子供の頃のお手伝いは石炭風呂の灰の掻き出しでした。なので、19世紀のボイラーの火炉のあたりは何となくイメージできるような気がします。スイッチ一つでお湯が沸く装置しか知らない世代はイメージしにくいかもしれませんね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
様々な暖房方法 Ⅲ
低圧(常圧)温水暖房
ボイラー
温水ボイラーは数え切れないくらい多くの種類が開発されています。
それらの全て、あるいは一部を説明するだけでも、本項に収まりきれません。そこで、ここではボイラーの原理と、一般的な特徴を簡単に整理し、注意点をいくつか列挙したいと思います。
ボイラーの出力は主に加熱される面積に依存しますが、炎と高温ガスが高温でない面に接触する場合、放出される熱量はその受熱面の配置に依存します。
この受熱面が平坦で水平であり、その下に火炉がある場合にのみ、完全に効率的であると言えます。
火炎上の面が垂直の場合の効率は50%と見積られ、炎より下にある水平面は効率に全く寄与しません。
例えば、
図100に示すように、長方形のボイラー(A-B-C-D)の下に火炉があるとします。
面 A は面全体の熱効率が高いです。炎が上昇するなどして面Aに直接当たるため、ボイラーの下部の水が加熱されて上昇し、より冷たい水に代わるからです。
高温ガスなどは面Cに当たりにくく、仮に当たったとしても、水の上部表面が温められるだけで対流は起こりにくいでしょう。
さらに、微細な灰や煤は面Cに付着しやすく、水への熱伝導をさらに阻害します。
ボイラーの面Aが1、面BとDがそれぞれ1/2、面Cでの伝熱効率が0の場合、有効伝熱面積比率は全面積4(A ,B ,C ,D各面が1)とすると、2、つまり全面積の半分となります。
図の面A、B、C、D全面に水が面する内部炉の場合は、これと逆のことが起こります。面Cは1、面BとDはそれぞれ1/2、面Aは0として計算します。その結果、全有効伝熱面積比率はボイラーの下に火炉がある場合と同じ、2となります。
ボイラーには、炎が直かに当たる面の他に、炎が直に当たらないものの、煙突へ向かう燃焼生成物からの熱が伝わる2次的な面があります。
このような2次的な煙道または管面での有効伝熱量は、通常、その面積の約3分の1(Hood の式)として、または直径の1と1/4(Molesworthの式)として計算します。
ボイラーの炎が直に当たる面では、面積1平方フィートあたり、直径4インチのパイプなら40~50フィート、直径3インチのパイプでは55~66フィート、直径2インチのパイプでは80~100フィートが加熱できると推定されます。
この計算でボイラーの大きさを決める際には、慎重に行う必要があります。
小型ボイラーと大型ボイラーの放射による熱損失率は小型ボイラーの方がはるかに大きくなります。さらに、小型ボイラーでは煙突に流入する気流の温度が大型ボイラーよりもずっと高くなります。
また、燃焼条件も大きく影響します。燃料消費が2倍になると、通常の状態よりも多くの熱をボイラーから得ることができますが、この方法で単純に2倍の効率が得られるというわけではありません。燃料消費量が2倍になっても、暖房能力は2倍になるどころか、それよりずっと少なくなるからです。
各メーカーは、それぞれのボイラーが加熱可能な配管の長さを提示しています。
しかし、燃料の節約という観点から最も有利な方法は、可能とされる配管長さの50%の配管長で使用することです。言い換えれば、ボイラーが加熱できるとされる最大配管長 f を超えないようにすべきです。
一部の専門家は、暖房に必要な暖房面積をハウスから直接推定しようと試みています。
例えば、次のような方法が提示されています。
「暖房するハウスの容積を測り、半耐寒性植物の場合は100フィートごとに、ボイラー面積10平方インチ、火格子面積1平方インチを与える。熱帯植物の場合はこの比率を2倍にする。促成栽培の場合は必要な温度に応じてその中間の比率をとる。」
ハウス内で得られる温度は、ボイラーが出力する熱量よりもハウス内での熱の放射面積に大きく依存することが分かっているので、まず必要なパイプの長さを決定して、それから必要なボイラーのサイズと出力を計算するのが唯一最適な方法です。
ボイラーを選ぶ際には、他の条件が同じであれば、火が直接当たる面積が最も大きいボイラーが最も経済的であることに疑いの余地はありません。
このようなボイラーは、火が直に当たる面積が小さく、その出力を主に補助的な加熱面や二次加熱面に頼っているボイラーよりも優れています。
つまり、燃料から最大限熱を引き出し、それを放射面で再び放出できるかどうかがボイラーの良し悪しを決めます。
ボイラーの設置場所や炉の状態に大きく左右されるため、ボイラーの選定においては、これらを十分に考慮する必要があります。
