2022年2月6日日曜日

ハーブのタネ蒔き:「The Gardeners Labyrinth」第14章

 とうとうハーブのタネ蒔きに突入です。蒔いたタネを食べられないように白イバラをベッドに敷いたり、小枝をトンネル支柱みたいに使って防寒用の麦わらのこもをかけたり、当時の工夫がかわいいです。

第14章. 果物やキッチンハーブのタネ蒔きや増収のためのベッドの巧みなしつらえ、および蒔いたタネの上手な保護について。

庭師が選んだタネを蒔くベッドは様々ですが、どのベッドも南向きで、馬糞とよく混合した土を高く盛って作らないといけません。さらにレーキをかけて均平にし、タネ蒔きまで一定期間をあけるようにします。

そうして、3月に 1つか 2つのベッドに、新月から満月に至る期間(約2週間)中に、レタスとパースレーンのタネを蒔くことができます。これらは2月に蒔くよりも 3月に蒔いた方が早く芽を出します。指の長さの半分ほどの草丈になったら間引きます。 

このベッドには、パセリ、ロケット、ソレル、エンダイブ、その他さまざまなサラダ用ハーブのタネも蒔くことができます。それらがいくらか伸びたら、他のベッドに間隔をとって移植することができます。 

タネが古くないか、萎れていないか、痩せていないか、空洞果になっていないか、特に注意してください。そして、ベッドのボーダーにはアーティチョークのタネを両手を広げた位の間隔で蒔くことができます。

別のベッドには、冬の間台所で使用するための鉢植えや、ドライハーブとして保存できる香りの良いハーブ、家の中を爽やかに彩り、花を咲かせる美味しいハーブ(マイオラニ、フレンチバーム、タイム、ヒソップ、バジル、ソレル、セージ、マリーゴールド、バグラス、ボリジなど)の良質なタネを蒔くことができます。

庭師(園芸家)は、オレンジ、レモン、ポメシトロン、ザクロ、マートル、ナツメヤシなどの果樹のタネを日当たりの良い暖かいベッドへ試しに蒔いてみることができますが、冷たい空気がタネの成長を妨げないように、北側に防寒設備を作って寒さから守ってやる必要があります。

シトロンやその他どのタネでも、そのベッドで首尾よく発芽したら、それを軽い土で満たした適当なチェスト(箱)へ植えかえます。強すぎる日射や厳しい寒風を避けるために、専用に作った被覆場所あるいは軒の下に置いて、(日当たりが均一になるよう)時々チェストを回すのは、手間の要ることですが楽しみにもなります。

立体庭園(園亭)に茂らせるため、生垣に接して配置した十分な長さのベッドに、キュウリ、シトロン、丸ウリや長ウリのタネを蒔きます。

また、その他のベッドでは、長く狭くて深い溝を各側面に掘って、ベッドよりも低い溝を作ります。そこに庭師は様々な種類のメロンのタネを蒔くことができます。

鳥や外敵が土に埋めたタネに近づかないように、熟練者は白イバラをベッドの上に敷きます。

なお、2月よりも3月の、月が満ちていく期間中にベッドにタネを蒔けば、より早く発芽します。

しかし、大地に蒔いたタネが厳しい寒気とそれに続く急な太陽熱(といった3月の目まぐるしい気象変化)の危険にさらされることが危惧される場合(毎年のようにそのようなことが起こります)、庭師はベッドを厚い藁のマットで覆います。その際、マットの重さが植物の芽が出てくるのを妨げないように、コルメラが述べているように、まず、枝付きの棒をベッドの四隅と側面に立て,その上に長い棒を四隅に端まで達するように渡し置きます。これに適切な藁のマット(こも)をかけて、急な寒さや暑さから若い植物を守るようにします。

ただし、寒い季節でも晴の日には(太陽が暖かく照っているときには)、マットを取り外して、植物の発芽を促します。食用のすべてのそ菜や根菜は間引いて間隔をとると、はるかによく繁茂して(熟練者が言うよに)味もずっと良くなります。

ギリシャの農業作家の中には、タネ蒔きを月の満ち欠けに合わせて行うようにしている者がいました。たとえば、第1四半期から満月までの期間中の昼間にタネを蒔くようにしていました。早いタネ蒔きはしないといった、時期に叶った適切な方法を考案した人もいます。その場合、同じタネ蒔きを1日のうちに2回、3回あるいは4回とこまめに分けて行い、気象の急変といった不確実性に対処するようにしていました。

さて、ここで、偉人コルメラの「タネを大地に託すのに不信感を抱くな」という農業の格言を思い出してください。

不信感を抱かないためには、庭師は購入した貴重なキッチンハーブや鉢植え用のハーブを入念に栽培するにあたって、土に植えられたタネが完全で新しいものであること、土がきちんと準備されていること、と同時に良質な畜糞が施用されていること、かん水が手元にあることをチェックする必要があります。

良いタネは良質で優れた植物に成長するからです。苦労して作った土だからこそ、そこに蒔いたタネは守られ、繁栄することができるのです。

良質の糞が土とよく混ざっていると、土壌は改善され空隙ができるので、そこに丹精込めてかん水すれば、水はまんべんになく土にしみわたり、根を潤します。このように、水は植物を養い育てる、まるで乳母のようです。

-----------------------おまけ

ヒアシンスの花が咲きました。

10月半ば 冷蔵庫に保管していた球根を冷蔵庫内にて水耕栽培開始。

12月29日 芽が出てきたので冷蔵庫から室内の窓辺に移動。

2月3日 冷蔵庫から出して1ヶ月ちょっとで花が満開になりました。良い香りです。




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