2024年7月7日日曜日

19世紀末の園芸施設:15. ウォールツリー(壁木)プロテクター

“ウォールツリー(壁木)プロテクター”はこんな感じの壁木に、それを覆うようなカバーがかけてあるものをイメージすればいいのかな?と思います

https://jenikirbyhistory.getarchive.net/media/espalier-fruit-tree-pruned-food-drink-a85a3e

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

ウォールツリー(壁木)プロテクター

壁は、その向きに応じて、壁際の木々をある程度保護してくれますが、それだけでは常に十分とは限りません。

壁上に何かの素材で作られた覆いを付けることにより、秋雨がもたらす悲惨な影響から木々を守るだけでなく、晩春や秋の霜に対してもかなり効果があることがわかっています。
しかし、簡単な覆いであっても、すべての季節にお勧めしているわけではありません。特に木々を露から守る必要がない夏の場合は。

一方、果実や木が熟しているときは、スズメバチ、鳥など、あるいは寒さや湿気から保護する点で非常に有利です。

すなわち、覆いの満たすべき条件は、安価であること、持ち運びやすいこと、部分的または全体的に換気ができること、組み立て、操作性が容易で、取り外すのに熟練者や過度に時間がかからないことです。

これらすべての条件を満たすために、さまざまな方法が採用されてきました。

石やセメントでできた恒久的なコーピング(笠石)は、木材などでできた一時的なコーピング(笠木)に取って代わられました。ティファニーガラス、ネット、その他が覆いとして壁の前のコーピングに吊り下げられるようになりました。

園芸業者は、壁にボルトで固定したブラケットや壁を貫通するブラケット (図 34 を参照)、または前面の地面に立てた支柱で支える、持ち運び可能なガラス製のコーピングを考案しました。



図 34. 壁樹用のコーピングと覆い(カバー)の垂直断面図。

コーピング上のガラス、あるいはコーピング全体が必要に応じて簡単に取り外すことができるようになっています。

これに、垂直のガラス板やネットによるカバーがあり、これは、直立した持ち運び可能なガラス枠または金網によって作られていて、コーピングの底板と地面に固定した鉄製の蹄鉄か短い支柱で支えた敷居の間で支えるようになっています。

リバーズ氏は独創的な壁木のカバーを発明し、そのデザインは登録されています。(図 35 および 36 を参照。)

図 35.—リバーズ氏の壁木カバーの内部透視図。(登録:デニス&カンパニー)

図36.—リバーズ氏の壁木用カバーの前面部分の垂直断面図。

垂直に立てた木片を約 24 インチ間隔(60 cm)で配置します。それには水平と斜め方向に溝が切られており、そこにガラス板を差し込みます。これで望みどおりに保護ができます。

少々換気が必要な時は、ガラス板を取り外して、代わりに穴がパンチングされた亜鉛板を差し込むと、スズメバチなどの侵入も防ぐことができます。

前面全体または前面の一部を開ける必要がある場合、必要に応じた枚数のガラス板を簡単かつ迅速に取り外すことができ、必要とあれば簡単かつ迅速に元に戻すことができます。

これは、壁木のカバー製品の中で最もシンプルで安価な形式です。

恒久的な壁コーピング(笠石)は通常、壁から約 6 インチ(15 cm)以上突き出ないように作られています。

一時的な木製コーピング(笠木)は、9 インチ(22.5 cm)、12 インチ(30 cm)、またはそれ以上突き出すように作られています。

ガラスのコーピングは幅 1 フィート 6 インチ(45 cm)から 4 フィート 0 インチ(120 cm)で作られます。このタイプのコーピングは垂直の覆いと組み合わせると最大で幅6 フィート 0 インチ(180 cm)突出することになります。

いずれにしても、取り外しのできない恒久的なコーピングはお勧めしません。

壁際の果樹を保護するにはこのようにさまざまな方法で建造でき、非常に役立つ可能性があります。

しかし、一般的には、それらはせいぜい間に合わせのものと考えるべきです。コーピングの初期費用にほんの少し追加するだけで、効果の高い実用的で恒久な立て掛けタイプのハウスを建てることができるからです。立て掛けハウスなら暖房装置がなくても、暖房装置があればなお結構ですが、より満足のいく信頼性の高い成果が得られるでしょう。

このハウスは、「立て掛けハウス (Lean-to house)」の項を参照してください。

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