19世紀の気圧計と温度計はちょっとレトロだけど現代のもの変わらないのが、図版から見てとれます。ただし、温度計の中身は水銀だったりしますけど。
シンプルで丈夫なバイメタル方式の温度計は、現在でも同じ原理の火災報知器やハウスの低温警報装置などいろいろなところで、目立ちませんが、活躍してくれてますよね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
気象学 I.
気象学
大気の状態、すなわち気温や関連するあらゆる事象、さらには、その測定機器は、栽培において非常に重要であるため、ここでは初歩的な気象学について少し触れることにいたしましょう。
図版は、ネグレッティ氏とザンブラ氏のご厚意により提供いただいた版画から引用しています。
気圧計
よく知られているように、大気の重さは常に変化していますが、大気圧と正確に釣り合う水銀柱の高さで大気の重さを測定することができます。
この水銀柱が「気圧計」と呼ばれるもので、園芸家にとって最も有用な気象観測機器の一つです。この気圧計の測定値と気温などの他の気象指標とを併せて用いれば、多くの場合、天候の変化を予測するのに役立ちます。
気圧計を用い測定を行う際には、通常、管内の水銀の高さを気温華氏33度(摂氏0度)と海面高度で「補正」します。
温度計
園芸家にとって気圧計の次に重要な気象観測機器は「温度計」すなわち温度を測る器具です。
温度計はごく一般的な器具なので説明は不要でしょう。水銀温度計の動作原理としては、水銀は熱によってガラスよりもはるかに大きく体積が膨張するという事実に基づいている、とだけ述べておけば十分でしょう。
アルコール温度計も同じ原理で動作します。
このように、よく知られた水銀温度計やアルコール温度計を使えば、温室内外の気温だけでなく、促成栽培の温床、庭の土壌、暖房装置の温水パイプなどの温度も測定できます。
しかし、温度計近くの温度をいつでも確認できるというだけでは十分でないこともあります。
自分が不在の期間中、ある場所の最高温度や最低温度が何度であったかを知りたい場合があります。
最高温度や最低温度を知るために、水銀やアルコールの入った管の中に針が取り付けられている温度計が作られます。針の位置で、水銀柱またはアルコール柱が到達した最高点と最低点を知ることができます。
通常、図114と図115に示すように、最高温度を示す温度計と最低温度を示す温度計が使用されています。
気温
気温を測定する際は、太陽光やその他の放射の影響を受けない場所で測定するのが一般的です。
そのため、温度計は通常、地面から約4フィート(1.2メートル)の高さに設置し、太陽光線だけでなく、他の物体からの熱や冷気の放射も遮ることができる場所で測定します。
日射
太陽からの放射熱を測定することも有用です。
そのためには、放射熱を吸収するために球部が黒く塗られた温度計を、可能な限り空気を抜いたガラス容器に封入します。(図116参照)
こうすることで、大気中の熱の伝導や対流の影響を除くことができます。
湿度計
大気は、目には見えませんが一定量の水分を保持しています。
気温が高くなるほど、この水分量も多くなります。
しかし、気温の上昇と水分量は、必ずしも常に同じ比率で変化するというわけではありません。
大気が目に見えない状態で保持できる水分量には最大値(限界値)があり、それ以上には保持できない「飽和点」があります。
飽和点を超えると、水分は凝結し、露、霧、靄などとして目に見えるようになります。(「凝結と滴下」の項を参照のこと(リンク予定))
以下は、グレイシャーの湿度表から引用したもので、華氏0度から80度までの気温とそれに対応する水蒸気圧を水銀柱の高さで示しています。
この表から、ある温度の空気は目に見えない状態で一定量の水蒸気を容易に保持できるが、その空気の温度を下げると、すぐに飽和点に達して凝縮が起こることがわかります。
空気は常に一定量、目に見えない水分を含んでいますが、いったん、気温を上昇させて外部から大量の水分を取り込むと、そのあと、わずかに気温が低下しただけで飽和点を超えてしまうことがありえます。
また、表35に示すように、温度と飽和度は必ずしも同じ比率で変化するわけではないため、ある温度の空気と別の温度の空気が接触している場合、どちらの空気も飽和に達していなくても、接触によって全体として凝縮と完全飽和が生じる可能性があります。
例えば、まだ飽和しきっていない空気が、同じ温度で水分量が少ない空気と接触すると、より少ない水分を含んだ空気は前者の空気に含まれる水分の一部を吸収し、両者の水分量が平衡状態に達する傾向があります。
