園藝之友 第2年第1号 (1906年)
春の御料理
梅花合わせの古めかしき料理法
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◎梅びしほ*の拵え方
梅干しを土鍋でよく湯で煮て、酢味を取り去る。水に取って、タネを抜き、梅肉だけをすり鉢ですって裏漉し器にて濾す。砂糖を入れて練り合わせる。冷ましてから食紅を入れ、よく混ぜる。
梅肉 15匁(56g)
砂糖 20匁(75g)
食紅「生上味」 5分(1.9g)
みりん 2勺(36cc)
*第1年第4号では、湯で煮るとは書かれていません。単に梅肉と表記。
◎梅餡の拵え方
梅干しを土鍋にて善く湯で煮て、酢味を取り去り、水に取る(ここまでは梅びしほと同じ)。取り上げてみりんを入れ、ドロドロに溶いて火にかけ、あたためて、煮立ったところに葛粉を少々引いて葛溜まりに仕立てる。
:現代から見ると、梅びしほ、梅餡ともに酸味を抜いた甘い梅ソース(?)。何と合わせるかは書いていませんでした。気になる。。。
◎梅かまぼこの拵え方
魚のすり身に卵白を合わせて、梅肉を入れて摺り合わせ、仕立て、板に付けて蒸しカゴに入れて蒸す。
◎梅麩の拵え方
生麩に梅肉、または小梅そのままを包み、鍋にて茹でる。煮物あるいは精進の吸い物によい。
◎梅鯛の拵え方
山芋をおろし金にておろし、梅干しの肉だけを裏ごし器にて裏ごしし、おろした山芋とひとつになるようよくすり合わせ、鯛の身を混ぜ、よくすって、加減を見合わせて、醤油の下味をほどよく付けて、このすり身を煮立てた湯に金杓子にてすくい入れて浮き上がったのを平皿などに盛る。また湯にてゆでてつゆを別に拵えておき、椀に盛り、つゆを入れて、付け合わせに花菜、蕗の薹などを添えれば、春の会席の椀に妙なり。
:現代なら梅チューブで裏漉しの手間が省けそうです。拵え方から察するに、ものすごく淡白な仕上がりになりそう。油分が全くないです。
◎梅焼の拵え方
魚の身だけをよくよく叩き、筋、小骨を取って、梅の実ほどの大きさに丸め、ゆでて、醤油にて味をつけて、青のりを焼いて粉にし、表面につけて梅の花のついた枝に差し添え、酒の肴にする。
:魚のすり身の団子(青のりで緑にする)を梅の花のついた枝に刺す青梅に見立てた趣向のある料理。梅干は入っておらず、焼いたのは青のりだけですが、名前は「梅焼」となっています。
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