19世紀(1800年代)の園芸施設(主に温室)について、本書を辿ってきましたが、いよいよ最後の「保険」の項になりました。
現代日本の温室の保険といえば “園芸施設共済”が思い浮かびます。台風や大雪などの自然災害、火災、病虫害などに対応していて、掛け金の半分は国が負担してくれる有難い保険ですが、農家さん対象です。非農家だと、一般住宅向け保険に含めるようなかたちになるでしょうか。
19世紀の園芸施設の保険対象や補償の考え方は現代と合い通じるものがあって、ルーツを感じさせてくれます(もちろん、現代の新しい施設や設備用にアップデートされていますが)。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
保険
庭師や園芸家は火災や雹(ひょう)によって甚大な被害をしばしば被ることがありますが、保険契約によってそれに備えることをしていないと、さらに残念なことになると言わざるを得ません。
激しい雹を伴う嵐のような災害が発生した際、保険会社が提供する補償を受ける被災者がいかに少ないかという現状は奇妙で注視するべき事実です。
以下は、代表的な保険会社であるロイヤル・ファーマーズ保険会社が親切にも私に提供してくれた情報であり、参考になると思われます。
グリーンハウス(温室)やコンサバトリーについては、火災補償額100ポンドあたり年間4シリング6ペンス(保険金額の0.225%)の賭け金で契約できますが、園芸施設内部にある植物や果実などの動産については、特別な事情がない限り保険の対象とはなりません。
こうした園芸施設において配管内を空気や水が循環する方式で暖房する場合、配管が可燃物に直接接触しておらず、かつ熱源(火炉)が施設建屋の外部に設置されていれば、危険なものとはみなされることはありません。
落雷による損害については、落雷によって火災が発生しなかった場合でも、補償の対象となります。
また、ガラスが雹(ひょう)の被害を受けた場合の損害を補償する保険契約も、以下の保険料率で契約可能です。
板ガラス(1平方フィートあたり16オンス以上):20シリング(100ポンドあたり)
〃 (1平方フィートあたり13オンス) :30シリング(100ポンドあたり)
プレートガラス :40シリング(100ポンドあたり)
クラウンガラス :42シリング(100ポンドあたり)
ここで、£1(1ポンド)は20s(20シリング)として計算。
ガラスを補償対象とする場合は以下の事項を申告する必要があります。
・ガラスの種類。
・ガラス面の特定に必要な、各建物の概要および寸法。
・当該建物に含まれるガラスの面積(平方フィート数)。
・建物の所在地。
・ガラスの1平方フィートあたりの価格(再取り付けおよび枠の塗装費用を含む)。
・各建物におけるガラスの推定価額。
・建物内のすべてのガラスを補償対象からはずす場合は、補償対象部分を明示する必要があります。
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