2023年2月18日土曜日

Pompon, Mellon, Musk Mellon(カボチャ、メロン、マスクメロン):「The Gardeners Labyrinth」第63章

カボチャはPompom→Pompion→Pumpkinと呼び方が変わっていったようです。ポンポンとかポンピオンと言うと、パンプキンやカボチャよりかわいらしい感じがします。

第2部31章 カボチャ、メロン、マスクメロンの世話と利用と秘訣について



上段左:長い形のカボチャ、上段右:丸い形のカボチャ
下段左:マスクメロン、下段右:シュガーメロン
(The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。)


古代ギリシャでも古代ローマでも農業書の書き手たちは、カボチャとメロンを自分達になじみのあるキュウリの1種と見なしていました(同じウリ科ですものね)。キュウリが成長中にカボチャやメロンカボチャに変わるのを見てきているので、私たちの見識もこれに近いものです。カボチャとメロンカボチャはそれぞれ、特に形と大きさが違います。大きくなるものをカボチャ、丸くリンゴのような形になるものはカボチャとそのリンゴのような形からメロンカボチャと呼ばれます。

そのため、パラディウスはリンゴの形をした種類をすべてメロンという呼び名にしました。すなわち、リンゴもどき、またはマルメロもどきと言ったかのようなものでした。プリニーが書いているように、メロンもカボチャも木にぶら下がることがありませんが、地上で丸く成長し、その後、成熟して茎が実から離れ、その実から甘い香りが鼻を刺すようになります。

さらにマルメロの形に成長するメロンと名付けられたものは、カボチャよりも果肉が硬く丈夫で、表皮はシワが少ないだけでなく、より乾いていて粗く、果肉はより白く、より多くの種子を持っています。

シトロンと呼ばれる種類は(柑橘の)シトロンに似た形と色をしています。そして、その枝に生えた葉は鳥の羽や羽毛の形をした多くの小さな葉でできています。

冬カボチャと呼ばれる種類は庭の一般的なカボチャほど大きくなりません。

すべての種類の中で最高とされるものはメロンで、次がトルコカボチャ、そして技術によって甘く作られたものです。地中に蒔く前の種子は砂糖とよく混合した水かハチミツに一晩浸します。

メロンとカボチャは、成長を促す庭師の能力、かける費用、勤勉さがなければ、どの国でも時期が来てもめったに出てきませんし、よく伸び広がってその年の盛夏になる前に収穫できるようにもなりません。メロンやカボチャが生育する季節は、ある年には寒さが入り交じり、乾燥しすぎたり湿めりすぎたり、さまざまな変化が起こります。これは収穫時と収穫に向けて成熟中の植物にとって大きな妨げとなります。

そのために、庭師は糞と栽培ベッドの熱によって果実の成長を早める必要があり、そうすれば常に人々により多くの健康をもたらします。

大地に蒔くメロンの種子はそうすべきであり、蒔く種子は完熟するまで果実の中に閉じ込められたものでなければいけません。メロンから取り出されたこのような種子はより価値が高く、種子の体内に適切な物質を蓄えています。

庭主がメロンの実をタイムリーに手に入れたいなら、種子をあらかじめぬるま湯に6時間ないし10時間浸しておく必要があります。その後、3月10日頃に、互いに 3〜4フィート間隔を空けて用意したベッドに埋めます。ベッドは高さ2フィートもあり、非常に幅のあるものにします。細かく砕いた古い糞、それと一緒に練り上げた十分にバラバラにした黒い土でベッドを満たします。そのようにすれば、より大きく、より充実した、よりおいしい実が得られます。

熟練した庭師はベッドに馬糞を入れます。これは厩舎から持って来た時とても熱くて、植物を非常に早く成長させます。カボチャの種子6粒ないし10粒を上向きに、鋭い方の端を下向きにして軽く土で覆い、土を激しく叩いたり踏んだりします(そのうちの 4つまたは 5つが発芽するでしょう) 。

ルティリウスは自身の農業において、メロンとカボチャどちらの種子もベッドに薄く蒔くようにしました。株同士は2フィート間隔になるようにし、その場所はよく耕して、細かい糞を入れて丁寧に転地することで、植物が不自由なくあちこちに伸び広がることができるようにしました。キュウリのような他の作物がそれらの間で成長することが大いに助けとなるので、レーキをかけたり他の作物を引き抜いたりする必要はほとんどありません。

