2022年5月19日木曜日

モグラ・アリ・カ・ハエ・カエル対策 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第28章

 第27、28、29章は害虫・害獣対策の3部作です。「カタツムリ、蛾の幼虫、ノミハムシや土中の虫」「モグラ、アリ、ブヨ・ヌカカ・イエカ、ハエ、カエル」「ヘビなどの有害動物」に分けられています。浅学なのでわからない単語が多々混じっています😓

第28章 庭のモグラ、アリ、ブヨ・ヌカカ・イエカ、ハエ、カエルといった果樹やキッチンハーブなどに被害を及ぼすすべての敵を防ぐ巧みな方法と助言。 

庭地のあちこちに出没するモグラが土を持ち上げたりくぼませたりすると栽培ベッドに蒔いた種子や植物が掘りくり返されて土から剥き出しとなり、庭師は毎日修復とやり直しをするはめになって、熱心な庭師ほど深い悲しみと労苦を受けることになります。そのため、熱心に見回って、どうしたらこの有害な盲目の獣に対して確実かつ最善の方法で勝つことができるか、あらゆる巧妙な手段を探し出す必要があります。

このような状況の庭師の誰もが最も感謝する話題として、有能なギリシャ人やラテン人のモグラに対する特異な慣行についてすべて述べましょう。

まず、巧者パクサヌスは次のように書き残しています。「庭師が大きな木の実か幅の狭い木片に中空の穴を開けて、ロジン(松やにからテレビン油を蒸留した後の残留物)、樹脂、籾殻、硫黄でその穴に十分充填する。この準備ができたら、モグラが出入りしそうな場所や呼吸用の穴を見落としなくすべて塞さぐ。煙霧や煙が来ても決して出てこないように。ただし、1組の出入口穴だけは開けたままにしておく。そこは木の実か木片を入れて燃やすのに十分な大きさとする。そうすれば、片側から風を吹き入れることができ、ロジンと硫黄の燻煙をモグラの巣穴や休憩場所へと送ることができ、庭主や庭師はモグラがすべて地上へ逃げ出してきて短時間で死ぬのを確認できる。」

白いクリスマスローズか打たれて曲がったアカネ科の木の外皮を使った方法があります。これをひきわり大麦と卵を一緒に細かくまぶし、ワインとミルクでケーキ状と練り物状にしたもの両方を作り、モグラの巣や通路穴に置きます。アルベルトゥスは次のような有用な記録を残しています。庭の所有者または庭師がニンニク、タマネギ、またはリーキでモグラの穴の出入り口をきちんと塞いで閉じれば、モグラを追い払ったり、殺したりできるでしょう。その強い臭気はモグラに打撃を与え、打ちのめします。

有害なモグラを追い払うために多くの方法があります。庭地に若いネコや飼い慣したイタチを持ち込みます。ネコもイタチもモグラの通路と穴の出入口を見るように教えられているので、ネコやイタチの狩りを通じてこの厄介で迷惑なモグラを追い払うことができます。

その他、紅土と野生のキュウリのジュースで穴を丁寧に塞いで埋める方法もあります。あるいは、栽培ベッドにサティリオン(ヨーロッパのラン)の一種であるパルマクリスティ(特定されていない薬草?)の種を蒔きます。そうするとモグラが追い払われた後もそこらあたりにとどまることはありません。

しかし、次のような簡単な方法を実践する人もいます。生きたモグラを捕まえて深い素焼きの壺に入れ、その周りで硫黄の粉を燃やします。これによりモグラは泣くように仕向けられるので、その間に他のすべてのモグラは、彼らが報告しているように、逃げ去ります。

他に、モグラの穴の出入口に絹のわなを置く方法もあります。

農夫にとって簡単な費用のかからないやり方は、土中に堅い棒かエルダーツリーの緑の枝を置くだけの方法です。

アルベルトゥスはまた、アリは木にとって邪悪で迷惑なものだと書いています。

アルベルトゥスは、庭師や農夫が紅土の粉や液状の樹脂またはタールを混ぜ合わせたものを木の周りのきれいな部分に打ち込むととアリが強制的に出て行くと言っています。

ギリシャの農業にかんする著述家のコラシヌムに従って、偉人ルティリウスにちなんだ名前の魚をその場所にもぶら下げる方法もあります。

 そして、アウエリウス・グラキュラムの賢明なやり方で、アリをすべて一か所に寄せ集めます。そこで農園の庭師は迅速に駆除することができます。

才人プリニーは巧みな駆除法の記録を残していて、アリ塚にオリーブオイルの搾りかすをまき散らすだけでアリを駆除できると述べています。

他に、ルピナスの粉とオイルオリーブを一緒に混ぜ合わせたものを木や植物の下部にぬって這い登ってくるアリに対処する方法もあります。

私が以前に述べたように、多くの人はオイルオリーブの搾りかすだけでアリを駆除しています。

ナポリの巧者ルティリウスは、アリの大きな群れが庭の地面に深い穴を作った場合フクロウの心臓で穴の口を塞げば巣穴の主であるアリを追い出し、地上に出てきたところで殺すことができると報告しています。

アリが外を這い回る場合は、すべての通り道に明るい色の灰をまくか紅土か白いチョーク(白亜)を一緒に地面に厚く付けるか、もしくは地面に油の道を作ります。

さらに彼は次のように書いています。「農園の庭師はアリの巣穴の出入口にオレガノと硫黄の粉を混ぜたもの、もしくはカタツムリの空いた殻を燃やした灰を振りかけてアリの巣穴と出入口を十分にふさげばアリを追い払うことができる。」

