2021年12月5日日曜日

庭の囲垣:「The Gardeners Labyrinth」第7章

警察や法律の整っていなかった時代だったので、庭の囲い柵は自警として必要だったでしょう。人間だけでなく、つぶらな瞳の愛らしい動物も、自分の庭の野菜を荒らしたら腹が立ちますものね。
19世紀のラウドンは盗人から庭を守るため、通常の対策と人道的な対策の2種類を記していますが、結局どちらも盗人の脚の骨を折るという方法だったそうで、あくまでも心情的なら理解できなくないかも。
さて、現代の鳥獣害対策は電気柵ですが、古代の柵はいかに?

第7章.過去の農夫やローマ人が使用した囲いについて

適切な土地を選んで、すべてを投じ、耕作して植物を植えるという庭作りは、単なる狂気だと思われるかもしれません。

囲いのない庭は、誰でも出入りできる公共の場と同様、強盗や盗賊、愚者、獣の侵入の危険性が昼夜を問わず存在しています。

そこで、古代の庭囲いと出入りの様々な方法について、ここにお示ししましょう。

昔の熟練した警戒心の強い農夫は、その優れた能力を使って、軟石を巧みに敷き詰めてモルタルと一緒にしたものや自ら焼いたレンガで壁を作りました。

能力の低い、そしてケチな者は、モルタルや粘土なしで石を見栄え良く積み上げただけで囲いとしました。そういった囲いに中には、採石場にあるような大きな石(ほぼ大きい順に並べていきます)と平たいスレート石を並べたものもありました。

下層の貧しい人々の多くは、側溝の泥、糞、籾殻、短く切った藁ストローをよく混ぜ合わせて囲いや壁としました。

他にも、大きな杖を立てて、それに小さな棹をつなぎ合わせた、見栄えのよい囲い柵も作られました。

また、一定の間隔で設置した若い柳の木の間に乾燥した黒イバラ(イバラの木から取ってきたもの)を結んだ囲いもありました。(熟練)技術によって作られるこの方法は、特に牛から庭地を守るための出入り口のない粗雑な囲いです。

しかし、この方法の後に作られるようになった生垣または囲いは、必要とされる場所で毎年新たに手入れしないといけないので、農夫の単調で大きな労苦が必要でした。

学識者コルメラは自身の農業書で、古代ローマ人は庭地に角材や大きな木摺[ラス]付きのポールを立てて、それにオシエの木の小さな棹棒を厚めに固定して囲いにしていると報告しています。

あるものは、木の大きな幹や株に大きな穴をあけて、角材か大きな竿2、3本を一緒にしたものをそこに通し、然るべき間隔で手桶の縄で固定したものもありました。また、現在普通に見られる家畜囲いのように、(地面に設置された)木材周りに大きな竿または長い角材を固定したものもありました。

Varroが報告しているように、より技巧を凝らして黒イバラまたは白イバラの木と若い柳で作った自然な囲いもありました。

さらに素早く根付く生垣はやがて成長し、嵐、風、大洪水、火事といったあらゆる災難に耐えます。

古代の農民は、これらに加えて、ブルワークスとテンテスの戦争時代の塹壕のように、庭の区画の周囲に、土の土手や擁壁を築くことを発明しました。

これらは特に高い道路の近く、または川のそば、そして開けた沼地や沼沢地、または野原に作られました。そういった庭地は、泥棒、牛、そして 大洪水からの被害や損害を免れます。これは以下のようなものと理解してください。

古代の農民は、降った雨水を排水するため、自分の(野原の中にある)庭地の周りに、土を投げ上げて深い溝を作りました。この溝は傾斜をつけた水路として掘られました。この傾斜によって水をスムーズに流すことができます。土と粘土は(土手によって速く)水路の内壁に運ばれ、混じり合わせられるので、(乾燥後)誰もその上へ登ることはほとんどできないほどです。

また、溝を掘ることなく、高い土手や土の擁壁を作れば、開けた場所で城壁の代わりとなりました。

簡単に言えば、最も耐久性があり、最も確実で、最も低コストの囲いは、古代ローマ人が野バラで作ったものと同様のもので、白イバラがより良く成長するよう、この土手に整然と植え囲いとしたものです。

学識者カトの報告によれば、この壁や(生えて数年経った)生垣は長く耐久性のある囲いでした。まさに、今も同様であることを経験、確認するところです。

この囲いは古代ローマ人に大いに賞賛されました。彼らは野バラの根が完全に掘り除かれた場合を除いて、どの季節でも野バラの根は決して腐敗したり枯れないことをよく知っていたからです。そして、彼らは経験から、野バラは藁の炎で煽られたり焦げたりしても毎年回復して成長し、その後、より硬く、丈夫で、厚い柵になることを知っていました。

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