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2025年3月24日月曜日

19世紀末の園芸施設:33. 照明

栽培に人工照明、LED ! が利用されているなんて、当時の人が知ったら驚きますよね。

ここでは、電照栽培についての言及もなく、もっぱら人々が夜の温室(コンサバトリーやウィンターガーデン)で過ごし、楽しむための照明について解説されています。現代でも植物園のナイトツアー。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

照明

栽培目的の温室では人工照明が必要になることはほぼありません。
ただし、コンサバトリー、ウィンターガーデン、花室では暗い夜に照明が必要になることがよくあります。
照明に使用できる手段は、ろうそく、ランプ、ガスバーナー、電灯です。


ろうそくとランプ

ろうそくやランプは使用しても通常植物に害を与えることがなく、多くの場合、十分役立つでしょう。


ガスバーナー 

誰もがコンサバトリーのガスバーナーに対して正当な懸念を持っています。
発生する燃焼生成物と乾いた熱は植物体に対して極めて有害だからです。

しかし、ろうそく、ランプ、電灯は多くのコンサバトリーに適していない(照度が足りない?)ので、他の条件が同じであれば、通常は間違いなく、ガス灯が採用されるに違いありません。 
植物に害を与えることなくガスバーナーを照明として使用するために多くの方法があります。

サンバーナー(当時、大きな部屋の照明のため、複数のガスバーナーを円形などに集合させた装置)は、極めて希薄な空気塊を利用して燃焼生成物をバーナーから直接外気へ排出する構造になっています。

少ない本数のバーナーがガラス球に内蔵されていて、補助シャフトまたはチューブで外部空気がバーナーに送られることによって燃焼します。

しかし、この方法だと、突風が吹くとほとんどの場合、上昇気流が逆流し、建物内に有毒な燃焼ガスを吹き込んでしまう可能性があります。

その結果、人へはごくわずかな不便が生じる程度ですが、植物には大損害を与えることになります。

図 88. 自動換気照明装置(Sugg社特許取得済み)


著者がこれまでに見た温室用ガスバーナーで最良のシステムは、図 88 に示すものです。
この図は、建物の屋根から吊り下げられたアルガンバーナーを内蔵したホヤ(ガラスの筒)を表しています。

アルガンバーナーは密閉されていて、室内の空気とは遮断されています。

矢印の方向に注目すると、熱気と燃焼生成物から成る気流がバーナーから直接、中央のチューブを通って上昇し、3 連の穴の開いた風よけを通って外気中に抜け、暴風雨でも逆流が発生しないことがわかります。

外部の新鮮な空気は、中央のチューブを囲むシャフトによって形成された環状空間を通って燃焼炎部分へ供給されます。

当然、このようなバーナーは、照明する室内の空気の温度を上げません。ただし、この点はコンサバトリーよりも住宅で重要でしょう。

図のような直径 20 インチの球形タイプは30カンデラ(一般的なろうそく30本の明るさに相当)のアルガンバーナーに適したサイズです。26インチタイプは50カンデラのバーナーに適しています。


電灯

最近の調査によれば、電灯は植物の発育に強力な影響を与えると考えられています。
しかし、このテーマはまだ未解明であり、いまのところ園芸栽培の目的で電灯を利用する意味はないでしょう。

ここでは照明手段としてのみ取り上げます。

電灯は空気を汚染せず、放射される熱はわずかで、その光色のため、日光とほぼ同じくらいよく見えます。電灯は照らす面積が広いので、光源を視線より上に高く配置できるウィンターガーデンなどに特に適しています。

A サイズの Gramme ダイナモ発電機(2.5馬力相当)で駆動する 4,000カンデラのアーク レギュレータ ランプ 1 個を地面から約 20 フィートの高さに設置すると、2 フィートから 3 フィート以内にあるガスバーナーと同等の明るさで約 500 平方ヤードの面積を照らすことができます。または、30〜40 フィートの高さに設置すると、約 2,000 平方ヤードを照らし、そのエリアのどこでも新聞を快適に読むことができます。

このような照明は、1時間、1灯あたり6ペンスから8ペンスのコストで利用できるでしょう。その場合、照明は少なくとも週50時間点灯していると仮定します。 

敷地内でエンジン、ミル、またはタービンでポンプを駆動するために電力供給が行われている場合(「給水」の項で説明したように)、この電気は電灯の稼働にも簡単に利用できます。

この場合、電灯は電源から半マイル以内であれば、コストが過度に高くなることなく任意の距離に設置できます。

ただし、半マイルを超えると、長い電気回路の抵抗を克服するために、導線をはるかに太くする必要があり、その結果、よりコストがかかるようになります。

ウィンターガーデンで電灯を見たことがない人にとって、光と影によって生み出される美しい効果を想像することは難しいでしょう。

電灯を使う多くの場面では、深い影は非常に不快なものですが、シダやヤシなどの繊細な模様を鮮明に浮かび上がらせる時には素晴らしい効果をもたらします。

2025年3月16日日曜日

[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:忙しくなるのが、なんだか嬉しい

春は忙しくなるのが、なんだか嬉しい季節ですよね。

あれこれ花が咲きだす中、剪定の仕上げや芽かき、種まき・植え付け、病虫害の予防などなど、大慌て。

”自然に還る”のキッチンガーデン、別名、単なるズボラ放任の庭でも朝の見回りをする気分になっています(笑)。

昨年の猛暑を乗り切ってくれたクリスマスローズ。
そこそこ花が咲きました。
冬にうまく発酵してくれた肥料をお裾わけ。

シクラメンも猛暑を乗り切りましたが、弱々しいです。
鉢替えして元気づけてあげたい。

コールドフレームの覆いを取りました。
ささやかながら冬を越した小蕪やネギ、バラの挿し木苗、春菊の苗など。

冬の間に枯れ落ちた食用ホオズキの実を拾ってきました。
黄色く熟したものは生食や冷凍で、
緑の未熟果は砂糖煮やピクルスで食べます。

ホオズキの砂糖煮(左)とピクルス(右)。
特に砂糖煮の見た目が悪いですが、味やタネの歯触りは良いです。
砂糖30%にシナモンとグローブを少し入れて煮詰めたもの。

マルベリーの新芽。これからあっという間に葉が展開します。
芽かきすべきかしら?

ダンボール枠で防寒していた豆苗とイチゴの苗。
ダンボールは見栄えが悪いですが、自然に帰る資材です(笑)。

猛暑のマウンドでは空芯菜さえ枯れてしまったので、
今夏は逆に掘り下げたピットで栽培してみようと準備中。
(昨春のイチゴはマウンドでうまく育ったんですが。。。)


早春、フェンネルの香りも楽しめます。
何年も経って株が貧弱なので、新たにタネまきしようかなぁ


冬に枯れると思っていたアボガド。どっこい生きてました。










2025年3月15日土曜日

19世紀末の園芸施設:32. 遮光

  昨年の夏は暑かった。。。温暖化でこの傾向が続くなら、遮光(ひよけ)はますます重要ですね。

本項では主に温室の外部に遮光カーテンを設置する方法が述べられています。外部遮光は暑熱対策の理に適う方法ですが、台風が来る日本では安易な付けっぱなしに要注意ですね。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

遮光

強い太陽光線を和らげたい場面は頻繁にあります。
そのため、外部遮光、内部遮光、恒久的な遮光、一時的な遮光、ブラインド、白塗り、ペイント、半透明または波形ガラスの使用など、さまざまな方法があります。

恒久的な遮光

原則的には、恒久的な遮光が一時的な遮光ほど有利であるとは言えません。なぜなら、固定された日よけは真夏には非常に適しているかもしれませんが、太陽光線をすべて取り込む必要がある時期もありますから。

もちろん例外的にシダなどの植物を栽培する場合はこの規則に当てはまらないこともあります。シダなどは、自然状態で片隅や谷間、密集した茂みの下で繁茂するからです。

その場合、恒久的な固定化された遮光は推奨されないだけでなく、必要不可欠でもありません。
最も優れた恒久的な遮光材は「ハートリーのロールプレート」と呼ばれる、厚さが 1/8 〜 1/4 インチの遮光ガラスです。

不透明に見えるのは、ガラスの片面が波状になっているからです。
ガラス面が凸凹している場合、少し離れて見るとそれがまだら模様や不規則模様のように見えるものもありますが、表面全体がかなり規則的な凸凹だと、そのガラスは非常にすっきりと美しく見えます。

