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2025年2月24日月曜日

19世紀末の園芸施設:31. 換気

 ここでの換気はもっぱら、機械式の換気扇を使わない自然換気を指しています。そのため、換気装置として、開閉するガラス窓や換気筒、換気口があげられています。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

換気


一般原則

植物は主に根から栄養を摂取しますが、葉は肺のような役割を果たしており、その機能を果たすためには空気が必要です。

葉の気孔、葉の呼吸器官は動物の呼吸器官と同様、常に空気を必要としています。

したがって、栽培上、植物が限られた空間で栽培される場合、空気を常に入れ替える適切な手段(換気)が必要になります。

換気の問題は、植物や花の温室栽培では非常に重要なので、いくつかの関連基本原則とその適用に特別な注意を払う必要があります。

特に、植物は動物とは異なり、特に温度の変化や冷気流などの影響を受けやすく、これらの悪影響から逃げるすべがありません。

換気や空気の流れを支配する原理はあらゆる偉大な物理法則と同様に非常に単純ですが、適用するとなると複雑です。

その原理は「空気は加熱されると膨張し、冷却されると収縮する」ということです。

そのため、熱い空気は上昇し、冷たい空気は下降します。

華氏32度(0℃)の空気の体積を1000とすると、温度によって体積は次のように変化します。


表 XVII.— 異なる温度における空気の相対的な体積

さて、空気は温度が上昇すると体積が増加するため、ある一定の空間を占める空気の重さは温かい方が冷たい空気より軽くなります。言い換えれば、冷たい空気の比重は熱い空気の比重より大きいということです。

したがって、熱い空気の塊が冷たい空気の塊の近くにある場合、冷たい空気塊は熱い空気塊を上方に押し上げます。

すなわち、熱い空気が上昇するのは、熱い空気独自の力によるものではなく、単に同じ空間にあるそれほど熱くない重い空気とのバランスが崩れるためであることがわかります。

熱い空気でも接触する空気がより熱ければ、間違いなく下降します。


ここまでは上下方向の動きについてのみ述べました。

加熱された空気は周囲の冷たい空気によって上方に押し上げられますが、冷たい空気は代わって加熱された空気のあった場所に下降するだけでなく、斜め、水平、または円形の動きをすることがあります。

流路に直接、障害が生じるかもしれません。その動きが他の流れを「誘発」する場合もあります。

また、条件の組み合わせによっては、空気のような移動可能な物質が、厳密に自然の法則に従っているにもかかわらず、一見、目的なく移動しているように見える場合があります。


園芸施設の換気について議論する前に、温度変化が空気の流れに影響を及ぼす簡単な例を 1 つか 2 つ挙げてみましょう。

図 80 は、部屋 ABCD の垂直断面を表しています。

図 80. 部屋の鉛直断面とその空気の流れの方向


図80において、最初は、部屋には空気の流入口も流出口もなく、内部の空気と周囲の壁は同じ温度に加熱されているとします。その場合、部屋に空気の流れはありません。しかし、いったん側壁 AD が冷却されると、この壁に接する空気は熱の一部を奪われ、残りの空気よりも重くなってすぐに下降し始めます。

空気が下降すると、矢印で示すような別の流れが誘発されます。

また、側壁 BC が室内の空気の温度よりも高温になると、壁 BC に近い部分の空気が上昇し、壁 AD が室内の温度よりも低く冷却された場合とほぼ同じ原理で同じ方向に空気の流れが発生します。


図 81. 部屋の鉛直断面とその空気の流れの方向

別の例、図 81 の部屋 ABCD を見てみましょう。この部屋では、内部の空気と壁が同じ温度に加熱されていますが、内部の温度は外部の空気よりも高いとします。

この場合、天井と床に E と F の開口部が作られると、空気塊 E F は外部の空気よりも暖かいため、すぐに上昇します。

しかし、部屋の右側部分の空気塊は、十分な換気が行われないままになる可能性が高いです。

E と F の開口部の代わりに、E と G に開口部を設けると (図 81 の点線を参照)、一方の開口部からもう一方の開口部へ空気が移動しますが、部屋のD に近い部分は空気が滞留し、実際に空気の入れ替わりが生じない部分になります。

表 XVII からわかるように、上昇する暖かい空気と下降する冷たい空気の温度差が大きいほど、比重の違いも大きくなり、その結果、温度の違いによって生じる気流の速度も大きくなります。


