2021年12月29日水曜日

いよいよタネまきです:「The Gardeners Labyrinth」第11章

 16世紀の庭作り、この第11章でようやくタネを蒔く直前の準備段階となりました。この頃の庭は食用のヤサイやハーブ、薬草を供給する実用的な役目が19世紀よりずっと大きいので、本書も今で言うキッチンガーデンの解説書の16世紀版といった感じであります。

 第 11章 土の処理と栽培ベッド作り(ベッドを盛って均す)の前に、すべての庭師が考慮すべきこと。

庭にタネまきをする前に、庭主の楽しみとして庭に歩道や通路を組み入れれば大いに役立つと申すのは当然のことでしょう。心に余裕がない場合を除き、 庭主は庭の歩道や通路を散歩すれば庭でやることや思いつきをすべて徹底的に検討することができます。

偉大な伝道者であるM. Cato(古代の農業を見聞して巧みに書いた)によれば、庭のあちこちに糞を置く代わりに、歩道と通路があれば、その奥に糞を配することができます。

その前に、タネまきの準備に取り掛かりましょう。

さる熟練庭師は、庭または畑の土が雨で十分に湿るまで、庭や畑全体に播種しないように忠告しています。

然るべき時に雨が降ったら(そして熟練した庭師が今だと判断すれば)、うまく育つでしょう。

適切でない時にタネを蒔けば、それはよくあることですが、種子はゆっくりとしか発芽しません。乾燥した庭や耕作地に種子を上手に蒔く方法について有能なコルメラがこう述べています。

国によっては行われないこともありますが、空気の状態がタネを蒔く条件となります。

乾燥した土壌に撒かれたタネは、まるで家に保存したタネのように、発芽しません。

しかし、雨が(数日前に蒔かれた)種子に降り注ぐと1日で発芽します。種子は(蒔かれた最中)鳥やアリの脅威にさらされています。

(播種前の)種子は適切な場所で保管します。

時期や天候がどのようであれ、庭師は熱心に庭の土や畑を水平に均し、春にタネを蒔きます(これが夏の収穫をもたらします)。収穫の終わる頃 、(土壌の状態に応じて)耕耘して、寒さと霜が到来する前のまだ冬の悪天候が始まっていない頃に施肥します。

そして、その庭が収穫時期のサラダ用野菜、鉢植えハーブ、および根菜類で覆われている初夏5月に、耕起しなければなりません。偉人マロが述べているように、土のかたまりは(冬の寒さと夏の暑さを通して)かなりほぐされます。

これにより、不要となった作物や雑草の根も一緒に絶やすことができます。

冬または夏が過ぎたら、畜糞はきちんと土にすき込まなければいけません。春は3月(月が欠けゆく最中)に、冬は収穫の終わりに、この作業を行います。

そして、播種時期がそろそろ近づく頃、(どこの国でも同様に)庭地にきれいにレーキをかけ、除草し、石と不要な根をきれいに取り除かなければなりません。 こののち、前に教えたように、土壌に畜糞を施用し、整然と耕耘します。土と糞がよく混ざり合って分解が進むように、この2倍手間のかかる耕転作業を勤勉に何度も繰り返します。

ベッドや畝を庭師が手際良く踏み込む前に、この2回目の再度の耕転と(施肥を必要とする場合は)施肥を行い、均した後(通常2月中旬頃に行われますが、私はむしろ3月の方が、そして特に月が第1四半期(新月から上弦の月?)にある頃が良いと思います。)、庭で野菜類で美しく育てることができます。

その野菜類の取扱は次の章で十分解説しましょう。

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(おまけ)冷蔵庫で保管していたヒアシンスの球根は10月半ばから水耕栽培を冷蔵庫内でスタートしましたが、庫内で根を伸ばし、2ヶ月半ほど経って芽も出てきたので、冷蔵庫から出しました。写真は「ヒーターに座って初めて外の世界を眺めるヒアシンスさん」といったところです。



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