温室の内側だけでなく外側の周囲にも縁取りのように回らす栽培床がボーダーらしいです。
虫の多い日本では外側のボーダーの害虫が温室内に入ってくるのではなかろうか、と心配になります。でも、縁取りの植栽は見映えしますよね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
ボーダー
ボーダーの条件
ブドウの根などの栽培管理をするうえで念頭に置くべき重要な点がいくつかあり、その点からボーダーの構成がある程度決まります。
排水は完璧にしなければいけません。根は生えている場所の堆肥や土壌だけが栄養の摂取源のなります。
場合によっては、この土壌を冷たい大気にさらしてはいけないこともあります。
図 90 はこれらの条件がどのように満たされるかを示しています。
F: 一定間隔の支柱で支えられた通路
排水
地面が傾斜していて、土が軽く、水が自然に排水できる場合は、人による特別な排水は不要である可能性があります。ボーダーの底は瓦礫や石、レンガの層で形成されます。これはボーダーの排水を促すだけでなく、根がボーダーの外の土壌へ伸びるのを防ぎます。
土が重かったり、低地だったり、ボーダーから自然に排水されない可能性が少しでもある場合は、人工的な排水を慎重に施す必要があります。
このような場合、ボーダーを作るのに最善の方法は、最初に外側の擁壁に向かって下向きに傾斜するコンクリートの層を敷き、その傾斜の最も低い地点に排水の縦溝を設けることです(図90のD)。
次に瓦礫の層を作ります。ボーダーに対して横向きの小さな排水管をいくつか設置します。
次に、瓦礫の隙間に栽培土が詰まるのを防ぐために芝を敷きます。次に、ボーダー本体となる栽培土を置きます。
排水の問題は非常に重要で、特に重い(粘土のような)土壌の場合、ボーダーの領域は可能な限り地表面より上にすべきです。
図90で示すほどの大きな角度でコンクリート基礎を傾斜させることが困難な場合は、横方向の排水溝を効率的に敷設する必要があります。
瓦礫層は排水の容易さや難度に応じて 6 〜 12 インチ(15〜30 cm) の厚さにします。
ボーダーの形状
ボーダーの適切な深さは、意見や状況によって異なりますが、平均的な深さとしては 2 フィート 6 インチから 3 フィート 0 インチ (75〜90 cm) が適切だと考えられます。
ボーダーの幅は他の状況にも依りますが、屋外側の壁際のブドウの木であれば、大まかには10 フィートから 11 フィート (3〜3.3 m) が適切でしょう。一方、ハウス内のボーダーにあるブドウの木の場合、ボーダー幅は全体として垂木の長さに等しくなるでしょう。
工事
図90では、ボーダーの一部がハウスの内側にあり、一部がハウスの外側にあることがわかります。正面の壁は、根がこのどちらの方向にも走れるように基礎はアーチ状にして建てられています。あるいは、代わりに、軽い鉄の柱でマリオン(方立(ほうだて))を支え、マリオン間の空間をスレート板で埋めることで、正面壁の一部を省略してアーチの必要性をなくすという方法を採用することもできます(「レンガ積み」の項を参照)。
場合によっては、特に早生のブドウの場合は、ボーダーの一部を外の冷たい空気にさらして根の活動を阻害しないように、ボーダーは全体をハウス内にすることをお勧めします。
実際には、ボーダーの上部を完全に寒さから守るだけでなく、ボーダーの下部に温水パイプを設置する、すなわち「促成栽培の栽培ベッド」の項で示したような方法でボーダーの底部に熱を供給することが必要であると考えられる場合もあります。
ただし、一般的な用途であれば、図 90 に示すようなボーダーを作れば十分です。
必要であれば、間隔を空けて立てた支柱に支えられた通路によって、ボーダーをハウスの内部から後ろの壁まで通すこともできます。後ろの壁に近いボーダー部分は壁付けの樹木用に利用できます。
あるいは、コンクリートや瓦礫層は歩道のこの側を支えるために建設された壁までとし、歩道の外側の端までをボーダーとすることもできます。
後ろの壁際に(そして通路の下に)補助的なボーダーを設け、壁付けの樹を植えたり、このスペースを棚として利用したりすることもできます。
ブドウの根が隣のボーダー部分に植ったブドウの根と干渉するのを防ぐためやボーダー内の隣同志のブドウの根の干渉を防ぐためといった管理方法は異なるものの、風通しは同じにする必要がある場合などには、ボーダーに横向き(幅方向)の壁を設けることもあります。
先の図は、後ろの壁近くに通路があることを示しています。ハウスが広く、正面の近くに通路が必要な場合は、木製のトレリスの通路をボーダー上に置くのが最適です。
一般的な注意
ボーダーに関して言えば、両屋根ハウスや片流れ屋根以外のハウスでも全く同じことが当てはまります。通路の端を支える支柱や矮小の壁は、一部の温水パイプを支えるために利用することもできますし、その他、前壁のアーチを支える支柱を厚くすればそれに固定することもできます。あるいは、ブドウの茎がパイプに近すぎる場合は、前壁の内側に少し距離をとって支柱を立ててパイプを支えることもできます。
ボーダーの土作りは建築というよりも栽培の課題であるため、本書では論じません。
屋内だけでなく屋外にもボーダーを作る場合、霜や冷たい雨から守るために、外側の部分を防水シート、敷石、シダ、マット、粗板、その他の材料で覆う方が良い場合があります。
ボーダー全体をいっぺんに作るのは必ずしも得策ではありません。
ブドウの根の成長に応じてボーダーを作っていくことはボーダー材料を節約するだけでなく、ブドウの実りを増す傾向があると、多くの園芸家は考えています。しかし、これはボーダーの栽培土にのみ言えることです。ボーダー全体で必要な擁壁、支柱、砕石、排水路などは、部分的に作るよりも一度に作る方が効率的です。
0 件のコメント:
コメントを投稿