2022年3月21日月曜日

古代ローマの月の農法:「The Gardeners Labyrinth」第21章

 1世紀、古代ローマのプリニーの本が栽培のよりどころになっていました。月や惑星が星座のどの位置にあるかで適切な季節を選び、月の満ち欠けに応じた植物の活動をうまく利用するようにしていたみたいです。今でも月の農法ってありますもんね。

19〜21章に書かれた月の満ち欠け利用のまとめ

第21章のイラストは、とても素敵な、実用性に富んだ庭が描かれています。

第21章 よく整えた土でタネや軟弱野菜を育てるにあたって、全ての熟練庭師が学ぶべき興味深い教えについて


学識者プリニーの価値ある記録書には、古代の観察者の特別なメモと規則が書かれています。植物を育てるにあたって、すべての庭師が注意深く学ぶべき栽培年鑑となっています。

湿った土にタネを蒔く場合、あるいは蒔くタネ自体に非常に湿気がある場合、タネ蒔きは、月の欠け終わりの時にするか、月の衰退期にするか、あるいは月齢の切り替わりが近づいている時にするか、ゆとりを持って選ぶことができます。

逆に、庭の土が最も乾燥した状態、または種子が非常に乾燥した状態にあるなら、月が満ちる時や満月に近づく時にタネを蒔きます。

庭師がスケジュールをうまく進めるためには、前もって、庭の土は1年間かけて、月の満ちている間に堆肥を切り混ぜて、適切な良い土にしておくべきです。月が土星と同じ、黄道帯の適切な位置にあって、天空上の適切な配置にある時期に行うということです。

このように以前の実践から学んだことすべてと実践に捧げた勤勉さは、植物をより速く成長させ、より大きな収穫をもたらすでしょう。たとえ前もってタネが充実していても、19章で述べたようにしないと、栽培の世話と労苦は何の役にも立たないことになります。

栽培の年暦は、適切な時間の選択や播種、植え付け、接ぎ木といった作業において、庭師をおおいに助けてくれます。

植物を土に委ねるのは、満ちていく月がおうし座とみずがめ座を占める時期に行うので、特に注意しておく必要があります。

しかし、若木を植え付ける場合は、月齢が最後の四半期中に行ってください。最後の四半期の後、月は牡牛座に移り、金星と交わるので、若木の根は土壌中を迅速に伸びるからです。

月がおうし座と水瓶座、またはおとめ座とうお座のいずれかにあたる時期に植える場合は、月が土星と火星の邪悪な面にいる時に行わないよう、特に注意を怠ってはいけません。

若木の植え付けはまた、10月中旬から3月中旬までに行ってください。

よく準備された土にタネを蒔く場合は、月がおうし座、かに座、おとめ座、てんびん座、山羊座を動いている時にします。

ただし、種子と植物がより良く成長するよう、星座を十分確認します。おうし座、かに座、おとめ座、てんびん座、山羊座といった星座の標識のうち、いずれかが東の角度から上ってくる時期なら、そして火星の上昇も月もこれらの星座面にないことを確認します。これらの星座面に現れている時は、弱々しくなることを意味するからです。

栽培年暦に記述された、特に星の引き立てや妨害に関する多くの規則がそのほかにもあります。しかし、本章では、冗長な記述やあいまいな記述は私の意図するところではありません。

そこで、いくつかの規則を述べることで庭師の皆様を満足させましょう。これらの規則の実践や指導者の教えによって、その他の規則も具体的に思いつくようになるでしょう。

なお、一般の人がこれらの規則を拡大解釈するのを私は心配します。私の行った先の地域では熱意を持って実践すれば、これらの規則が役に立ちました。そのことを念頭においていただいたうえで、それでも弱々しいタネや植物を育てる必要があるならば、これらの規則と同様、他の規則についても熟練指導者の助言を受ける必要があります。

結論として、庭師は自分が担うすべての事柄について、完全かつ適切にまず準備を整えておかねばなりません。その後、先に述べた惑星と星の規則に十分注意を払って、タネ蒔きや植え付けを行うことになります。

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