2022年7月31日日曜日

Sperage(アスパラガス):「The Gardeners Labyrinth」第37章

19世紀のビクトリア朝では長時間野菜を煮たのでアスパラガスもくたくただったでしょうが、16世紀は軽く茹でたアスパラガスが楽しめたようです。

 第2部5章 価値あるハーブであるアスパラガスの播種、収穫、植え付けについて知っておくべき特有の技術と秘訣。

The Herbal, or General History of Plants by John Gerard (1597) and Thomas Johnson(1633) より。

畑や庭のアスパラガスは肥沃で湿った良く整えられた土を好みます。ある程度まで成長したアスパラガスは、まず葉がすべて成長してから赤いベリーが実ります。この中にタネがあってタネ蒔きすることができます。

ギリシャの賢者ディディムスは自身の農業書の中で、アスパラガスは春にタネを蒔くべきで、指3本分の深さの小さな穴を株間15cmに作って、そこに2、3粒ずつ入れて土で埋めると述べています。こうしてタネ蒔きして、時々表面を耕し株間の雑草を除草すれば、最初の年は問題が生じたり特別な管理をする必要はありません。

アスパラガスの播種や増殖に関するマルクス・カト、コルメラ、プリニー、およびパラディウスの機知に富んだ教訓や指示を知れば、大きな効果と多くの収穫を得ることができましょう。

(彼らが言うように)非常に小さな溝を線状にまっすぐに作って、畜糞堆肥を入れた肥えた土壌にし、3本の指で一度につまめる量のタネを蒔いて軽く覆土します。この適切な作業でタネは成長し、地中の根は 40日後までにはまるで1つに結合したかのように成長し、互いにからみあい、折りたたまれた状態になります。これを古代の庭師は‘アーススポンジ’と名付けました。

      タネを蒔こうとする場所が乾燥している場合は、溝の下部に柔らかい糞を置いて、ほとんど畝に高さを作らないようにして整然とタネを埋めます。 

しかし、逆に常に湿った場所なら、所有者または庭師は畜糞を巧みに積んで高畝を作り、その尾根上にタネを蒔きます。そうすれば植物の湿気に対する不快感を軽減することができます。 湿気を淀ませず、湿気を通過させることで施肥やかん水がなされるべきであり、湿気をとどめることなく通過させるだけで養分や水分の供給は十分可能なのです。

このように上手にタネを蒔けば、最初の年にシュート(芽)を収穫できるでしょう。所有者や庭師はそのシュートを下部で折り取るか切り落とって収穫します。

しかし、所有者が地表面近くでシュートを強引に引っ張ると、地中の小さな(まだ柔らかい)弱い根がスポンジごと一緒に引っ張り上げられてしまうことになります。 したがって、シュートはうまく切り取るべきであり、根は動かされることなく適切な場所で肥料を与えられ栄養をつける必要があります。畜糞と丁寧な除草で2年間さらに成長するはずです。

数年たてば、アスパラガスは茎で切り取られることなく、根で引き抜かれます。そうすれば、枝分かれの芽を開けさせることができます。植物がそのように賢く扱われず、茎が折り取られると、スポンジの芽は増えないでしょう。むしろ芽なしとして成長するので、これらはその後、適切な増収をもたらしたりシュートを送り出したりすることはありません。

庭師は種子を集めて保存し、その後、アスパラガスの植物体とこぶのある根やクラウン部分を燃やします。

この後、冬の頃、所有者はこの灰と畜糞の両方をスポンジ上に置き与えます。学識者M.カトはこれに羊の糞を用いました。

スポンジだけによる増殖方法があります。それは2年後、日当たりが良くて畜糞を施した場所へスポンジを移植することです。
30 cm間隔で溝を切ります。溝の深さは指12本分より深くしないようにします。そこに柔らかくて若いスポンジを植え、かるく土で覆えば容易に芽が出て伸びます。 

しかし、春に、アスパラガスが伸びるか地上に現れる前に、一般にデビルと呼ばれる鉄製のフォークで庭師や所有者は地面を掻いて緩めれば、最終的に緩んだ地面の根からアスパラガスが苦労なく出てくるので、大きな成長が期待できます。

M.カトーは、レーキをかけて熱心に除草するよう主張していますが、掘ったり除草したりする際、植物の根が緩まないようにするか、または雑草は踏みつけて倒すだけの方法にします。

冬の間、アスパラガスの小さな茂みを薄くて軽いわらのマットレスで覆います。霜と冷気に苛まれ大きな損傷を受けますがそれを最小にし、春にはマットレスの覆いを取り去ります。 そして、根の周りに糞を与え、植物が快適に、より早く成長して大きくなるように肥料や水分をきちんと供給するようにします。