この後、寒さと霜の危険に備えて、植物とベッドをわらでできた軽いマットレスで覆うか、竿上にマットを広げ、ベッドの四隅においたフォークで支えます。あるいは、見た目が良いように、柱か他の石の支柱の上に広い板かテーブルを置き、ベッドの各隅で固定します。そうすれば、太陽が熱く照らしている時はこの板を取り外し、日が落ちるか冷気が感じられるようになったら再び設置するようにします。 

そして、メロンが十分に大きな葉を出したらすぐに庭師はやさしくやわらかく水やりする必要があります。

細くした布切れの一端をたらして、もう一方の端は広い容器(水で満たされた鍋または皿)に入れます。

こうすれば、(滴が落ちることによって)非常に乾燥した土を絶えず湿らせておくことができます。

メロンがさらに成長して実がオレンジくらいの大きさになったら、抜いて移植する必要があります。これは特に5月中旬以降に行わなければなりません。その時は一年の寒さがすっかり過ぎ去った時期で、そうでなければメロンの成長を妨げる可能性があります。入念に糞を撒き耕したベッドに、互いに6フィート離して配置して植えます。

カボチャの種子を砂糖水またはマルスという名前の蜂蜜水に3日間浸せば、ずっと甘みが増し、味がよくなります。種子を新鮮な牛乳に浸して、よく整えたベッドに植えれば、その実は食べた時甘いことがわかるでしょう。

カボチャのタネを連続して20日から30日間、乾燥したバラの葉の中に置き、その後、その葉と一緒によく整えたベッドに埋めるか、その種子をローズウォーターまたは他の香りのする液に浸し、日陰で乾燥した後、前に述べたように土に埋めればバラの香りのカボチャを味わえるでしょう。

有能な作家フロレンティヌスがギリシャの農業書で書いていますし、彼の後には有能なルティリウスも同様に書いています。

ここで、猫はカボチャが大好きであることは省略してはならない問題だと思います。そのため、園主は入念に調べるよう注意が必要です。

カボチャを腐敗させずに長く保存するには、庭ネギのジュースでしばらく水やりします。

そのほかに学ぶべきことは、キュウリとウリ・ヒョウタンの秘訣として教えたことと完全に一致しています。そこで述べた多くの方法はメロン、カボチャへも一般化することができます。

タイムリーに実を楽しみ、奇妙な形、大きさ、便通をよくしたり、タネなしの実にしたい場合、キュウリとウリ・ヒョウタンの両方の章を熱心に読んで検討してください。

メロンとカボチャは茎が枯れ始めた時に収穫する必要があります。そうすれば、心地よい風味が味わえます。その際、園主は入念に猫の害に注意しなければなりません。前に述べたように、猫はメロンやカボチャに真剣な愛と欲望を持っています。

また、冬カボチャと呼ばれるものはベッドに植えたままで完熟させることは決してすべきでないことを理解しておいてください。熟したものを迅速に手に入れるには(収穫して)家の屋根に吊るし、中が黄色くなってから食べなければなりません。


薬草としてのカボチャとメロン

学者はメロンは2度の冷却度と湿度の性質をもっていると報告しています。ただし、メロンは甘味と適度な冷たさがあります。

種子は薬にも使われ、同様の性質を持っています。

ディオクレス・カリスティウス は(「書物の聖典」において) 次のように述べています。カボチャは消化しやすく、心臓を大いに楽にします。ただし、食べると体重が少々増加します。

デフィルスはカボチャの果肉は脂肪を作ると報告しています。しかし、カボチャの水分と混じった冷たさにより非常に消化されにくく、さらにわずかな栄養を与え、腸をほとんど動かすことはありません。

ファエニアスは、カボチャは胃を空にした後に食べなければならないと報告しています。そうでなければ、食べたカボチャは容易に体液に変わります。この体液は食事の受け容器、すなわち胃で卓越して消化を妨げます。

したがって、彼は空腹時にカボチャを食べることを勧めています。胃の中でこれが半分消化されるまで、他の食事をとるのを一時止めておきます。

ディフィルスは、食べたカボチャは胃の不自然な熱を大いに和らげ、マラリアのような邪悪な急性の発熱を軽減すると書いています。

ガレノスは、どの種類のカボチャも冷やす性質があり、大量の水分を好むと報告しています。しかし、種子は日焼け、吹き出物、および汚れた斑点のある顔を驚くほどきれいにするので、明確なクレンジング効果がないというわけではありません。

