2022年5月1日日曜日

収穫方法 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第26章

第26章は収穫と保存について。

ギリシャ、古代ローマのいにしえの知恵のもと、庭地選びから栽培ベッドを用意し、栽培土壌を整え、おまじないも交えながらタネを蒔き、芽が出たら雑草を抜いて、水やりして大切に育てた植物の、いよいよ収穫の章となりました。衝撃的だったのは、キュウリの実は黄色くなって完璧に成長が完了した時に収穫すると書かれていること。私たちが思い描く緑のキュウリとはだいぶ違っております。ローマ皇帝ティベリウスが好んだキュウリも黄色かった??

そして、薬屋のハーブは信用ならないものだったようです。

第26章 食用の各種野菜、根菜の収穫・保存とその時期に関する賢者の尊重すべき教え。および薬草としての収穫と保存について。 

最高の価値ある根菜類は、ほとんどの場合、葉が落ち始めて果実や種子はすでに落ちているときに収穫するのが適しています。そういった時期は晴天が多い季節に当たります。雨季に収穫すると根は弱くなっていて、淀んだ水分で満たされています。

ボリジ(ルリヂサ)、バグロースなどの花はすべて、完全に開花し、かつ花が衰える前に収穫します。バラの花とジャスミンの花は例外で、開くかなり前かほんの少しだけ開花した時に収穫した方が長持ちします。

葉や全体を利用するものは、完全に生育して成熟したときに収穫します。

メロン、キュウリ、シトロン、ウリなどの実は、黄色くなって完璧に成長が完了した時に収穫します。

同様に種子は、よく熟したとき、しかも地上に落ちる前に収穫すべきですが、乾燥したハーブに残っている種子は手で種子のうぶ毛をこすり落として、種まきの時まで保存します。

ここで覚えておくべきは、種子は晴れたシーズンで月が欠けつつある時(満月から新月に至る時期)に収穫するということです。

これは一般的な教えです。ハーブ・蔬菜、花、根菜、果実、種子など、収穫されるものすべてにあてはまります。晴天で乾季、そして月の欠けつつある時に収穫するよう注意してください。

庭主が保存しようと思うハーブは、事前にきれいに摘み取って、清潔にし、日影で乾燥します。南向きに開けていて、湿気がなく、煙や埃がない場所を選びます。

乾燥後は、キャンバス布よりもむしろ革のバッグに入れ、ぶら下げる際は口をしっかりと結びます。乾燥したら、つげの木の木箱に入れます。冬の間、繊細なハーブを保存している人を見てきましたが、こうすれば、ハーブは使い終わるまで風味を失いませんでした。

私の意見では、薬屋は非常に怠慢であり、医療用ハーブを開け放した店や倉庫に吊るしています。これにより、ハーブの薬効が消失するだけでなく、そのバッグにはほこり、蜘蛛の巣、ハエの糞、その他多くの汚れが堆積しています。

花は直射日光下、真昼の太陽によって作られた日影下、あるいは部屋や高い場所で乾燥させるべきではありません。同様に、ハーブは柔らかくて繊細なので、日光の環境下でその良い特性を消失してしまいます。ただし、特に太陽の直射と空気の熱はバラには影響が小さいです。庭のバラを長期間保存するためには、 昼間、日当たりの良い高い場所で乾燥する必要があります。 または太陽光が直接当たるようにしますが、バラの葉には当たらないようにします。

花を乾燥させるためのもっと良い方法は、湿気、煙、ほこりのない穏やかな温度の暗い場所に花を置くことです。それらも前後に入れ替えることで乾燥中腐敗せず、バッグにきっちりと保管するか、継続的にしっかりと覆っておけば、乾燥中に色も自然な味わいも失うことはありません。

