2022年2月27日日曜日

魔女の時代:「The Gardeners Labyrinth」第16章

 「数百年もあれば世界は変わり、悪魔と天使と魔女の世界が、原子と電磁波の世界になる。」(カルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」より)

16章以降、いろいろな16世紀の栽培方法が述べられます。科学的根拠がありそうなものもありますが、現代から見るとあやしげなものもあって、いかにも魔女が信じられていた時代!

第16章  蒔いたタネが鳥や虫の被害を受けないための貴重な発見と対策方法について。 

もし蒔いたタネが虫や他の忍び寄る敵からの被害を受けたり、鳥によってつつかれて損失を受けた場合、庭師の作業は無駄なものになることに、偉大な作家たちは同意するでしょう。 害虫の蜂が地面を出入りしていればまた別の被害を受けます。そのため、庭主や庭師はこれらの被害を避けるために、なすべき治癒と秘策を考え、今こそ気を配り、勤勉に働かなければなりません。

タネを土に蒔く少し前に、屋根万代草* または シニグリン**の液にタネを浸します。

*センペルビブム。ヨーロッパ原産の多肉植物。古くから民間薬として、あるいは魔女の薬草として知られているそうです。

**大根やわさび、クレソン、マスタードなどの辛味成分がシニグリンなので、そういった類の植物でしょうか?

それによりタネは、鳥、アリ、野ネズミ、その他庭のハーブ(野菜や薬草類)を台無しにする敵からの被害を受けずに守られるだけでなく、このタネから発芽した植物は、その後、優れて価値のあるものになることがわかるでしょう。私は同様のことを目撃しています。これは確かに真実であることが、(この分野についての)ギリシア語の解説書とラテン語の農業書の両方で指摘されていますし、経験上でも認められています。これは様々な地域で何回も実証されています。ハーブの少しの蓄えで、この方法を試して確認することができます。庭師は、この方法を試した結果、より多くにこの方法を適用するようになるにちがいありません。十分な量の水に屋根万代草またはシニグリンを一晩浸し、この液を種子に十分に振りかけます。こうして、偉人コルメラが指南したように、タネは一晩かけて屋根万代草または シニグリンから滲み出た物質を吸収することができます。

この屋根万代草またはシニグリンがまったく入手できないなら、庭師はその代わりに煙突に着いたすすを利用することができます(と、件の著者は報告しています)。すすはタネを土に蒔く前日に集め、一晩タネと混ぜ合わせて置くことにより、タネを守ります。

ギリシアの農民作家 (および、彼らの後に続く、プリニーとナポリの偉人パラディウス・ルティリウス) は、もし雌馬の肉のない頭か、(雄馬の皮で覆った?)雌馬の尻を庭に埋めるか、あるいはそれを杭に固定して庭の中央に立てれば、そこに蒔かれたタネは、あらゆる悪魔や庭の怪物から守られると報告しています。

偉人プリニーはさらに次のように報告しています。あなたがたの(ばん土と呼ばれる)作付けしていない畑 に生育しているニンニクをうまくゆでると、ニンニクは再び成長しません。そして、タネまきしたベッドにそれを広げます。この方法は役に立ちます。すなわち、その後、鳥はその土をつつかず、土中のタネを台無しにすることもありません。

そして、これを食べてしまった鳥は、手で捕まえることができます(それは驚くほどです)。

偉大な実践者であったアフリカヌスは、同じ問題に対して、ある量の小麦または大麦を煮るかワインに浸し、白か黒のクリスマスローズと混ぜて、これをベッドの周りの小道のそばに撒けば、鳥の食害から蒔いたタネをうまく守ることができると指導しています。

これを食べた鳥は瀕死か、少なくとも完全にふらふらの状態になります。そこで、地面に突き刺した長い棒にこの鳥の脚をひっかけてつるします。その場所へ来た他の鳥はすべて、恐怖と恐れで逃げ去ります。

また、この偉大な著者はCreauises(?)川の煎じ薬の珍しい習慣を省略せずに記録しています。

この煎じ薬を庭師がタネを蒔く前に種子に振り掛けると、(驚くべきことに)鳥は決して庭のベッドに近づかなくなります。

そのうえ、この種子から発芽し伸びた植物は、忍び寄る外敵からのどんな被害も受けず、のびのびと生育します。

熟練技を持つ実践者は、植物の成長に関して、この煎じ薬の散布だけで鳥を追い払うのに強力に役立つと断言します。月の満ち欠けの特定の期間と時期に100 回ほど実践されて、効果が実証されています。

様々な実践者が、ヒノキのくだいた葉と蒔くタネを一晩混ぜ、翌日この混合物を、前もって糞肥をよく混ぜ合せておいた土に埋めています。

こうすると、そこからうまく芽生えた植物は、忍び寄ってかじるすべての敵からの難を逃れます。

他の巧みな実践者は、雄鹿の角か象の歯の乾いた削りくずややすりくずを使います。それを1日タネと混ぜ、その後、土に埋めます。または、一晩これらのくずと混ぜて煎じた水をタネに振りかけます。

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