2022年10月23日日曜日

Lettuce(レタス):「The Gardeners Labyrinth」第47章

年中、何の気なく食べているレタスですが、16世紀のレタスは薬効もあれば副作用もある薬用ハーブだったようで。現在の園芸種は食べやすくなって、すっかり毒気も取り去られたんでしょうかね。(レタスの催眠効果は今でも期待されています。)

第2部第15章 レタスの播種や上手な栽培方法について学ぶべき技術と秘訣。


The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。
左がガーデンレタス、右が結球気味のキャベツレタス。


ガーデンレタスは、よく耕された、肥えて湿った糞の多い土が好きで、播種後4日目までに発芽して地上にその大部分が出現します。そのため、地中の種子は太陽熱に焼かれたり実を結ばなかったりしないでしょう。

種子は成長する場所が守備よく糞で肥えて湿っていれば、一年中いつでもタネ蒔きできます。

タネは3月か4月の初めに栽培ベッドにまとめて厚めに蒔くようにします。柔らかい植物は身を切るような霜や冷たい空気に耐えることができないからです。

9 月に栽培ベッドにタネを蒔けば、冬の寒さで強くなるでしょう。植物はいつでも移植に耐えてくれ、もし、 毎日のやさしい雨で湿っていないようなら、2-3 日間まとめて水をやります。

そして、種子を土に委ねる際、庭主はベッドの水分状態、少なくとも糞の発酵の発熱状態に注意を払う必要があります。

伸長・発芽して葉が 4 枚か 5 枚ほどに成長した株は引き抜いて肥えた土に移植しなければなりません。株間を十分にとります。そして根に十分水やりします。 そうすれば不足なく、季節が非常に暑くなることもなく無事移植できます。

スモールレタスやコモンレタスは移植できませんが、グレイトレタス(別名ロメインレタス)はパリパリした厚い葉になって、白くてかなり大きいタネを採ることができます。

このタネを庭師が再びベッドに蒔けば、特に移植前に最初の葉を摘み取ってやれば、大きく成長して茂り、味わいが良くなります。最初の茎または外側の茎は内部に乳液を多く含んでいて、太陽熱によって少しばかり苦くなります。

りっぱなホワイトレタスがほしいなら、移植するにあたってその2日前に葉を撚り糸で束ねる必要があります。

そうして、川砂や海砂と一緒に、厚く藁を敷かなければなりません。偉人プリニーは、ホワイトレタスの種子を採るには寒い冬に耐えさせるのが一番だ考えているようです。

しかし、場所、季節、種子によっては硬いレタスになってしまった場合、それを引き抜いて、よく整えられた栽培ベッドへ植え替えれば柔らかいレタスへと成長させることができるでしょう。

株分けすればレタスは広がって成長します。もしくは大きな葉に成長してから移植する際、株の上部をやさしく切り取り、土芝、タイルまたは素焼きのかけらで押さえます。こうすれば、茎へと成長する部分が少なくなります。

というのは、押さえの重さによって (重しの下にあるレタスは) 強制的にちりめん状の葉になって、横広がりに成長するからです。 偉人フロレンティヌスが自身のギリシャの農業書において、彼の後はコルメラが、そしてプリニーと有能なナポリ人ルティリウスが書いたように。

こうして、葉が広く、丸く、厚く、パリパリとして、地面近くで低く成長します。レタスが手の幅の広さに成長したら引き抜いたら、髪の毛のような根を切り落とした後、新しい牛糞をよく塗って、その周りに土を十分に山積みして、頻繁に水をやります。こうして力強く成長したらすぐに、鋭いハサミで葉の上部を切り取り、新しい土を詰めた鉢ポットで覆います。 フロレンティヌスが(ギリシアの農業指導書で)行ったと報告しているように、叩かれたり押さえつけられた葉は丸く茂り白くなります。