そういった仕掛けの中で、ルティリウスはギリシャのパクサニウスの蘇合香の仕掛けは省略していますが、そこからこの結論を得たと付け加えています。

パクサニウスの言葉はこの賢明さの素だったのです。

もし庭主が庭の中央で特定のアリを燃やすとその臭気で他のアリたちはこそこそ逃げ出すでしょう。

これらに対して、庭師がアリの巣穴の出入口周辺に濃いテレビン油を注意深く塗りつければ、アリは出てこないでしょう。そして、アリたちの休憩所や住処から追い払うことができます。カタツムリの殻で調合香Storax Calamitaを燃やし、たたいて粉にするかふるった灰をアリの塚にふりかけます。

所有者がCirenaicumのジュースをオイルに溶かしてよく混ぜましたものをふりかければアリを徹底的に駆除できるでしょう。

この著者はさらに、農園の庭師が苦いルピナスの粉と油の搾りかすをよく混ぜたものか煮出したものを樹体や茎に丁寧に振りかければアリは草や木に近寄らなくなると報告しています。

庭師が巣穴を白くてきれいなウールまたはコットンボールで囲うか、または白いチョークまたは紅土で地面に長い道をつけるか、最も頻繁に出没する場所に丸い円を書くか、あるいはオレガノで巣穴を囲えば、同じ効果が得られるでしょう。:

彼が確証したことを行えばアリンコは庭の植物に近寄らないだけでなく庭の樹木の幹の周りにリング状に付けられた白いチョークに登ることも嫌がるからです。

その他の次のような報告もあります。ハチミツ壺の周りにチョークや紅土で円を描いておけば、アリは地面に置かれたハチミツの壺に、たとえ蓋がない壺でさえ、近寄ることはないでしょう。多くの人に知られていることですが、アリはハチミツなどの甘いものが大好物にも関わらずです。

ナポリの才人ルティリウスは勤勉な農夫に紅土とバター、液状の樹脂をよく混ぜ合わせたものを聖油のように植物の茎や木の樹体に塗ることを勧めています。

農業に関するギリシャ人著述家たちの中には次のように書いている者もいます。

厚いツタの花輪を木とブドウの木の周りに縛った巧妙な仕掛けを置くと、アリはその下の影に留まるので殺害して駆除できることを受け合います。

雄牛のポールと油の搾りかす、液状の樹脂で作った物を木の幹に塗ったものでアリを誘き寄せることができると報告している人がたくさんいます。

偉人プリニーの報告によると、海の泥か灰でアリの巣穴をきっちりと塞ぐのがアリに対する最も確実な対処方法です。そうすればそこに水が侵入しないので湿ったり水っぽくなったりしません。 

いろいろな方法のうち最も確実なアリの殺虫材はハーブのヘリオトロピウム(キダチルリソウ)です。

地中の巣の通路に一時的に水を注入すれば、それはアリにとって大敵と考える人もいます。

農業における才人のデモクリトスが記しているように、庭師が酢の粗製物の煎じた汁を栽培ベッドと植物に振りかければ、ブヨ, ヌカカ, イエカ類を追い払うことができます。

ブヨ, ヌカカ, イエカ類に対して、庭の所有者はヘンルーダ(Rue)を入れた水を植物に振りかけるか、ハーブの蚤除け草(Fleabane)の煎じ薬を使用するか、あるいは硫黄かクミンまたは乾燥した雄牛の糞、あるいは芳香性のゴム樹脂のいずれかで燻すこともできます。

学識者プリニーは「庭師はガルバナム(楓子香)を燃やした煙でブヨ, ヌカカ, イエカ類を追い払うことができる。」と述べています。ナポリの才人ルティリウスは「所有者が新しい油の搾りかすか煙突のすすを植物に振りかける方法も同様にブヨ, ヌカカ, イエカ類を追い払うことができる。」と経験上述べています。

ギリシャの才人ベリティウスは、庭師が次のような恐ろしい装置でハエを遠くまで追い払う方法を書き残しています。クリスマスローズの粉末と硫黄をミルクと混ぜ合わせて、これを植物に振りかけたりハエが最も生息する場所に置いたりすればハエは直ちに逃げ去るか、死んでしまいます。

同様に普通のミョウバンをOrganyeで叩いてミルクを塗ったものもハエを防ぎます。どんな植物やハーブでもこの混合物をまき散らした後はハエが近寄ったりたかったりしません。黒のクリスマルローズといっしょに叩いたヤマモモにミルクか水を注入しハチミツを混ぜたものは役立ちます。この混合物を植物やハエが最も出没する場所に撒き散らしたあとは、毒のようにハエを直ちに殺すか、さもなければ新らたなハエが素早く戻って来ないようにするからです。

夏の夜、疲れた農夫に不快感を与えないようにするためのカエルに対する対処方法についてふれましょう。毎日の労働と鳴き声の大きな音で疲れている農夫には熟練したギリシャの賢人アフリカヌスから借りた助言と秘密を実践してもらいましょう。:

いくつかの土手(彼が言うには)に灯籠か他の明るい光源を置くか、あるいは(すぐそばの)数本の木に灯りをぶらさげます。その光はまるで太陽のような明るさでカエルを照らすのでカエルは鳴き声の大合唱をやめます。

後年、多く人が次のような方法を試しました。

ギリシャの才人ベリティウスは、もし農夫が近くの土手に山羊の竿(gaule)を埋めればカエルはその場所に集まらなくなるだろうと報告しています。

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