第1部の最後、第31、32章は天空がもたらす2種類の災害についてそれぞれ解説されています。ひとつは雹、稲妻、テンペストといった騒々しい気象災害、もうひとつは霜、霧、さび病など静かにしのびよる気象災害です。
第2部は作物別の解説へと移ります。
第31章 キッチンハーブ、樹木、果物を倒壊し腐らせる雹、稲妻、暴風雨の対策と修復方法。
農耕牛と人間、両方の働きを台無しにする雹の対策を以下にいくつか紹介しましょう。
農夫が手元で雹の危険を避けたり降雹に備えたい場合は、偉人ピロストラトスがギリシャの農業書で述べているように、アザラシ、ワニまたはハイエナの皮を(畑、果樹園、庭では)かぶって引きずっていって、出入口に着いたらそこに掛けます。
手で丈夫なガラスを持ち上げて、雹の降っている上空の暗い雲の様子を見る人もいます。この雹対策の欠点として(ルティリウスが報告しているように)、最後には気分を害する可能性があります 。ガラスを2倍にすると、別の人にも場所を与えることができ、うまく雹を防ぎながら退避することができます。
(ピロストラトスが書いているように)、右手でヌマガメを仰向けにしてひきずって、庭や畑を囲うように線を地面に引きます。そして描き始めた地点に戻ったら溝を作ってカメを直立させ、溝の中で倒れないようにします。こうするとカメは自分の頭上に大きくて厚い雲を見ることになります。
これを雹が降りそうな時に昼か夜の6時間行います。
(よりスキルが高そうな)人は 雹が近づいてきた時に庭や畑のあらゆる場所に白ワインを撒くか、または生きたフクロウを嵐に向かって翼を大きく広げて固定します。 偉大な農業書の書き手(ジュニアス・コルメア)が庭に関する小論文で言っているように、この2つの方法は稲妻と雹に対してとても有効です。
ここで、雷、稲妻、危険な雹に関して民間で普及している助言を述べましょう。雲が立ち昇って嵐が近づいてくる時、大きな鐘の音や大声などを混じえて、あちこちで銃声の大きな音が轟きます。
これは必然ではなく、庭にとって利用価値があるとも思えません。
シリアのアンティオコス王に手紙を書いた有名な学者アルキビウスは、新しい土鍋に斑点のあるひきがえるを閉じ込めて庭や畑の中央に埋めておけば、嵐は植物や果物に害を及ぼさないと、断言しています。
庭の真ん中や四隅に、ワシの羽やアザラシの皮を吊るすという対策もあります。
これらの3つの対策は、稲妻が不思議ことに嫌う特別な(真の)秘策であり、この(上記の)対策は有害だったり何かを破壊したりすることのない方法として、後世へ伝えられ、多くの熟練者の経験や試行によって効果が確認されてきました。
そのため、ティベリウス・シーザーは(スエトニウスの報告によると)月桂樹の冠を常に身に着け、雷や稲妻が起こったときなどには、自分の上品な天幕全体をアザラシの皮で覆いました。こうすれば彼が驚くほど怖がっていた雷や稲妻から身を守れると思っていたのです。
球根は(その小ささのせいからだけではなく)稲妻の力から逃れることができると、プリニーは報告しています。不思議ですが、雷は球根を嫌悪するので落雷に対して役立つのです。
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