2021年11月21日日曜日

ガーデナーの心構え:古代ローマから16世紀へ「The Gardeners Labyrinth」第2章



第1章はどの西洋造園史の教科書にも書いてありそうな、庭園の起源の話でしたが、この第2章では、庭師の心構えが書かれています。要は勤労と経営感覚および美的センスが必要ということです。現代のガーデナーと変わらないので、もしタイムマシーンがあれば16世紀のカボチャパンツのガーデナーと楽しい園芸談義ができるでしょうね。

-------------------------------------------

第2章 すべての庭師に必要とされる注意力と勤勉さについて:それに応じて、よく管理された土壌がもたらす増収と農産物について

農夫や庭師が最高に魅力的でおいしい庭を楽しむには、農夫でも庭師でも知識を持ち、庭を整然と作り上げるべきなのは同じです。
庭師は費用を考えずに庭仕事を行いがちですが、それだけでは十分でありません。経営と労働のどちらもが必要とされます。
また、職人として芸術と技能の両方を合わせ持っていなければ、間違った庭づくりとなってしまうでしょう。

そのため、Varronianus Tremelliusから学んだコルメラ(ローマ帝国の農業に関する著名な作家)が適切に著したように、どんな組織やビジネスにおいても、どう始めて遂行していくかを理解し、知ることが、最も大切なのポイントです。これら経営、労働、職人的センスの3つの準備ができていて、目的を持って勤勉に庭を整備する人は、のちに実利と喜びの2つの宝を手に入れるでしょう。実利として、たくさんのハーブ 花、そしておいしい果物を手に入れます。:
収穫の喜びは楽しみをもたらし、さらに(ヴァロ(マルクス・テレンティウス・ウァロ、共和政ローマ期の学者、著作家、政治家)が書いているように)心の豊かさを手に入れるでしょう。

そのために、偉人Palladius Rutilius(古代のラテン語の作家)が唱えたように、そして彼より以前にギリシャ語で農業についてFlorentinus(ローマの政治家)が巧みに書いたように、職人的に管理、整備された庭は人間生活に必要な消費物と流通品を産み出し、次に、健康や病気からの回復も授けます。そして最後に、悦楽の景色と豊かな香りをもたらします。:

しかし、何よりも庭は多様な料理を低コストで提供して、庭の所有者や農夫の食卓を豊かにできるのです。(当時の優先順位としてはフラワーガーデンよりキッチンガーデンが先ということでしょう。)

土地があるなら、庭は手近な場所に配置すべきです。これにより、庭の持ち主や庭師は、庭で育つ作物に簡単にアクセスでき、頻繁に庭の手入れに勤しむことができます。
これが、庭の持ち主や庭師なら誰でも庭で行うべき管理と義務です。なお、事前に適切な場所で適切な時期に堆肥作りも必要であることを気に留めないわけにはいきません。



0 件のコメント:

コメントを投稿

19世紀末の園芸施設:10. 栽培温室---両屋根(スパン)ハウス

現代でも最も一般的な 温室屋根形状である両屋根タイプのハウス(スパンハウス)の記事です。現代の商業温室ではこれ を大きく、かつ多連棟化して大面積にしています。それ に比べると、19世紀の両屋根ハウスは面積も高さもかなり小さめで、今で言うところのホビー用温室、家庭菜園用温室といった...