キューガーデンのパームハウスのような曲線形の温室はいかにも19世紀ビクトリア〜ンですよね。現代の温室はシンプルで機能的。温室の変遷は、コルセットやクリノリンを着けた当時の装飾いっぱいのドレスから現代のユニクロファッションへの変化に通じる? でも、機能を求めず愛でるだけなら、ビクトリア〜ンな温室はとても魅力的ですよね。
ここでは、曲線屋根の機能について解説しています。当時の被覆材はガラスなので、曲線にする利点は少なかったようですが、今はプラスチックフィルムで簡単に被覆できるので簡便なパイプハウスはどれも丸いかまぼこ屋根ですね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
栽培温室
曲線屋根のハウス
曲線屋根のハウスは栽培に最も適した形式だと、さまざまな場面で称賛されてきましたが、その主張を注意深く検討してみれば、利点よりも欠点の方が圧倒的に多いかもしれません。
他の条件が同じであれば、曲線屋根は間違いなく他のどの屋根よりも太陽光線をハウス内に入れるはずです。
しかし、太陽光線は実質的には平行光としてに地球上に到達していることを忘れてはいけません。 そのため、直線屋根と違って曲線屋根は光線が屋根全体に直角に当たることはありません。つまり、次のようになります。
図 30のように、屋根の中間高さにおいて太陽光が直角(90°)に入射した場合、光線が屋根の下部や上部近くでの入射角度は徐々に小さくなることがわかります。
こうすれば、極端な垂直部分や水平部分が発生しません。
しかし、たとえこうしたとしても、カーブの一部を遮って換気口を設けることは困難です。
曲線屋根のフレームは木または(小規模なハウスの場合は)鉄のいずれかで組みますが、屋根が直線の場合よりも組み立てが面倒で費用もかかり、横方向に発生する力を克服するのはそれほど容易ではありません。
誘引用のワイヤーは曲線フレームにそれほど簡単には固定できません。屋根の曲線に正確に沿わせたいなら鉄の垂直ロッドをフレームに追加する必要があり、より重くなります。
被覆に曲げガラスを使用すると、初期費用がはるかに高くなるだけでなく、修理にも費用がかかります。さらに平らな板ガラスよりも温度の変化に弱く破損しやすいです。
これらの欠点を回避しようと平らなガラス板で曲線の屋根を覆うとすると、小さなガラス板を使わなければいけません。そうしないと屋根の曲線に沿わせることができなくなります。
どちらの場合も、実際にカーブの半径が非常に大きい場合を除き、見た目は悪くなります。
曲線の骨組みのリブ(補強材)上を平らなガラス板で覆うことも容易ではありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