2023年1月9日月曜日

Rape(ナタネダイコン?)とTurnip(ターニップ、洋種カブ):「The Gardeners Labyrinth」第57章

Rapeをダイコンの類と解釈して、ここでは「ナタネダイコン」と書きました。プリニウス博物誌では「ラファヌス(ダイコンの類)はエジプトではより多く油が取れる作物」と書いてあるのでナタネに近いダイコンのようだし、さらに”Rape”をググるとナタネと訳されているので。しかし、”The Herbal, or General History of Plants”の挿絵にある"Rape-cole"はコールラビっぽいので混乱ありです😅

アブラナ科のヤサイはいろいろな青菜、キャベツ、ハクサイ、カリフラワーにブロッコリー、カブにダイコンと多彩に姿を変えるのでむずかしいですね。


第2部25章 ナタネダイコン(Rape)とターニップ(洋種カブTurnip)の播種と栽培に必要な管理と技術。

Rape-cole(RapeとRape-coleは同じものなのかわかりませんでした。Rape-coleはコールラビっぽい?)。ターニップの図は前章にあります。
(The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。)


ナタネダイコンはナビやターニップと大差ありません。ただし、ターニップの方が大きく、食べると甘い特徴があります。

ナタネダイコンやターニップはかなり大きい場合はナビより食べごたえがあります。ナタネダイコンは、前にナビの章で書いたように、手入れして整えた土壌が必要です。まず、タネ蒔きはどの時期よりも9月を優先します。よく施肥して丁寧に耕した湿った土に播種する必要があります。 そうすれば、適切により良く成長し、その後の霜・雪や冷たい霧が発生する寒い季節を過ごすことによって、暖かく乾燥した時期よりも美しく、柔らかく、大きく、甘い味になるからです。 

発芽して移植できるようになったら、園主は葉がダニや他の害虫、青虫にかじられていないか念入りに調べる必要があります。 庭師は(種子を土に埋める丸1日前に)種子を厚板から出る木クズやほこり、または煙突の煤と混ぜておきます。そのあとこれを水で濡らしておけば、結果的に種子はいくらかの水分を確実に受け取ることができるでしょう。このように準備したものを翌日、混ぜたものと一緒に土に蒔きます。

熟練者ナポリのルティリウスは、ナタネダイコンやターニップは(ナビと同様)どんな気象下でも生育すると報告しています。肥えたゆるめの粉状の土に植えられることを好み、そうすれば種子は適切に生育し、より迅速に大きくなることができます。

種子はまた細かい粉状の土と混ぜてから蒔くこともできます。7月末頃から 9月中旬まで、密集しすぎないように蒔く必要があります。このシーズンなら播種する前に雨が降らなくても、播種後に降って地面に軽く水が振りそそぎ土を湿らせてくれるでしょう。

土に種子を薄く蒔けば(そして庭師の熱心な世話があれば)、より大きく成長するでしょう。そうすると、より大きく成長した株が密集することになるので、園主は間引き株を収穫することができます。そして、十分な間隔を保つようにすれば根が大きく育ってくれます。

さらに成長を促進するために、園主は株の周りに水をまき、雑草を取り除く必要があります。

タネは菜園だけでなく畑に蒔くこともできます。穀類を栽培した畑で、丁寧に鋤がかけられ、前もって雑草の根が取り除かれているなら、ナタネダイコンやターニップのタネは地表面に浅く蒔くので、まぐわかレーキで表面をならすだけですみます。

ナタネやターニップの種子は木の影から遠く離れた日当たりの良い畑を好みます。日陰では非常に害を受けます。

園主が乾季にタネを蒔きたいなら、キャベツでの播種方法にならって、湿気があり、日陰気味の場所にまず密集してタネを蒔きます。この後、苗が十分に成長し、大地が雨で十分潤うようになったら、園主は8月末から太陽が天秤座に入るまで、すなわち9月中旬までの間によく整えた日当たりの良い広けた場所に移植することができます。

