2022年11月24日木曜日

Leek(西洋ネギ、ニラネギ、ポロネギ):「The Gardeners Labyrinth」第51章

日本では喉の痛みにネギを首に巻きますが、西洋ではネギを首に巻く発想はなかった(?)ようです。

第19章 リーキ(ネギ)およびリーブ(葉ネギ)の播種と熟練した栽培に必要な技術と注意


左がタマネギのように結球するまで成長させる種類、右は葉ネギ用のアンセットリーキ
The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。


菜園の根菜であるリーキ(ネギ)は調理してよく食べられていますので、まず最初にこれをとりあげましょう。(最も技術的な報告として)リーキは実り豊かで手入れの行き届いた場所に播種することが望まれます。偉人ルティリウスが書いているように、低地であっても、特に開けた場所に生えています。

そしてリーキの栽培ベッドは水平をとり、深耕して、念入りに転地し、非常によく糞を施肥する必要があります。

昔の農夫たちは、リーキを 2種類に分けて記しています。ひとつはタマネギのように結球するまで成長させる種類、もう一方は長くてまっすぐなブレード状の葉が数多く分枝して茂みとなって伸び、地際でカットすることはありません。これを私たちはアンセットリーキ(葉ネギ)と呼んでいます。

葉ネギ用にリーキを育てる菜園主や庭師は播種した2か月後に栽培ベッドに出てきた緑の葉を切って収穫します。

(学識者コルメラの教えに従えば)葉を切った後の株をいったん抜き取って再度植え付けると、葉はより長くなり、はるかに大きく成長します。そして頻繁に緑の葉をカットした株は水と新しい牛糞で元気に成長します。

そして、前述の著者が報告するように、注意深い園主は誰でも株を引き抜いて、新しい方法で植え付ける必要があると指示しています。すなわち、リーキの球部分を大きく成長させたい場合は4本の指の幅分の間隔を空けて植え直します。そして、その株をさらに強く大きく成長させるため、再び葉をカットします。

リーキは、必要に応じて頻繁に水をやり、糞を施肥し、雑草を除草しなけれななりません。その場所には頻繁にレーキをかけます。そのように頻繁に無用なハーブや雑草を排除すれば、リーキはさらに良く成長することができます。

チャイブや葉ネギのリーキは球をつくるリーキのように土に植えることができます。

そして、この種子はタネを収穫するつもりがなければ、いつでも土に蒔いて栽培することができます。

しかし、タネを採りたい場合は12月、1月、2月にタネをまき、3月以降8月中旬まで育ててタネを集める必要があります。

播種後、ブレードのような葉が十分伸びたら、足で軽く踏みつけ、その後4日間は水を控える必要があります。

若くて柔らかい葉が発芽して出てきて、菜園主はその球部分を大きくしようと思っている場合は、植え変えする株を引き抜いたら、小さな根をすべて切り落としてから植え戻さなくてはいけません。

そして、緑の葉をほぼ半分にカットしたら、小さな鉢の破片またはカキの殻をそれぞれの球部分の下(なると思われる部分)に置きます。

そして、(球部分)が大きくなるにつれて、土で丁寧に覆います。

その際、有能なギリシャ人ソティオンは(もし干ばつが発生した場合でも)4日後までそれらに水をまかないこと、そして、それ以外の場合はまったく水やりを禁じていました。

熟練者ナポリのルティリウスは、ネギが指の大きさに成長したら、葉を半分の長さにカットし、毛のような根を完全に取り除くように(これから種子が生じるのを最小限に抑えて栄養が種子へまわされないようにするため)と指示しています。

それから、砂を混ぜて牛糞を新しく塗った土の栽培ベッドに指 4本か 5本分ほどの間隔を空けて株を植えます。そして、これらの株が十分長く根を張ったら、菜園主は (ディブルを下にやさしく置いて) そっと球部分を上げます。こうすれば、この(地中にぶら下がっているように)残された部分は球部分が大きく成長して、この空間・空いたスペースを埋めることができます。

そして、私はこの指示を控えめに申しています。もし所有者が葉ネギを楽しみたいなら、栽培ベッドにタネを厚めに蒔くことができます。

これらを球部分ができるまで栽培する場合は、タネを薄めに蒔きます。そして、毎日の草取りと新鮮な牛糞を施肥することによって、さらによく成長します。

夏にリーキを育て、9 月、10 月に収穫し、冬にリーキを楽しむためには、4 月、5 月、6 月の間ずっと播種する必要があります。しかし、特に球部分を作るには、頻繁に草取りして糞を施肥する必要があります。