ボイラーは鋳鉄や錬鉄で作られています。鋳鉄は錬鉄ほど腐食や付着に強くありません。
もちろん、鋳鉄は錬鉄ほど耐圧性が高くありません。しかし、かかる圧力は水頭による圧力だけなので、耐圧性はそれほど重要ではありません。(「ボイラーの位置」の項を参照してください。)
通常、適切に燃料を供給していれば蒸気は全く発生しません。(水頭圧のみで蒸気圧は考慮しなくてよい、ということ。)
ただし、錬鉄製でも鋳鉄製でも、ボイラーはすべて使用前に1平方インチあたり40ポンド(=276 kPa;1000mlのパック牛乳138本分)以上の圧力に耐えるか試験する必要があります。
[サドル型ボイラーと管状ボイラーの特徴]
ボイラーには様々な形状がありますが、通常はサドル型ボイラーと管状ボイラーの大別できます。
サドル型は直接火が当たる部分がほぼ平坦な面ですが、管状タイプは一連の管に火が当たります。
サドルボイラーは製造業者が煙道を枝分かれさせたり増やしたりした結果、さまざまな形状のものが出現しています。
そのため、直接火の当たる面とは無関係に、煙突に到達する前に最大限の熱量を取り出そうと可能な限り大きな二次表面を設けています。
サドルボイラーの伝熱面は波状になっていて、高温のガスと炎が表面を滑って逃げることがないようにしています。
大規模な場合、通常の「コーニッシュ」ボイラー(円筒形の水平内部燃焼式の耐圧性の高いボイラー)に配熱されるまでの間、サドル型ボイラーで延長することがあります。
サドル型ボイラーはどんな形状のものでも通常錬鉄製ですが、複数の鉛直な内部煙道を持つものは鋳鉄製です。
管状ボイラーの形状にはそれほど多様性はありませんが、製造業者は利点が得られると判断すれば、様々な形状を生み出すでしょう。
垂直方向の管を上部リングと下部リングに挿入し、上部リングを下部リングよりも小さくすることで円錐形を形成する場合もあります。
下部リングとの連通部が戻りの入口、上部リングとの連通部が流出の出口になります。
このようなボイラーには、管とリングの接合部に継ぎ目がない構造のものもあります。
また、複数の管が水平に上下に配置され、それぞれの管が下側の管より短くなるようにすることで、円錐形にしたものもあります。
非常に多くのバリエーションと組み合わせがありますが、すべてのボイラーは4つのグループに分けられます。図101、102、103、および104はそれらのうちの優れた代表例です。
図101は、一般的な錬鉄製サドルボイラーを示しています。
このようなボイラーを設置する際には、通常、両側面に縦方向の耐火レンガ製の内部羽根が配置されます。
これにより、高温のガスはボイラーの頂部に衝突した後、内部羽根の下を後方から前方へ、そしてボイラー上部を前方から後方へ、そして煙突へと流れるようになります。
火炉はボイラーの下部のトンネル部分にあって、燃料は通常、ボイラーの前の方から供給されます。
しかし、ここ数年で、サドルボイラーの頂部に管を挿入して上部から燃料を供給できるタイプが発明されました。
図102は、さらに改良されたサドル型のボイラーを示しています。
図102のボイラーには、炎が当たる面と外面(通常のサドル型ボイラーと同じ)に加えて、3本の煙道が追加されています。
燃焼流は炉を出てボイラーの後方を通過した後、中央の煙道を通ってボイラーの前方へ向かう1本の流れとなり、矢印で示すように、側面の煙道を通って2本の流れとなって後方に戻ります。
図103は、縦型の管状ボイラーを示しています。その構造は以下のとおりです。
—ボイラー本体は半々に分かれており、それぞれ底室、隔膜室、上室の3つの中空室で構成されています。これらは2列の垂直の管で接続されています。
中間室すなわち隔膜室は、未燃焼ガスの流出を防ぐためにプレートによって調整されており、燃料節約装置としてだけでなく、部分的な煙配給装置としても機能します。
ボイラーを2つすることで、各半分は幅18インチの開口部で行き来させることができます。
また、片方の半分に事故が発生した場合、その半分を切り離し、もう片方の半分をそのまま稼働させることができます。また、ボイラーには水柵(水止め)が取り付けられていることにも注目してください。
図103. ウィークス社製の2連式直立型管状ボイラー(特許取得済み)
図104は横型の管状ボイラーを示しています。その構造は次のとおりです。
—ボイラーは鋳鉄製のリングで構成され、各リングは同一平面上にある4本の管で構成されています。
隅柱(コーナーポスト)にある印はリングの接合部を示しています。この図では4つのリングが示されています。したがって、管とコーナーポストの接合部には継ぎ目がありません。
各コーナーポストに貫通したコーナープレートとボルトでリングを所定の位置に固定しています。
管は水平に作られ、全体として円錐形になっています。そのため、炎と高温ガスは伝熱面に直角に当たり、伝熱面を滑って逃げることはありません。