ここまでは、移動する空気塊を 1 つだけとして扱ってきました。

一般的に言えば、断面積の大きい空気塊 1 つではなく、小さな空気塊が複数ある方が気流の速度が増加します。

また、非常に多数の微小な気流がある場合は、速度はさらに小さくなります。

空気塊に関するこれらの 3 つのモードは、大きく開いた換気窓の場合、多数の 2 インチの穴が開いている場合、穴の開いた亜鉛板または金網を通過する場合に相当すると考えることができます。最初の例(モード)ではそよ風が感じられ、2 番目の例(モード)ではすきま風が感じられ、3 番目の例(モード)ではおそらく最初の例よりもそよ風は弱くなるでしょう。

したがって、園芸施設の換気は、入気口と排気口の位置と大きさ、および熱放射面の位置と放射強度によって、上昇する空気塊、その速度および内部の空気交換の能力を調整して、必要な時に適切な方法で新鮮な空気を取り入れ、汚染された空気を排出する必要があります。

換気したい部分を除く周辺の空気がすべて完全に静止しているならば、換気は非常に調整しやすいのですが、特に園芸施設のように、内部と外部の空気の温度が常に変化し、一定の風、渦を伴う気流、あちこちにある障害物の存在があれば、状況はより複雑化します。

工場、大規模な施設、邸宅などの建物では、比較的簡単かつ経済的に機械換気を導入することができます。たとえば、換気扇は入気扇、排気扇の 2 つの異なる方法で利用できます。

この場合、空気はポンプで送り込んだり、排出したりすることができ、汚染された空気と新鮮な空気、暖かい空気と冷たい空気の間の適切なバランスを維持することができます。

あるいは、煙突シャフト(煙突の排気筒の部分)を排気装置として使用することもできます。

このようなシャフトの底で火を焚くと空気塊が常に動くため、この流れを利用すれば、どんな部屋や建物でも必要に応じて空気を入れ替えることができます。

この原理を果実室に応用するには、小さなシャフトを屋根か部屋から屋外へ通して、そのシャフトの下部でガスを燃焼させるだけで簡単に換気できます。

風で動くスクリュー回転式の換気装置も、空気を排出するために使用できます。

しかし、ガラスで作られた園芸施設(ガラス温室)では、温水装置による暖房よりも機械的な方法で換気する方が難しく、ほとんど不可能に近いです。

ただし、注意深く、それぞれのケースを独自のメリットに基づいて対処すれば、十分かつ効率的な換気が可能です。


園芸施設への応用

空気の流れは空気塊ごとに比重が異なることによって生じるという大原則と、そこから生じる偶発的な状況を踏まえ、温湯暖房装置がある温室(温室形状は問わない)を例に、換気や新鮮な空気の供給を常に維持するための作業を簡単にまとめてみましょう。

まず、暖房装置が作動しておらず、室内の気温が外気温と同じであると仮定します。なお、暖房装置は地面の近くに設置されており、換気口も地面の近くと屋根の頂点の近くにあると仮定します。この場合、空気の流れは生じず、したがって換気も行われません。


図 82 または 83 のハウスを仮定しましょう。

図 82.— 両屋根ハウスの空気の流れの方向を示した鉛直断面図。

図 83.—片流れ屋根(立て掛け式)ハウスの空気の流れの方向を示した鉛直断面図。


暖房装置 A が作動すると、その上の空気塊は加熱され、膨張し、上昇を始めます。

C の流出口はこの軽い空気塊が上昇して屋根を通過することを可能にし、B の流入口からは、より重い空気が入り、空気が入れ替わることを可能にします。

B から入ってくるこの重い空気は、パイプ A によってすぐに加熱され、膨張し、上昇し、この動作が何度も繰り返されます。

しかし、この空気の入れ替えは非常に迅速に行われるため、ハウス内の温度は、植物の要求に応じた温度にまで達しない可能性があります。

その場合、2 つの対策があります。

暖房装置のパワーを増すか、または、もっと良い方法は、まず C の流出口の開口面積を縮小し、次に B の流入口の開口面積を縮小します。

多くの場合、園芸施設の効果的な換気はこういった方法を適切に組み合わせることができるどうかにかかっています。


図 82 と 83 は、小さなハウスを表していると考えてください。

中規模以上の大きさのハウスの場合、それぞれのハウス内で空気を均等に暖め、空気がよどんで入れ替わらない状態ができないようにするためには、温水パイプを図 82 のように床の中央近くか、図 83の D のように後ろの壁近くに配置する必要があります。

