温水暖房システムで不可欠な膨張タンクとシステムへの給水についての説明です。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
様々な暖房方法 Ⅲ
低圧(常圧)温水暖房
膨張タンクと給水槽
表XIXに示されているように、約40 °F (4.4 ℃)の水1ガロン (4.55 ℓ) は、212 °F (100 ℃) に加熱されると1.04333ガロンになります。つまり約1/23 (4.3 %) 以上膨張します。
したがって、配管系内のパイプに40 °F (4.4 ℃)の水を満たし、その水温を 212 °F (100 ℃) まで上げたと仮定すると、パイプ内の水は1/23 (4.3 %) 膨張するので、これをオーバーフローさせる必要があります。
なお、パイプ内の水温は決して 212 °F (100 ℃) に達することはなく、実際には 200 °F (93 ℃) までにしかなりません。また、加熱前の水温は通常 40 °F (4.4 ℃)以上であり、特に、パイプや装置類の配管系統が広範囲にわたる場合には、パイプの一部、特にボイラーへの戻り管の水温は実際には 200 °F (93 ℃) をはるかに下回るため、水の体積が約30分の1 (3.3 %) 以上に膨張することはほとんどないと考えられます。
この膨張に対処するため、図92のBに示すような膨張タンクを設置する必要があります。
通常、このタンクの下部は配管系の最高点のすぐ上になるように設置し、小さなパイプを介してボイラーの底部またはボイラー近くの戻り管と連通するようにします。
この方法にすれば、循環は妨げられることはなく、あたかも、より高い位置で水と繋がっているかのように、熱水がタンク内へ上がってくる可能性は小さくなります。
この配管系統全体に最初に水を満たすときは、水位が膨張タンクの底をわずかに覆うくらいの高さにするだけで十分です。
膨張タンクに配管系統全体の1/24〜1/30程度の水しか入っていないなら、最大膨張時でも水はタンク上部にまでしか上がってこないでしょう。
表XXVI.— パイプ内の水量
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パイプのサイズ 長さ100フィートあたりのガロン数
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2インチ 13.58 (61.7 ℓ)
3インチ 30.56 (138.9 ℓ)
4インチ 54.33 (246.9 ℓ)
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蒸発が起こり、膨張タンクの水が底を尽きそうになったら新らたな水を補充する必要があります。
適切に燃料を投入するなら、この水の補充量は1日あたりごく少量で済みます。
表XXVIは管径別のパイプ内の水量を示しており、この目安に役に立つでしょう。
特に大規模な施設では、膨張タンクの近くに給水槽を設けると便利ですが、タンク自体に自動給水式のボールバルブを設置することはお推めしませんし、必要でもありません。
なぜなら、特に熱水がタンク内に上がってきて、必要とする給水量が比較的少ない場合、ボールバルブは故障しやすいからです。
この給水槽と膨張タンクは、配管系の最高点より上に設置する必要がありますが、必要な高さよりもさらに高く設置することは推奨しません。さらに高く設置すると、水頭による圧力が不必要に上昇するからです。1フィートの水頭ごとに、1平方インチあたり433.5MPaの圧力が発生します。
配管系が小規模の場合、またはボイラーの出力が必要量に比べて非常に大きい場合、水がタンク内で沸騰して蒸発が発生し、急速に無駄を生じる危険性があります。
これは適切な燃料投入によって防ぐことができます。
膨張タンクとそれにつながる配管は、凍結の影響を受けないようにする必要もあります。さらに安全性を高めるにはタンクの上部を下部よりもわずかに広く長くすると凍結による破損の危険性が小さくなります。
取水栓はボイラーの最下部に取り付けるか、より便利にするなら、給水槽からボイラーに通じる配管(この配管はボイラーの最下部から入っている場合に限ります)に取り付けます。
(図92参照)
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