2022年5月31日火曜日

サソリ、ヒキガエル、野ネズミ、イタチ対策 in 16世紀:「The Gardeners Labyrinth」第30章

 有害生物対策3部作と書いておきながら、第30章も「サソリ、ヒキガエル、野ネズミ、イタチ」といった有害生物対策でした。4部作です。訂正いたします。😓

日本では南の島以外にサソリはいません。サソリに匹敵するこわい生物は、日本だとムカデやスズメバチでしょうか?マダニもこわいですね。

ムカデは長靴や帽子、手袋など庭仕事に使うものにも潜んでいることがあるので、用心用心。

第30章 サソリ、ヒキガエル、野ネズミ、イタチおよびヤサイや果物を食い荒らすそのほかの比較的大きな害獣に対する有効な対策と抜かりない助言。

プリニーはこう述べています。「ヘリオトロープの差し穂をサソリが頻繁に出る場所の周囲に丸く挿木すれば、以後サソリは忍び寄って来ないだろう。庭の所有者がサソリの上にヘリオトロープの植物体をまるごと置くか藁のように敷けば、耐えきれずに死んでしまう」(と断言しています。)

(農業に関するギリシャの論評書の)卓越したの書き手ディオファネスや同様の多くの人は、生の大根(ラディッシュ)をサソリの上に置くか藁のように敷けば耐えきれず死ぬと述べています。

これと同様、大根の汁を手に慎重に塗れば、危険なしにサソリや他の有毒生物を素手で扱うことができます。

この著者はさらに、サンダラック(イトスギのような小木, Tetraclinisarticulataから得られる樹脂)やヤギの脂肪を燃やした煙はサソリなどの有毒生物を追い払うと述べています。さらに1匹のサソリを燃やせば他のサソリはすべて地面から飛び出すと付け加えています。

刺されたサソリをゆでるか油で揚げて、それを刺されたところに塗れば、大変効き目があります。

サソリを殺して潰したものを傷口に塗っても同様の効果があります。しかし刺された日にバジルを食べないと、サソリによる刺し傷は危険なものとなるでしょう。 フロレンティウスは、イチジクの木の葉の汁を刺し傷に垂らせば大変効果があると報告しています。

学識者プリニーは、サソリの灰をワインで飲むのが(高熱がでていない場合)唯一の治療法だと断言しています。寄生虫を持っている人、あるいは似たような症状の獣に焼いたワーム(寄生虫?)の粉末を用いるようなものです。狂犬に噛まれた人は、その毛を燃やして飲めば大いに効果があります。

ヒキガエルは(ギリシャとラテンの農業の師たちが書いているように)ヘビの対策方法を施せば庭地から遠くへ追い出すことができるかもしれません。ヘビの対策方法をここで繰り返し説明する必要はないと思います。

賢者は(学識者のアプレイウスが書いているように)タネを蒔く前にタネを牛の逸物に一時浸します。そうしたタネは土に蒔いても傷害を受けたりダメになったりすることは決してありません。

キョウチクトウ(有毒な常緑の葉と魅力的なピンクの花を持つ低木)の新鮮な葉でヒキガエルの到来を阻止すれば、ヒキガエルは地中で死んでしまうでしょう。

(ギリシャの農業書にありますが、)野生のキュウリかヒヨス(ナス科ヒヨス属の有毒植物)か苦いアーモンド(青酸を含みます)と黒いクリスマスローズを油と混ぜて団子にして野ネズミや家ネズミの巣穴に置けば、ネズミは匂いにやられて食するので捕まえることができます。

プリニーは次のように書いています。タネは(土に埋める前に)イタチの逸物に入れるかタネを蒔いた土にイタチの灰を混ぜるかすれば、ネズミの害を受けずに芽生える。ネズミは獣の匂いを非常に嫌うので、牡牛の逸物に前もってタネを浸す方法はとてもお勧めです。

熟練者アフリカヌスは、塩化アンモニアと小麦ペーストを混ぜたものはイタチを殺すか追い払うことができ、頻繁にイタチが出没するような場所に置いておくことができると言っています。

他にもあります。それは、注意深い庭師がイタチを1匹生きたまま捕まえて尻尾と睾丸を切って再び放す方法です。そうすると他のイタチもこわがってその場所から離れます。その単純な経験は記憶に刻まれるのです。

より大きな獣を追い払うために、次のような方法が考えられます。庭師が蒔いたタネに犬の糞をしばらく浸した古い尿を撒くと、タネは被害を受けることなくスクスクと立派に成長します。

(私が前に述べたように)デモクリトスは以下の方法で同じ効果が得られると断言しています。川または海の甲殻類を10匹取って水を満たした土鍋に入れ、10日間日向に置いて、水が蒸発するくらい日射で十分温めたものを栽培ベッドや植物にふりかければ、悪天候や強大な獣から守ってくれるだろう。ただし、若い植物には直接この水をかけないでください。 より強く成長するまで、3日に1回振りかけます。

巧者アフリカヌスやその他の農業書の有能な著者たちは、庭や畑でシャクヤクかハーブのペルソナタ(Carduus personataのこと?)を埋めたり、タネを土手やボーダーに蒔いた場合、(これが見えない守りとなって)タネは守られ、 大きな獣も小さな獣もそこで成長している植物を台無しにすることはありません。

もし農夫が樹木を保護して、強大な獣に食べられたり壊されたりするのを避けたいなら、(プリニーの考えのように)牡牛の糞を溶かした水を葉に撒いたり振りかけたりする簡単な方法があります。雨が1日以内に降るような時に実践すれば、雨がその臭いを一掃して確実に枝と葉を再びきれいにしてくれます。これは非常に巧妙な賢い方法です。

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