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2021年6月5日土曜日

簡便温床 園藝之友 第2年第3号 (1906年)

簡便温床

園藝之友 第2年第3号 (1906年)

常春子

半地下のような簡易な温床が紹介されています。

植木の越冬用なので、「室(ムロ)」ですね。

寸法(幅と奥行き)が書いていないので大きさが不明です。

短い記事なのでメモしました。

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「簡便温床」というのは完全な温室の無い場合に植木の越冬用に使うもので、それも費用を沢山出してもよいと云うのなら何でも無い事であるが、今ここに述べようと思うのは、費用が多くかからない、極めて容易に出来る温床の構造法である。

 

第一に、日当たりのよい場所を選んで、広さは適宜とし、土を3尺(90cm)くらいの深さまで掘り*、その底へ2尺(60cm)くらいの厚さに馬糞、木の葉のような蒸熱物(発酵物)を入れて、硬く踏みつけた後、今度はその上を真土で平らに覆って、周囲の4面は土が崩れぬように板あるいは竹で囲い、南向きに丁度図のような形の屋根を造るのである。

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この方法で造った温床の中では、冬の間でも「パンジー」「プリムラ」「ヒヤシンス」「ゼラニウム」「バイオレット」等の開花を見ることができる。

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この図には番号の説明がなかったですが、多分

1 板または竹の囲い

2 南向きの屋根。ガラス。

3 柱

4 地中

5 地面

6 床面

7 真土

8 蒸熱物(馬糞、木の葉など)

9 寒い時の覆い


5の地面は傾斜をつけて雨水が中に入らないように念を入れておいたほうが良いと思われます。土砂崩れは(たとえ浅くても)命に関わるので人が入らなくてはならないようなサイズは現代ではアウトと思われます。


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