コーナーポストは中空構造になっており、水循環のための導管として機能しています。
図104:デニス社(特許)の「A1」水平管式ボイラー
このようなボイラーはセグメントで構成されているため、事故が発生した場合でも、非常に容易かつ迅速に分解し、新しいリングを取り付けることができます。
図には示されていませんが、このボイラーには水柵(水止め)を取り付けることができます。
水平管を持つボイラーは、他の条件が同じであれば、垂直管のボイラーよりもはるかに浅い燃料投入口が必要です。
管状ボイラーは、同じサイズであればサドルボイラーよりも伝熱面積がずっと大きいことは疑う余地がなく、したがって、サドルボイラーよりも効率的であると考えられます。
特に、温水ボイラーでは伝熱面積に比例してボイラーの水量を増やしても何のメリットも得られないことを考えると、これは妥当なことです。
逆に、ボイラーが最小量の水でも伝熱面積が最大ならば、効率は大幅に向上します。
もちろん、ボイラーは常に水で満たされていなければならず、そうであれば水が完全に蒸発してボイラーが損傷する危険は生じません。
蒸気は発生しないはずであり、発生したとしても水頭を超える圧力は発生しないはずです。したがって、圧力上昇による爆発や破損は決して起こり得ないはずです。
[ボイラーの選定条件]
ボイラーを選定する際の条件のいくつかは、おおよそ以下のようにまとめることができます。
・暖房空間における有効な直接伝熱面積は?
・暖房空間における有効な二次的伝熱面積は?
・排水不足による不便が生じない高さにボイラーを設置できるか?
・設置が可能な場所か?
・燃焼で生じた生成物が煙突へと排出される前に、最大限の熱量を確保できるか?
・分解や修理、交換が容易か?
・燃料はその地域で入手しやすいか? 作業要員を確保できるか?
・水の上昇や水の流入と戻りといった流れを遮るものは最小限か?
・流入管はボイラーの最も高い位置に、戻り管は最も低い位置に配置されているか?
こういった点はボイラーの購入を検討している人に提示されますが、個々のケースはそれぞれのメリットに基づいて個別に判断されるべきものです。
したがって、すべての条件を知らずに様々なボイラーの中で特定のボイラーを推奨することは不可能です。
ただし、他の条件が同じであれば、鋳鉄製は鍛造製よりも優れており、管状ボイラーはサドルボイラーより優れており、水平管式ボイラーは垂直管式ボイラーよりも優れているということは言えるでしょう。
温水ボイラーに清浄な雨水を集めて使用すれば、硬水を使用した場合より沈殿物や付着物が発生する危険が小さくなります。
水は常に循環してボイラーに出入りしていれば付着物の発生が防がれています。さらに、温水ボイラーは水蒸気発生用のボイラーに比べて付着物の発生が少ないです。
燃料を節約し、火を焚く労力を減らすために、住居に付属する小さなコンサバトリーや温室の所有者はキッチンのボイラーから加熱パイプを引いて操作したいと考えることがよくあります。
しかし、温室とキッチンの床が同じ高さの場合、このような方式は推奨できません。
なぜなら、給水管を床面より下に下げなければボイラーを放熱管に接続できない可能性が高いからです。
たとえ床面より下げる必要がないとしても、放熱管をボイラーよりも高い位置に設置するのは不便であったり、できなかったりするでしょう。
さらに、住宅と兼用のボイラーで上階の浴槽を温めたり、ボイラーと接続して温室よりも高い位置に調理用や家庭用の給湯タンクを設置したりする場合、温室のパイプには冷水しか入ってこないことがよくあります。なぜなら、温い水は自然に最も高い位置へ流れるからです。
また、キッチンの火格子(コンロ)は通常、燃料容量が小さく、燃料補給作業なしで長時間燃焼を維持できるようには作られていません。
その結果、温室の暖房が最も必要な夜間に、火だねはあっても消えてしまう可能性があります。
一般的に、可能であれば温室を専用のボイラーで暖房する方が経済的です。
大規模で複雑な園芸施設では、1台のボイラーで放熱配管をすべて加熱するのが一般的です。
これは非常に経済的で好ましい方法です。
ただし、もし唯一のボイラーが、例えば、強い霜で故障すると、大きな損害が発生する可能性があります。
このような場合、2台のボイラーを連結し、1台が故障しても残りの1台で配管全体に熱を供給できるようにするか、1台のボイラーで運転する一方で、同様のボイラーを予備として連結準備しておくことが望ましいでしょう。
暖房区画が非常に長い場合、あるいはハウスが点在してハウス間に距離がある場合は、複数の中央熱源を設け、各地点にボイラーを設置するのが賢明です。
こうすれば、長い主管を数多く敷設する必要がなくなるため、経済性と効率性が向上します。




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