着色ガラスによる恒久的な遮光も、栽培のために必要な日射の熱線と光線がハウスへ十分透過し、過剰な熱線は遮断するという観点から、多方面で提唱されてきました。
が、このアイデアは、まだ実験段階から実用・商業利用段階へと至っていません。

ガラスの内側または外側に白漆を「塗布」するのは見苦しいものです。
内側に塗りつけると、かん水(シリンジ)で植物に白漆成分が滴り落ちる恐れがあり、外側に塗り付けた場合は雨で流されてしまいます。

白漆のガラス面への接着性を向上させることはできますが、接着性の向上と必要なときにガラスや木工品から白漆を剥がすのが難しくなるというデメリットをバランスさせなければなりません。

この塗布が唯一の望ましい手段である場合は必要な濃度になるまでテレピン油で薄めた白鉛塗料が適しています。ただし、この塗料はガラスの外側に塗った場合、最初の霜でほとんどが消失してしまうことに注意する必要があります。

一時的な遮光

スクリーン(カーテン)による遮光では、複雑な機構は避けてください。
スクリーンは、効率性を考慮して、できるだけシンプルにすべきです。

スクリーンの動きを一定の長さに伝えるための装置、すなわち、チェーンで動く滑車と車輪、不思議な見た目の複動ロッドやベベルピニオンなど、これらはすべて見た目は美しいかもしれませんが、雹、雨、風の嵐が予期せず来れば、ほぼ確実に壊れます。

あるいは、そのような災害に耐えたとしても、始終受ける湿気や大気の作用はより静かではありますが、厳しいものです。その影響から逃れられる可能性は低いでしょう。

コンサバトリーの屋内または屋外の垂直面の遮光は、ベネチアンブラインドで簡単に実現できることが多く、特に遮光するエリアが広い場合は、通常のロールスクリーンまたはスプリングローラータイプのスクリーンを使用します。南アフリカのグラスカーテンもこの用途に適しています。それらは芸術的で軽く、日光や雨で傷むことはありません。

栽培ハウスでは植物は屋根にできるだけ近づけて置かれ、正面のガラス面の高さは非常に短い(高さ 2 ~ 3 フィート以下)ので、垂直面の遮光は一般に不要です。

したがって、屋根のスクリーンに、より多くの注意が必要です。

屋根の外側をロールカーテン(ローラー式のスクリーン)で遮光する場合は、装置全体がそれほど手間をかけず、無理せずに、冬の間巻き取って乾燥した場所に置けるようにする必要があります。

スクリーンを巻き込むための棟の雨よけの収納ボックスは、ほぼ毎日スクリーンが必要な季節には優れた保護具となりますが、冬季にはリスクとなります。

この箱は必ず残しておきますが、遮光が必要ない季節が近づいたらスクリーンを取り外しておきます。
冬の間スクリーンをずっと箱に入れっぱなしにしておくと、湿気が入り込み、スクリーンは腐り、いつの間にか故障し、急に必要になったときに役に立たなくなります。

シンプルな巻き上げ式のスクリーンは屋根の遮光に最適です。
このタイプのスクリーンは屋根の棟に設けた縦長の箱の中のスプライン(薄い木板)またはロッド(竿)に固定します。

スクリーンを完全に開けた場合、スクリーンは必要な長さまで垂れ下がり、その下端がローラーに固定される仕組みです。ローラーを回転させると、最小限の摩擦でスクリーンを屋根に巻き上げることができます。

このローラーを作動させるために、一端に幅広のフランジ付きの木製滑車が固定されており、その周りにコイル状にコードひもが巻かれているタイプもあります。

このコードひもの一端は屋根の棟にある小さな滑車を通してあり、コードが引っ張られるとフランジ付き滑車からほどけていいきます。このほどける動作によりローラーが回転し、スクリーンが巻き上げられます。

この方法は単純ですが、滑車と反対側のローラーの端はスクリーンを非常に緩く巻き上げるので、スクリーンが不規則に巻き上げられることがよくあります。

ローラーを作動させるとても優れた方法を図 87 に示します。

図87. ローラー式スクリーンの作動モードを示す平面図。

この図は、屋根のスクリーンが開いた時の平面図です。 F A がスクリーンの端で、ローラー G H は屋根の下部にあります。

コードひもの一方の端は A で棟に固定され、スクリーンの下を通って底部まで行き、ローラーを回り、スクリーンの上を通り、B の滑車を回り、次に 別の滑車 C へとつながり、スクリーンの上を通り、D で地面に十分近く人の手が届きやすい位置まで行き、スクリーンの上を E まで行き、滑車を通り、スクリーンの上を通って、ローラーを回り、最後にスクリーンの後ろの固定点 F まで到達します。
D に掛かっている二重コードを引くと、ローラー G H が回転してスクリーンを屋根に巻き上げます。

スクリーンの端の片側がもう一方の端よりも早く上がる傾向がある場合、D で二重コードの一方をもう一方の端よりも強く引くことで、この偏りを簡単に調整できます。

二重コードはスクリーンの D 以外のどの位置にも降ろすことができます。装置の効率は変わりません。

もちろん、ヒンジ付きの跳ね上げガラス窓によって上部の換気が行われる場合はスクリーンを棟まで伸ばすことはできません。その手前で止めて、上部の換気口のすぐ下にスクリーンの収納ボックスを配置する必要があります。

横方向 (垂木と平行)に換気口がある屋根の場合は、当然、換気口間のスペースにのみブラインドを取り付けることができます。

スプリング式のスクリーンは屋外用にはお勧めできません。遅かれ早かれ、必ず故障します。

ハウス内には誘引ワイヤー、誘引支柱、つる性植物などがあるため、スクリーンを屋根の内側に固定することはめったにないので、内張のスクリーンについて議論する必要はないでしょう。

さらに、スクリーンを内側に配置するのがまったく便利であっても、遮光本来の目的を達成できなくなります。なぜなら、過度の太陽熱線がガラスに到達する前に侵入を防ぐのではなく、ハウスの内部に届くようにしてしまうからです。

多くの場合、最も便利なスクリーンの方式は、端にリングを付けて、半円形のひっかけフックを必要な場所に木工で簡単にねじ込むことができるようにしたスクリーンです。

このようなスクリーンには大気にさらされて故障する可能性のある部品はありません。それほど大規模でない場合は、スクリーンを簡単に取り外しできます。そして保管スペースもほとんどとりません。

実際、屋根のどの部分も長方形でないことが多いコンサバトリーの場合、このようなスクリーンが絶対に必要です。

もちろん、取り外しに庭師の余分な労力がかかることから、この種のスクリーンを設置することを怠る危険性はありますが、そのような余分な仕事が避けられないとわかれば、庭師ほど喜んでそれを実行する人はいないでしょう。

通常の屋外スクリーンに最適な素材の 1 つは、ティファニーの 品番4 です。

遮光は、太陽光線を穏やかにするだけでなく、太陽光線を完全に遮断する場合も有効です。キノコハウスや果物室から光を遮断する時にも注意が必要です。
すなわち、これらの施設に窓がある場合は、引き戸やその他のシャッターで注意深く遮光する必要があります。

2025年2月24日月曜日

19世紀末の園芸施設:31. 換気

 ここでの換気はもっぱら、機械式の換気扇を使わない自然換気を指しています。そのため、換気装置として、開閉するガラス窓や換気筒、換気口があげられています。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

換気


一般原則

植物は主に根から栄養を摂取しますが、葉は肺のような役割を果たしており、その機能を果たすためには空気が必要です。

葉の気孔、葉の呼吸器官は動物の呼吸器官と同様、常に空気を必要としています。

したがって、栽培上、植物が限られた空間で栽培される場合、空気を常に入れ替える適切な手段(換気)が必要になります。

換気の問題は、植物や花の温室栽培では非常に重要なので、いくつかの関連基本原則とその適用に特別な注意を払う必要があります。

特に、植物は動物とは異なり、特に温度の変化や冷気流などの影響を受けやすく、これらの悪影響から逃げるすべがありません。

換気や空気の流れを支配する原理はあらゆる偉大な物理法則と同様に非常に単純ですが、適用するとなると複雑です。

その原理は「空気は加熱されると膨張し、冷却されると収縮する」ということです。

そのため、熱い空気は上昇し、冷たい空気は下降します。

華氏32度(0℃)の空気の体積を1000とすると、温度によって体積は次のように変化します。


表 XVII.— 異なる温度における空気の相対的な体積

さて、空気は温度が上昇すると体積が増加するため、ある一定の空間を占める空気の重さは温かい方が冷たい空気より軽くなります。言い換えれば、冷たい空気の比重は熱い空気の比重より大きいということです。

