイラーに最適な設置方法の詳細を提供しています。
なお、設置場所は熱伝導率の低い材料で作る必要があることに注意してください。
ボイラーを設置する場所の内側は耐火レンガで覆う必要があります。
通常、煙突には普通のレンガが使用されますが、必要に応じて下部は耐火レンガで覆うことも可能です。
一般的に、モルタルはポルトランドセメントよりも優れています。ポルトランドセメントは耐熱性が低いためです。
煤扉(煙突の掃除や清掃ができない部分に取り付けられるドア)はピッタリとしていて、煙道などに煤が堆積しないようにする必要があります。
燃料庫、炉、ボイラーは、常に雨風の当たらない小屋で守る必要があります。そうしないと、ボイラーがいくら優れた断熱材の中に設置されていても、放射と対流によって熱が奪われるからです。



















