第10章は、16世紀エリザベス朝における畜糞ベスト5です。ちなみに、19世紀ビクトリア朝の第1位は馬糞でございます。19世紀は馬車・馬車・馬車の時代ですから、馬糞の取り扱いにも長けてます。
第10章 糞の種類、および庭向きの糞について
抜きん出て価値ある優れた糞として、「鳩の糞が最高である」とギリシャの農業作家は断言しています(ラテン語の著者の多くがそれに同意しています)。 なぜなら、鳩の糞は強い(発酵)熱を出すからです。そのため、鳩糞は藁を混ぜて発熱効果を薄めて、地上に蒔くタネのように地面で判別可能な程度に薄く撒くことで 施肥することができます。(M.Varroが報告したように)鳩糞は牛糞のように(水分が多くてべちゃっと)地面で塚状になったり厚くムラになったりしません。 ---私たちにとって、鳩の糞はクリプトコッカス症などの病気をもたらすことを知っているので、地面に撒くなんてそんな恐ろしいまねはできませんね。第9章にあった「古代ローマ時代にプリニーが報告しているように、特に機知に富んだ農夫は、住居の近くの庭地に畜糞を散布するのを断固拒否、禁止していました。」を私は激しく支持します。(庭地以外の場所でも、畜糞だけでなくあらゆる微生物やウィルスの脅威に私たちはいまだ晒され続けていますけど。)
鶏やそのほかの家禽類の糞も、ガチョウ、アヒルなどの水鳥の糞を除いて、多量に広く薄く撒けるので、大いに推奨されます。(水鳥の糞は水っぽい。)
そして、家禽類の糞は、他の糞よりも弱い効果が長く持続します。Varroもギリシャの農業の指南書から同様の有益性を引用しています。
次にお勧めなのは、ロバの糞です。ロバはのんびりと食べ、消化が良いので、土に撒かれると苦味のある糞となります。これは本来最も栄養豊富な糞です。雑草のタネは最小限しか糞の中に残されていません。そしてあらゆる種類の植物やハーブにとても多くの肥料成分をもたらてくれます。
すなわち、ロバの糞で、最も甘く心地よいハーブや根菜類を育てることができます。
3番目に推奨するのは山羊の糞で、最も酸味があります。と同時に、羊の糞はもっと脂肪分が多いです。
これに続きお勧めなのは、牛糞(雄牛と雌牛の両方)です。
その次の豚糞は雄牛類の糞よりも価値がありますが、蒔いた種子がすぐに焼けてしまうような強力な熱を出すため、コルメラは全く推奨していません。
ギリシャの農業作家の意見に従えば、すべての糞の中で最も邪悪で最悪なのは、馬およびラバの糞です。
馬かラバの糞のいずれかしか入手できない場合は、酸味のある糞(豚糞)を混ぜると、欠点が軽減・改善されます。
糞については、特に、あらゆる庭師と農夫に学び、観察すべきです。可能であれば、1年ものの糞を土壌に施用しないことです。これは役に立たないばかりでなく、ワサワサとウジムシや害虫の類が現れるからです。
ただし、コルメラはこれに異議を唱えていました。彼は、まず雑草を最小限に抑え、糞がまだ十分な発酵の強さを持っているうちに施用して土壌を肥沃にしたいと考えていました。---完熟しないものを撒くということでしょう。昔だからできるの大胆さです。
一方、糞が肥しとしてあまり役に立たないほど古すぎると、収益性がはるかに低くなります。
真新しい糞は、牧草地や畑に向いている(と、彼は言っています)。寒い国では2月か3月、満月に向かう時に新しい糞を施用することで収量を増やします。
糞の代わりに、排水溝や川などの流水中の泥も利用できます。
3年以上経過した糞は非常に高く評価されます。糞が悪い性質を持ち、悪臭を放つものであったとしても、長い時間が経過するうちに、それらは蒸発してしまいますから。
そして、何か難しい問題が含まれていたとしても、時間がそれを完全に解決してくれます。----完熟堆肥ということですね。妥当なところです。
とはいえ、花と食用ハーブにとってすべての中で最も価値のある肥料は、非常に薄く層にして土壌に施用した燃焼灰であり、それは自然界では熱質であると報告されています。
この種の肥料は、庭ノミ、ウジ虫、エダシャクトリを殺すか追い払うかします。これらの虫は、一般にキャベツ(結球しないカールしたざらざらの葉を持つ耐寒性のキャベツ)の葉に見られます。カタツムリなどの這う虫はすべて植物の茎やハーブを台無しにします。
人糞(家から出るゴミやほこりと混ざっていない場合)は非常に嫌われます。それは本質的にさらに熱く、その土壌に蒔かれたタネが焼けるからです。
そのため、地面が不毛(貧栄養)の砂、砂利が多いか粘着不足の役に立たない砂でない限り、人糞は使用されません。こういった砂土壌の場合は、この種の糞(人糞)の栄養と肥やしで改良する必要があります。
先に述べた畜糞がない場合、その他の肥料を使用することができます。
シャベルを使って、糞を頻繁に切り返し、地面に分散します。
ここで忘れてはならないのは、湿った庭の区画ではより多くの糞が必要で、乾燥した土ではより少ない量にすることです。
その中で毎日湿気が通過するような(通気性・排水性の)土は冷たくて硬いので、熱くなる糞を頻繁に与えて改良し温和にします。
そして、この熱質の糞をたくさん与えることによって乾燥した土壌部分にこの熱が通ると、同様に焼けます。
そのため、湿気のある土地には糞を溜めるべきですが、乾燥土壌には少しの施用に留めるのです。
砂利の多い場所で、かつ糞を入手できない場合は、糞をチョークと一緒に撒くのが最適です。
白亜質の土で、厚く覆われている場所では、糞を砂利の多い土と一緒にして施用します。
(ローマの庭園の)最も勤勉で熟練した指導者であったコルメラが証言しているように、このように思慮深く施肥された庭は、豊かな実りだけでなく、適正においしいものをもたらすでしょう。
プリニーのこの最後の指示を覚えておきましょう。「雑草を少なくするために庭に糞を施用したい時は必ず風が北西〜南西の風向で、月が欠けゆく日に行い、土が乾いていることを確認しなさい。」
ただし、(前に言ったように)牧草地に施用する場合は、庭と違って月が満ちゆく日に施用します。
こういった注意を怠らなければ、収量は驚くほど増加するでしょう。
有能なギリシャ人たちに続き、ラテンの農業作家もそのように記しています。
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ということで、16世紀エリザベス朝の畜糞ベストファイブは、
1位 鳩糞/水鳥以外の鳥の糞
2位 ロバの糞
3位 山羊・羊の糞
4位 牛糞
5位 豚糞
圏外 馬およびラバの糞、人糞
でした。
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