したがって、熱い空気の塊が冷たい空気の塊の近くにある場合、冷たい空気塊は熱い空気塊を上方に押し上げます。

すなわち、熱い空気が上昇するのは、熱い空気独自の力によるものではなく、単に同じ空間にあるそれほど熱くない重い空気とのバランスが崩れるためであることがわかります。

熱い空気でも接触する空気がより熱ければ、間違いなく下降します。


ここまでは上下方向の動きについてのみ述べました。

加熱された空気は周囲の冷たい空気によって上方に押し上げられますが、冷たい空気は代わって加熱された空気のあった場所に下降するだけでなく、斜め、水平、または円形の動きをすることがあります。

流路に直接、障害が生じるかもしれません。その動きが他の流れを「誘発」する場合もあります。

また、条件の組み合わせによっては、空気のような移動可能な物質が、厳密に自然の法則に従っているにもかかわらず、一見、目的なく移動しているように見える場合があります。


園芸施設の換気について議論する前に、温度変化が空気の流れに影響を及ぼす簡単な例を 1 つか 2 つ挙げてみましょう。

図 80 は、部屋 ABCD の垂直断面を表しています。

図 80. 部屋の鉛直断面とその空気の流れの方向


図80において、最初は、部屋には空気の流入口も流出口もなく、内部の空気と周囲の壁は同じ温度に加熱されているとします。その場合、部屋に空気の流れはありません。しかし、いったん側壁 AD が冷却されると、この壁に接する空気は熱の一部を奪われ、残りの空気よりも重くなってすぐに下降し始めます。

空気が下降すると、矢印で示すような別の流れが誘発されます。

また、側壁 BC が室内の空気の温度よりも高温になると、壁 BC に近い部分の空気が上昇し、壁 AD が室内の温度よりも低く冷却された場合とほぼ同じ原理で同じ方向に空気の流れが発生します。


図 81. 部屋の鉛直断面とその空気の流れの方向

別の例、図 81 の部屋 ABCD を見てみましょう。この部屋では、内部の空気と壁が同じ温度に加熱されていますが、内部の温度は外部の空気よりも高いとします。

この場合、天井と床に E と F の開口部が作られると、空気塊 E F は外部の空気よりも暖かいため、すぐに上昇します。

しかし、部屋の右側部分の空気塊は、十分な換気が行われないままになる可能性が高いです。

E と F の開口部の代わりに、E と G に開口部を設けると (図 81 の点線を参照)、一方の開口部からもう一方の開口部へ空気が移動しますが、部屋のD に近い部分は空気が滞留し、実際に空気の入れ替わりが生じない部分になります。

表 XVII からわかるように、上昇する暖かい空気と下降する冷たい空気の温度差が大きいほど、比重の違いも大きくなり、その結果、温度の違いによって生じる気流の速度も大きくなります。


ここまでは、移動する空気塊を 1 つだけとして扱ってきました。

一般的に言えば、断面積の大きい空気塊 1 つではなく、小さな空気塊が複数ある方が気流の速度が増加します。

また、非常に多数の微小な気流がある場合は、速度はさらに小さくなります。

空気塊に関するこれらの 3 つのモードは、大きく開いた換気窓の場合、多数の 2 インチの穴が開いている場合、穴の開いた亜鉛板または金網を通過する場合に相当すると考えることができます。最初の例(モード)ではそよ風が感じられ、2 番目の例(モード)ではすきま風が感じられ、3 番目の例(モード)ではおそらく最初の例よりもそよ風は弱くなるでしょう。

したがって、園芸施設の換気は、入気口と排気口の位置と大きさ、および熱放射面の位置と放射強度によって、上昇する空気塊、その速度および内部の空気交換の能力を調整して、必要な時に適切な方法で新鮮な空気を取り入れ、汚染された空気を排出する必要があります。

換気したい部分を除く周辺の空気がすべて完全に静止しているならば、換気は非常に調整しやすいのですが、特に園芸施設のように、内部と外部の空気の温度が常に変化し、一定の風、渦を伴う気流、あちこちにある障害物の存在があれば、状況はより複雑化します。

工場、大規模な施設、邸宅などの建物では、比較的簡単かつ経済的に機械換気を導入することができます。たとえば、換気扇は入気扇、排気扇の 2 つの異なる方法で利用できます。

この場合、空気はポンプで送り込んだり、排出したりすることができ、汚染された空気と新鮮な空気、暖かい空気と冷たい空気の間の適切なバランスを維持することができます。

あるいは、煙突シャフト(煙突の排気筒の部分)を排気装置として使用することもできます。

このようなシャフトの底で火を焚くと空気塊が常に動くため、この流れを利用すれば、どんな部屋や建物でも必要に応じて空気を入れ替えることができます。

この原理を果実室に応用するには、小さなシャフトを屋根か部屋から屋外へ通して、そのシャフトの下部でガスを燃焼させるだけで簡単に換気できます。

風で動くスクリュー回転式の換気装置も、空気を排出するために使用できます。

しかし、ガラスで作られた園芸施設(ガラス温室)では、温水装置による暖房よりも機械的な方法で換気する方が難しく、ほとんど不可能に近いです。

ただし、注意深く、それぞれのケースを独自のメリットに基づいて対処すれば、十分かつ効率的な換気が可能です。


園芸施設への応用

空気の流れは空気塊ごとに比重が異なることによって生じるという大原則と、そこから生じる偶発的な状況を踏まえ、温湯暖房装置がある温室(温室形状は問わない)を例に、換気や新鮮な空気の供給を常に維持するための作業を簡単にまとめてみましょう。

まず、暖房装置が作動しておらず、室内の気温が外気温と同じであると仮定します。なお、暖房装置は地面の近くに設置されており、換気口も地面の近くと屋根の頂点の近くにあると仮定します。この場合、空気の流れは生じず、したがって換気も行われません。


図 82 または 83 のハウスを仮定しましょう。

図 82.— 両屋根ハウスの空気の流れの方向を示した鉛直断面図。

図 83.—片流れ屋根(立て掛け式)ハウスの空気の流れの方向を示した鉛直断面図。


暖房装置 A が作動すると、その上の空気塊は加熱され、膨張し、上昇を始めます。

C の流出口はこの軽い空気塊が上昇して屋根を通過することを可能にし、B の流入口からは、より重い空気が入り、空気が入れ替わることを可能にします。

B から入ってくるこの重い空気は、パイプ A によってすぐに加熱され、膨張し、上昇し、この動作が何度も繰り返されます。

しかし、この空気の入れ替えは非常に迅速に行われるため、ハウス内の温度は、植物の要求に応じた温度にまで達しない可能性があります。

その場合、2 つの対策があります。

暖房装置のパワーを増すか、または、もっと良い方法は、まず C の流出口の開口面積を縮小し、次に B の流入口の開口面積を縮小します。

多くの場合、園芸施設の効果的な換気はこういった方法を適切に組み合わせることができるどうかにかかっています。


図 82 と 83 は、小さなハウスを表していると考えてください。

中規模以上の大きさのハウスの場合、それぞれのハウス内で空気を均等に暖め、空気がよどんで入れ替わらない状態ができないようにするためには、温水パイプを図 82 のように床の中央近くか、図 83の D のように後ろの壁近くに配置する必要があります。

B 以外の流入口が必要になる場合もあります。たとえば、水平のシャフト(排気筒)で新鮮な空気を D 地点に運ぶ必要がある場合です。

一般的に、暖房のあるハウスの場合、流出口の合計面積は流入口の面積よりはるかに小さくします。

実際、棟に沿った狭い通気帯が流出口として最も効果的であることがよくあります。流入口としては、側壁下部のガラス面に沿った、幅が広めの通気帯を利用します。このようにすれば、ハウスのどの部分も空気がよどみにくくなります。

さらに、空気塊が流出口 C から流出するときに流れを妨げる外部の障害があると逆流する恐れがありますが、内部と外部の空気の温度差が大きいほど、すなわち、換気速度が速いほどそれを克服しやすくなります。

ただし、流出口 C が流入口 B よりも大きく、外部の風が優勢な場合は、流れが逆転し、冷たい空気が C から流入し、B から流出する可能性があります。この影響は注意が必要です。可能であれば、冷たい空気がハウスの上部から入り、暖房装置に到達する前に植物上を通り抜けないようにする必要があります。