B 以外の流入口が必要になる場合もあります。たとえば、水平のシャフト(排気筒)で新鮮な空気を D 地点に運ぶ必要がある場合です。

一般的に、暖房のあるハウスの場合、流出口の合計面積は流入口の面積よりはるかに小さくします。

実際、棟に沿った狭い通気帯が流出口として最も効果的であることがよくあります。流入口としては、側壁下部のガラス面に沿った、幅が広めの通気帯を利用します。このようにすれば、ハウスのどの部分も空気がよどみにくくなります。

さらに、空気塊が流出口 C から流出するときに流れを妨げる外部の障害があると逆流する恐れがありますが、内部と外部の空気の温度差が大きいほど、すなわち、換気速度が速いほどそれを克服しやすくなります。

ただし、流出口 C が流入口 B よりも大きく、外部の風が優勢な場合は、流れが逆転し、冷たい空気が C から流入し、B から流出する可能性があります。この影響は注意が必要です。可能であれば、冷たい空気がハウスの上部から入り、暖房装置に到達する前に植物上を通り抜けないようにする必要があります。

一方、暖房のない果樹ハウスなどでは、換気口に別の役割、つまり開けることで日中は太陽で暖められた外気をたっぷりハウス内に取り込むこと、そして、閉じることで夜間外気温が下がっても内部に昼間暖められた空気を保持することが求められます。


換気口の形状

換気口にはさまざまな種類があります。

(a) 引き戸(スライド)式のガラス窓。

(b) ガラス窓またはシャッター、上部に蝶番が付いており、弧を描くように開くタイプ。

(c) ガラス窓またはシャッター、中央を回転軸として、上部は内側に開き、下部は外側に開くタイプ。

(d) ガラス窓またはシャッター、側面の蝶番に吊り下げられ、開き戸のように開きます。

(e) 窓サッシ。

(f) 引き戸(スライド)式のシャッターまたはドア。

(g) 無双格子または窓ガラス。

(h) 平行またはその他の動きで周囲の固定ガラスから引き下ろして、重なって同じ平面となるガラス窓またはシャッター。

(i) 吸引式換気口。

(k) スロットル式換気口。

(l) 恒久的な開口。


(a) 引き戸(スライド)式のガラス窓。

このタイプは屋根の換気口として、最近までごく普通に使用されていましたが、現在では次の理由から一般に利用されなくなっています。

- 扱いにくく、調整すると大きな摩擦が生じやすくなります。

- スライドする部分の垂木は異常に厚く重いものが必要で、それが太陽光線を不必要に遮り、虫や湿気の場所を増やす原因となります。

- 引き下げた時には、スライドしたガラス窓のサッシバーと、固定フレームのサッシバーの少し離れた位置が重なって、さらに太陽光線を遮えぎってしまうことになります。

- 開けた時に雨が直接ハウスの中に入り、風下になった場合は雨と冷気がハウス前面の内側に向かって吹き込みます。確かに、雨が流れ込むのが常に必ず好ましくないというわけではありませんが、多くの場合、低温の雨はハウス内の植物に当たらないようにするべきです。

- このような引き戸(スライド)式のガラス窓に対する他の反対意見として、重りで個別にガラス窓の開閉バランスをとることはできるものの、一度に複数のガラス窓を開閉する場合、摩擦が働いて同時に操作するのは困難になります。

しかし、引き戸(スライド)式のガラス窓はキュウリのフレームなどでは依然として非常に便利なものとして使用されています。

フレームで使用する場合、ガラス窓が上下にスライドできると、フレームの最も高い部分と最も低い部分を開けることができるので、換気が十分に行えます。また、加温されたフレームの場合、外の冷気が最初にフレームの熱いパイプ近くを通過するようにできるので、より効果的です。