ギリシャの有能なディディオス(彼の農業書の中で)と彼より後世の学識者プリニーも、多くのアスパラガスが野生の羊の角の砕いた粗い粉から湧き出て来ると報告しています。この粉を小さな溝状にまき散らして、光が地表に当たるようになったら頻繁に水をまきます。それは偉人ディオスコリデスにとっては信用できないことのようで、この方法を大いに嫌っていました。もし庭師または所有者が証言したり判断をくだすなら、この実験は最も真実であると告白するでしょう(私はあえて断言します)。

驚くような報告もあります。それは、アスパラガスが短時間で成長して収穫できるよう、引き裂いたり細かく切ったりしていないまるごとの羊の角を多くの場所で地中に埋めるというものです。

所有者が一年中アスパラガスを食したいなら、実を集めてから(先に述べたディディムスが書いているように)掘り下げて根を露出させなければなりません。こうして整理された若い植物の茂った上部分に羊の角の粉をまき散らせば、新しい柔らかい茎を迅速に出すので、アスパラガスを収穫できます。
それを水と脂肪のスープで軽く茹で、塩と油または香りの良いバターとよく混ぜ合わせ、少量の酢を注げば、それを食べる人に特別な喜びがもたらされます。

なおここで、アスパラガスの煮沸は短時間にするべきであり、長時間煮沸すると溶けたり食味が悪くなることを覚えておく必要があると思います。

それについて偉大な皇帝ドルフスは、成功の秘訣はアスパラガスが茹で上がるよりも早く問題を解決することだと言ったものでした。

アスパラガスをソースやピクルスにする場合、手持ちの酒で丁寧に洗った後、やわらかい茎に塩をまぶして丸い山に盛り上げ、日陰で汗をかくまで置いておきます。十分に柔らかくなって中の水分が抜けるまで、少なくともピクルス液を洗い流して、(そのような方法の後)重しを置いて押さえます。

次に、適当な容器に酢2パーツ分とピクルス液1パーツ分を注ぎます。ピクルス液は乾燥したフェンネルの種子でうまく風味づけします。フェンネルの柔らかい茎や葉でうまく押さえて覆います。そして、その漬け汁が土鍋容器の上縁まで来るようにします。

薬草としてのアスパラガスの効果。

実とタネは薬草として使用され、薬効は1年間完全に持続します。このハーブは熱くて湿った気質をもっていて、麻痺、結核性リンパ節炎、そして有痛性排尿困難に効果があります。 

肉と一緒に準備したガーデンアスパラガスを食べれば、硬い脾臓を和らげるだけでなく、肝不全にも効果があります。

アスパラガスの根をワインで茹でて、月の適切な時期に塗ると、ガウレの放出?(the shedding of the Gaule )を回復します。これは経験的に知られています。

アスパラガスの身は胃に最も有益であると報告されており、クミンを混ぜると、腹部の腫れと疝痛の両方が和らぎます。

きちんと調理されたアスパラガスの身を食べると、排尿作用を和らげる(尿が通過しやすい)だけでなく治癒します。レモンを加えたアスパラガスのジュースは膀胱内の小さな石を溶かし排出します。これは経験的に確認されています。

女性の秘密の場所の悲痛に対してアスパラガスの根(甘口または白ワインで巧みに煮たもの)を塗ることがあります。 

人は肌にアスパラガスと油を一緒に塗っておくと、蜂に刺さされた痛みが生じないと断言するものがあります。

根を煎じたものは、ほとんど飲み水がない人に恩恵をもたらすだけでなく、これをしばらく口に含んでうがいをすれば、あらゆる種類の歯茎、歯、口の痛みを和らげます。

偉人プリニーは、(上手に茹でた)アスパラガスは胸と背中の背骨のどちらにも驚くほど効果があり、その悲痛を和らげると書いています。

これらに対し、アスパラガスは性行為を生じ進めさせ、お腹を優しく緩めます。

ディオスコリデスは、アスパラガスを焙煎または漬けたものはワインの頭痛、ワインの難しさ、危険な赤痢を緩和すると報告しています。

ガレンは、アスパラガス、特にその根と種子は腎臓や肝不全に効果があると断言しています。

2 件のコメント:

  1. アスパラガスってそんなに昔からあったのですね。我が家でもアスパラガスはポタジェのレイズドベッドで育てていて、春から初夏にかけて結構収穫します。小さな花が咲いて、小さな実がつき、種ができて、時々こぼれ種から小さな苗が生えてきますが、狭いので残念ながら育てられずに引き抜いています。

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  2. 暑い最中、POIROTさんのお庭の涼しげな映像に癒されております。

    アスパラ生産が盛んな福岡では、長さの揃っていない端物も時々売ってたりしますね。
    そんな青果コーナーでは見慣れたアスパラですが、POIROTさんのポタジェのアスパラの姿はとびきりおしゃれ!実生もできるなんて、とても居心地のよいベットの証ですね。

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