温水暖房についてまだまだ続きます。「底面からの加熱」と「パイプの配置」に関するの部分です。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
様々な暖房方法 Ⅲ
低圧(常圧)温水暖房
底面加熱用パイプの本数
栽培用のボーダーやベッドにパイプを置く場合は、大気への放射面がパイプ全面とはならない(下半分は地面に接する)ので、大気への放射面がパイプの全面となるこれまでの計算方法は底面加熱用パイプには適用できません。
メロン、キュウリ、パイナップルなどの通常栽培では、表XXIIに示すように、ベッド幅1フィートあたり約9インチの放射面積があれば十分であることが経験的に分かっています。
パイプの位置
加温が効果的に行えるかどうかは、パイプ放射面の位置に大きく左右されます。
熱放射が集中して過度の高強度域ができるのを防ぐため、温水パイプは可能な限り分散して配置する必要があります。
また、パイプは空気の対流を促進し、暖気が届かない滞留域ができないないように配置する必要があります。さらに、外部から流入した空気が群落に到達する前にパイプの影響を受けて温められるようにパイプを配置するのが望ましいです。
片流れ屋根のハウスで、パイプが背面の壁にのみ配置されている場合、パイプのすぐ近くの温められた空気塊は上昇し、その場所はすぐに冷気と置き換わるため、特に棟近くの上部換気口が開いている場合、背面壁付近の空気塊は動きますが、屋根に沿った空気塊はその影響を受けず、温められない可能性があります。
少なくとも何本かのパイプは、温室の平面図で見て屋根が立ち上がる地点、つまり屋根の最も低い位置(軒)付近の地面またはその近くに設置する必要があります。
たとえパイプの設置がこの位置だけだとしても、ここで温められた空気塊は温室の最も高い部分まで上昇するので、上昇する過程で屋根全体を横断することになります。これはある種の温室にとってはまさに必要な効果です。
換気の流入口は一般的に前面の壁、つまり屋根の最も低い部分付近にあるため、そのこともパイプをこの位置に設置する理由になります。
さらに、空気が加熱されないまま群落に到達するのを防ぐため、前面のパイプを地面近くに設置する場合は、「換気」の項で説明したように、パイプのすぐ後ろの壁内に換気口を設置することをお勧めします。
パイプは屋根の最も低い部分の近くに設置するのが望ましいですが、既に述べた理由により、特に幅が広く断面積の大きい片流れ屋根のハウスでは、パイプの一部はハウス内の屋根面に配置する必要があります。
他の条件が同じであれば、パイプは地面の上か地面近くに設置することが望ましい。高い位置に設置すると、パイプ上部の空気塊のみが加熱され、下部の空気層が部分的に加熱されない可能性があるからです。
パイプの位置については、個々のケースを個別に判断する必要があるため、厳密な基準を定めることはできません。
ただし、一般的な観点から言えば、
非常に幅の狭い傾斜屋根のブドウハウスや植物栽培ハウスでは、パイプは前面のみに設置してもよいでしょう(必要であれば、それに妻面を加えて設置してもよいでしょう)。
幅が中程度または広いブドウハウスでは、一部のパイプを前面に、一部を通路に隣接した内側の栽培ボーダーの奥に設置してもよいでしょう。
これらの位置にうまく配管できたうえに、さらに配管したい場合は、ハウスがあまり長くない場合は、余剰配管を縦方向ではなく、ハウス内の端に沿って横方向に、つまり背面壁に沿って設置する方がよいでしょう。
ブドウハウスではパイプがブドウの茎に近づきすぎないように注意する必要があります。
中程度または広い幅の片流れ栽培ハウスで、ステージが設置されている場合、一部のパイプは前面または前面と両妻面に設置し、その他のパイプは必要に応じて、後面ステージの前面または下側の通路付近に設置します。
ある程度の規模の両屋根型のブドウハウスでは、両側面に沿って、また片側または両側にある中央通路の端に沿ってもパイプを設置することができます。必要に応じて、さらに妻面部にもパイプを設置することができます。
側面と中央ステージのある両屋根型の栽培ハウスでは、パイプは外壁に沿った両側面に沿って設置し、必要に応じて中央ステージの下や周囲にも配置することができます。
ハウスの長さによって、縦方向のみに配管するか、横方向にも配管するかが決まります。
ハウスの長さが幅に対して長ければ長いほど、妻面に配管する必要性は低くなります。
また、どんなハウスでも妻面が外気に晒されておらず、他のハウスとの仕切りによって繋がっている場合は妻面に配管する必要性は低くなります。
ガラスは外気に晒されている方が冷却されやすくなります。
また、両屋根ハウスが南北棟の場合、あるいは片流れ屋根のハウスが東または西向きの場合、当然のことながら、北向きのガラスの妻面は横方向に配管して加熱する必要性が高まります。
1連の配管の列数に制限はありません。
2列、3列、4列、あるいは6列の配管が必要になる場合もあります。
2 列または 3 列の場合、パイプは通常このように垂直に配置され、各列が結合する両端にサイフォンが設けられます。
4列または6列の場合は:
各系統を連結して半分を流入管、半分を戻り管とする代わりに、通常は流入管の数を戻り管の数より多くして連結します。
放熱管は、本管から立ち上げたら決して垂れ下がらせてはいけません。
ドアへの通路が複数あり、本管から立ち上げてドアへの通路間の空間に新しく配管を設置するのが不便な場合は、放熱管を地表より下に溝にを切って設置しますが、埋め戻してはいけません。溝が通路と交差する箇所では格子で覆うようにします。
このようなケースは、コンサバトリーや植物ハウスでのみ発生する可能性があり、ブドウハウス、特に内部に栽培ボーダーがある場合はほとんど発生しません。
上記したとおり、このように設置されたパイプは、加熱能力が約30%低下します。
熱の放射が抑制されるだけでなく、パイプが完全に空中に露出している場合ほど対流が効率的に行われません。もちろん、外気の流れがパイプ上を通過するように、ハウス内への外気の取り込み方法が適切に行われている必要がありますが。
水はできるだけ早く、そしてできるだけ容易に放射パイプの最高点まで上昇させなければなりません。
そうすれば、水が途中で冷えるきっかけや時間が少なくなり、上昇する水と下降する水の比重差が大きくなり、循環がより効率的に進行します。
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