2024年1月30日火曜日

19世紀末の園芸施設:3. 園芸施設における天文学

 太陽光について、小中学校で習ったような基本事項ですが、結構忘れたり理解していなかったりしてました🙀 卓上サイズの温室を作りたいので、その前に頭に入れておきます。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

園芸施設における天文学

温室の配置について最初に検討すべきは季節変化です。

冬・夏、寒さ・暑さ、日の長さ・短さといったさまざまな変化の原因について明確に理解していただいた上で、温室やコンサバトリーについて知る方がはるかに満足がいくでしょう。

私たちが冬に寒さを、夏に暑さを感じるのは、冬よりも夏の方が太陽に近いからではありません(実際、私たちの所では1月1日頃に太陽に最も近くなり、7月10日頃に太陽から最も遠ざかります)。それは黄道面に対して赤道面が傾いているせいです。

これは次のことから明らかです。

:—説明のためにまずは、地球は地軸 A B (図 1) を中心に回転し、C D は黄道面 (太陽の周りの地球の軌道面) であると仮定します。 赤道 E F はこの黄道と一致するとします。

図 1.—黄道面に地軸が直角な場合。


円周 E F 上にいる観測者にとって、太陽は真東から昇り天頂を通過して真西に沈むので、天空の太陽の動きは完全な半円弧を描いているように見えることは明らかです。

赤道上の観測者にとって、この半円弧は決して変化しないでしょう。

同様に、地球上の別の場所にいる観測者にとっても、太陽が通過する見かけの経路は決して変わることはないでしょう。


さて現実は、地球と太陽の相対位置は図 1 のようではなく、図 2 に示すように、地軸 A B は水平面に対して約 23度 28分 傾いています。 黄道面C D と赤道面E F はずれているので、観測者にとって太陽の見かけの経路は年間を通じて変化するということになります。

図 2. 実際は、地軸は黄道面に対して鉛直ではなく、傾いています。

赤道面と黄道の間の角距離を太陽の赤緯と言います。

図 2 の C Dの黄道面 と E Fの赤道面 はそれぞれ地球表面で円周を成しているため、この2つの円周が互いに交差する点が2点あります。それは春分点と呼ばれ、昼と夜がほぼ等しくなります。1 つは春分、もう 1 点は秋分と呼ばれ、それぞれ(3 月 21 日頃)、(9 月 23 日頃)です。春分と秋分の南中高度は [90ー緯度]なので、東京は54°、福岡は56°

図 3. 昼が最も長いときの太陽の最大高度の角度(夏至の南中高度)。夏至の場合:[90−緯度+23.4(地軸の傾き)] 


図 4. 昼が最も短いときの太陽の最大高度の角度(冬至の南中高度)。冬至の場合:[90−緯度−23.4(地軸の傾き)]


太陽が赤道の北の最も遠い点に達するときは夏至と呼ばれます。これは 6 月 21 日頃に起こり、もちろん、太陽が地平線より上に出ている時間(昼間)が最も長い日です。

太陽が赤道の南の最も低い点に達するときは冬至と呼ばれます。これは、太陽が地平線より上に出ている時間(昼間)が最も短い12月21日頃に起こります。

夏至の時に太陽が到達する最大高さは約 62° (61° 57' 15") [東京だと77°、福岡だと79°]で、冬至の時は南の地平線の上約 15° (15° 2' 45") [東京だと30°、福岡だと32°]です。これらの角度は図 3 と 4 に記しています。

これが季節が変わる理由の一つです。


というのは、太陽光線の束 (太陽光は実質的に平行光線です) が、図 3 や図 4 に示す角度で平面に当たるとします。 同じ直径の太さの光線束が図3の角度で図5で示すように平面に当たるのと図4の角度で図6で示すように平面に当たる場合、後者が前者よりもはるかに広い平面領域に当たることは明らかです。

図5—日長が最も長い日(夏至)の太陽光線の最大傾き。


図6—日長が最も短い日(冬至)の太陽光線の最大傾き。

したがって、 他の条件は等しいとすれば、 図 5 の A B に当たる光線は、図 6 の C D に当たる光線よりもはるかに暖かく感じられます。

光線と地面が同じ(全く平行)になるまで光線の傾きを大きくすると、表面は光線をまったく受け取らなくなることは明らかです。

その法則は、光強度は「光線の方向に対する表面の傾斜角の正弦角が減少するのと同じ割合で減少する」というものです。

繰り返しますが、図 2 から明らかなように、黄道面に対して地軸が傾いているため昼と夜の長さが相対的に変化します。そのため、冬には光が弱くなるだけでなく、太陽光線自体が弱くなるのです。 夏のように長い時間毎日輝いているわけではありません。

つまり、地球は冬は夏ほど強く太陽に熱せられず、その時間も夏ほど長くなく放射によって冷却される(夜の)時間の方が長いのです。

繰り返しますが、図 4 に示すような角度で太陽光線が照ると、太陽光線は高密度の蒸気を含む大気中をより長く通過するため、さらに屈折し、図 3 の角度で照るときよりもさらに弱くなるのです。

(こういった原理を私たちは知っているので)わざわざ、地球表面のさまざまな場所に架空の観測者を配置して影響を受ける可能性のある季節やその他の変化について検討する必要はありません。

実際には、たとえばロンドンでは昼が最も長い日の 6 月 21 日には、太陽は北寄り約 50 度東の方位から昇り、地平線から 62 度の高さに達し、 北寄り約50度(50度15分20秒)西の方位に沈み、地平線の上に約17時間あります(日長17時間)。 そして、最も昼が短い12月21日には、太陽は南寄り約50度(50度15分20秒)東の方位から昇り、太陽高度は地平線から約15度の高さに達し、南寄り約50度(50度15分20秒)西の方位に沈みます。地平線上に約 7 時間留まります(日長7時間)。(図7、図8参照)

図7—昼が最も長い日(夏至)の日の出、日の入りの方位。福岡や東京だとNを0°として右回りに60°が日の出、300°が日の入りの方位)

図8—昼が最も短い日(冬至)の日の出、日の入りの方位。(福岡や東京だとNを0°として右回りに118°が日の出、242°が日の入りの方位)

このようにして、季節が変化する理屈がわかれば実用上十分活用することができます。

「緯度」とは、地球上の任意の場所で赤道から北または南方向への角距離を意味します (イギリスの場合、各所の緯度はもちろん赤道から北方向への角距離になります)。 ここで言及したいくつかの天文学的事実は「太陽光線」、「見地」、「屋根の傾斜」などの項で、より明確に説明するため再度言及します。



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