コルメラ・ルティリウスが書いたように、そして、それ以前の有能なギリシャ人のソティオンも、リーキのはるかに大きな球部分と茎を育てることができると言っています。その方法とは、薄いリネンの布か使い古された布の中に多くの種子を入れて結びます。そして、これを柔らかい糞と土で丁寧に覆って、すぐに土に埋めたところに水をまきます。このように布に入れることで(種子を流すことなく一箇所にすることによって)驚くほど大きなリーキへと成長します。この方法は他の植物の種子でも試すことができます。

私は経験することがうまくいくのが好きです。リーキの球部分に穴をあけることなく、適当な鉄の道具を使ってナタネの種子を1粒入れて土に植えれば、ルティリウスやさまざまなギリシャの農業指導書が報告しているように、それは非常に大きく成長するでしょう。

そのほか、いくつかの方法があります。木の刺、ニワトコの杖の切れ端、さもなければ研いだ葦の枝で球部分に穴を開け(ナタネの代わりに)ひょうたんの種子を入れる方法もあります。

他にも、3本の指できちんとつかめるほどの量の種子を取って、細い葦に注ぎ入れて、それを柔らかい糞で覆った土に埋めます。この方法は前者の発言にかなっているようです。

上記のギリシャのソティオンは次の方法を称賛し肯定しています。

すなわち、タネを蒔いた直後に、栽培ベッドの柔らかい土を足で踏んで、小さくて浅い畝を作ります。そして栽培ベッドには 3日間 (まるで放置しているかのように) まったく水を与えません。

しかし4日目に栽培ベッドに水をかけてやります。このように上手に管理すれば、葉が出て(ソティオンが報告したように)より茂って目にも美しく成長します。

ただし、播種と定植の間に砂と土を混ぜれば、葉はより多くより大きく成長します。

上記の有能なギリシャ人ソティオンは、菜園主が前もってクミンの種子を少し食べておくと、呼気にネギの臭いがしないと付け加えて断言しています。ネギを一度にたっぷり食べても、クミンの種子を食べることで強い風味が消され処理されるからです。

ここでペトリュス・クレセンティウスの引用を付け加えましょう。注目に値する話題として、リーキの種子をワインの容器に入れると、ワインは酸っぱくならなくなり、酢は返ってワインに戻るとされます。つまり、あらゆる発熱を押しやるのです。

これを結論付けると、播種後 18日目までにリーキ(の大部分)が地上に出てきて、10年間生え続け、その後種子を作った後、枯れます。


ガーデンリーキの薬効。

リーキは古代人の考えに従えば、3度の熱さと2度の乾きをもっています。特に、ガーデンリーキの種子はその薬効が2年間十分に持続します。

有能なギリシア人ソティオ(前に言及した人物)は農業に関する貴重な教訓と指示の中で次のように語っています。リーキを潰して処方すると他のどの薬よりも早く有毒な獣の咬傷を治します。そしてリーキの種子を the Liquor of Reasons(?)と一緒に飲むと、水(尿)を作る困難を癒し回復させます。

これに対して、都合のよいときにそのジュース2ドラムを同量のマートルベリーまたはゴール?(Gaule)の粉末、乳香のあら粉と一緒に飲めば、長く昔から続く吐血を抑え癒します。

しかし、偉人ヒポクラテスは、まったく何も混ぜないジュースを処方することを主張しており、毎日食べたり食べ過ぎたりすることは禁じています。食べすぎると、目を傷つけたり視界を鈍くするだけでなく、胃を悪くします。もしそうした場合はリーキをパンがゆのように(柔らかく)なるまで長時間茹でれば肉と同じような栄養を期待できます。

(プリニーで述べ説明されている)生のリーキのジュースの有毒問題:

その報告によれば、メラ(立派な生まれの男)はティベリウスが王子として与えられた役職を悪用したことを非難し鋭く批判した。その後、ティベリウスは絶望に陥って、リーキのジュースを銀3ペンスの重さまで飲み、苦痛なく即死した。

しかし、そのことは解説されるよりむしろ無視されるものですが、医療上、リーキを食べる前に二度水に浸せば、出産予定日を引き出し、尿を作り、余分な熱を得ることができます。

