2022年9月4日日曜日

Parsley(パセリ):「The Gardeners Labyrinth」第42章

 日本でもすっかりお馴染みのパセリの章です。

パセリのさわやかさは誰もが納得するところですが、オスのパセリとメスのパセリに分けられていたなんて知りませんでした😀

第2部10章 パセリの種まきと栽培で学ぶべき管理技術と秘訣。

The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。
パセリと言えば私は普通のパセリとイタリアンパセリと根パセリしか思い浮かびませんが、“The Herbal, or General History of Plants”では、このガーデンパセリのほか、ウォーターパセリ、マウンテンパセリ、バスタードストーンパセリ、マセドニアパセリといろいろなパセリが載っています。

パセリの栽培は、労力と勤勉さをわずかしか必要とせず、石と砂の多い土壌を好みます。 従って肥料も少ししか必要としません。そのため、庭の生垣やボーダー近くの日陰になりがちな場所に播種してもうまく生育します。より迅速に成長させるためには、特に多くのかん水が必要です。

テオプラストスの言を借りれば、 パセリは古いタネほど早く発芽します。古いタネは発芽しやすいというわけです。

パセリは発芽すると、以後タネを蒔かなくても長い間生えていて、庭主や庭師はその後5年間、再びタネをまいたり植え直したりする必要がありません。

パセリは1年成長すると、茎と種子および黄色がかった花を作るようになります。

大地に植え付けられた新しいパセリのタネは、学識者プリニーが報告しているように、タネ蒔き後40日目、50日目、60日目と経ってから、最もゆっくりしたペースで発芽し、ようやく多くの部分が伸びてきます。 一度播種されて(上で述べたように)伸びてくれば、順調に収穫できて、何年もの間消滅することなく、自然に年々増加していってくれます。

有能なナポリのルティリウスが述べているように、そのタネは暖かい土地でも寒い土地でも、どんな土壌でも育ちます。最初に発芽するにはたくさんの水分が必要です。そのかん水によりパセリは迅速に強くなります。

その後は外気も土もパセリの成長を妨げません。

コルメラが示したように、種子と苗の両方とも成長を早めるには、泉の近くで流水のほとんどない場所に植えます。そうすれば成長が早くなります。

庭主または庭師がパセリの葉を非常に広く栽培したい場合は、有能なギリシャのフロレンティヌスの言葉に注意を向けてください。彼は、一度に手に取るパセリのタネは3本の指でうまくつかめる量に限ることをいといませんでした。これらは、薄いか着古されたリネンの布、または使い古された亜麻布で包み結んでから糞の入った浅い穴に入れ、土中に上手く埋めます。そのように賢明な方法で扱えば、偉人ルティリウスおよびそれ以前の偉人コルメラが指摘したように、結果的に非常に大きな葉に成長し、その後、すべてのタネがくっついて1つの葉で一緒に発芽します。 

しかし、(有能なフロレンティヌスが報告しているように)庭主が根の付近を耕し、もみ殻を入れて軽い土で覆った後、十分頻繁に水をやればパセリの成長は最大になります。

パセリは播種の少し前にタネをボール状にしてから埋めれば、パセリの葉はさわやかなものにすることができます。(コルメラが言っているように)そのボールを杖か何かでいくらか壊すと、崩れるに従ってタネはは土に委ねられることになります。

あるいは、より労苦の少ない方法としては、パセリが地上にある程度出てきたらすぐに栽培ベッドの地面をを掻いて丸い石を置いたりまたは大きくローラーをかければ、どのような方法で播種されたにせよ、葉を元気にさわやかに成長させることができます。 

タネを土に埋めるのに最もお勧めの時期は5月中旬から6月の夏至までです。栽培ベッドにまとめて厚めにタネを蒔き、頻繁に水をやれば、この季節の暑さを乗り越えて迅速に成長し利用できるようになります。

庭主または庭師が種子をすぐに発芽させたい場合は、一定時間種子を酢に浸してください。それをよく整えた土に植えて、ベッドの半分を豆の鞘の灰で満たします。

このようにタネ蒔きした後、少量の最高級のアクアヴィテ(命の水)で頻繁に軽く水まきします。

ベッドに水を撒いて湿らせたらすぐにベッドをふかふかの布で覆います。

最後まで適切な温度にして空気の流れを止めないでください。そうすれば、1時間以内に植物が出初めるのでその布を取って、出てきた植物に何度も散水するか湿らせる必要があります。 見ている人が驚いているうちに、素早く茎や葉身へと成長します。 

コルメラ、プリニー、ルテリウスはフロレンティヌスに賛同しています。すなわち、パセリにはオスとメスの2種類があり、オスのパセリは(彼らが説明しているように)黒めの葉と短い根を持っています。一方、メスのパセリは酸っぱくて辛い味がする、さわやかな葉と固くて大きな茎を持っています。

しかし、プリニーが書いていますが、ディオニシウスと 薬草学者のクリスピッパスはこの 2種とも肉と一緒に食べることを許していません。

プリニーの時代(古代ローマ時代)にパセリは今(16世紀)と同じように多く使われていましたが、特にスープとソースはより良い味わいと食欲増進のために使用されていました。

彼らは、メスのパセリの葉を頻繁に食べると虫が体内で発生し、オスのパセリを男性が食べた場合と同様に、メスのパセリを女性が食べると不妊になると報告しています。

さらに、妊娠している女性がパセリを食べると出生時に病気になる原因となりますが、男性の場合は害が少ないと彼らは断言しています。そのため、邪悪な植物の中でもパセリは古代から完全に嫌われたり非難されたりすることはありませんでした。

