2023年2月26日日曜日

the blessed Thistle(オニアザミ) :「The Gardeners Labyrinth」第64章

第2部も佳境を過ぎて、ハーブの花に移ってきました。装飾用ではなく薬草としての記述がメインです。

第2部32章 さまざまな薬用ハーブの播種や植え付けについての有益な教え。数多くの芳香ハーブや人々に喜びを与える花がありますが、ここではその最初として 「オニアザミ」について。


[illustration]これはアザミではないですね。代表的な薬用ハーブなのかな?

オニアザミ(葉が茂って花がわかりにくいですが。。。)
(The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。)


これまで、料理用とサラダ用のほとんどのハーブ(ヤサイ)と果物の栽培に適切な土地と高度な栽培方法、および薬草としての効果について十分に書いてきました。 

続くこのパートでは(さらなる増収と快適のために)、さまざまな薬草をうまく栽培するだけでなく、これを使用して健康を増進し効果をもたらすことを目的としています。

このうち「祝福されたアザミ」という名の価値のあるハーブであるオニアザミから始めるつもりです(並外れた特性を持っているので)。オニアザミは深刻な急性発熱のような病害や心臓に危険な病気に対して有効です。

このハーブの正しい認識について古代の医学者の間で大きな論争がありましたが、今日では多くの人が正しく認識しています。

このハーブは名前と形を見れば、アザミの一種であると断言できます。

学識者ルエリウスの「祝福されたアザミ(オニアザミ)」に関する記述は真実に近く、そのハーブの形について次のような信頼にたる説明を行いました。

オニアザミは大きな茎をもち、葉は(エンダイブのように)トゲを持っていてパリパリしていて、花は黄色がかっており、種子は小さく(他のアザミと同様に)柔らかい羽毛状の中に包まれていて、晩熟してワックス状になる、と彼は定義しました。 

祝福されたアザミと名付けられたこのハーブ(オニアザミ)は、よく手入れした土地に播種する必要があります。タネは月齢で第1四半期の間に土に蒔く必要がありますが、指3本以上の深さに埋めてはいけません。

また、このハーブは小麦の間で育つのを好み、うまく成長します。


オニアザミの薬効と利用方法。

このハーブは熱く乾燥した性質をもっており、その苦味がその性質をよく現しています。さらに乾燥していくらか消化されます。

このハーブには、器官を開いたり、止めたり、穴を開けたり、尿をつくったりする性質と特性があります。

オニアザミは食べても飲んでも、目を悩ませる激しい頭痛から患者を解放します。これはまた、頭のめまいを取り除き、(同様の理由で)健忘、難聴、および肺の病気を回復させます。

葉を粉末にしワインに入れて飲むと、胃の中の食べたものを小腸に送り出しますが、粉末の丸薬にした方がより効果的でうまく摂取できます。

同様に摂取すれば、乳房と血液を浄化し、肺の消耗に対して非常に効果があります。葉をワインで煮て熱くして飲むと、むかむかをやわらげ、発汗をうながし、結石を砕き、月経に効果があります。

このハーブをしばらく食べるだけでなく目に塗ることで、脳と視力を楽にします。

このハーブのジュースがない場合は、粉末またはハーブ自体を乾燥したものを水に一晩浸し、これで目を洗います。このジュースはまた点眼すれば、目のかすみを取り除きます。

オニアザミを出血している患部にあてれば、鼻血や口からの出血を抑えたり止めたりします。

この薬草の粉末は、口蓋垂れ、顎、喉を浄化し、患者が痰や濃い体液を排出しやすくします。

このハーブをワインに入れて飲めば、弱った胃を改善し、食欲を増進させ、熱を和らげます。これは邪悪な血を消耗させ、良い血を作り出します。

この薬草を水で煮て飲むと、邪悪な体液をなくし良い体液を保ちます。これをワインで煮て飲むと、発汗をうながします。

このハーブを煮て飲むかワインと一緒に生のままで飲むと、結石を砕いてくれます。これを食べれば、麻痺した部分を強化したり、衰弱した肺を回復したりします。

オニアザミを健康な男の子の水(尿?)で煮て飲めば、浮腫のある人に効果があり、ペストの人を助け、すべての膿瘍を治癒します。これにより潰瘍や癲癇が解消します。葉の粉末を一度にクルミの殻の半分までの量、ワインに混ぜて症状の出た42時間以内に飲めば、ペストに対する最新の治療法になります。

