レンガ積みの温室はいかにも英国風の温室って感じがします。福岡市美術館の建物のレンガは、表面にレンガを貼っただけの安っぽいものではなく、イギリス積みという積み方で、とても丈夫なんですよと、学芸員の先生からお聞きしたことがあります。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
レンガ造り
一般的な注意事項
ロンドンとその周辺の地域では、レンガ積みは 16.5 フィート四方の「ロッド」単位で測られ、厚さの基準は1.5 レンガ(13.5インチ = 1.125 フィート) (実際は14 インチ) とされます。つまり、1.5 レンガの表の面積は 272 平方フィート(= 16.5 x 16.5)で、体積は306 立方フィート(= 16.5 x 16.5 x 1.125)となります。これは11 .33333 立方ヤードであり、これが 1 ロッドに相当します。
イングランドではレンガ積みの単位を立方ヤード単位で測る地域もあります。
庭や温室の壁に適した、硬くてよく焼成された良質のレンガは、8_3/4 x 4_1/4 x 2_3/4 インチ(22.225 x 10.795 x 6.885 cm)の大きさで、重さは 1 個あたり約 6.81 ポンド (3.09 kg)、つまり 1000 個あたり 6 0_3/4 cwt. (1 cwt.は約50.8 kg)、 1 立方フィートあたり 115 ポンド(52 kg)です。
4 層積みだと、その高さは通常 12 インチ(2_3/4 インチ x 4 =12 インチ)になります。
このようなレンガは、水に浸した場合、重さの約 1/15以上の水を吸収してはいけません (Molesworthによる)。あるいは 24 時間浸水させた後の重さの増加が約 1/15 を超えてはいけません(Hurstによる)。
レンガや石でできた柱や支柱の高さは、基礎部の最小厚さの 12 倍を超えてはいけません。また、そこに1 平方フィートあたり、セメントの場合は約 3 トン、モルタルの場合は約 2 トンを超える荷重がかかってはいけません。
Molesworth は、 (テラス、掘り下げたストークス ホール(燃焼炉)などの) 擁壁の厚さを計算するための有用なデータを提示しています(表 X)。もちろん、そのような壁には盛り土が施されておらず、壁の下の土は(霜などで?)壁より上に持ち上げられることはないと仮定しています。
表 X.— 擁壁用レンガ積み
コンクリート
コンクリートの最良の配合の 1 つは、次のとおりです。きれいな小石かふるいにかけた砂利か砕いた石 6 に対して、よく洗った鋭い砂 2 、粉砕した青ライアス石灰または (湿気のある場所で使用する場合) 最高品質の水硬性石灰またはポートランド セメント1 の割合です。
セメントを使用する場合は、それほど多くは必要ありません。コンクリートは、十分に混ぜて所定の位置に入れた後、固まる前にしっかりと押し固める必要があります。コンクリートの組成は砂利のサイズとふるいにかける程度によって大きく異なります。通常のコンクリートの重量は1 立方フィートあたり約 119 ポンド(54 kg)ですが、セメント入りコンクリートは 1 立方フィートあたり約 137 ポンド(62 kg)です。
庭園の壁や温室の壁は次の比率になります:—
表 XI.—レンガ壁の寸法
高さ12 フィートを超える壁は、おそらく壁に建てかけるタイプの温室を造る場合にのみ建設されるでしょう。横方向の推力がない場合 (そうあるべきですが)、温室は壁を支えるのに役立ち、その側で風の力に抵抗します。
壁の裏側に支柱を設けることがどんな場合も推奨されますが、温室が壁の片側にあり、植木小屋やオフィスあるいは離れが反対の片側にある場合、支柱は必ずしも必要でないかもしれません。
すべてのレンガ壁には接着層が必要です。
庭の壁の高さが 10 フィート 0 インチまでの場合は基礎部を 2 フィート 6 インチより薄くしてはいけません。これより高さい壁の場合は 基礎部を3 フィート 0 インチ以上の厚さにしなくてはいけません。基礎は壁の 2 倍の厚さで、「オフセット(フーチングの張り出し部)」は 2 フィート以下にする必要があります。