所有者が甘くて味と香りの良いレタスを楽しみたいなら、(引き抜く2日前に) 葉の上部をしっかりと束ねてさらに成長させれば、良質で甘く白いレタスになります。

ここで、植物を(そのような方法で)束ねて結ぶことは、以前にお教えしたタイルまたは素焼きの破片または土芝のいずれかで押さえられてレタスがより強く成長することを思い出してください。

熟練者のフロレンティヌス (も述べているように) 、土へタネまきする前にレタスの種子を柑橘のタネの中に入れておくとレタスは甘くて心地よい香りに成長する可能性があると述べています。庭師はダマスク水またはムスク水に種子を数日間浸すことによって同様のことを行うことができます。

ここで語るアリストクセノス・キュレネウスの驚くべき工夫の問題に無関心ではいられないと思います。

プリニーが書いているように、この男は原理探求の切実な願いを抱き、自分にふさわしい国を離れていました。晩餐の料理を至福のものにしようと、夕方種々のレタスに(地面で生育中)ぶどう酒とはちみつを混ぜ合わせて水やりし、そしてレタスが十分にこの液体を吸収するようにしました。

彼はそれらのレタスを翌朝までそのままにした後、地面から繊細なレタスを求めたことを自慢しました。

これは間違いなく、晩餐にとって価値のある工夫でしょうが、そこには原理・法則はありません。

したがって、これについてのさらなる言及はせず、以前の話題に戻りましょう。

(前述のように) レタスの根に最高の牛糞を丁寧に塗り、必要なときに川水や流水で水やりするか、または私が先に書いたように株を抜いて再移植する2日前に葉の上部を紐でかたく結んでおくと、より柔らかい葉を得るか葉がより柔らかくなります。

庭師が素晴らしい形のさまざまな味のレタスがほしい場合、(ルティリウスが書いているように)ヤギの糞で作った丸いペレットが入る適当な穴を掘ってそこにレタス、クレソン、バジル、ルッコラ、ラディッシュのタネも入れれば(ギリシャの賢者ディディモスが報告しているように)容易い費用と軽い労力で実現できるでしょう。

糞に包まれたそのボールは、よく整えられた土に埋めます。畝は深くせず、柔らかい糞を軽い土と一緒に上にかけます。

そして、頻繁に優しく(少しづつ)水をこれにかけてやります。

ラディッシュが伸びて根を形成しますが、他の種はある高さまで伸び、レタスは一緒に育ちます。それぞれ適切な味の株を収穫します。

ヤギまたはヒツジの糞2〜3粒を砕いてボール状にし、上記の種子を入れて、これを亜麻布で結び、上記したのと同様に注意して丁寧に土に埋めます。

ラテン語の農業書の著述家の多くは、別の方法で同じことを教えています。

すなわち、レタスの葉全体を集めて、根の隣に作った窪みにその葉を置きます。ラディッシュ(ルティリウスが書いている)とパセリ(ルエリウスが指示している)、前述のすべての種を埋めます。その葉には柔らかい糞を塗ってよく肥えた土に埋め、種子は丁寧に土で覆います。

冬の間レタスを楽しみたいなら、(コルメラが指示しているように)この方法でレタスを保存する必要があります。最初に周りの外側の葉を摘み取り、柔らかい葉は覆わないままに残し、土鍋などの容器で塩漬けにするのがよいでしょう。塩の作用で水が出てくるまで 一昼夜覆いをしたまま放置します。

出てきた塩水は新鮮な水で完全に洗い流します。

葉から液体が押し出されるので、葉が十分に乾くまで格子の上に載せておきます。それから、乾燥したディルとフェンネルのワラで覆い、その上にフェンネルを乗せます。その後、容器に再びレタスをひと山分かひと抱え分入れ、その上に酢 2、浸出液1の割合の混合液を入れます。

