アスパラガスの19世紀ならではの栽培方法は促成栽培ですが、ここ「第3部 キッチンガーデン」では、16世紀とあまり変わらない通常栽培方法が紹介されています。多分今でも通用する王道の栽培方法では?
16世紀(Gardeners Labyrinth)には羊の角をアスパラガスの栽培に利用するユニークな方法も書かれていて、読み物としては16世紀の方が面白いかも。
第4章 キッチンガーデンの野菜の栽培
第2節 アスパラガス
この野菜には、2 フィート (60 cm) 以上の深さの軽い砂質ロームが最適です。 この場合の最適な肥料は馬糞か牛糞か豚糞か海草か泥灰土と植物性の土(腐葉土)を混合したもの、または馬糞と植物性の土の混合物、または海藻と上記のいずれかとを混合したものです。
粘度の強いロームはアスパラガスには適しません。 しかし、粗いローム、軽い砂質ローム、海砂利、レンガの砕いたもの、さらに窯の灰などを混ぜればかなり改善することができます。 この場合の最良の肥料は植物性の土、煤、鳩の糞、その他あらゆる種類の灰からなる堆肥です。あるいは馬糞、海藻、貝殻泥灰土の混合堆肥、あるいは羊の糞、海草、泥灰土からなる堆肥、または、海草か馬糞か貝殻泥灰土を単独で利用することもできます。
アスパラガスは数年経たないと成熟に達しません。 そして、種まきや植え付け後にその非常に脆い根を傷つけずにうまく肥料を与えることは不可能なので、前もって栽培土を準備する際に細心の注意をはらう必要があります。少なくとも2フィート (60 cm) の深さの溝穴を掘って肥料と土壌をよく混ぜあわせる作業をしておくべきです。
アスパラガスは苗床で育てるのが一般的です。 そしてその苗を2フィート (60 cm) の通路のある幅4フィート (1.2 m) の栽培ベッドに植え付けます。 場合によっては、ベッド幅2 フィート(60 cm) に2 列とし、通路も 2 フィートにする方法もあります。 この方法は前者よりも好ましいです。 しかし、最も信頼されているのは、畝上に1ヤード(約90 cm)間隔の深さ1インチ(2.5 cm)の穴を作ってタネを直播きする方法です。 確実に育てるため、タネはかなり厚播きします。畝間は 4 フィート(1.2 m)としても広すぎることはないでしょう。
私は、同じように溝を掘って肥料を施した区画を見たことがあります。 区画の半分は畝間 1ヤード(約90 cm)で、もう半分は畝間 2 ヤード(約1.8 m)でした。 所有者に誘われて行ってみると、2ヤードのものは1ヤードのものよりも同じ面積当たりでより多く繁茂し、アスパラガスの芽ははるかに大きいものでした。
アスパラガスは栽培場所に直にタネを蒔いた方が、苗を移植するよりも3年後には強くなるということを、私自身、複数の例で証明しています。 したがって、他の方法よりもこの直播きの方法を優先することをお勧めします。
春、播種後に明らかに乾燥している場合は、畝に頻繁にかん水してやる必要があります。 苗が3インチ(7.5 cm)の高さになったら、苗が約5~6インチ(12.5~15 cm)間隔になるように間引き、残した株に少しの腐食土を寄せます。 シーズン中、常に雑草をきれいに除草しておきます。 地表面を頻繁に掻いて混ぜれば植物の成長を大幅に促進するでしょう。
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* タネまきは3月中旬か4月初めが適しています。
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アスパラガスの畝や栽培ベッドに最適な肥料は糞の堆肥塚から流れ出る排液(液肥)です。それはいつでも施用できます。
海草は10月から3月までならいつでも施用できますが、海岸から運んで来たら栽培場所の地面に広げる必要があります。
石灰と糞または糞と泥灰土の混合物もしくは馬糞のみを10月か11月頃に地表に広げ、3月初めまで放置しておきます。
