蔬菜の効能
園藝之友 第3年第3号 (1907年)
大杉岳南
科学的根拠に基づかない聞き覚え書きだそうです。
葡萄を植えると早死にするとか、まだまだ迷信の時代なので、一興のメモ。
この後、栄養学の記事が出て、徐々に科学的になっていきます。
このような迷信に頼った時代がわずか百数十年前だったとは!
もちろん理にかなったものもありますが、
医療などの科学技術の進歩の価値をしっかり胸に刻むべきですね。
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○大根
・大根おろしは消化を助け、酒毒及び魚類の中毒を除く。
・餅、強飯を食した胸焼け腹痛を和らげる
・大根おろしに水飴を混ぜて用いれば咳嗽(ガイソウ)の薬となる。
・紙についた墨は上下に大根を薄く切ったものを置いて静かに叩く。
・衣類についた油も洗う。
・血痰はおろし汁に塩を加えて飲む。あるいは種子1匁に紫蘇1匁を加えて煎じて飲む。
・頭痛にはおろし汁を鼻の穴に吹き込む。
○かぶら
・かぶらのおろし汁は声枯れに効く。
・米の研ぎ汁にかぶらを入れて塩を加えて食せば、1年中顔色良く過ごせる。
・ホクロを抜くにはかぶらのたねをすりつぶし水に溶いて毎日塗りつける。
・かぶらのおろしたものに柚子の皮を加え少し水を入れて煮た汁はひびあかぎれを治す。
○人参
・胃腸の病を治し血液の栄養となる。
・牛馬に与えれば強健になる。
・汁液は肺病に特に効果がある。
○ゴボウ
・味噌漬けは腸病に効き目あり。生のままその根を噛むかおろして汁を吸っても良い。
・耳が急に腫れ痛むときはゴボウの根の突いた汁を絞って煮詰め膏薬にして耳に塗りつける。
○さつま芋、ジャガイモ
・便秘を和らげる。
・鍋釜の鉄気を抜くにはさつま芋を2、3度入れて煮る。
・ジャガイモの洗濯用水は赤班のないものを選んでよく洗い、外皮をとっておろし金ですり下ろし袋に入れて絞った汁。
・ジャガイモはカリ塩を多く含むのでリュウマチ患者は常に食すると良い。
○里芋
・おろし金ですって、やけどに塗りつける。
・肩に貼るときは紙に伸ばして貼る。
○山芋
・腎薬なり。
・砂糖のアク抜きは省略
・山芋のおろしたのとネギの白根をつぶしたのを混ぜて紙に伸ばして腫れ物の頭に貼れば毒の吸い出しとなる。
・山芋のおろしたのにトウガラシの細粉を練り合わせ歯に貼れば痛み去る。
・自然薯ともちのすったのを練り合わせて腫れ物に塗りつけると良い。
○百合根
・すりつぶしたものは耳の痛みに塗りつけて効果あり。
・ナルコユリは五臓を安んじ、筋骨を助け、心肺を潤す。
・健忘は一種の病で、物事を忘れがちになる。レンコンを細挫して粳粥の煮え立つ中に入れ、攪拌した後、食せば効能あり。
・蟹の毒に当たったときはレンコンをおろしてその汁を飲む。
○茗荷
・茗荷の茎を適宜切って尻に敷いて座れば冬夜眠からず。
○ワサビ
・打撲傷には生姜をおろしその汁に少し酒を加え小麦粉と練り合わせて患部に塗りつける。
・紙に血がついたときは生姜を薄く切り上に置いて度々置き換えれば血は生姜に染み付いて取れる。
・なまず(斑点を生じる皮膚病)には生姜をおろし度々塗りつける。
・黄疸には生姜にて総身をすると良い。大根のたねを煎じたものでも良い。
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