温室どころかトンネルの一つもなかなか実現しない怠惰者ですが、当時の豪華な温室や園芸用の付帯施設の組み合わせは空想するだけで味わい深いです。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
栽培温室
園芸施設の組み合わせ
建物の組み合わせを逐一検討するのは無駄でしかありません。たとえば 12 の条件を順列組み合わせの法則に従って、一つ残らず検討しようとすると、12P12=4 億 7,900 万 1,600 通りも検討しなければなりません。
園芸施設で最適な組み合わせを考えようとすると 12 を超える非常に多くの条件があるため、ここでは条件の一部について、いくつかのヒントを示し、特定の状況下で使用できそうな組み合わせの 例を1つか2つの図にしてお示しするにとどめます。
園芸施設の組み合わせ配置は、特に次の事項によって決まります。
- 施設の規模
- 目的に投じられる資金量
- 何を栽培するか?
- 果物か花を優先するか?
- スペースが確保できるか?
- 主に希少植物用か一般的な植物用か?
- 贅沢なものを望むか?果物が絶対必要か?
- 鑑賞目的か実用目的か?
- 季節に合った栽培か、季節外に栽培したいか?
- 強く促成したいか、弱くてよいか?
- 所有者の好みや習慣に合っているか?
- 敷地および構造上の要件に合っているか?
こういった条件やその他の条件によって、建てる施設が決まるだけでなく、特に組み合わせの構成比率も決まります。
すでに壁が存在するなら、その壁を利用して一連の施設を建てた方が良い場合もあります。
壁がないなら、独立した建屋にしても良いでしょう。その建屋の壁を利用して立て掛け式のハウスを作ることができるだけでなく、その建屋の北壁をボイラー室、鉢植え作業小屋などの一部として利用することも考えられます。あるいは、あえて高い壁や同様の遮蔽物を作らずに、低い両屋根ハウスで構成することも可能です。
いずれにせよ、園芸施設は散在させることなくコンパクトに配置すべきです。
作業用の施設はできるだけ作業順序に従って連続して配置するようにします。
長く区切りのない施設にしないようにします。
ボイラーは、その作業(燃焼作業)に適した位置に配置します。
各施設は他の施設と組み合わされたことで効率が損なわれないようにします。
望む組み合わせをいっぺんに建設しようとすると費用が大きくなりすぎる場合は、施設群全体の質を落として建設費用を減らすよりも、質を落とすことなく最初に一部の施設を建設し、残りを後回しにするのがよいでしょう。
内壁を2つの両屋根ハウスで共有するような配置を好む人もいます。図 37 を参照してください。
このように3つのハウスを建てた場合、個別に建てた場合に対し2つの垂直壁が節約できます。
ただし、真ん中のハウスは側面に下部換気口を設けることができず、両端の 2 つのハウスはそれぞれ片側にのみ下部換気口を設けることができることに注意してください。
片流れまたは 3/4 スパンのハウスの組み合わせが南側の壁に建てた場合、両屋根ハウスを組み合わせに直角に接するようにするのが有利なことが多いですが、この場合の両屋根スパンハウスは他のハウスへの太陽光を遮るほど長くしたり高くしたりしてはいけません。
A:3/4 スパンハウス ... 植物室。B:立て掛け式ハウス ... 加温ハウスまたはブドウハウス。C:立て掛け式ハウス ... ブドウハウス。D:ピット ... キュウリまたはメロン用。E:ピット ... 育苗など。
これは、中央の 3/4スパンハウスと 2 つの片流れ屋根の立て掛け式ハウスで構成されています。
中央のハウスの前方の突出部とその高い軒が、後方の相対的に低い高さを補うようにすれば(壁の高さを3/4スパンハウスの棟高さに揃えれば?)、後方の壁板は全体的に同じ高さになります。
これに加えて、前方に独立したフレームが列に配置され、一部はキュウリなどのための加温ピット、残りは栽培ベッドやその他の一般的な栽培のための無加温のピットとなっています。
図 39 は、より大きな施設に適した組み合わせの平面図です。
A:両屋根ハウス ... ラン用。
B:立て掛け式ハウス ... モモ用。
C:〃 ... マスカット用。
D:〃 ... 晩成ブドウ用。
E:両屋根ハウス ... 草木、苗木用。F:立て掛け式ハウス ... 早生ブドウ用。
G:〃 ... ラン用。
H:〃 ... 加温ハウス。
J:両屋根ハウス ... グリーンハウス。
K L M:3/4スパンハウス ... メロン、キュウリ等用。
N O P:〃 ... パイナップル等用。
Q R S:ピット ... ベッド栽培等。
T U V:〃 ... 〃。
ボイラー室、鉢植え小屋、キノコハウス、庭師の事務所等々は壁の裏側にあります。
これは、ゴダイミングにあるリー・パークで W. H. ストーン氏のために著者が設計し、(多少の修正を加えて)最近建設されました。
壁に沿って、中央に両屋根ハウス、両側に 3 つの片流れ屋根のハウスを配置し、それを 2 つの両屋根ハウスが囲んでいることがわかります。
背面にはボイラー室と各種事務所があります。
正面側にはさらに、幅の狭い3/4 スパンハウスが2列並んでおり、その前には加温ピットと無加温のピットがあります。
ハウスがどのような用途に使われるか、十分計画されたプランです。
図40の俯瞰図はこの特徴的な組み合わせの一部を示しています。
図40. 園芸施設群の透視図
大きな建物である中央のハウスは、観賞用ハウスとして建設されることが多いですが、その場合、その長く単純な形状をいったん区切って正面に低い栽培ハウスを作り入れ、単調さを和らげます。
市場出荷用の一般作物を生産するために育苗業者が好んで採用するプランは、中央に歩道があり、両側に平らな栽培ベンチがある、幅が約 10 フィートまたは 11 フィート(3〜3.3 m)の低い両屋根ハウスをたくさん平行に並べるというものです。
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