したがって、後世の薬草学者が病気にかかっている人や妊娠中の女性にパセリを食べないように忠告や警告したのも驚くべきことではないでしょう。

一方、ギリシア人は乳母や子供を持つ女性が肉と一緒にパセリを食べることを禁じたのは、別の原因でも同様の結果が生じる場合もありますが、母乳を作るのを妨げ、乳の出を止める可能性があると考えたからです。さらに、パセリを食べると人を性行為に駆り立てます。

ある報告によると、池の病気の魚はパセリを入れておくと見事に回復し元気になるといわれています。

新鮮な緑のパセリを口にするほど口に良いものはありません。不快な息や臭い息を持ち、忌まわしい悪臭を放つ人がこのハーブを食べれば、短時間で驚くほど息をきれいにします。

乙女と未亡人がその緑の新鮮な葉を噛み、身に着けるのは、求婚者を惑わす非常に効果的な方法です。それによって口臭、あくび、その他息の強いにおいを当面消し去り、習慣的に食べることによって、より良い息にすることができます。

過去、いろいろな場面でパセリの葉を使用するために酢2/3と塩水1/3から成るピクルス液に保存されてきました。


パセリの薬効と使用方法。

ガーデンパセリは3度の初めの熱さと2度の乾燥気質に分類されます。すなわち、2度と3度のレベルで加熱・乾燥する特性があります。

パセリのジュース、テレビン油、小麦粉、バラ油を少量のサルココラ(低木レンゲから得られるガム樹脂。傷や潰瘍の治癒に使用される。)と巧みに混ぜ合わせて煮詰めれば、人工的に作られた洗浄剤となり、癤(せつ)・癰(よう)の潰瘍や膿瘍を最も完全に浄化し、修復します。 

キャベツとメリローテ(セイヨウエビラハギ)の葉と一緒にパセリを煮て、オートミール、カモミールのオイル、ディル、バラのオイルで作った塗布剤を塗れば、部分的に母乳を乾燥させたり一掃したりするので、乳腺炎で生じる乳房の膿瘍を見事に治癒します。

生または漬けたパセリを食べれば、肝不全を改善し、尿を誘発し、腹部を緩め、緩んだ部分は適切に強化します。

パセリはまた突き刺すような刺激質を持ち、マウスウォッシュとなります。そして根もタネも結石に非常に有効です。

ギリシアのフロレンティヌスは、パセリをパンかゆと一緒に漆喰状にして塗れば帯状疱疹を治します。煎じ汁を飲めば、結石を壊し、外側から塗っても同様の効果があると、自身の農業書の中で書いています。

これらに対して、根と同様、葉も尿を作れなくなるような腎臓の病気に効果があります。

黒斑は種子の煎じ薬を適用すれば適切な色に回復し、砕いた葉を適用すれば乳房の硬さを和らげます。

プリニーは、砕いたタネを卵白と一緒に塗るかタネを水で煮て飲めば腎臓を改善し、冷たい水で砕けば口の潰瘍を改善して除去すると書いています。 これはまた古いワインと一緒に使えば、根と同様、膀胱の結石を砕く効果があります。

これが白ワインだと黄疸や月経不順や月経が停止している女性に効果があります。

偉人プリニーが指摘したように、生のパセリは飲むと甘い水をもたらし、それは(ガレノスが書いているように)口に心地よく、胃に非常に美味しいことは注目に値します。

種子を肉に入れると、体の中で風を追い出し、砕いた種子を汚れたかさぶたに塗布すれば非常によく浄化してくれてきれいな肌になります。

種子を食べれば胃のむかつきを取り除き、むくみのある男性に利益をもたらします。種子は邪悪な体液を乾かし、打ち負かして消してくれます。

パセリは痰の出る人々に効果があります。

肝臓を浄化し、腰と膀胱の痛みを取り除きます。

スイバと酢を混ぜ合わせて作ったパセリのソースを食べると熱病に効きます。

乾燥させたパセリの根を細かく砕いて粉末にし純粋なワインと混ぜて飲むと、健全な脳と完全な記憶が得られるだけでなく、血液が浄化されます。

 (最高の作家の同意するところによれば) 種子に薬効の主成分があり、根はそれに続き、葉は3番目の薬効があります。

パセリの根、葉、種子は食事や飲み物にすれば、尿を作り、腰の結石を取り除き、redsを取り除き、体の風を溶かし、お腹の圧迫感を取り除き、不快感や背中の痛み、腎臓と膀胱の痛み、胃のムカつきを和らげます。

狂犬にかまれた人はは、パセリの煎じ薬を煮沸して飲み、種子と葉作った軟膏を塗ればすぐに治るでしょう。


パセリの蒸留水の薬効。

パセリの蒸留にお勧めの時期は 9月の初めであり、新鮮な根と葉、植物体全体を一緒に蒸留器のベインマリーで蒸留します。

朝晩、1回に 3〜4オンス(60〜80cc)のパセリの蒸留水を 30〜40日間飲むと、腎臓と腰の結石に対して効果があり、腎臓と膀胱を浄化し、排尿をおおいに促します。

同様にパセリの蒸留水を飲めば、消化を助け、食欲を増進させ、肝臓を浄化し、喉の渇きを和らげます。この蒸留水を頭や体に塗れば、どこでも流したとたん効果が聞こえるようです。

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