2023年5月21日日曜日

19世紀流栽培アーティチョーク:ウォルター・ニコルのキッチンガーデン

 19世紀流家庭菜園の栽培法の最初の節はアーティチョークです。ヨーロッパではアスパラガスと並んで古代から馴染み深く、16世紀の本「The Gardeners Labyrinth」でも丁寧に解説されていました。

アーティチョークの栽培

【16世紀流】 タネからの栽培がメイン。播種前にミルク、蜂蜜、ワインなどに2、3日浸してタネに香りを付けたり、レタスの根の皮と一緒に蒔くなど、おまじないみたいな方法。株分けで増やす際には根にたっぷり畜糞をまぶして。冬の栽培ベッドは灰と黒い土(腐食土?)でマルチ。

【19世紀流】 株分けから栽培する方法。寒い冬をのりきるため、春まで畝を敷料や残渣でたっぷりマルチ(厚さ25〜30 cm)。全体的には現代の栽培方法とあまり変わらないような。。。

第4章 キッチンガーデンの野菜の栽培 
第1節 アーティチョーク

この植物は、軽いロームであればよく生育します。堆肥、馬小屋の糞、泥灰土や海草でよく肥やしておきます。完璧に成長するには、24インチ(60 cm)から30インチ(75 cm)の深さの培土(作土)が必要です。 硬い湿った土地では、アーティチョークは冬に枯れることがよくあります。

アーティチョークは古い株から生える側枝で手早く殖やすことができます。側枝は毎年春に大量にできるので、それを2〜3本束ねたものを四方4フィート(1.2 m)の間隔をとって植えます。植えた最初の夏、乾燥した天気の時は頻繁にかん水し、雑草を取ってきれいに保ちます。

この植物はとても柔らかく、霜に弱いので、畝や栽培ベッドは冬の初めに馬小屋の糞やその他の敷料で注意深くマルチする必要があります。その方が畝間を掘ってその掘り出した土で盛土するよりも好ましい方法です。畝間を掘る方法では根を二重に露出させてしまいます。1796年は例年より早い時期に霜が降りたため、アーティチョークの株が全部枯れてしまった事例が夥しくありました。それはわずか3週間しか続きませんでしたが、対処できませんでした。これらの多くは地面に倒伏してしまいました*。しかし、十分にマルチされていたものはどれも被害を受けませんでした。

敷料などで植物にマルチする場合、 腐った茎や外側の丈夫な葉を取り除いてから、根の先端までの範囲をを覆う十分な幅で、厚さ約10〜12インチ(25〜30 cm)で畝列に沿ってマルチします。

春、すなわち3月の初めか中旬頃に、マルチ材料を取り除きます。そして残った部分、つまり腐った部分は掘って埋める必要があります。前もって、各株の最も強い茎を3つか 4つだけ残しておきます。そうしないと、株の茂り密度が厚くなりすぎて、結果的に頭(花蕾)部分が小さくなってしまうからです

通常、鍬入れ(地表をホーで掻く)は春の1回で十分です。アーティチョークの葉の下にはほとんど雑草が生えませんし、間もなくアーティチョークの葉が地面全体を覆うでしょう。

古い株については、上記の栽培管理を毎年繰り返します。 そして、アーティチョークの収穫を毎年途切れることなく行いたい場合は、毎年数株は若いアーティチョークに更新すべきです。 古い株に続いて秋に実り、霜が降りてもってくれます。

古い株は同じ場所に 7 ~ 8 年以上植えっぱなしにしてはいけません。植えっぱなしだと株はどんどん縮小していきます。

-------------おまけ うちのアーティチョーク(グリーングローブ)

苗で買ってきて約1ヶ月後、葉は大きくなりましたが、濃かった緑が薄くなっています。栄養不足? 化成肥料と米糠、石灰をちょびっと撒きました。アブラムシはまだ見ていないですがバラとソラマメにはびっしり居るので、時間の問題?

4月23日

5月21日




0 件のコメント:

コメントを投稿

19世紀末の園芸施設:10. 栽培温室---両屋根(スパン)ハウス

現代でも最も一般的な 温室屋根形状である両屋根タイプのハウス(スパンハウス)の記事です。現代の商業温室ではこれ を大きく、かつ多連棟化して大面積にしています。それ に比べると、19世紀の両屋根ハウスは面積も高さもかなり小さめで、今で言うところのホビー用温室、家庭菜園用温室といった...