冬に食べるナタネは10月に収穫しておく必要があります。りっぱな株は外側の葉を摘み取って、次の夏に種子を採るために施肥して整えた土に再び植えておくことができます。

冬から四旬節の時期(早春)まで食べることができるように、園主は次のように作業します。最初に根を洗い、生の状態でこれらを互いに並べて、各層に塩、フェンネルシードおよびセイボリーを振り入れるか、またはそれらを塩だけで覆って封をして寝かせ、8日間そのままにしたのち、十分覆うほどたっぷりの量のきれいな水を注ぎます。それが完了したら、上記の期間やさらに長期間保存して利用するためにその容器を保管庫または地下室に置きます。根がむき出しになって乾燥するようならきれいな水を足して容器を常に満たしておきます。これはルエリウスの農業指導書に記されていた方法です。

注目に値する不思議なことがあります。それは、根が成長するほどタネは小さいということです。私たちが何度も目撃しているように、大きな根は30ポンド、40ポンド(1.5〜2 kg)の重さになるほどで、多くの人に賞賛されます。

園主は播種するタネが3年以上経過していないことに特に注意する必要があります。 そうでないと、栽培したナタネダイコンは変化してダイコンというよりキャベツになってしまいます。

りっぱな大根を得るには、根が指のサイズにまで成長したところで互いに距離をとって定植します。 それが完了してしかるべき大きさに成長したら、その株を踏んで上部を土で厚く丁寧に覆い、葉と茎の液汁を根の成長へ回すようにします。

根を11月に収穫した後、前述のナビの章で述べたのと同様の方法で保存すれば、冬から四旬節の期間、使うことができます。


ナタネダイコンやターニップの薬効と利用法

ナタネダイコンは第2度の荒々しさと第1度の湿気の性質を持っています。ナタネダイコンは人に多くの体液を生じさせ、消化しにくく、息切れをたくさん起こします。栽培したナタネダイコンは消化しにくく、茹でて食べてもお腹が膨らみ、体内の体液(胃酸?)が増えます。

偉人のオーロワが書いているように、ナタネダイコンには視力を良くするという驚くべき特性があります。しかし、私が前にナビの章で述べたように、十分に煮さえすれば栄養をもたらし体にとって有益なものになります。逆に生のまま食べたり、十分にゆでていないと消化しにくく息切れを起こし胃を痛めます。

ナタネダイコンの種子は解毒剤として使われます。種子を潰してハチミツ水と一緒にし、毒を飲んだり食べたりした人に与えれば、中毒から回復し治癒します。これは経験的に知られており、毒の力を抑制または弱めます。この解毒剤を使えば毒の力が被害を及ぼすことを許しません。

酢を混ぜたナタネダイコンやターニップの根は体を冷やし、呼吸を楽にします。最も重大で危険な病気を引き起こす熱く乾いた血を消し止めてくれます。 根や種子を食べると性行為をかきたてます。

三回茹でてから食べれば健康に良く、汚れたかさぶたがある場合、ハンセン病の類ということですが、

ナタネダイコンを茹でた水で体全体を洗うと短時間で肌をきれいにしてくれます。

ナタネダイコンを五月のバターで煮て柔らかくなったものを少量の塩で食べれば、胸をゆるめてくれます。それを煎じたものを飲めば、乾いた咳を止めてくれます。オリーブオイルで煮てコショウと少量の塩で食べれば、消化を助けてくれます。毎日、根を食べれば粗大な体液を生じるのでデモクリトスは大いに嫌っていました。ナタネは適切に摂取すべきものです。

柔らかく煮た根の煎じ薬またはスープを麻痺のある人に処方すれば、<熱い?や?を>迅速に修復し治癒してくれます。

根の側面に穴を開けて、そこにバラ油と加工されていない樹脂(ワックス)を入れ、熱い燃えさしの火で柔らかくなるまでローストした後、潰瘍や痛いあかぎれやしもやけに当てると短時間で治ります。


ナタネダイコンやターニップの蒸留水の効果

庭の(栽培種の)ナタネダイコンかターニップの葉と根を細断して6月の盛りの頃にスズの蒸留器で蒸留する必要があります。

イライラする人はこの蒸留水で毎日洗ってほぐし、亜麻布を濡らして1日に2回または3回当てればイライラを抑えます。

これは、火傷ややけどに効果があります。この蒸留水で患部を洗いますが、そこに外皮が形成された後、決してそれを破らないようにして、毎日この水で洗い続けると最終的にその痛みは完全に治ります。

腐敗(発酵?)したナタネダイコンの蒸留水をリネンの布に湿らせて熱くして、寒さによって引き起こされた足の腫れや痛みに頻繁に当てると、非常に効果があります。

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