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2024年11月2日土曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 7. 庭師のオフィス・住居

庭師の事務所と住まいについて書かれていて、当時の庭師の立場が窺えます。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

庭師のオフィス 

庭師でも庭師でなくても人は誰でも、体系的な知恵を身につけるまで自ら学習するよう努めるべきです。思考やアイデアを整えることができれば、適切な手段と手順が行動に反映されます。

この優れた資質を増やし維持するために、庭師、特に大規模園芸の責任者は、仕事場の近くにオフィスを持つという贅沢が許されるべきです。

オフィスは独立した専用の建物である必要はありません。種子室の片隅に机と椅子を置いただけのスペースでもよいのです。

何らかのオフィスは必要であり、そこでアイデアを練ったり、レイアウトのデザインをスケッチしたり、通信を行ったり、参考書を保管したり、書類を整理したり、会計を行ったり、雇い主からの指示を受けたり(雇い主のおそらく作業現場から 1 マイル離れた邸宅でよりも、その場で指示を受けたいと願うでしょう)、部下に必要なヒントや提案を静かに与えたりすることができます。

実際、それほど簡単ではない多くのこまごましたことを行う場所、たとえばキュウリハウス、ブドウ園、堆肥塚、砂利道、といったオフィス以外の場所では、邪魔されずに作業に専念できる必要がありますから。


庭師の住居 

仕事に適さない贅沢品を用意する必要はありませんが、庭師長はできるだけ快適に過ごせるように住居を整えるべきです。

オフィスは仕事場の近くにあることが必要ですが、住居、寝る場所が仕事場からあまり離れていないことも同様に必要です。

庭師の小屋が園芸の建物の一部にない場合、この点を考慮すべきです。

おそらく、数千ポンド(当時の1ポンドが7万円とすると、3〜4億円くらい?)を植物や暖房、その他の作業にかかけているような大規模クラスでは、庭師の住居が園芸施設の近くに用意されていても不思議ではありません。

しかし、多くの場合、それほど大きな経営規模でない場合、庭師が快適であることに関心がはらわれていません。

庭師は自分の落ち度であってもなくても、気候やその他の制御不能な原因による不幸な結果について非難されることが多く、通常仕事に専念し、重要な責任を果たすことを頻繁に求められます。しかし、庭師の快適性については、彼らが受けるべき配慮を受けられないていないことがよくあります。

主任庭師にはあらゆる配慮を払うべきですし、実際にそうであることが多いのですが、若い庭師、助手、その他の人々の快適さについても忘れてはいけません。 

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