この原理を応用すれば、湿った室内空気に外気を入れることで室内を乾燥させることができることがおわかりになるでしょう。もちろん、外気がすでに完全に飽和していた場合や、室内の空気が外気と触れた時に内外気温の温度差によって結露が生じる場合は、この方法で部屋を乾燥させようとしても無駄です。
この原理とその適用には、どんな種類の換気でも留意しなければいけません。
(「換気」、「果物室」の項を参照のこと リンク必要)
したがって、大気の相対湿度を知る必要が頻繁に生じます。
表36.湿度計の指標(グレイシャーによる)
乾・湿球温度と相対湿度の関係
大気の相対湿度は湿度計、すなわち2つの温度計を組み合わせた装置(図117「湿度計、乾湿球」を参照のこと)で測定します。一方の温度計の球部(乾球)は通常通り大気に晒し、もう一方の球部(湿球)はモスリン布で覆い、小さな容器内の水に浸けた糸で布を常に湿らせておきます。
蒸発は温度を下げる作用があるため、空気が乾燥している時ほど湿球面からの水分の蒸発量が多くなり、湿球温度は乾球温度よりも温度が低下します。一方、大気中の水分量が多いければ水の蒸発速度は遅くなり、乾球と湿球の温度差は小さくなります。
表36と併せて湿度計の測定値を読み取れば、外気だけでなく、温室内の湿度を測定する際にも非常に便利なことがわかるでしょう。
空気に含まれる水分が飽和に達すると、乾球温度と湿球温度の差は0になります。
「露点」とは大気中の水分量が飽和状態に達した時の大気の温度です。
つまり、草の上に置いた温度計の測定温度(すなわち草による高湿度(相対湿度が100%近い)下の温度は露点を測定する方法として、湿度計の湿球温度測定ほど便利ではないものの、飽和点を知る上で同様の効果があります。
電気式温度計と警報装置
小規模な農園でも、大規模で重要な温室群でも、気温が一定の温度を上回ったり下回ったりした場合に庭師が警報を受けられるようにすることは極めて重要です。
日中は、庭師やその助手がそれぞれ注意していれば、外部からの警報を受ける必要はありません。
しかし、夜間は気温が突然低下したり、予期せず厳しい霜が降りたり、火の始末が不十分だったりする危険性があり、庭師が疲れ果てて熟睡していたりする可能性も考えられます。
こうした悪状況が重なれば、どんなに厳重な監視体制を敷いていても事故が起こり得ます。そして、その結果生じる悲惨な事態は、庭師なら知るところです。庭師は、たった一晩で、何ヶ月、あるいは何年もかけて築き上げてきた努力の成果を完全に失ってしまったことを目の当たりにするのですから。
しかしながら、この極めてシンプルな装置を用いることで、こういった危険をすべて回避し、昼夜を問わずいつでも、ハウスの温度が設定温度を下回ったり上回ったりした瞬間に、庭師は確実に警報を受け取ることができるようになります。
その装置とは、最高最低温度計と警報器とを組み合わせた電気式の自動警報装置です。
以下に説明します。
図118は、温室内に設置される電気式温度計(文字盤部分)を備えた装置を表しています。温室内の温度は、一定の範囲を超えても下回ってもいけません。
庭師の寝室にベルを設置し、電池は都合の良い場所に設置することができます。
絶縁した電線を電池の一方の端子から温度計の一方の接続ネジへ接続し、もう一本の電線は温度計のもう片方の接続ネジからベルの片方の端子に接続します。そして、ベルの空いたもう片方の端子と電池の空いている端子にも電線を接続します。
温度計近辺の温度があらかじめ設定された一定の値を超えるか下回ると、温度計の両端の導線が接触し、電気回路が起動します。そして、温度が設定値に戻って導線の接触が切れるまで、ベルが鳴り続けます。
ベルの音を聞いた庭師は、温度計が設置されているハウス内の温度を上げる(あるいは下げる)ための対策を直ちに講じるでしょう。
それぞれ異なる最高温度と最低温度を計測できる温度計を複数個用意し、複数のハウスに設置する場合も、それらすべてを同じ一つの電池とベルに接続することができます。
この温度計は、金属コイルが熱や冷気によって膨張・収縮する原理を利用しています。
ガルバニック回路の構成要素であるこのコイルが一定値を超えて膨張または収縮すると、調整可能な白金製の調節ネジに接触し、回路が繋がってベルが鳴ります。
これは、水銀温度計を使った電気式自動警報装置よりもはるかに信頼性が高く、便利です。水銀温度計はガルバニック作用によって酸化し、接触不良を起こしやすく、調整が容易ではないからです。










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