一方、暖房のない果樹ハウスなどでは、換気口に別の役割、つまり開けることで日中は太陽で暖められた外気をたっぷりハウス内に取り込むこと、そして、閉じることで夜間外気温が下がっても内部に昼間暖められた空気を保持することが求められます。


換気口の形状

換気口にはさまざまな種類があります。

(a) 引き戸(スライド)式のガラス窓。

(b) ガラス窓またはシャッター、上部に蝶番が付いており、弧を描くように開くタイプ。

(c) ガラス窓またはシャッター、中央を回転軸として、上部は内側に開き、下部は外側に開くタイプ。

(d) ガラス窓またはシャッター、側面の蝶番に吊り下げられ、開き戸のように開きます。

(e) 窓サッシ。

(f) 引き戸(スライド)式のシャッターまたはドア。

(g) 無双格子または窓ガラス。

(h) 平行またはその他の動きで周囲の固定ガラスから引き下ろして、重なって同じ平面となるガラス窓またはシャッター。

(i) 吸引式換気口。

(k) スロットル式換気口。

(l) 恒久的な開口。


(a) 引き戸(スライド)式のガラス窓。

このタイプは屋根の換気口として、最近までごく普通に使用されていましたが、現在では次の理由から一般に利用されなくなっています。

- 扱いにくく、調整すると大きな摩擦が生じやすくなります。

- スライドする部分の垂木は異常に厚く重いものが必要で、それが太陽光線を不必要に遮り、虫や湿気の場所を増やす原因となります。

- 引き下げた時には、スライドしたガラス窓のサッシバーと、固定フレームのサッシバーの少し離れた位置が重なって、さらに太陽光線を遮えぎってしまうことになります。

- 開けた時に雨が直接ハウスの中に入り、風下になった場合は雨と冷気がハウス前面の内側に向かって吹き込みます。確かに、雨が流れ込むのが常に必ず好ましくないというわけではありませんが、多くの場合、低温の雨はハウス内の植物に当たらないようにするべきです。

- このような引き戸(スライド)式のガラス窓に対する他の反対意見として、重りで個別にガラス窓の開閉バランスをとることはできるものの、一度に複数のガラス窓を開閉する場合、摩擦が働いて同時に操作するのは困難になります。

しかし、引き戸(スライド)式のガラス窓はキュウリのフレームなどでは依然として非常に便利なものとして使用されています。

フレームで使用する場合、ガラス窓が上下にスライドできると、フレームの最も高い部分と最も低い部分を開けることができるので、換気が十分に行えます。また、加温されたフレームの場合、外の冷気が最初にフレームの熱いパイプ近くを通過するようにできるので、より効果的です。

引き戸(スライド)式のガラス窓は、壁面樹木の覆いのように、一年のうちの一定期間ガラス窓を完全に取り外す必要がある場合にも有利です。

(b) 上部に蝶番が付いていて、開いた時に弧を描くガラス窓

このタイプは栽培用ハウスの正面の換気だけでなく、屋根の換気にも簡単に利用できます。

この方式は開閉時の摩擦を最小限に抑えることができます。

必要に応じて同時開閉も容易です。

雨が吹き込む可能性はそれほど高くないでしょう。

このタイプであれば、開閉がない場合の断面寸法と同じにできます。

これにより太陽光線による遮蔽は最小限に抑えられます。

このタイプを組み立てる際、他のほとんどの換気システムよりも複雑さが少なく、園芸栽培施設に最適な換気システムであると考えてよいでしょう。

このシステムは、レンガ造りの壁に組み込むボックス換気システム、促成栽培用ピットの下部換気システム、壁面樹木の覆いなど、側壁にガラスフレームの換気口を設置するには高さが足りない場合、木製の換気システムが必要な場合にも活用できます。

(c) 回転(ピボット)式換気窓。

これは、前に述べた換気窓 (b) に似ていますが、上部で蝶番(ヒンジ)により固定されているのではなく、中央の回転軸(ピボット)により固定されており、上部は内側に、下部は外側に開きます。いくつかの点で、これは蝶番(ヒンジ)式換気窓 (b) よりも有利です。回転(ピボット)式は中心の軸に対して平衡状態にあり、その結果、開くのに必要な力が少なくて済みます。

しかし、大型の鉄骨コンサバトリーなど、各換気窓の面積が大きい場合や、開いたときに換気窓の突き出し面積を小限に抑えたい場合、および開閉時の力を特に考慮しなければならない場合を除いて、これらを使用することはめったにありません。

 一般的な栽培ハウスにおいて、回転(ピボット)式換気窓にはいくつかの欠点があります。

各換気窓の半分は内側に開くことになるので、その結果、近くにあるブドウ、植物、花などに干渉する可能性があります。

屋根の換気窓として使用すると、雨が外側ではなく内側へ傾斜に沿って流れ込む傾向があります。 

蝶番(ヒンジ)式換気窓よりも構造が複雑で、反対側の半分が留め継ぎの溶接部分に突き当たるので故障しやすくなります。

一方、回転(ピボット)式換気窓は、単純な蝶番(ヒンジ)式換気窓よりも見た目が少しすっきりしていて、もっと職人技が必要だと考える人もいることは認めなければなりません。

箱型換気口、小さな木製のシャッターなどに回転(ピボット)式を採用する必要はまったくありません。

(d) 開き戸タイプの換気窓、側面に蝶番で留めつけられたガラス窓。

栽培用のハウスでは、換気扇をこのように構築することはめったに推奨されません。第一に、各サッシを開くと、上から下へと空気が流入し、その結果、入ってくる空気全体を暖めることができないためです。第二に、同時開閉はそれほど簡単ではありません。

しかし、開き窓換気は、建築設計上、容易に適用できるので、多くのコンサバトリーや展示用ハウスにとって非常に便利な形式です。栽培ハウスの場合のように、空気が入るときに暖める必要がそれほどなく、垂直の高さ全体にわたって空気を入れるのが有利な場合があるからです。また、図 84 に示すように、両開きにして風向に対して風下側の窓が開くようにすると、風の悪影響を受けずに換気を行うことができます。


図 84.—開き窓の換気扇の平面図。


風が AからB 方向へ吹いている場合、実線で示した開き窓を開けて、点線で示した開き窓は閉じます。

風が D から C へ吹いている場合、点線の換気窓を開き、実線の換気窓は閉じます。

きちんと閉まるように、両開きでは中心柱に隅肉溶接がある場合もありますが、問題ありません。この開け方は簡単に実行できます。 

(e) 窓枠 窓サッシ

この換気方式は栽培ハウスでは実用的価値がありません。

重りを入れる重いケースは光を遮ります。

引き戸(スライド)式ガラス窓 (a) に示したように、開けた時、重なり合ったサッシバーとフレームが不快に感じられます。

同時に開くことができません。

換気装置「b」「c」「d」よりも高価で複雑です。

もちろん、植木鉢小屋、種苗室、果物室、その他のレンガ造りの建物など、通常の量の光と換気しか必要としない建物では役立ちます。

(f) スライディング式のシャッターまたはドア、引き戸

引き戸が役立つ場合もあります。たとえば、キノコハウスやそれに類するハウスの内側の窓など、通常暗くしておく必要がある場合です。しかし、レンガの壁の換気装置として時々使用される場合や特別な状況を除き、園芸作業では換気のために引き戸をつける必要はありません。

(g) 「ヒットアンドミス」格子。 無双格子

これらは通常、装飾的な鉄細工やガラス板で作られます。

The latter would not, under any circumstances, give sufficient ventilation for horticultural purposes, the former may be sometimes useful for fixing in the brick walls of houses having no vertical lights; for letting cold air into, or hot air out of, the spaces below the beds of forcing-houses; or for maintaining an equilibrium between the bottom heat and atmospheric heat of cucumber or melon houses, &c. 