この後、容器内の物に乾いた重しをかければ液体が上がってきます。 

このような手順で丁寧にうまく処理しなければなりません。上記の漬け物が漬け汁から出ないように、上記の液を頻繁に入れて、常に浸かっておくようにします。

ただし、スポンジを使って新鮮な流水でこまめに注ぎ口とポットの外側をきれいにすることを必要に応じて頻繁に行います。


レタスの薬効と使用法。

レタスは冷・湿第2度の気質です。レタスは明らかに冷たく湿った性質で、そのため睡眠をもたらし、他の香味野菜と同様に非常に栄養を与えるとエギネータは明言しています。

アウグストゥス・シーザーが病気の時にレタスを使用して健康を回復したという記録があります。

その中で、レタスは消化を助け、どの香味野菜よりも良い血液を生み出すと記録されているのは驚くべきことではありません。

経験上、レタスは胃にやさしく、眠りを誘い、お腹をゆるめ、母乳を豊富にします。

レタスの種子は乳母に栄養豊かなミルクをもたらし、飲めば視力が鮮明になります。ワインに入れて飲めば睡眠を催します。

レタスだけで作った膏薬を熱を持った膿瘍や帯状疱疹に貼ると強く冷やしてくれます。

レタスをオリーブオイルに浸して混合したものを一服、体内に入れれば、すぐに水腫を和らげます。

熱を出して眠れない人の額にレタスのジュースを注げば、(巧者フロレンティヌスが書いているように)患者に休息と睡眠をもたらします。 彼はまた、先に空腹の状態で緑のレタスを食べていた場合はレタスのジュースを飲んでも回復しないだろうと言っています。

これに加えて、レタスの種子を砕いて飲めば精子を抑えます。そのため、多くの若者に起こる夢精に対してこれを飲んだり摂取することは有益です。

この著者はさらに、レタスをベッドのシーツの下に置いて、病人に知られないように、太陽が昇る前に左手で根元から引き上げるような動作で集めれば、その後すぐに睡眠を引き起こすと述べています。

同様に、5 枚、3 枚または 1 枚の葉を病人の枕の下にひそかに置きます。茎と葉全体を、その根元側を足元方向に、上部側を頭方向にして置いても同様の効果があると彼は報告しています。

ギリシアの農業書の著述家たちが指摘しているように、既婚者がレタスを毎日大量に食べることは非常に不便で不快であることをここで知ってください。

同様にこれは(彼らが書いているように)子供の数を減らすだけでなく、子供たちが生まれた後、怠惰で愚かな、そして卑劣な人になるということです。

しかし、当代の学者は反対のことを書いています。

当代の学者たちは、レタスは悪い血を増やさず、完全ではないが(彼らの合意するところによれば)他の香味野菜よりも価値があると言っています。

(ガレンが書いているように)レタスが好まれるのは、他のハーブに起因した正当な理由であるといえるかもしれません。他のハーブにレタスより良い栄養があることを知られたり発見されているものはないからです。

レタスは冷やす性質を持っているので、(前述の著者が書いているように)夏の間、感謝すべきありがたい食物です。

これを摂取すれば、熱すぎてイライラした胃に驚くほど効果があります。

しかし、頻繁に摂取しすぎると視力が鈍くなり、潤いがちになります。性行為の欲求が和らぎます。

これはまた頻繁に食べすぎると、呼吸を浅くしたり、嘔吐したり、吐血や冷痰を生じ、大きな害を及ぼします。

このハーブはあまりにも頻繁に使用し、生のように湿らせてたくさん使用すると、毒ニンジンを食べることと同じくらい危険なのです。

夏のレタスは、適切な栄養を得るためというよりも、湿らせたり冷やしたりするなどの医療目的で使用されます。

これは見れば冷たさがはっきりわかるでしょう。それが何らかの方法で健全で純粋な血を私たちの中に生み出す可能性があることは疑う必要があります。

レタスには乳白色で甘い物質があり、わたしたちにとって貧弱な消化物を容易に軽く血液に変化するのと共通しています。

したがって、レタスは適度に食べれば、私たちに良い血をもたらし、月経を何回も助けてくれます。お腹を緩めるとも言われています。完全に適切な水分と冷たさがあるため、 肝臓の過度の熱を冷やし和らげます。肝臓は、食事と飲み物の迅速で激しい消化吸収に耐えられないと多くの場合、お腹を締め付けます。

