2022年5月22日日曜日

ヘビ対策 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第29章

害敵3部作の最後はヘビです。昔も、血清のある今でも恐怖の対象に変わりありません。(効かなさそうな?)多くの対策が書かれていて、当時の人々の腐心ぶりが偲ばれます。

第29章 庭に出没するヘビや野菜、樹木、果実、人に有毒な動物に対する古代とその後の農業書の著者たちによる貴重な実践方法と秘策。

フロレンティウス(この分野の問題について独創的で熱心な解説者)は、所有者が庭の周りまたは庭の適切な隅にヨモギ、オウシュウヨモギかサザンウッド のタネを蒔いたり植えれば、庭の地面近辺にヘビは潜んだり巣食ったりしないと書いています。ヘビがどこかしらに出没する場合は(彼が書いているように)ユリの根、雄シカのツノまたは ヤギ小屋を燃やした煙で遠く追いやることができます。

才人ルティリウスは、どのヘビも酸っぱい風味と悪臭を放つ煙を風にのせて飛ばすことで庭から追い払うことができると言っています。

学識者デモクリトスは、灯籠草の葉を藁のように敷くかヘビに投げれば、あるいはヘビの口に唾を素早く入れればヘビは確実に死ぬと断言しています。

実践の大家アプレイウスは、ヘビは丈夫な葦や柳の棒で一度打たれると非常に驚くが、何回も打つと回復して再び強く襲ってくると、書いています。タレンティヌス(ギリシャの農業書の優れた著者)は、人が前もって大根の汁を塗ったり大根を食べておいてもヘビをやっつけることはできないと否定しています。その話題はオレンジかレモンに由来するものであり、(アテナイオスやガレン、その他多くの著名な書き手も同様に)単なる愉快な歴史と見なしています。

先述のフロレンティヌスは、庭のヘビに対する別の特異な対策として以下の方法に従うべきだと言っています。

(彼が言うには)庭地に雄シカの脂肪、 Centorie(ピンクの花を着ける薬草の1種)の根、 Geate(南スウェーデン??) stone、あるいは猛禽類の糞を埋めると、ヘビはそのあたりに(少なくとも)近づかなくなるでしょう。また、庭師がニゲラ、 Pellitory(揮発性油を含む地中海の植物)、ガルバナム(苦い芳香性のゴム樹脂)、雄シカのツノ、ヒソップ、硫黄、カワラボウフウ属の植物およびヤギの小屋を粉にしたものを一緒に混ぜたものに最も強い酢を染みこませて作った小さな団子を乾燥させたものを燃やせば、その臭いと煙はあらゆる毒虫を追い払う。

この方法によって空中に撒き散らされた臭いで、寄ってくる害虫もすべて、急いで(恐怖に慄いて)逃げ出すか、その場で耐えきれず死んでしまいます。

この著者フロレンティヌスは、庭や畑でヘビが最も出没したり潜んでいたりする場所付近に深い塚を作れば、魚が井戸や魚取りの仕掛けへ入るようにこの塚にヘビが集まってきて、塚の古く深い土粉の中へ潜ると報告しています。

なぜなら、塚に行ったヘビは自ら進んで素早く潜り、戻れなくなるからです。

プリニーはサイラー(ボウフウ、Siler divaricatum?)と名付けられた植物について次のように書いています。「ヘビはその木もその実も嫌います。その原因は、農夫がその木で作った杖を持ち歩くためです。」

しかし、経験や試行によって確実に実証・確認された方法は、古い靴を燃やして煙を出せばヘビは耐えきれず、庭の地面、畑、または家から飛び出すだけでなく、夏に戸外で死んだように眠ている最中、開けた口にこの煙が届くと人前にさえ飛び出てくるということです。

その件は(有名な医師 マーカス・ガティナリアにより)確認されました。その当時ある男性に同じようなことが起こったと報告しています。 その人は無限の薬と最も効果的な治療を施された後、古い靴の革を燃やした煙と匂いをトンネルを通して身体にまとったところ、どの方法よりも優れていて最も幸運で素晴らしい結果を得ることとなりました。

この恐ろしい獣(強力な毒蛇でした)がこの煙の臭いを感じるとすぐに、(その攻撃に対して)現れた効果はすべての人に強力な驚きと不思議さをもたらしました。

そして、この有用な秘訣は準備が簡単なので、ここに記しておくのが良いと思いました。同じようなことが起こる場合、この方法はすべての人にとって役立つと思います。

ここで省くことができない点は、ヘビは火を大いに嫌うということです。火はヘビの視力を鈍らせるだけでなく、火は毒に抵抗する性質があるからです。

ヘビはまた、ニンニクと赤玉ねぎが出す、遠くまで届く強い臭いを嫌います。

ヒキガエルがセージを好むように、ヘビはジュニパー、the Juie、フェンネルを好みます。そしてヘビはハーブロケットも好きです。

しかし、ヘビはトネリコの木は苦手で嫌います。そのため、この木の朝の日影にも夜の最も長い月影にも近づかず、避けて遠くへ飛ぶようにして逃げます。

似たような方法として、プリニーは、緑のトネリコの木の葉で大きな円を作り、その中に蛇を閉じ込める方法を一度試しました。最終的にヘビは火に近づくよりもむしろ円を飛び越える方を選ぶかどうかを調べるため、円の中央で素早く火を炊いてヘビに恐怖を与えました。しかし(火が燃え上がると)結局、ヘビはトネリコの木の葉の円へ向かわず、火の方へ行って死んでしまいました。

ここで学べるのは、自然のすばらしい優しさです。自然はトネリコの木が芽を出す前にヘビが冬眠から覚めたり、葉が落ちる前に再び冬眠に入らないようにしてくれています。

偉大な詩人ウェルギリウスは、バラまたは松脂で作られた煙は迅速にヘビのいる方へ向かい、ヘビを追い払うと言っています。

ここまでヘビを追い払い、殺す方法を述べてきましたが、シダの葉がヘビを追い払うことを言い忘れるところでした。

多くの熟練者は、ヘビが出没しそうな場所にシダのタネを蒔くかシダを藁のように敷くことが有効であると考えています。

ナポリのルティリウスは、シダの葉を燃やせばヘビは(その臭いをかいだだけでも)逃げるか、急いで這い去り、庭地や畑から遠く離れた場所へ追いやることができると付け加えています。

ここに同じようなことを列挙する価値があるかどうか疑問ですが、才人アルバータスはヌマガエルと丸葉のウマノスズクサと熱心にインクで書いた物を合わせてヘビの前に投げるとヘビは直ちに死んだようにうずくまると報告しています。

さて、ここで準備が簡単にできる救護策について述べましょう。

もしヘビに噛まれても熱が出ていない限りは、一定量のトネリコの木の葉の汁と心地よい白ワインを一緒に飲み、噛まれた箇所にその新鮮な葉を塗れば、短時間で絶大な効果が現れ、幸運な結果になることは多く人の証明するところです。

ここで簡単にまとめますと、ヘビが毎日出没するところに新鮮なエルダーフラワーを植えるとヘビは急いでその場所から離れます。その上、報告によると(庭地にうまく植えれば)短時間で蛾、シャクガ、そして 木の中を食害する蛾の幼虫も駆除します。

述べるべき助言や対策方法がまだありますが、それはハーブの薬草利用を主題とした第2部の適当な箇所で述べることといたしましょう。 

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