無双のガラス板はどんな場合も園芸目的にかなう十分な換気を提供することはありませんが、無双格子は、側壁にガラス窓のないハウスのレンガ壁に取り付けたり、促成栽培ハウスの栽培ベッドの下のスペースに取り付けて、外の冷気を入れたり、熱蒸気を排出したりと、キュウリやメロンハウスなどの発酵底熱と大気熱を調整する時などに役立ちます。

(h) 同じ平面で、周囲の固定ガラスから平行またはその他の動きで開くガラス窓またはシャッター。

このシステムは、果樹園または温室の棟全体に沿って垂木と同じ方向に換気する方式で、少量の換気を確保するのに役立つことが往々にあります。ただし、温度が上昇する前に冷たい空気が葉に接触するため、一般的に好ましくないと考えられています。

さらに、このシステムには、ねじれ歪みが発生しやすく接合部がしっかりと閉じにくいため、このタイプの換気口(通気帯)が使用されている温室では燻蒸することがほとんどできないという欠点があります。

このような方式が組み込まれたハウスでは外側にブラインドを簡単に取り付けることができません。


図85.—アルキメデスのスクリュー式換気口。ホーワース社特許取得。


(i) 吸引式換気口

これは、中空の円筒内で、非常に速いピッチで回転するスクリューが付いていますです。回転しながら空気を吸い込み、風羽によって作動します(図 85 を参照)。

(k) スロットル換気装置は、主にトービンやその他の通気孔に使用されます。

暖房装置のある温室ではあまり使用されませんが、花室やコンサバトリーに導入すると効果的です。花室やコンサバトリーでは、入ってくる空気を任意の方向に送る必要があったり、建物内の空気と混合する前に冷たい空気の流れを熱いパイプに当てる必要があるので、そういった場合に有効です。

これらは、回転(ピボット)式換気窓 (c) と同様に、フタが平衡状態を保っていると言えます。なぜなら、開いている量や空気が通過する速度に関係なく、回転軸(ピボット)の片側の圧力が常にもう一方の圧力と釣り合うように開いたり閉じたりすることがないためです(図 86 を参照)。

図 86. —「スロットル」換気装置の縦断面。


(l) 恒久的な開口部

栽培ハウスに関して恒久的な開口部は、当然ながら、例外的とみなされるかもしれません。

この換気システムについて言及する理由は、新鮮な空気は常に、どんな状況でも必要ですが、新鮮な空気の流入を制御することも必要なことだからです。

それでも、恒久的な換気口を維持するために設けられた廊下や大きなウィンターガーデンなどに繋がるガラスが備わっていない鉄組みの小領域では空気の流れを制御することは求められていません。

密閉性に優れたドアやサッシなどでも、その周囲にある多数の割れ目は避けられない恒久的な換気口とみなすことができます。

一般的に園芸施設で求められるものを考えるにあたり、使用する換気装置はすべてかなりぴったりとフィットする必要があることを念頭に置くべきです。そうしないと、ハウスを燻蒸または燻煙にするのが難しくなる可能性があります。

もし可能であれば、暖房された温室に入る空気は、入室後できるだけ早く必要な温度に上げる必要があります。

一般的に言えば、下部換気口(入気口)はできるだけ低く、上部換気口(流出口)はできるだけ高くする必要があります。

また、一般的に言えば、下部換気口と上部換気口は建物の全長さにわたって設置される必要があります。

可能であれば、上部換気口は強風の影響を最も受けにくい位置に配置する必要があります。

すべての換気口のジョイントは、開いている時も閉っている時も雨が流れ込んでハウス内に滴り落ちないように構築する必要があります。植物を地面より高く持ち上げる必要がある場合、そのための栽培ベンチは状況に応じてさまざまな材料で作られます。

2025年2月11日火曜日

19世紀末の園芸施設:30. 栽培ベンチ

本項は英語で"Staging"となっています。植物の栽培や鑑賞用の置き台のことのようですが、現代風に「栽培ベンチ」としました。観賞用だと「ステージ」の方がぴったりくるのかもしれませんが。。。各種栽培ベンチの寸法まで事細かに書かれていて、当時の意匠的なこだわりが感じられます。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

栽培ベンチ

植物を地面より高く持ち上げる必要がある場合、そのための栽培ベンチは状況に応じてさまざまな材料で作られます。


木製の栽培ベンチ

植木鉢を支え、排水し、湿気がたまらないような栽培ベンチがほしい場合は、通常の厚板、たとえば 3 インチ x 1 インチの材木を1 インチ間隔であけてスノコにしたものに、短い間隔で支え棒を付けた格子細工が最適です。適切な長さの脚かレンガを支え棒とします。

これが「木製スノコベンチ」と呼ばれるものです。

栽培ベンチを計画する際は、スペースの節約と利便性を検討してください。1 つの通路で十分なら、通路を2つ設ける必要はありません。

ベンチは手が届かないような幅にしてはいけません。

ベンチとガラス面の間の距離をよく確認してください。

栽培する予定の植物の種類と高さにも注意してください。

栽培ベンチの計画の良し悪しは、こういった点すべてに注意を払っているかどうかによって決まります。

どの場合も、それぞれのメリットに基づいて決定する必要がありますが、次のヒントが役立つでしょう。


両屋根ハウスの栽培ベンチ。

幅が最大 12〜 13 フィート (3.6〜3.9 m) の両屋根温室では、中央に 1 本の通路を設け、その両側に平らなベンチを配置するのが最も経済的です(図 73 を参照)。

平らなベンチの最も便利な高さは床面から 2 フィート 6 インチ (75 cm) 、つまり通常の栽培ハウスの側面のガラス窓を支えているレンガ造りの側壁の高さとほぼ同じです。

通路が 2 フィート 9 インチ (82.5 cm) の一定の幅で、各側面の 幅9 インチ (22.5 cm) の壁に 4 インチ (10 cm) 幅の木組みの窓枠が施工されていると仮定した場合の最も経済的なベンチ幅は表 XII のとおりです。

図 73. 幅の狭い両屋根ハウスにおける栽培ベンチの平面配置図。


表 XII.—小型両屋根ハウスの栽培ベンチの寸法

通常の植物であれば4 フィート 9 インチ (142.5 cm)が平らなベンチで手が届く幅の限界です。

庭師にとって、手が届く範囲を越えると植木鉢や植物の世話が面倒になるだけでなく、側面の換気窓に同時開閉ギアが付いておらず別々に開けなければならない場合、各サッシの「セット オープン」が異常に長くなってしまい邪魔になります。さもなくば、庭師の腕が痛くなり、機嫌が悪くなるでしょう。

幅が 12〜 13 フィート (3.6〜3.9 m) を超える両屋根ハウスの場合は、必ず 2本の通路が必要です (図 74 を参照)。

すなわち、両サイドに2つと中央に1つの栽培ベンチができます。中央の栽培ベンチは最も便利で、必要に応じて平らなベンチにも段状のベンチにもできます。

各通路幅が2 フィート 9 インチ (82.5 cm) で、側壁の木枠部分の幅が 4 インチ (10 cm) だとすると、中央の栽培ベンチと両サイドの栽培ベンチに割り当てることができる寸法は表 XIII のようになります。

図 74. 幅の広い両屋根ハウスにおける栽培ベンチの平面配置図。

表 XIII. 大型両屋根ハウスにおける栽培ベンチの寸法


両サイドの栽培ベンチは通路に十分な頭上スペースを確保できる幅が必要です。ハウスの軒の高さが 5 フィート (1.5 m) で、屋根の傾斜が 1 フィート (30 cm) あたり 6 インチ (15 cm) 以上である場合、2 フィート (60 cm) 幅のサイドベンチであれば、隣接する通路の中央で約 6 フィート 6 インチ (205 cm) の頭上スペースを確保することができます。

段状の栽培ベンチの寸法については後で説明します。

1 つの両屋根温室が別の温室と直に繋がっている場合、または内部の配置が許す場合は、図 74 の両端に示すように、2 つの通路を 1 つに収束させる必要はなく、連続させることができます。これにより、ベンチのスペースが節約できます。

この配置は、図 74 を 1 つの温室ではなく、点線で仕切りとドアによって区切られた2 つの温室と見なすと、より明確になります。


片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける栽培ベンチ

片流れ屋根(立て掛け式)ハウスの栽培ベンチを計画するにあたり、非常に便利な方法が図 75 に示されています。

図 75. 片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける栽培ベンチの配置。

この図では、前面に平らな栽培ベンチがあり、端まで続いています。後壁には別の平らな栽培ベンチと段状の栽培ベンチがあります。

いずれにしても、前面のベンチを広くしすぎるのはお勧めできません。また、段状であっても、後ろのベンチが屋根のガラス面から離れすぎてしまう可能性があります。

片流れ屋根ハウスの長さが短すぎて前面のベンチを端で折るのが難しい場合は、図 76 に示すように、前面のベンチと後ろのベンチを同様にまっすぐに配置してもかまいません。

