2023年3月5日日曜日

the herb Angelica(アンゼリカ) :「The Gardeners Labyrinth」第65章

 本書で取り上げられている花々は薬草視点で選定されているので、現代から見ると(19世紀から見ても)、華やかさに欠けますが、16世紀らしい実用コレクションだと思います。

アンゼリカはレースフラワーのような花をつけるハーブで、古くから、そして今でも生薬ですね。

第2部33章 ハーブ・アンゼリカの播種と植え付けにおいて知るべき管理と秘訣。

左:ガーデンアンゼリカ、右:野生のアンゼリカ
(The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。)


こんにち(16世紀当時)、ハーブのスミルニウムはヨーロッパ中のすべての医者と商人のあいだでアンゼリカと呼ばれています。

アンゼリカは最初の年に種子から発芽して、高さ1.5フィートで太さは指くらいの丸みを帯びた柔らかく滑らかな、地面に向かって曲がった茎を形成します。

この茎は2、3本、多くの場合 4本の小さな茎に分かれて広がります。その上部は野生のセロリの葉に似た形の葉になりますが、はるかに大きく、3つの部分に分かれます。その先端は鋭い形をしていて、指12本分の長さと幅に成長し、冬の間ずっと緑を保ちます。

2年目あるいは3年目には、葉の中心から茎が伸びて、2キュビット*、時に 3キュビットの高さになり、さらに、1キュビット分、丸みを帯びた、節のある、白っぽい滑らかな親指の太さの部分が増えます。これはほこりっぽい斑点や内部に空洞が散在し、上記(1年目)よりもはるかに少ないですが、節の部分から葉も生えます。

*ひじから中指の先端までの長さ。1キュビットおよそ44cmくらい。

これはまた分枝はほとんどなく、特定の茎が伸びますが、その茎の頂部は大きな房状になって、その幅は裕に5、6インチあり、丸く型押しされたような形状で、白っぽい花がいっぱい着きます。その後、その花は長く、角があり、灰色がかった白い色をした2つの種子が結合したものになります。

このさやの中に含まれているものは、長く、平たく、外側は黒く、内側は白く、硬い核は外皮に覆われているか鋭い縁があります。

この根は何倍にも大きくなって拍手したいくらいです。時には大きく成長しますが、まさに、茎を伸ばす前に根が伸びるのです。その根は長い年月をかけて十分な長さに成長するか、多くに分かれて伸び、外は黒く、中は白く、大きく、柔らかく、樹液に満ちています。これを切ると皮の内側から黄色い液汁が出てきます。同様の液汁が葉脈にも含まれていますが、より水っぽいです。

根、種子、葉とも酸っぱい鋭い味がして、かみごたえがあります。やや苦く、薄く、芳香か甘い香りがあります。

この中で最も有効な部分は適切な液汁であり、次に種子、それから根、最後に花と葉です。

アンゼリカというハーブは、よく手入れされた土を好み、湿っているよりむしろ乾いている方が好きです。虫害予防のためには、出芽した後、熱心に除草する必要があり、ほとんど水やりはしません。このように栽培したアンゼリカは7、8月に繁茂して、花をつけます。


薬草としてのアンゼリカについて。

このハーブの気質は3度の熱性と乾燥性です。開き、弱め、溶解するといった性質をもっています。

アンゼリカは毒に対する特別な効果があり、血液と体を浄化します。

その根はペストに対して特に有効であり、あらゆる種類の毒類に対して根の蒸留水が特に効果的です。

このハーブの粉末半ドラム量までを純粋な糖蜜1ドラムと一緒に蒸留水4、5オンスを処方します。そして患者が汗をかくように十分覆えば、疫病の感染を驚くほど防ぎ、痛みや発汗を止めます。

糖蜜がない場合はこの粉末を1ドラムにして処方します。

この薬草の根を(酢に浸した後)鼻に塗るか、根の粉末を時々空腹時にワインで飲むと、有害な空気に対して非常に効果的です。

アンゼリカの蒸留水か根の粉末は、他にお腹が costine[?]でない場合、寒さ/風邪の進行中の腹部の締め付けられるような痛みを止めてくれます。

簡単に言えば、アンゼリカの蒸留水と根の粉末は体内のすべての悲痛を回復させ、胸膜炎または側面の縫い傷に処方すれば有益です。

アンゼリカの粉末(蒸留水と書かれていることもあります)は、破裂/脱腸や肺の病気を助け、腹の締め付けを取り去り、膀胱の痛みと不快を修正し、出産を促します。そして、体内のすべての腫れを解消します。

その根をワインまたはハチミツ水で煮て飲めば、上で述べた悲痛すべてに効果があり、適切に効きます。

虫歯の穴にそのジュース入れれば、虫歯の進行を止めます。耳にこの蒸留水を落とせば、同じように役に立ちます。

これにより視界のかすみも改善します。

アンゼリカの葉をルーの葉とハチミツで練り込んだ膏薬は、上手に当てれば狂犬病の咬傷を癒すだけでなく毒虫の刺傷を癒します。

この膏薬をおこり/マラリア熱や急性の熱の患者の頭に当てれば、短時間でどの発熱の熱も引きさげます。

このハーブの蒸留水、ジュースや粉末は、古い深い傷に適用すれば、浄化され、その場所の肉を再生または更新します。

この蒸留水で濡らした麻布を当てれば、腰や痛風の痛みを驚くほど和らげます。これは、溜まった柔らかくベトベトした体液を消すからです。

このハーブのその他の多くの薬効は、前に述べた治療法にまとめられています。

この種子は根と同様の性質を持っています。野生のアンジェリカは薬効が弱いですが、ワインで煮て膏薬にして処方すると、特に新しい潰瘍も古い潰瘍も治癒します。


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