この最後のもの(馬糞のみ使用)はアスパラガスの土地を肥やす一般的な方法になっています。しかし、単に他の人がそうしているのを見たという理由だけで、それは植物を霜の影響から守るためだろうと勝手に想像している人もたくさんいます。その結果、多くの人は霜の影響を防ごうと、大半が糞でできた堆肥を使用します。しかし、この考えは間違っています。 私は、アスパラガスの根は極度の霜によっても傷害を受けることはないと十分に実証してきました。ただし、1 年目の株は適切に覆い(マルチ)をすることで霜による地面からの浮き上りを防ぐことができます。一方、2年目以降は何も保護する必要はありません。1794 年から 1795 年にかけて非常に厳しい冬でした。私はアスパラガスに何の覆いもしていませんでしたが、地面に倒れたものさえありませんでした。
秋には、枯れて倒伏する前に茎を地際で切り落とし、地表の雑草なども取り除きます。そして、フォークで2、3インチ(5~7.5 cm)の深さまで地表をかき混ぜます。こうすれば、株は施用された肥料液をたっぷりと吸収するだけでなく、天候の影響に対する備えともなります。馬糞や海草で覆っている場合は春になったら、ざっと集めて取ってください。そして、集めとった後の細かい残渣を少し土壌に入れるとともに少量の腐食土を株元におきます。その際、根に近づきすぎないように注意してください。可能な限り、根の邪魔をしてはいけません。この作業は3月の第1週か第2週頃に行います。
アスパラガスのベッドや畝間に他の作物を植えたり播種したりするのが一般に行われています。カリフラワーやカブなどを株間の真ん中やベッド間の通路部分に適度に植えることは、最初の 1 ~ 2 年目は適切でしょう。
しかし、その後は全く不適切になります。なぜなら、播種または植え付けのいずれの方法で育てたアスパラガスもこの時までには根が広がり始めているので、それを決して阻害してはいけないからです。 アスパラガスを大きくて立派な草姿にしたいなら特にそうです。
アスパラガスのベッド栽培は 8 年から 10 年を超えて続けてはいけません。 ただし、地面に畝を作って栽培する場合はより長く栽培することができます。
ただし、促成栽培している場合は、どんなに上手く栽培しても長年にわたって収穫することは不可能です。栽培して4年から8年までの株が促成に最も適しています。(アスパラガスの促成栽培方法については別途、第1部「促成栽培」の第1章で詳しく解説されています。後でじっくり読むつもりです。)
アスパラガスの収穫は草姿に十分勢いがあれば2年目でも可能ですが(ただし、そのようなことはめったにありません)、いずれにしても3年目には収穫できるようになるはずです。早すぎると根が弱ってしまいます。そうならないよう、茎葉が完全に成熟するまで収穫を控えることが奨励されます。
アスパラガスを栽培中のベッドなどで株のない空白部分ができているのをしばしば見かけます。 空白部分は元々はそこにあるはずがなく、あるいは収穫を始める前にはなかったものです。この空白は無分別な収穫をしたことによって引き起こされます。一般に考えられているような偶然の自然災害が原因ではありません。株の全ての茎を収穫してしまったために生じたことは明らかです。
すべての茎を切ってしまっても次の春には生長するかもしれませんが(ただし、場合によっては秋に生長することもあります。第1部第1章の11 ページの注を参照のこと。)、生育は非常に弱く、次の冬には消滅します。
したがって、根に栄養を与えて成長を促すために、各株に少なくとも 1 つまたは 2 つの芽を残すように注意する必要があります。
収穫するときは、切り取る芽の周りにある若い芽を傷つけたり、根のクラウン部分を傷つけないように注意してください。
アスパラガスほど根が傷つくとダメージが大きい植物はありません。多肉質なので多かれ少なかれ傷付くたびに汁液が流出するからです。
おまけ------我が家のアスパラガス
今年蒔いたタネから生えた苗はそろそろ定植せねば。。。
アスパラガスは冷凍しているし、フェンネルの花が咲いているので、16世紀風にフェンネルで風味づけしたアスパラガスのピクルスをつくりたいです。
我が家の荒地でも毎年生えてくれる親孝行なフェンネルです。
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