さらにガレノスは、これは胃でよく消化されることもあるが、邪悪な汁が出てしまうと付け加えています。

それに加えて、彼はこれが黄色い胆汁を生じさせ、大量の水分を乱すと断言しています。

カボチャは食事の最初に食べるべきですが、痰汁質の人はカボチャを食べた後に古いワインを飲み、胆汁質の人は酸っぱいものや酸味のあるものをその後に飲むことが、すべて害を避ける方法となります。

この種の果肉は胆汁または痰汁に容易に変わります。そのため、甘すぎるカボチャは胆汁質の人を怒らせ、未熟の実は痰汁質の人を損ないます。

多くの立派な大人は、丸くなる前の長いカボチャを好みますが、どのタイプのカボチャも熟せば、腸を動かしたり緩めたりしますし、尿を生じさせます。

そのため、腎臓に有益であると判断されます。しかし、種子はもっと効果が高く、腎臓で作られた石を驚くほど排出します。

カボチャの皮を額に貼ると、目が潤んだ症状を和らげ抑える効果があります。

胃を熱くして胆汁に混ざると非常に害があります。

もしカボチャを食べた後にワインを飲むとその害が容易に生じ、ワインをますます飲めばその人の体にとって刺激の強い体液を生じさせ、嘔吐する傾向があります。

これはまた濃くてベトベトした体液を減らすので、痰汁質の人がカボチャを食べることは十分に賛同できます。これはカボチャの柔らかくて溶ける物質、つまり、種子の隣にある物質による効果であり、これは簡単には壊れません。

カボチャを食べる人は、すぐに他の食事をとってはいけません。そうすると、両方が腐敗し、食べたカボチャが悪い方向に変質してしまうからです。

カボチャの類は、食べたらすぐに良いジュースを飲むような食事以外は、体内で嘔吐を引き起こします。そのように賢く食事をすれば、摂取物はより迅速に消化器官を下に通過するからです。

より多くの医者が書いているように、これらを食べたものは性行為が減退し、生殖器の種子(精子?)を[?不明]します。

種子は特性として、煎じたもので何度も洗顔すれば、顔をきれいにします。

メロンは、ガレノスが (書物「facultatibus alimentorum」で) 報告しているように、浄化する特性を持っています。そのため、顔と体の日焼けによるシミ、にきび、およびその他のできものを適切に取り除くことができます。

メロンの種子の表皮をきれいに取り除き、インゲン豆の粉と一緒に丹念に粉にして、ローズウォーターとよく混ぜ合わせた後、天日干ししてケーキ状に固めます。これをきれいな水に溶かし、それを使って何度も顔を洗います。こうすれば驚くほどクレンジング効果が発揮されます。ワインと合わせればきれいな顔を得られます。

これは皮膚のあらゆる汚い斑点をきれいにしてくれます。

メロンの種子には尿を生じさせる特性もあり、腰と腎臓どちらも浄化する特性もあります。しかし、この種子は膀胱よりも腰の方が効果が高いので、膀胱の結石には腰や腎臓の結石よりも強力な治療法を考える必要があります。

メロンの頂部はクレンジングに利用するだけでなく、膏薬のようにしてハチミツと一緒に塗布すれば潰瘍部を完全に治癒します。

メロンを酢と一緒に食べる人はたくさんいますが、それにペニーロイヤルとタマネギを加えて混ぜたものは寒さの有害な力を緩和することができます。

ディフィロスは、メロンの小片を肉と一緒に鍋に入れると書いています。そのような手順でイラクサ、マスタードシードあるいはイチジクの木の細片をより早く煮ることができます。


メロンの蒸留水のお勧めの利用方法

蒸留に最適な時期はメロンが完全に熟した時です。収穫時期の頃、これを小さく細断し蒸留します。

メロンの蒸留水を飲めば、それだけで結石に効果があり、尿を生じさせ、腎臓を浄化します。朝と夕方の両方、3〜4週間続けて、一回につきに最大3~4オンスの量を飲みます。

この蒸留水をしばらく飲めば、肝臓を冷やすだけでなく、すべての体内の不自然な熱を冷やして消します。これに砂糖を入れて飲めば驚くほど喉の渇きが止まります。

蒸留水を上記のような方法で飲めば、長引く咳を素早く改善します。

体の表面にこの蒸留水で濡らしたリネンの布をあてれば、熱を追い出すだけでなく、体のどこで起こった腫れも解消します。


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