現代の単一作物の商業温室ではかん水機器などの設置や出荷調整を行うエリア、いわゆる「中間室」がハウスの一部に組み込まれていることが多いですが、当時はお屋敷での需要を賄うのにヤサイ、果樹、きのこと多彩な作物が栽培されていたので、必然的に付属施設も多様なんでしょうね。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
付属施設
梱包小屋
大量の果物や農産物を保管するだけでなく、タウンハウスや他の施設へ出荷する必要がある場合、果物の保管室の他、梱包用の小屋や部屋も必要です。
果物の梱包と保管は、同じ部屋で行うこともあれば、それぞれ別の場所で行うこともありますが、いずれにせよ、梱包場所と保管場所は離れすぎないようにしてください。
果物を長距離輸送するのに適した梱包方法は次のとおりです。
適切な大きさの箱をいくつか作り、各箱にトレイを複数格納できるようにします。
トレイで区画を区切るようにします。その深さは詰める果物を1段分が必要です。
トレイを箱に入れるとき、詰める果物の取り扱い方法に応じて、トレイの間に詰め物の層を設けたり設けなかったりします。
すべてのトレイがきちんと配置され、蓋を締めれば、箱全体が非常にコンパクトでしっかりした状態になり、果物が横方向にスライドすることはありません。
きのこハウス
これは厳密には付属建物とは言えません。本来は(きのこの)栽培用ハウスだからです。
しかし、きのこ栽培には光は不要なので、温室などのうしろに設置します。そのため、一般的にはきのこハウスは鉢植え小屋、果物保管室などと同じ、付属施設に分類されます。
きのこハウスに必要なのは、暗く、温度が一定で、高温多湿な環境です。
したがって、きのこハウスは果物保存室とほぼ同じように建てる必要があります。
ただし、床は湿気の影響を受けないように木ではなく、レンガなどの固い材料にします。
壁にも木製の棚や木組みは使用しないでください。
果物保存室と同様に、きのこハウスの屋根も熱伝導率の低い素材で作る必要があります。
窓や天窓と閉じることができるシャッターを用意する必要があります。
きのこハウスの長さは必要な生産量によって調整する必要がありますが、幅は、中央に 2 フィート 9 インチ (0.84 m) 幅の通路と、その両側に 3 フィート 6 インチ (1.07 m) 幅のベッドを配置できる程度で十分です。
通路の両側に、高さ 6 〜 9 インチのスレート棚を垂直に立てればベッド内に菌床材料を保持することができます。
両側のベッド上にいくつかのスレート棚を作ればスペースをさらに活用できます。
各棚には、通路に隣接する側に直立したスレート縁石を持たせ、棚から棚までは約 2 フィート 0 インチ(60 cm) から 3 フィート 6 インチ(105 cm) の距離をとります。
ベッドを構成する材料(菌床)は(発酵により)必要な熱のほとんどを供給しますが、上記の幅のハウスでは、通路に沿って 径4 インチの流入パイプと戻りパイプがあると便利です。
パイプの上部には蒸発用に凹みが付けられていて、必要に応じてハウス内に湿気を与えることができます(この凹みに水を張っておけばパイプからの熱で水が蒸発するしくみ)。
外部温度の急激な変化は有害であり、ハウス内での影響を中和するように注意する必要があります。
きのこハウスは、ルバーブ、シーケール、チコリなどの遮光栽培にも使用できます。
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