このハーブをワインで煮て飲めば、同様の効果が得られます。同様の方法を行えば、胃の腐敗熱を和らげ、熱の検疫(ペストによる検疫)を阻止できます。

オニアザミの花の重くて下向きになったものを深い切り傷や新しい傷に当てれば、痛みを伴わずに短時間で治癒します。

このハーブを小麦粉と混ぜた粉末を熱した酢と一緒にして作った膏薬は、ペストの進行や腫れを和らげます。

このハーブは事前に乾燥させジュースと適切に混ぜて患部にあてれば、あらゆる種類の火傷や水ぶくれの進行を治します。

このハーブを白ワインで飲めば疝痛を鎮め、衰弱を取り除きます。このハーブを口の中で噛めば口臭を改善します。このハーブはまた潰して傷に当てれば、その傷を迅速に治します。これは女性の場所の障害(月経不順?)を解消し、 [月経?出産予定?]を引き起こします。

毒獣の咬傷はこのジュースまたはこのハーブを水に溶かした煎じ薬のいずれかで治すことができます。このハーブの粉末を飲むか食べるかすれば、脇腹の傷口や胸膜炎を癒します。そしてこれはまた、乳児がてんかんや[疳の(?)/寄生(?)]虫に悩まされている時に効果があります。

多くの有能な医者は、このハーブの粉末やジュースあるいは煎じ薬があらゆる種類の毒を追い出すと断言しています。その例として、ヒエロニムス・トラガスは(彼のハーブの書の中で)知ったことを述べています。彼が報告するところによれば、ある若い乙女が、知らずに彼女に与えられた毒リンゴを食べてしまい、彼女の体は腫れて失禁し、どんな薬もこのハーブの蒸留水を彼女に塗るまで、その腫れを和らげることができなかったということです。この蒸留水は、多くの人が驚いたことに、短期間で腫れを軽減、緩和し、その結果、この方法でその子は毒のすべての危険から解放されました。

他の人についても似たようなことが報告されてきました。たまたま子供が口を開けて野原で寝ていると、毒蛇(アダー)がその口に忍び込み、体に入ってしまいました。しかし、2オンスのこの蒸留水を注いだところ、アダーは子供にさらなる害や傷を与えることなく(お尻から)這い出てきました。したがって、すべての毒に対して、このハーブの粉末、ジュース、煎じ薬あるいは蒸留水は体内または体外に適用できる唯一の治療法であると断言できます。ただし、どれを服用した後も、患者を丁寧に布で覆って、3時間ほど十分に汗をかくことができるようにする必要があります。

オニアザミを収穫して作られたワインはしかるべき時に飲むと、先に述べたあらゆる悲痛に効果があり癒します。


オニアザミの蒸留水のお勧めの利用法。

オニアザミを蒸留する時期と手順としては、5月の終わり頃にこのハーブだけを蒸留することです。

オニアザミの蒸留水を朝と晩、一回につき最大2から3オンス飲めば、頭痛が取れ、記憶が落ち着き、頭のめまいが改善します。この蒸留水で目を洗うだけで特に目の痛みがすべて解消します。

この蒸留水を摂取すれば、体の消耗に効果があります。この蒸留水を朝と晩に同様の量飲むと、結石が消失し、この蒸留水で濡らした亜麻布を頻繁に当てれば火傷が治ります。

四次熱*またはその他の急性の発熱に悩まされている患者は、空腹時にこのハーブの蒸留水を3オンス摂取し、衣服でしっかりと覆って寒気の発作が始まる15分前に横になって汗をかきます。四次熱やその他の急性熱がすでに生じて、まさに発作中の人にはこのハーブの煎じ薬か粉末を熱いワインで飲ませます。

*(発作が 3 日ごとに繰り返される断続的な発熱 )

潰瘍やその他の腐敗性潰瘍による侵食に対して、オニアザミの葉、ジュース、煎じ薬、または蒸留水以上に価値のあるものはほとんど見つかりません。

注意すべき病気はこのハーブで回復してきましたが、特に女性の乳房がむき出しの肋骨にまで潰瘍に侵食され溶解している場合、まずこの蒸留水でその場所を清め、その後、この薬草の粉末を塗布します。そのように賢明に処置すれば、短時間で治癒します。

そして、この薬草で湯浴みすれば、結石を溶かし、妊娠を?月経?を誘発します。


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