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2021年5月12日水曜日

鉢の植え方 園藝之友 第2年第2号 (1906年)

  

鉢の植え方

園藝之友 第2年第2号 (1906年)

花卉栽培の鉢は瓦鉢(素焼き鉢)がよろしいと書かれています。釉薬の鉢はお勧めしない。瓦鉢でもブラシで清潔にすればそれで十分よろしい。さらに白藤で編んだ釣瓶形の籠に入れると鉢としっくり合って格好もなかなかハイカラ風に見える・・とのこと。プラ鉢は無い時代ですからね。

 

今の初心者向けの花鉢(花木や果樹1本の鉢植え)の解説記事では、「苗は鉢の真ん中において中心の土を少し高めに盛り上げます(https://www.engei.net/guide/guide.asp?ID=105)」などサラッと書かれていて、ここまでこだわった植え方は載っていないので、新鮮でメモしました。→単に私が知らないだけで、youtubeなどで親切な解説があるのかも。。。

図は勝手に私が手書きしたものです。雑誌の挿絵はちゃんと立派なものです。

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植え方は最初、鉢の水抜き孔へ鉢の破片の少し反り目になって完全に孔を塞がないものをあてがい、(湿気を嫌う花卉には、排水を能くするため炭屑或いは鉢の破片を砕いて一分目通り敷く)園芸用鏝(コテ、移植ゴテのこと)で培養土を三分目或いは四分目位(鉢と植物に依る)入れて、その上に根を広げ、左手の人差し指と母指とで根を抑えて右手にコテを持って土を被せるのです。


被せたら右手の人差し指と母指とを差し入れて左右両手の指先で鉢の縁に沿って土を軽くおとして余った土は人差し指の背で弾き出して第1図の様に中高にするのです。


第2図の様に土を入れると灌水の時、土が流出して根を掘ってしまいます。それで中高にして鉢の縁に沿って灌水するようにします。そうしても永い間には自然表土が平らになって固まりますからその時は表耕といって箆(ヘラ)で表土をかき起こして元の如く中高に直すのです。


また第2図のように植物の幹が鉢の片側に寄っているのは見苦しいものですから必ず中心にしなければいけません。また第2図のように空虚があってもいけません。また壁土のように鉢壁にぴったり押し付けられても困ります。先に述べた中高に植える事はなんでもないような事ですが、このようにすると灌水する場合に根や幹を腐らせずまた下葉を傷めるようなこともありません。植物栽培の要は実に些細な点に注意する事であります。

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