基礎の深さは12 インチから 18 インチとし、良質のコンクリートが必要です。ただし、基礎の深さは土壌の性質に大きく依存します。
堅い砂利層ならそれほど深い基礎は必要なく、コンクリートは減らしたり省略したりできます。
栽培用のハウスで採光に垂直のガラス面を設ける場合、レンガの壁は厚さ 9 インチとし、床からガラス面を置く木の板の線までの高さは 2 フィート 6 インチにする必要があります。垂直のガラス面を使用しない場合は、この高さを 4 フィート 0 インチまで増やすことができます。(「栽培ハウス」の項を参照してください。)
この種のハウスの重量は比較的小さいため、基礎として地面から 1フィート 0 インチ以上のレンガ積みは必要ありません。もし必要な場合は 1フィート 0 インチのコンクリートにします。
地面がかなり固い場合、温室が小さければ、壁の土台の両側に 2-1/4 インチのオフセット(フーチングの出っ張り部分)を 1 つずつ設ければ十分で、コンクリートは省略できます。温室が広い場合は両側に同様のオフセットを2つ設ける必要があります。
地盤が非常に不安定な場合は、土台の幅を広げ、コンクリートを追加して、荷重をより広い領域に分散させる必要があります。
非常に小さな温室の場合、4-1/2 インチのレンガ積みだけで十分な強度が得られることがよくありますが、9 インチのレンガ積みにした方がより効果的な熱伝導性能が得られます。
垂直なガラス面のない非常に狭い促成栽培用の温室では、地面から 1 フィート 6 インチまたは 2 フィート 0 インチまでを 9 インチのレンガ積みとし、その上は壁を 4-1/2 インチのレンガ積みに戻すのが賢明な場合があります。(図 58 を参照してください。)
図 58. 壁の断面図(縮尺は 1/4 インチ = 1 フィート)
形成された凹み部分は温水パイプの土台に最適となり、これを利用して換気扇のすぐ前または下に温水パイプを配置できます。
ブドウ園や植物をボーダーに植えたハウスでは、根がハウスの内側または外側へ伸びて、より広く成長できるように、地面より下に造った逆さアーチの上に壁を建てることがよくあります。
正面の壁をアーチ上に建てずに大量のレンガ積みを抑える非常に優れた方法(特にハウスが狭い場合はこれはボーダーから見ると大きな障害物となりますから) は、正面のガラス面から 1 フィート 6 インチまたは 2 フィート 0 インチ下の各マリオン(窓の縦仕切り)を柱で支えて、ガラス面と土壌の間にできるスペースはスレート板で埋めてやることです(図 59 を参照)。
もちろん、スレート板は土の下に敷く必要はありません。土の下に敷くと根がボーダーの両側(ハウスの内側と外側)へ自由に伸びることができなくなりますから。
温室のレンガ造りに関して明確なルールといったものはありませんが、温室の土台となる矮小壁の高さは床面から2 フィート以上にすることはほとんど推奨されません。
もちろん大きなコンサバトリーやウィンター ガーデンでは、構造上および建築上の要件を満たすために壁の厚さや高さをさまざまに変更する必要があります。
ボイラーと放熱面の間を結ぶ温水の主パイプを設置するために造る溝は、断面が長方形で、内部寸法は作業者がパイプを敷設するのに便利で、レンガや石でところどころを支えて断熱できる程度の大きさにすればよいでしょう。
この溝が完成し、パイプを固定したら、溝の上にタイルを敷いて、全体を砂利、土などで覆います。
露出する位置の壁は中空にすると有利なことが多いでしょう。閉じ込められた空気は優れた断熱体で輻射を防止する装置となります。
このような壁であれば、壁付きの樹木が人工的な熱を必要としていてかつガラスで覆うことが考えられない場合は、中空の空間の底にパイプを敷設して加熱することもできます。
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