2022年4月23日土曜日

移植方法 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第25章

第25章は移植作業について。

今と同じで本葉4〜5枚の頃に定植したようです。キャベツでもその際、上部の若い葉と根の端を切り落とせと書いてありますが、今の栽培手引き書にはそのような記述は見当たりません。品種改良を重ねてきた今のヤサイに比べてワイルドだったのでしょうか。 

第25章 いろいろな植物を更新するには、親株から切り取ったり抜き取ったりした子株や苗、差し穂を、もとあったベッドやボーダーから別のベッドやボーダーへ移植する必要があります。この移植作業は技術を要します。

移植作業中のガーデナー。ローマ時代から形の変わっていない園芸ツールdibber/dibblerを手にしています。


農夫や庭師は、植物を通常より大きく育てたい場合、首尾よく葉が4〜5枚になったところで、別のベッドやボーダーへ移植(定植)する必要があります。

庭主は(どの季節でも)植物を自分の好きなようにレイアウトすることができますが、どんな植物も雨で土壌が十分に湿って柔らかくなっているときに準備した場所へ移植することをお勧めします。

また、コルメラが述べているように、よく管理され整えられた肥沃な土壌に植物を植え替える際には、糞の肥やしを施す必要はありません。

ナポリの達人“パラディウス・ルティリウス”は、農業に関する優れた著書の中で次のように述べています。庭師が一つのベッドに様々な種類のタネを一緒に蒔いた場合、熱心に水やりすればうまく発芽しますが、(私もここで述べたように)それらの植物の葉が4〜5枚出たら傷つけないように掘り上げて、(熟練者が準備したベッドに)一定の株間間隔をとって移植することができます。移植する植物は(移植する前に)葉の上部と根の端を切り落とす必要があります。そうすれば移植された植物はのびのびと育ち、元気に広がり、根を大きく成長させることができます。

こういった種類の種子は、土に埋めて熱心に水やりしますが、確実に葉が伸びたら熱心な水やりは不要となります。庭主や庭師は、(ルティリウスが述べているように)月の動きに合わせて、間引いた苗をベッドに植えることができます。

偉人コルメラの庭に関する教えとして、庭主や庭師は植物を引き抜いてベッドに移植する場合、移植する前日、(雨が降らないため地面が乾いて固すぎるなら)専用のじょうろで水をまいて、土を十分に湿らせて柔らかくしておく必要があります。

移植の際、いくつかの植物は株間の距離を十分とる必要があります。有能なルティリウスが指示するように、非結球キャベツ、結球キャベツ、レタス、大ネギ、カブ、アブラナといった種類の植物は、上手に準備されたベッドに移植する前に、上部の若い葉をカットし、根の端を切り落とします。

繰り返しになりますが、十分な株間が必要な植物は、キュウリ、ウリ、メロン、アーティチョーク、ニゲラロマーナ(ニオイクロタネソウ?園芸品種の「ニゲラ・ダマスケナ(Nigella damascena)/クロタネソウ」は食用に適さないはず)などです。

こうした定植用に準備されたベッドは、除草に対しても準備ができていて除草しやすく、必要に応じて頻繁に耕され大事にされています。そこの植物は熱心な水やりや月の動きの助けにより、 美味しそうで見た目も良い植物を増やすことができます。

また、庭に心地よい香りや楽しみをもたらしてくれる木の若い挿し木苗は、庭主や庭師が、どの季節にでも(春に行われることをお勧めしますが) 接ぎ穂・さし枝や1年枝をボーダーに植えることで作ることができます。すなわち、古い株の幹から出た枝を先端あたりで折り採って、地面の十分な深さに植えます。その時の新月へと向かう月の動きは、地下にも影響し、挿し木苗の活着をより早く促進します。

巧者コルメラは、枝か地際の挿し木の端を割って地面から深く植えるにあたって、糞よりもむしろオーツ麦1粒を押し込んだり差し入れたりして、オーツ麦の粒をその周辺にも埋めるのを新月が近ずく頃に行うことを勧めています。

庭師が若いハーブを移植しようと思っている場合は、私が上で述べたように、糞を根の周りに入れる必要はありません。むしろ(移植前に)それらの根の末端を切り落とすことの方が重要であると、コルメラは言っています。

マリーゴールド(ここではキンレンカ)、デイジー、コロンバイン、プリムローズ、キバナノクリンザクラ、 スイートジョン(Dianthus barbatus)、カーネーション・ナデシコ、カーネーション、ナデシコ、などのおいしい花(食用花、エディブルフラワー)は、庭主や庭師がベッドに頻繁に失敗なく植え替えることができるなら、より大きく、より端正で、よりたくさんに殖えることが期待されます。この場合、月が光を増す(満月へと向かう)時期に植え替えます。そして熱心にしょっちゅう水やりします。

心地よい味わいの可憐な様々なハーブを手で引き抜いて月の一巡後に(順次用意された)ベッドに再び植えていきます。特に注意と勤勉さを庭の植物に捧げましょう。

本書の第2部では、他にも多くの有用で重要な問題を扱います。

ホウレンソウ、アカザ/ヒユ、ディル、アスパラガス、ソレル、チャービル、パセリなどの植物は(確実に葉が展開すれば)移植する必要はありません。

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