図 76. 短い片流れ屋根ハウスにおける栽培ベンチの配置。

通路の幅を 2 ​​フィート 9 インチ (82.5 cm) 、前面の壁で木枠が占める幅を 4_1/2 インチ (11.25 cm)とすると、表 XIV はさまざまな幅の片流れ屋根ハウスにおける前面のベンチと後壁のベンチに適した寸法を示しています。

表 XIV. 片流れ屋根ハウスにおける栽培ベンチの寸法

もちろん、幅の広い片流れ屋根ハウスでは、後壁のベンチの後ろの部分にもアクセスしやすいように、前面だけでなく後壁にも通路を設ける必要があるかもしれません。

その場合、通路は後壁に直接接している方がよいでしょうが、そこに占める栽培ベンチのスペースを完全になくす必要はありません。通路から張り出したヘッドライン上の小さな棚が後ろのベンチの上部にあると非常に便利です。

同じ一般的な注意事項が、3/4 スパンハウスの栽培ベンチの設計にも適用できます。


段状の栽培ベンチ

特に片流れ屋根(立て掛け式)ハウスでは、はしご、階段、または段状のベンチを地面から棟まで同じ幅の多数の小さな段で作るのが過去に流行しました。

これを今でも適切だと考える庭師もいるかもしれませんが、一般的には段の数は少なくして、上に行くほど幅を広くする方が有利であることがわかっています。

そうすれば、スペースを節約し、さまざまなサイズの植木鉢や植物をうまく配置できます。

後部の段状のステージの最初の段は、床面から 2 フィート 6 インチ (75 cm) の高さにするなどして、前面の平らな栽培ベンチと同じ高さにすることもあります。

それに続く段は6 〜 9 インチ (15〜22.5 cm) ずつ高くしていきます。

ただし、この点については、置く植物の高さなどに大きく左右されるため、一般的な規則を定めることはできません。

通常、段状のベンチの傾斜は屋根の傾斜ほど急にする必要はありません。前に草丈の低い植物を、後ろに草丈の高い植物を配置すれば、樹上の葉のラインは屋根とほぼ同じ傾斜になります。

植物の生育条件、屋根の傾斜、ハウスの幅などに応じて段状のベンチの寸法も変えなければなりません。

なお、表 XV は一般的に片流れ屋根のハウスの段状のベンチがどのような構成になっているかを示しています。もちろん、前の項の最後で説明したように、後ろに通路を設けずに、このような段状のベンチを後ろの壁まで伸ばすことが望ましいとした場合を仮定しています。

後ろのベンチの端を折る必要があるけれども、ハウスにそのための長さが足りない場合は、段数を減らすのがよいでしょう。

表 XV.—片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける段状ベンチの寸法

片流れ屋根ハウスでは16 〜18 フィート (4.8〜5.4 m) といった幅が必要になることはめったにありません。

両屋根ハウス用の段状ベンチは取り扱いがかなり簡単です。

通路に向かって両側に下​​りていく段となるため、このような段状の栽培ベンチは手が届きやすいものとなります。

片流れ屋根ハウスの段状のベンチのさまざまな条件に関する注意事項は、両屋根ハウスの段状のベンチにも当てはまりますが、一般的な用途には表 XVI の寸法が適切であることがわかっています。

表 XVI.  両屋根ハウスにおける段状ベンチの寸法

注意: 実際のベンチ全体は両側に段を形成するため、下の各段の幅の 2 倍に 最上段の幅を加えたものが中央の栽培ベンチの幅に等しくなります。

上記の栽培ベンチはすべて、ガラス屋根面の傾斜ラインとある程度まで対応しています。ただし、一部のコンサバトリーや花室の型ではガラス屋根面の傾斜ラインと対応しない場合もあります。

花を列状に見せたいけれども、それを純粋に自然な方法で作り出せない場合は栽培ベンチの最上段をガラス窓下の 2 フィート (60 cm) の高さの低い壁の上に置き、続く各段を地面に近づけるように下げていきます。この場合、栽培ベンチの傾斜方向は屋根の傾斜方向と反対になります。図 77 は、このベンチ配置を施工した八角形の小さなコンサバトリーを示しています。

このコンサバトリーの内部幅が 12 フィート (3.6 m) の場合、各段幅は 9 インチ (22.5 cm)で、中央に 5 フィート (1.5 m) の幅の舗装スペースが確保されます。

コンサバトリーのこのタイプのベンチの段は、栽培ハウスのベンチの段よりも幅が広くて、高さ方向の間隔は狭い方がよいでしょう。そうすることで、エッジによって形成される鋭いラインがそれほど目立たなくなります。

このような栽培ベンチに木製の脚を付ければ、前方の脚は回転させることができます。

図 77 - コンサバトリーにおける栽培ベンチの平面配置図

温水パイプや空きスペースを隠すために木製の格子(ラティス)を栽培ベンチの前方に固定することがあります。

段状のベンチが多数の狭い段で作られている場合、図 78 の断面図に示すように、多くの場合、支えがあります。

より広い段の場合、図 79 に示すようにとても優れた方法になります。

図 78.  狭い段で構成された段付き栽培ベンチの支えの断面図

図 79.  広い段で構成された段付き栽培ベンチの支えの断面図


固定ベンチ

多くの場合、縁に細長い帯を付けたスレート、石、またはコンクリートの棚を頻繁に使用する場合、植木鉢は湿らせておくことをお勧めします。

このクラスの栽培ベンチ、すなわち、すでに説明した通常の平らな格子状のスノコベンチは非常に安価で簡単に構築できる方式で、縁の周りを丸くして内側を亜鉛板(たとえば No. 20 B.W.G.)で裏打ちすれば非常に浅い防水ボックスができます。

ボックスの角や適切な間隔に穴を開け、余分な水分を排出するように栽培ベンチをこれらの穴に向かってわずかに傾斜させるようにします。

この浅いボックスに砂、細かい砂利、苔、またはその他の適切な材料を詰め、植木鉢をこの湿っているが水はけのよい上に置くか、または、このベンチを乾いた状態で使用して、洗った砂利または小石の薄い層の上に置き、栽培ベンチを満たすことができます。この砂利または小石は、鉢からの排水のための媒体となります。

この栽培ベンチは常に非常にすっきりとした外観で、安価であり、その木組みは​​、植木鉢の排水が滞らなければ腐りにくいです。

補足しますが、非常に重要な栽培ベンチは「イチゴ棚」です。

これは(必ずしもイチゴに限定されるわけではありませんが)ガラス面近く、前面のガラス窓の近くや両屋根ハウスの屋根の頂点の近く、または片流れ屋根ハウスや3/4スパンハウスの後壁の棟高さ近くに設置する必要があります。

このような棚に置かれた植木鉢は、過度の太陽光線から保護することが強く望まれます。これを行う簡単な方法は、イチゴ棚の片側または両側に、鉢とほぼ同じ高さの垂直の板を固定し、必要に応じて内部を亜鉛板で覆うか、そのまま使うかにして、こうしてできたボックスには排水穴を設け、必要に応じて湿った苔で過度の日射から鉢をさらに保護するようにします。

栽培ベンチが石、スレート、または亜鉛で覆われていて、暖房用の加熱パイプを通路の片側に配置する必要がある場合、片側のベンチの支柱を前面に少し引っ込めて、加熱パイプが邪魔にならないようにすることが望ましい。

一方、加熱パイプが外壁の横に設置され、栽培ベンチの前面が壁で支えられているなら、ベンチの下に多かれ少なかれ区切られた空間ができます。その場合は、熱がベンチを経由せずにハウスの内部に到達するように、外壁だけでなく内部にも換気装置を設置して空気の流れを作ることをお勧めします。

「キノコ栽培ハウス」の項( 80 ページ)に、こういったハウスに必要な棚の説明があります。


装飾用の鉄製ベンチ

装飾用の鉄製ベンチは栽培用ハウスにはほとんど不要で、主にコンサバトリーでのみ使用されます。

「展示ハウス」の 記事(63 ページ)で述べたように、展示目的で収集された植物や花は、できるだけ自然な方法でグループ化し、ベンチ方式を栽培ベッドやボーダーに採用しないでください。

コンサバトリーで栽培ベンチがどうしても必要になった場合は、装飾用の鋳鉄を使用しても問題ありませんが、塗装をしっかり行い、高くせず、目立たないように、できるだけ葉で隠れるようにする必要があります。

