さび病はカビ(糸状菌)の一種で起こる病気です。当時、カビが原因とわかっていなくても空気を通して広まることは気づいていたのでしょう。本章では煙を利用した対策方法が述べられています。
第32章 果物や菜園の敵である霜、その後の破壊、霧、さび病に有効な方法と助言。
ほとんどの人にとって明らかですが、天空の災害には2種類あります。1つはテンペスト(大嵐)と名付けられたもので、雹や嵐などを含みます。
これは(一旦起これば必ず)強力な災害となり、農学者や物理学者の注意深い観察と彼らの最も熱心な記録によれば、乙女座、ヒアデス星団、天狼星、大角星、Fidicula、Haedi、オリオン座、わし座、等々といった恐ろしい星の動きによって天からもたらされると、プリニーは報告しています。
もう一つの天空の災害は空気が穏やかで静かで晴れた夜に生じ、普通気にされません。
しかし、これが起こった場合さび病が発生し、嘆き悲しむ惨事のひとつとなります。そのほか炎症、いもち病が発生します。それはすべての穀物を不稔にします。一言で言えば破滅をもたらすのです。
すべては天によって引き起こされますが、特に春に起こりがちです。
夜生じる霜によってリンゴの花、ブドウや穀類の花は破壊され炎症を生じます。それほど多く報告されていませんが、それは太陽熱を急に浴びることで引き起こされ、水滴や水分の流入が急な炎症となって花穂を破壊するのです。
これはまた、まだ柔らかい芽、植物、枝もダメにします。一般に焼け(burning)と呼ばれています。これは、炎症を起こし、その場所が石炭と同じくらい黒く焼けるためです。
樹木やブドウのやわらかい花のさらなる破壊は発症(サイドレーション)と呼ばれています。特にこれは星座の爆発や流れ星によって引き起こされます。
これらに、果物の強力な敵であるさび病を加えなければなりません。
偉人プリニーは、さび病と炎症は、夜間と夜明け前の寒さだけが原因で、太陽はこれに関係ないと報告しています。そして、様々な熟練農学者の考えに従えば、月の変化期(新月時)または満月時に、昇ったり沈んだりする際に拳の大きさになるいくつかの星がこの寒さが持続するのを助長していることが知られています。
この天によってもたらされる不稔は、天空での放射や角度が相互に関連する星々が適切な降順と昇順で動いていれば、生じず、毎年発生することもありません。
天の作用は不思議に思わざるを得ないものであり、天の素晴らしさと畏敬の念をもって前述の星座や無限の星々について、全能の神の人類に対する素晴らしい英知と善意を知るところです。天の作用のうちの3つだけを大いに恐れ、勤勉なプリニーが記録したように、その原因について観察し記憶に残されました。
まず、乙女座は果実、わし座は穀物、天狼星は収穫を意味しますが、これらは同じ理由から季節を予見する判定星 (Judiciall Stars)と名付けられました。
判定星が最初に現れる時、空気が澄んでいて穏やかで優しく、地上に潤いが与えられていたなら、タネが蒔かれ、それが成長し繁栄することは間違いありません。
逆に、その時の月が植物や農作物に露の冷気を振り撒いた場合は、甘くて栄養のあるジュースに苦味が混ざり合ったように、これは地上に現れてか弱いものを殺し、打撃を与えます。
しかし、問題は霜、雹、嵐、暴風雨自体ではなく、特定の畑や庭地に有害なことです。
さび病や炎症の熱がそうであるように、それらはいつでも食料の不稔と飢餓を引き起こします。これらは開らけた国々に振り落ちて作用するために、公共と現在の親愛なる人々に多くの災難を引き起こすので、ここで古代の農学者によって発明された巧みな救済策を述べましょう。
注意深い庭師が霜の害やさび病の接近に備えようとする場合、 籾殻や切り藁の蓄えが手直に十分にあればそれを燃やします。
しかし、十分ない場合は、庭や畑から摘み取った乾いた雑草、大きなアザミ、または他の廃棄果実が利用できます。多くの場所で、特に風が吹く方向に向かって、賢明に燃やします。
ディオファンは農業に関する教訓書の中で、近くまたは手元にある悪は回避されると書いています。
暗い濃霧に対して同じ方法が利用できます。
ベリティウスはギリシャの農業の教訓本で警告を発しています。
農夫または庭師は、燃やした灰が風に乗って集まって落下するかどうかを十分に見極めてから、雌牛または雄牛の糞と一緒に雄牛の左角 incontinent the left horn ?を燃やし、庭や畑の周りに強力な煙を作ります。ただし退避するに際して、煙は特に風によって方向が決まることに注意します。
有能なアプレイウスはこう書いています。
雄牛や山羊の糞、または切り藁で燃やした3匹の川エビ/カニの煙で、すでにさび菌が落下している場合でも、確実に癒し治療し被害を回復する可能性があります。
巧者ベリティウスが報告しているように、野生のキュウリやスイカの根や葉を採って、叩いて一晩水に浸した後、太陽が昇る前にさび病の発生場所に振りかけ濡らします。
同様に、庭師はイチジクやオークの木の灰をさび病の損傷を受けた場所に振りかけることによって回復させることができます。
アナトリウスの報告によれば、農夫や庭師は庭または畑のどの種子も地面に蒔く前に野生のキュウリの根のジュースにしばらくの間浸すことで、傷害やモンスターから守っています。
アプレイウスが証言しているように、庭師または農夫は庭地または畑のまわりに多くの月桂樹のさし穂、株、および枝を挿したり植えたりしています。これはさび病に対抗するためです。さび病のすべての害が通過して入ります。 結露しがちな地域や谷、そして突然の大風が何度も吹く場所では、非常に頻繁にさび病が発生するので、そのような効果が何度も観察されています。
このように、さび病は多く果実の敵です。
ブドウの木に特にいつも起こる炎症熱に対して、学識者のプリニーは農夫に3匹の生きた甲殻類(エビ/カニ)を燃やすか、木やつるに生きたまま吊るすように推奨しています。
(あるラテン人の書き手が指摘したように)ギリシャ人は庭や畑の内や外に、霜が降りるのを避けるためにまたは少なくとも霜に対抗するためにインゲン豆を種まきました。
庭の区画の専門的な取り扱いと注文に関するこれらの指示は、現時点では、救済策と同様に、一般的に迷惑な傷害に対して十分有効であり、そこに植えられた種子や植物はすべて繁茂し、庭師に収穫の喜びの歓声を上げさせることができます。優しい読者のみなさんは新旧両方の農業作家の著作から導かれたものと想像してくださるでしょう。
ラテン人同様ギリシャ人も、多大な研究と苦痛な労働によって、これらの対策のほとんどを探し出し検証しました。そうでなければ、すべての人にお伝えし共有してもらおうとする私の役割を試みることはなかったでしょう。
これに加えて、皆様はうまく想像してくださるでしょうが、農業の問題に直面した多くの熟練者たちの経験がより良い教訓として今の時代にもたらされているのです。そして本書が熱心な読者に受け入れられていることはありがたいことであり、著者は正当な報酬をいただきました。Gardeners Labyrinthの最初のパートはここで終わりとなります。
[イラスト]
第1部の巻末にはノットガーデンやメイズガーデンのパターンがまとめて載せられています。
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