日本の戦前の商業温室といえば木骨ガラス温室と言えるでしょう。今も木造ハウスはあり、味わい深いものですが、メンテナンスを考えると商業温室としては主流からは完全にはずれた状況となってます。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
栽培温室
鉄骨ハウス 対 木骨ハウス
鉄で造られた建物は、木で造られた建物よりも、一定の強度を得るために必要な材料の量が少なくて済むことに疑いの余地はありません。
したがって、鉄骨ハウスの骨組みは、木の骨組みほど太陽光線を遮りません。
これは、太陽が屋根に斜めから当たっている場合に特に顕著です。木材よりも細い鉄の棒や垂木は、厚みのある木の棒や垂木よりも落とす影がはるかに小さいからです。
そして、繰り返しになりますが、鉄骨ハウスは、塗料などで十分に錆止めされていれば、木造よりも長持ちします。
塗装が適切に行われずに錆を放置しておくと、急速に磨耗するだけでなく、結露によって生じる錆びを含む水滴が植物に非常に悪影響を及ぼします。
一方、鉄は木材と違って多くの設備なくしては機能しないため、鉄骨ハウスは同程度の規模の木骨ハウスよりも高価になります。 鉄製ハウスの換気構造は、特に安価な鉄製ハウスでは不十分なことが多く、ハウスを燻蒸できるほど十分な密閉度がないことがよくあります。
通常の大きさのコンサバトリー(ウィンターガーデンやその他の大構造物ではありません)は、鉄材で作られたものは、よほど巨大でない限り、「ワイヤー」のように(まるで痩せた骨組みのように)見えがちなため、木材のような魅力的な建築的効果を得ることはできません。
鉄製のハウスではガラスが割れることが多く、鉄の膨張のせいだと言う人もいます。
しかし、この欠陥は一般に、金属自体の膨張によるものではなく、むしろ金属に対してガラスの膨張性が大きいことに起因しています。 特に、最初にサッシバーの枠にきっちりと入るようにガラスがカットされている場合はそうです。
ガラスが1161 に対して、鋳鉄は889、錬鉄は819。
したがって、ガラス板の幅が 10 インチで、錬鉄製のサッシバーの厚さが 1/8 インチの場合、温度が 32° から 212°まで上昇すると、ガラスは '000861 インチ膨張しますが、サッシバーは '000015 インチしか膨張しません。これは861 対 15 の比率です。
もちろん、ハウスの垂直方向を支えるタイロッド(引張材)や構造部品といった鋼材の伸縮もあります。
こういったさまざまな歪みによってガラスが外れ、破損が発生するのは当然のことです。
しかし、鉄骨ハウスが適切に建設され、熟練者による取り付け、組み立てが行われ、ある程度の「遊び」を持ってガラスがはめ込まれていれば、ガラスが割れるといった問題は生じないでしょう。
徹底して丁寧に作業された鉄骨ハウスなら、換気装置やその他の付属品も確実にうまく収まるでしょう。しかし、けちって質の悪い作業で作られた鉄骨ハウスは絶えず不調の原因となるでしょう。
曲線的な造作が必要または望まれる場合、木材の代わりに鉄の棒やリブをうまく使用することもできます。
鉄は熱伝導率が高く(熱伝導率の比は鉄 450に対しガラス は14、モミ材は 3です。)。そのため、鉄骨造りの暖房付きハウスは木造ハウスよりも内部の熱をはるかに速く放射します。
主にこの理由から、栽培用ハウスや高温を保つ必要のあるハウスが鉄で建てられることはほとんどありません。
これまで私たちは、骨組みがすべて鉄で造られたハウスについて話してきました。
しかし、鉄と木材の組み合わせは可能なだけでなく、多くの場合賢明な選択であり、木材と鉄を組み合わせて建設された最高の栽培ハウスが見られます。
これらには、木で作られるもの(プレート、敷居、マリオン、柱など)を完全に鉄で作ると、作業が非常に難しくコストがかかる部分となります。
垂木も木製は通常よりはずっと軽量ですが、軽い鉄製のタイロッドによって十分な強度を確保することができます。
中間に入れる垂直バーや屋根のサッシバー、垂木、あるいは吊り下げ照明の一部も、軽量でありながら効果的な L 型やT 型の鉄部材で作られます。
このような方法により、どんな角度の太陽光線でも光を最大限に取り入れ、影をほとんど作らない、非常に強くて耐久性があり、明るいハウスを建てることができます。
何よりもコストが最優先である場合は、鉄のみでできたハウスよりも、木造ハウス、または木と鉄を組み合わせたハウスをお勧めします。鉄のみでできたハウスは、慎重かつ正確に組み立てない限り賢明な選択ではありません。また、どんなに省力的な工夫をしたとしても、慎重かつ正確に組み立てるには余分な費用がかかるものです。木造ハウスは、適切に建設され、塗装がきちんとされていれば、非常に使いやすく、長持ちします。
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