木製の格子状のベンチは鉄製よりもはるかに安価で、手入れをすれば長持ちし、著者の意見としてはあらゆる用途に応えるものです。

木製、スレート、石、またはコンクリート製の栽培ベンチの下のスペースは光がなくても熱を必要とする植物のためにしばしば利用されますが、鉄製のベンチの下に置かれた植物は錆びの滴りによる損傷を受けるものと考えなければなりません。 

2025年1月27日月曜日

19世紀末の園芸施設:29. 窓ガラスの開閉装置

   現代の換気窓の開閉は自動制御可能で、ガラス温室だとラックアンドピニオンのギア、プラスチックフィルムのトンネルハウスだとくるくる巻き上げ機、家庭用の小さなハウスだと形状記憶のウィンドウオープナー、が浮かびます。150年くらい前の本書に書かれている“セットオープン”は形状記憶なしのウィンドウオープナーといったところでしょうか。ラックアンドピニオンはあまりお勧めされていないようです。どれも人力が必要で大変そうです。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

窓ガラスの開閉装置

開閉装置とは、ハウスの屋根の窓ガラス(天窓)、側面の鉛直の窓ガラス(側窓)などに付けられた換気装置で、1 回以上の操作で開ける装置を指します。

窓ガラスの開閉装置は他の装置同様、最も単純な操作で動作するものが最良であることがわかります。

セットオープン 

垂直にスイングする窓ガラスを個々に開ける装置は、通常“セットオープン”のことです。窓ガラスの中央、上部、側面どこを支点にスイングするかに関りなく、通常のセット オープンは鉄製のアームまたは四分儀で、固定した垂直ピンに引っ掛けるための穴か、間隔をとって切り込みがつけられているものです。

セット オープンのアームの長さは、アームの位置や窓ガラスの前に置かれた栽培ベンチが幅広いか狭いかによって決まります。

栽培ベンチがなく、通路が垂直のガラス窓のすぐ近くにある場合、セット オープンはスイベル ジョイントを使っているので、開口部を閉じている時にアームが方立(ほうだて)または窓の下枠近くまで迫っても通常、支障ありません。

栽培ベンチを窓ガラスの前に設置する場合、セット オープンは常に開口部に対して直角になるようにしておく必要があります。そうしないと、セット オープンを伸ばした時にベンチ上の鉢を置くスペースを占拠してしまうからです。

天窓を個々に開く場合、各窓ガラスに穴の付いた四分儀で固定することができます。

穴に取り付けたひもを垂木または主梁に固定した小さな滑車に通して動かすだけで、窓ガラスを開くことができます。

必要に応じて、ひもの端にカウンターウェイト(釣り合い重り)を取り付けることもできます(図 71 を参照)。

あるいは、ひもを後壁に取り付けた滑車に通して都合のよい長さで固定するか、カウンターウェイトで留めます。



図 71.個々の天窓用の開閉装置。


開閉装置を必要としない小さな施設を除き、スライド式の窓ガラスは現在、ヒンジ付き換気装置に取って代わられ、事実上無くなっています。したがって、スライド式の窓ガラスの開閉の配置について、ここで説明する必要はないでしょう。


一斉開閉ギア

複数の垂直窓を一斉に開閉する最も一般的で最適な方法は、各方立に固定した小さなベアリングにロッドを通すことです。ロッドには、適切な間隔で、たとえば各窓に 2 本ずつ、エルボジョイントの端を固定し、もう一方の端は窓の下部のレールに取り付けます。



図 72.—レバー式の開閉ギア。


ロッドを部分的に回転させると、エルボジョイント全体がまっすぐになります。まっすぐになることでサッシが開く仕組みです。

ロッドを作動させるには、サッシの開き具合を調整できるように穴を開けた鉄の円弧に沿って動くレバーを、ロッドの任意の都合の良い位置にねじ込むだけです。

また、栽培ベンチ、栽培ベッド、またはボーダーが窓ガラスの前にある場合、ロッドを使用して、レバーを任意の都合の良い位置に固定すればよいのです(図 72 を参照)。

この図のエルボ ジョイントは、ロッドに固定された歯車付きのピニオンで動作するラック セット オープン(ラックアンドピニオン)よりも優れています。

窓ガラスが閉じているとき、このような“ラックセットオープン”はハウスの中にロッドが突き出るので植物や花に当たりがちです。一方、エルボジョイントは閉じているときも開いているときも、植物や鉢に接触することがありません。

ギアの接続部分に「遊び」が生じないように注意する必要があります。そうしないと、風で窓ガラスがガタガタと鳴り、大きな問題が生じる危険があります。

上記のレバーと四分儀の代わりに、特に駆動力が必要で速度を犠牲にする場合は、回転ロッドを作動させるウォームアンドピニオンを使用することがあります。

しかし、実際には、どうしてもウォームアンドピニオンが必要な場合を除き、レバーギアが好まます。ピニオンがウォームに対して摩耗して、しばらくすると、わずかな不快な「遊び」が発生することがほぼ確実だからです。


ウォーム(上の棒)とピニオン(下の歯車)の組み合わせ
(ウォーム(上の棒)がガラス窓を押すことで窓が開く。)



ラック(下の棒)とピニオン(上の歯車)の組み合わせ
(ラック(下の棒)がガラス窓を押すことで窓が開く。)

ここまでは、垂直の窓ガラス(側窓)に関して説明しましたが、屋根やその他のヒンジ付き換気装置についても同様です。

一斉開閉装置の強度は、開閉する窓ガラスの重量に合ったものにすることを忘れてはいけません。

窓ガラスが重くバランスが崩れやすいほど、操作に必要な力は大きくなります。

ロッドに埋め込まれたキー溝または止めねじのいずれかによって、セットオープンがロッドに沿ってしっかりと固定されているよう注意する必要があります。そうしないと、セットオープンの一部がわずかに位置を変える可能性があります。

この場合、すべての換気窓、すべての部品が同時に閉じなくなります。フレームに力がかかって歪み、大きな不都合が生じることとなります。

換気窓の一斉開閉を実現するために、さまざまなメーカー会社がさまざまな工夫をしていますが、通常、上記のシステムが最も有利であるとして採用されています。

時には、チェーン ギアによって操作者が換気装置を一斉に開閉することも可能ですが、芝刈り機、牽引エンジン、またはあらゆる種類の動力を伝達するチェーン ギアを扱う経験が豊富な人なら、園芸施設にそれを導入することに躊躇するでしょう。


一斉開閉ギアの使用

一斉開閉のギアは慎重に使用する必要があります。

通常、垂直の窓ガラス(側窓)に簡単に手が届く大きさの小規模や中規模のハウスでは、一斉ギアは役に立たないどころか悪影響を及ぼします。

風向きの影響やハウス内の特定の場所の植物を外気の直撃から護る必要があるため、特定の換気窓だけを開けて、近くの換気窓は閉じたままにしたほうが良いことがよくあります。

一斉開閉ギアを使用する場合は、一定数の窓ガラスを同時に同じだけに開けることになります。

垂直の窓ガラス(側窓)が通路から少し離れていて、手が窓ガラスに届くにはブドウを植えたボーダーを踏む必要がある場合、促成栽培ハウスの栽培ベッドが 4 フィートまたは 5 フィート幅の場合、ハウスの栽培ベンチが通路と窓ガラスの間にある場合は、長くて扱いにくいセットオープンを各窓ガラスに設置するか、または、より望ましいのは、一斉ギアを使用するべきです。

連続する複数の換気用の窓ガラスをまとめてフレーム化することもあります。

この場合、一斉ギアは個別の窓ガラスと同じ方法でフレームに取り付ける必要があります。開口部のベアリングが少なすぎると、フレームがどうしても歪んだりねじれたりします。

前壁にある垂直の換気窓では、窓ガラスをまとめてフレーム化することは、将来的に窓ガラスを個別に開く可能性があるので、好ましくありません。

このことは屋根の換気装置(天窓)には当てはまりません。屋根の換気窓を個々に開閉する必要性はほとんどないからです。

通常、1 つの用途に限られる、仕切りのない長い園芸施設を除き、上部または下部の換気窓を約 20 ~ 25 フィート(6 ~ 7.5 m)以上にわたって同時に開くような換気はお勧めできません。

2025年1月14日火曜日

19世紀末の園芸施設:28. 誘引ワイヤー

    現在のトマト栽培の商業温室では誘引してつるおろしをしていく温室独自の仕立てが確立されていますが、19世紀の温室では庭での方法を素直に持ち込んだようで面白かったです。当時、温室独自と呼べるのはガラス面近くに誘引する点でしょうか。ガラス面近くだと温度変化が激しそうですが、受光を最優先で考えたんでしょうね。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

