氷室は寒い地方に限られるでしょうが、便利そうです。ここでは一般的な深さが6mだそうで、結構大規模でした。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
付属施設
氷室
多くの施設で氷室の管理は庭師が管轄するで、氷室を園芸の補助施設のリストに含めるのは妥当でしょう。
氷の塊を溶かすには、周囲の空気か華氏 32 度(0℃)以上の温度の物質によらなりません。
ただし、融解による熱は、氷が溶けるまでは顕熱(周囲の温度の低下)として現れません。
融解による熱は液化潜熱と呼ばれます。
氷が湿った土や水に囲まれている場合、乾燥した大気に囲まれている場合よりもずっと速く融解します。
イギリスの地表と地表面近くの平均気温は、約 47 度(8℃)です。したがって、氷を保管する際には、地表と大気から隔離すること、排水を良くすること、周囲が乾燥している環境が条件となります。
氷室は直射日光を避け、北向きに設置する必要があります。氷室の形状は、地面に埋められた円錐形の穴(卵形の穴)が一般的です。
壁は二重で、その間に空気層を設け、必要に応じて十分な換気ができるようにし、暑すぎる時期には外気の流れを遮断します。
地中の穴蔵タイプで排水できない場合は、周囲がまんべんなく地上部に盛土が作られるよう注意します。(水が決して穴蔵に流れ込まないように)
氷室の底をできるだけ乾燥させた後、良質で丈夫な藁や葦で覆った木製の格子上に氷を置きます。氷と壁の間も藁や葦で覆うようにします。
全体は厚い藁葺き屋根で覆い、軒を張り出させて、雨が壁を伝って入らないようにします。
傷んだり濡れた藁や腐った藁は使用しないでください。丈夫で乾燥した、切れていない藁や葦に比べて熱伝導性が低いからです。
粗氷の場合、通常、112ポンド(50kg)につき約 6 立方フィート(0.17 立米)のスペースを確保します。
氷の保管は、よく知られている原理に基づいて、非伝導性の覆いを介在させます。氷をフランネルで包むと、最も長く溶けずに保管できるという事実によって示されています。同じ素材で体を包むと、最も暖かく保たれます。前者では熱が入らないようになり、後者の場合は熱が逃げないようになるのは同じ原理というわけです。
氷は完全に乾燥した状態を保っているように見えても氷塊が目に見えて減ることがあります。これは、氷塊の表面が溶けて蒸発し、空気の流れによって運ばれるためです。
氷室に少量の塩が使用される場合もあります。これは、氷の一部を犠牲にして急速な液化プロセスを作り出して残りの氷を溶かす余分な熱をそちらにまわすためです。
しかし、氷室が適切に建設され、氷が地面、水、暖かい大気から十分に隔離されている場合、この塩はまったく必要ありません。
氷室の最適な寸法は、最大直径が 12 ~ 15 フィート(3.6 ~ 4.5 m)で、深さが 20 フィート(6 m)です。
氷の塊が大きいほど、溶けるのに時間がかかります。
オープンシェッド(雨除け小屋)
農業用の施設と同様に、園芸用の施設でも、オープンシェッド(雨除け小屋)は非常に便利です。
屋根の下に保管する必要があるものの、泥棒や外気に晒しても構わない物は数多くあります。
こういった物には、使用していない手押し車、土を運ぶための板、はしご、組み立てフレーム、手持ちのガラスサッシなどがあります。
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