よく乾燥させた後、釉薬をかけた土製の容器に密閉しておく必要があります。

細かい種子は、革のバッグ、または非常に狭い口の土製の容器、ガラス瓶、あるいはとてもうまく止められたガリアグラスに保存します。

しかし、タマネギ、わけぎ、リーキの種子は、ポピーの種子と同様に、さややネギ坊主のままの状態で保存します。

根を保存するために、庭主は2つの手段を学び、実践する必要があります。1つは新鮮なものを保つための方法で、もう1つはカブ、ダイコン、ニンジンなどの丸い根菜類を保存するための、乾燥させて保存する方法です。

根を新鮮なまま保存する方法は、セラー内の砂利または砂の中に埋めるか、または、庭師がダイコンやカブを地中保存するのと同じくらいの深さの穴に埋めることです。 そうすれば、ほとんど冬じゅう、根菜を利用することができます。

根を乾いた状態で保存するには、庭主や庭師は土から根菜を抜き取った後、小さい根や根毛をすべて切り取って、水道または湧き水で非常に丁寧に洗ってきれいにする必要があります。日射の当たらない日影の場所で乾燥させます。もしフェンネル、サッコリー、根パセリ、エンダイブ、ボリジ、バグロース、アスパラガスなどの細くて皮が薄い根なら、暗い場所に保管します。しかし、リンドウやジャガイモ、ブリオニア、 アザミ(Raponticke)、ウマノスズクサどのような皮が厚く中身が詰まった根菜は昼間の太陽光にあてて乾燥させます。

これらはよく乾燥させた後、準備した屋根裏部屋または開けた場所の高い所に吊るします。そこは、毎日真昼に太陽光が入るか、あるいは北に開いている場所で、香りよく乾燥させることができます。煙やほこりによって根が損傷を受けたり、太陽光が何らかの形で害を及ぼすような場所ではいけません。古代においてさえ、当時の非凡な医師ヒポクラテスが次のように教えています。ハーブ、花および根はどんな場合でも、とても新鮮なものを開かれた場所で風に当てないようにして乾燥すべきです。それをガラス容器や素焼きの鉢、四角い木箱に密閉すれば、最後まで風味や薬効を失いません。風にさらされるとそれはすぐに失われます。

野生の植物、花、根はどれも本質的に丈夫なものですが、品質は庭の植物より劣っています。

野生植物のうち山や高地で育つ植物は、他の植物よりも優れた特性をもっています。

すべての植物の中で野生植物は、より生き生きとした色と味、風味を持った強い性質のものです。

さらに(大部分は)2、3年耐え忍べることです。

ビート、サッコリー、アカザ/ヒユ、ボリジ、マリーゴールド(キンレンカ)、非結球キャベツ、エンダイブ、クラリセージ、ロケット、バジル、マジョラム、レタス、パセリ、 マーキュリーなど調理用に使用するハーブは、完全に成長してシュートが伸びている時に地際のやや上をナイフで切って収穫します。

ハーブを高品質な状態で使用したい場合は、大部分を乾燥用ではなく生鮮物として収穫する必要があります。医療用にするためには、採取する葉の水分よりも葉が色を変える前に葉を冷やすことに注意を払います。

 一般的なルールとして、すべての花、ハーブ、根は曇り・霧・雨の天候の時ではなく乾燥して晴れた季節に慎重に収穫すべきことに留意してください。

なお、根は葉が落ちた後にしか収穫しません。特に9月中旬から11月の初めまでに収穫します。

ただし、花は主に5月中旬から7月上旬すぎに採集します。

果菜類は多様なので、それに応じて適切に収穫する必要があります。 


------------おまけ:サフランドーム

庭の雑草がぐんぐん伸びる季節になりました。雑草に埋れてサフランの場所がわからなくなりそうなので山葡萄のつるでドームをかけました。




0 件のコメント:

コメントを投稿

19世紀末の園芸施設:10. 栽培温室---両屋根(スパン)ハウス

現代でも最も一般的な 温室屋根形状である両屋根タイプのハウス(スパンハウス)の記事です。現代の商業温室ではこれ を大きく、かつ多連棟化して大面積にしています。それ に比べると、19世紀の両屋根ハウスは面積も高さもかなり小さめで、今で言うところのホビー用温室、家庭菜園用温室といった...