レタスは、生で、または酢と砂糖で煮て食べると、精巣と肝臓の機能不全を回復しますが、生で大量に食べると視力を損なうと言われ、生でも煮ても目に害を与え、濃いかすみを引き起こします。視覚神経を鈍らせ、結晶性体液(目の水晶体の液体)を乱します。それに含まれる冷たさは動物の精神を怒らせるのです。

多くの人は、レタスの茎が立つ前に使用し、水またはスープで煮ます。ガレンも年老いてからはその硬さのため煮る前に食べませんでした(賢者ガレンの記録)。 生のものは硬いことを彼は知っていました。

先述したガレネは若い頃は胃の胆汁の熱を抑えるために生のレタスを摂取することに抵抗はありませんでした。しかし、年をとると夕食に茹でたレタスを食べて、夜の睡眠をより快適に、より長く眠れるようにしました。レタスを茹でて夕食時または就寝前に食べることは、彼にとって、静かな眠りをもたらす唯一の治療法でありました。

古代の人はレタスを夕食の最初ではなく最後に食べていました。

その理由は、(前述のように)レタスは冷たくて湿った性質のものだからです。したがって、夕食の最後にこれを食べ、胃の中で他の摂取物と混ぜるようにしました。そうして、夜、より早く、より良い眠れるようにしました。

そして、このように準備しておけば、ワインによる頭痛と酩酊を抑えることができました。早寝をマスターして、脳の強力な潤いを完全に保ちました。

レタスの種子を砕いて、卵の白身と混ぜ合わせて、女性のように額のこめかみに膏薬状に当てれば、休息時に驚くほど眠りをもたらしてくれます。

これに似た方法として、レタスのジュースと女性のミルクをそれぞれ同量ずつに砕いた白いケシの実を加えた液体 0.5 オンスを暖かくして額にぬりました。

レタスの種子を砕いて飲めば、睡眠中の性行為の想像をしばしば絶ち、自然な行為の欲求が抑圧されます。

当代の優秀な医者は、夏の夕食で生のレタスを食べるためのもっと健康的な方法を考案しました。レタスを酢、オリーブオイル、塩を混ぜ合わせて、(そのように準備して)卓上で他の料理と合わせます。こうすれば暑さによって弱った食欲をかき立てることができます。血液のたぎりを和らげ、肝臓と心臓の熱を和らげます。ただし、このように準備された薬草の使用は慎重に行うべきです。(前述のように)薬草の過度の使用は性行為への真剣な意志を消滅させます。

(子供を望んでいる)既婚者はレタスを慎重に節度を持って食べるべきですが、イライラしがちな人はレタスを食べないわけにはいかないので、ロケット、クレソン、ミント、マジョラムなどと合わせて胃が適切に冷えるように調整します。


レタスの蒸留水の薬効。

ガーデンレタスは 5月中旬頃に収穫して、細かく刻んだ後、バリーマリーか真鍮材を使って弱火で蒸留します。

クリスプレタスまたはガーデンレタスの蒸留水を朝と晩に1回につき 2 オンス飲めば、肝臓に効果的です。それは性質上、肝臓を冷やして快適にし、炎症を起こした血液を冷やします。

同じようにこの蒸留水を飲めば、危険な赤痢の下痢や他の猛烈な下痢を抑えます。

これは四肢の震えを抑え、安眠できない人を助けます。

これを頭のこめかみに塗って、手のポーズ(?)は眠りをもたらします。

母乳が不足している女性がこの蒸留水を飲んだり飲み物に入れて摂取すると、うまく母乳を増やしてくれます。

この蒸留水を飲めば、熱く乾いた咳を抑えて、喉を柔らげ、乳房や舌をきれいします。のどの渇きを止め、胃、肝臓、腎臓の熱を冷やします。さらに、多量に摂取するとお腹が緩みます。

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