誘引ワイヤー

ガラス温室の内部に取り付ける誘引棒、誘引ワイヤーは3種類に分けられます。すなわち、、屋根用、後壁(立て掛け式ハウスの場合)などの壁用、屋根や壁で支えられていない独立タイプです。

これらは、垂直 (サッシ バー(窓の桟)と平行)に固定するか、水平 (サッシ バーに直角)に固定するか、あるいは垂直と水平両方に固定する場合があります。

鉄製の誘引棒がよく使用されますが、その厚みによってはひっぱりをかけずに棒だけで支えることができ、長さに関係なくしっかり誘引できます。しかし、鉄製の棒は高価で扱いにくく、重く、通常誘引する植物が必要とする力に比べて過大で釣り合いが取れていません。

バーミンガムのワイヤ ゲージ 12 番程度の亜鉛メッキの鉄線は、適切なひっぱりを間隔を置いてかければ支えにできます。軽くて安価で、必要な強度があり、ほとんどの誘引に使えます。

垂直のワイヤー

ガラス面の直下に誘引する必要があるブドウ、メロン、キュウリなどの場合は次の配置が最も簡単で有利であることがわかります。

(立て掛け式の)ハウスの片流れの屋根で、主要な垂木とそれに対応するマリオン(方立、建物の開口部に設ける垂直な部材。)が 4 ~ 5 フィート (1.2~1.5 m) 離れており、中間のサッシバー(窓の桟)が 10 インチ (25 cm) ~ 1 フィート (30 cm) 間隔だとします。

1 本のワイヤーを各サッシバーと垂木と平行にし、約 10 インチ (25 cm) 下に置きます。
これを行うには、2 本の平らな鉄棒を縦方向にして、間隔​​を置いて後壁と前壁に必要な高さで固定し、後壁では壁に穴をあけて留め、前壁では各マリオン(方立)にボルトで固定します。

この 2 本の平らな鉄棒に対して、間隔をとってサッシ バーに取り付けたねじのワイヤーガイドのくぼみにワイヤーを通して固定し、端は通常の締め付け器具「raidisseur(鉄線張り器)」(図 70 を参照)のソケットの右ねじと左ねじ、または長いねじとバックナットによってワイヤーの長さを調整して張ります。


垂直ワイヤーの取り付けは多分こんな感じ

この方法はシンプルで、木や鉄の骨材の塗装も簡単にできますし、構造的にもしっかりしたテンションロッドとして機能し、後壁と前壁の横方向にかかる力にも対抗するのに役立ちます。


図 70 raidisseur(鉄線張り器)

ハウスが片流れ屋根ではなく両屋根の場合、鉄棒は各側面のマリオン(方立)にしっかりと固定し、ワイヤーは棟板にねじ込まれたアイまたは棟の下に吊り下げられた 3 番目の平らな鉄棒の穴に通した後、その間に張ります。鉄棒またはアイはガラス面から適切な距離にとるように注意してください。

この方式なら、庭師はこのバーに沿ってワイヤーを動かしたり、いろいろな方法でグループにまとめたり、完全に取り外したり、交換したりといった作業を非常に簡単にできることがわかります。

両屋根ハウスのワイヤーを調整しなくてもよい場合は、縦方向のバーの 1 つを省略し、その側のワイヤーは木組み(木骨部材)に直接固定することもできます。

もちろん、さまざまな形状や外観のハウスにあわせてこのシステムは調整が必要でしょうが、上記の説明はほとんどの場合に参考になるものです。

時には3 本の平行な垂直ワイヤーを各マリオンにねじ込んだ留め具を使って X 字型に張ることがあります。この場合の留め具には両端と上部部材の中央に穴があり、幅は 18 インチなので、ワイヤーを 9 インチ (22.5 cm) 離して張ることができます。

この方法は明らかに前述の配置方法ほど強力ではなく信頼性も高くありません。

水平のワイヤー

サッシバー(窓の桟)と直角の向きにワイヤーを張ることもありますが、その場合、屋根の骨材に簡単に塗装できないほか、横方向の力への対抗力がないので、サッシバーと平行のワイヤーほど有利ではないことが一般的です。

サッシバーに直角と平行に(縦横に)ワイヤーを張る場合も時々みかけますが、そうすると屋根に上がって修理などを行うのが難しく、余計な費用がかかる上に、​​あえてそうする目立った利点もないため、推奨しかねます。

温室の後ろの壁で果樹やその他の樹木を支える必要がある場合、壁に水平ワイヤーを約 10 ~ 12 インチ (25~30 cm) 間隔で張り巡らせれば簡単に誘引を行うことができます。各ワイヤーは、一方の端をステープルで固定し、もう一方の端を「raidisseur(鉄線張り器)」またはその他の締め付け方法 (上記に詳述) で固定し、壁に約 10 フィート (3 m) 間隔で打ち込んだガイド アイにワイヤーを通していきます。

張り巡らすことができるワイヤーの長さは、末端の留め具の強度によって異なりますが、通常 100 ~ 150 フィート (30~45 m) までの長さであれば簡単に張り巡らすことができます。

片流れ屋根のモモ栽培ハウスでは後壁面にワイヤーを張ることができるのが普通ですが、ブドウの木は後壁面にワイヤーを張っても必ずしも利点があるわけではありません。

桃の木は一般に幹がブドウほど長くなく、ブドウの木ほど樹がハウスに入射する太陽光線を遮ることもないからです。

固定支柱

屋根や壁で支えのないハウス内でエスパリエなど樹木を仕立てる必要がある場合、必要な高さの錬鉄製の支柱を間隔をあけて地面に打ち込むかレンガ部分に固定し、この支柱に約 10 インチ(25 cm) 間隔で穴を開けてワイヤーを通すことにより、木を誘引して仕立てることができます。

もちろん、このようなワイヤー1本ごとに両端に2 つの強力な支柱が必要であり、そのうちの 1 つにワイヤーを固定して、もう 1 つの端に「raidisseurs 」などで張力をかけます。

この方法は、立て掛け式のモモハウスなどの栽培施設で多用されています。そこでは、前壁のボーダーに植えられた樹木の幹があまり伸びないように、また、補充用の樹木が後壁に沿って仕立てられているため、屋根全体にワイヤーを張ることは望ましくありません。


誘引ワイヤーを配置するのに次のような方式を時々見かけますが、ここではその否定的な面についてのみ言及しましょう。

その方式とは、ハウスの奥行き方向に対して横向きに、間隔を置いて垂直のトレリスを固定し、各トレリスにアーチ型の通路を設けることで、通路用のスペースを確保する方法です。

このようなトレリスに誘引された木は、ガラス面へと伸びてゆき、ハウスの奥行き方向に一連の樹木の仕切りを形成します。

もちろん、この方法は、通常の方法 (つまり、屋根や前壁に平行に沿った平面トレリス) で仕立てられた場合よりも広い領域を活用できます。ハウスが南向きの立て掛け式で傾斜屋根の場合、後壁が葉影であまり覆われない箇所を一定の間隔で確保できます。

しかし、木々の間隔が狭い場合 (そうでない場合、スペースを節約する利点が失われます)や妻面が南を向いているハウスの場合は、あるときは木々が互いに影を落とし、あるときは太陽は端だけに当たることは明らかです。

どちらの場合も、太陽光線の恩恵を十分に受けることができません。

さらに、枝のほとんどはガラスから遠く離れていることになり、後壁に日が当たるのは正午のわずかな時間だけです。

ハウスが立て掛け式の片流れ屋根でなく、南北棟または東西棟の両屋根ハウスでも同様の不都合が生じるでしょう。

トレリス

木製で塗装された格子状のトレリスは、グリーンハウスの後壁でつる植物を支えたり、小さな壁面トレリスにしてむき出しのレンガを隠したり、栽培ベンチの前の温水パイプを隠したりできるので便利です。

ただし、トレリスは慎重に使用し、修理、清掃、塗装などのために持ち運び可能な大きさのパネルや部材にしておいて簡単に取り外せるようにする必要があります。

木製のトレリスは注意を怠らず定期的に手入れしないと、ガラス温室の貴重な栽培植物に害を及ぼす虫の巣になる可能性があります。

展示鑑賞用のハウスで使用するトレリスは、きれいな幾何学模様にすれば、多くの場合、効果的です。そして、持ち運び可能なものにしておけばいつでも利用することができます。



19世紀末の園芸施設:33. 照明

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