リーキのジュースを酢で赤くし額に塗れば、鼻血を止めます。

リーキは生で食べると、吐き気を生じ有毒です。これはまた、生で食べると酔いが覚めます。

母乳と一緒にリーキのジュースを摂取すると、慢性の咳や肺の潰瘍を改善します。

リーキを潰して塩と混ぜ、悪性の膿疱に当てると癒されます。

リーキを粉末にし、バラ油と酢で調整したものを耳の中に落とせば、耳の苦痛を取り除きます。

これはまた、歯の痛みにも同様に適用すると効果があります。

ハチミツと一緒に潰したリーキを潰瘍に塗れば潰瘍を取り除きます。これで膏薬を作り、打撲箇所に塗れば、腫れを和らげるだけでなく、凝固した血液を取り除きます。

リーキのジュースを母乳と一緒に飲むと、出生後の出血を抑え、これはまた酢と一緒に処方すれば鼻血を止めます。これに細かい乳香の粉末を加えれば鼻腔から摂取できます。

リーキのジュースをハチミツと一緒に飲めば、腰の痛みや激痛に効果があります。リーキのジュースをハチミツと一緒に摂取すると、胸と胃のすべての不具合を回復し、長年の咳を止め、胸と肺の苦痛がなくなります。 そして、空腹時に何度も摂取すれば水腫を癒します。

ここでガレノスの習慣を省略するわけにはいきません。その習慣とは、リーキの酸味を柔らげることです。息切れを少なくするには、リーキを2杯の水で煮て、最後に冷たいリカー(酒、汁?)を注ぎ、食べます。これはお腹の下痢を抑え、かすれた声を和らげ、その柔らかさによって顎や口のザラザラを滑らかにすると言われています。

ネロは年功序列で争って大声で発言する際に明瞭でよく響く声になるように、毎月決まった日にリーキを油と一緒に食べる習慣がありました。

その際、ネロはパンだけをとって、何も食べませんでした。プリニーがネロについて書いたところによれば、

ネロ王子が特別に称賛したのはリーキでも葉ネギの方であったと報告しています。

リーキのジュース2に対しハチミツ1/3とねり混ぜて、鼻孔または耳に適用すると、頭の不快な痛みが驚くほど改善します。そのジュースを塗れば、女性の秘密の場所にできる潰瘍に驚くほど効果があります。

欠けた種子を砕いて、煮詰めたワインかまたは心地よい白ワインと一緒に飲むと、尿を作る困難さを解消し、尿路の通りがよくなります。

リーキのジュースをワインと一緒に飲むと、出産に役立ちます。リーキの種子はオオバコのジュースでミルラ(没薬)と一緒にすりつぶしたものは吐血や鼻血を止めるのに素晴らしく効果があります。

冷たくて腐敗したような傷にリーキのジュースを粉状にまけば、腐敗した肉部分をきれいにします。このジュースは白ユリの根と混ぜて暖ためて腰に塗ると傷を癒します。それらの痛みをすばやく取り除きます。

新しい切り傷や傷に塩と一緒にリーキの新鮮なジュースを塗れば、すぐに傷口をふさいでくれます。

学識者ディオスコリデスの報告によると、リーキは性行為を促し刺激します。これをハチミツと混ぜて、

咳止めシロップ状で吸い込んだり溶かしたりすれば、獣によるすべての害を清め、癒します。これは同様に使用すると、肺の消耗も回復します。

ただし、リーキを頻繁に使用したり一度に多く使用すれば、胃に負担をかけ、喉の渇きを引き起こし、血液に炎症を起こします。


リーキの蒸留水の効果的な使用方法。

リーキの根のみを細かく刻み、6月に錫製の蒸留器で蒸留します。

リーキの蒸留水を朝晩、一回につき2オンス飲めば、冷たい血を吐くのに対して素晴らしい治療法です。

これはさまざまな時に飲めば、不妊症の女性にも有効です。

リーキの蒸留水をコットンに浸して頻繁に当てれば鼻血を抑えます。

リーキの蒸留水を飲めば、腹痛を和らげ、腰の痛みを和らげ、腎臓と膀胱を浄化し、尿を促し、結石を排出します。

この蒸留水で朝晩、傷を洗えば、傷が早く治ります。これはまた女性の場所にできた潰瘍や挫傷に効果があります。これは出産後はありえないことですが、もしそうなら、朝と夕方の両方、その場所をこの蒸留水で洗ってください。

--------------------おまけ

新神戸のハーブ園に行ってきました。ポタジェ園のレタスやキャベツ、チャードが元気に賑やかでした。





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