引き戸(スライド)式のガラス窓は、壁面樹木の覆いのように、一年のうちの一定期間ガラス窓を完全に取り外す必要がある場合にも有利です。

(b) 上部に蝶番が付いていて、開いた時に弧を描くガラス窓

このタイプは栽培用ハウスの正面の換気だけでなく、屋根の換気にも簡単に利用できます。

この方式は開閉時の摩擦を最小限に抑えることができます。

必要に応じて同時開閉も容易です。

雨が吹き込む可能性はそれほど高くないでしょう。

このタイプであれば、開閉がない場合の断面寸法と同じにできます。

これにより太陽光線による遮蔽は最小限に抑えられます。

このタイプを組み立てる際、他のほとんどの換気システムよりも複雑さが少なく、園芸栽培施設に最適な換気システムであると考えてよいでしょう。

このシステムは、レンガ造りの壁に組み込むボックス換気システム、促成栽培用ピットの下部換気システム、壁面樹木の覆いなど、側壁にガラスフレームの換気口を設置するには高さが足りない場合、木製の換気システムが必要な場合にも活用できます。

(c) 回転(ピボット)式換気窓。

これは、前に述べた換気窓 (b) に似ていますが、上部で蝶番(ヒンジ)により固定されているのではなく、中央の回転軸(ピボット)により固定されており、上部は内側に、下部は外側に開きます。いくつかの点で、これは蝶番(ヒンジ)式換気窓 (b) よりも有利です。回転(ピボット)式は中心の軸に対して平衡状態にあり、その結果、開くのに必要な力が少なくて済みます。

しかし、大型の鉄骨コンサバトリーなど、各換気窓の面積が大きい場合や、開いたときに換気窓の突き出し面積を小限に抑えたい場合、および開閉時の力を特に考慮しなければならない場合を除いて、これらを使用することはめったにありません。

 一般的な栽培ハウスにおいて、回転(ピボット)式換気窓にはいくつかの欠点があります。

各換気窓の半分は内側に開くことになるので、その結果、近くにあるブドウ、植物、花などに干渉する可能性があります。

屋根の換気窓として使用すると、雨が外側ではなく内側へ傾斜に沿って流れ込む傾向があります。 

蝶番(ヒンジ)式換気窓よりも構造が複雑で、反対側の半分が留め継ぎの溶接部分に突き当たるので故障しやすくなります。

一方、回転(ピボット)式換気窓は、単純な蝶番(ヒンジ)式換気窓よりも見た目が少しすっきりしていて、もっと職人技が必要だと考える人もいることは認めなければなりません。

箱型換気口、小さな木製のシャッターなどに回転(ピボット)式を採用する必要はまったくありません。

(d) 開き戸タイプの換気窓、側面に蝶番で留めつけられたガラス窓。

栽培用のハウスでは、換気扇をこのように構築することはめったに推奨されません。第一に、各サッシを開くと、上から下へと空気が流入し、その結果、入ってくる空気全体を暖めることができないためです。第二に、同時開閉はそれほど簡単ではありません。

しかし、開き窓換気は、建築設計上、容易に適用できるので、多くのコンサバトリーや展示用ハウスにとって非常に便利な形式です。栽培ハウスの場合のように、空気が入るときに暖める必要がそれほどなく、垂直の高さ全体にわたって空気を入れるのが有利な場合があるからです。また、図 84 に示すように、両開きにして風向に対して風下側の窓が開くようにすると、風の悪影響を受けずに換気を行うことができます。


図 84.—開き窓の換気扇の平面図。


風が AからB 方向へ吹いている場合、実線で示した開き窓を開けて、点線で示した開き窓は閉じます。

風が D から C へ吹いている場合、点線の換気窓を開き、実線の換気窓は閉じます。

きちんと閉まるように、両開きでは中心柱に隅肉溶接がある場合もありますが、問題ありません。この開け方は簡単に実行できます。 

(e) 窓枠 窓サッシ

この換気方式は栽培ハウスでは実用的価値がありません。

重りを入れる重いケースは光を遮ります。

引き戸(スライド)式ガラス窓 (a) に示したように、開けた時、重なり合ったサッシバーとフレームが不快に感じられます。

同時に開くことができません。

換気装置「b」「c」「d」よりも高価で複雑です。

もちろん、植木鉢小屋、種苗室、果物室、その他のレンガ造りの建物など、通常の量の光と換気しか必要としない建物では役立ちます。

(f) スライディング式のシャッターまたはドア、引き戸

引き戸が役立つ場合もあります。たとえば、キノコハウスやそれに類するハウスの内側の窓など、通常暗くしておく必要がある場合です。しかし、レンガの壁の換気装置として時々使用される場合や特別な状況を除き、園芸作業では換気のために引き戸をつける必要はありません。

(g) 「ヒットアンドミス」格子。 無双格子

これらは通常、装飾的な鉄細工やガラス板で作られます。

The latter would not, under any circumstances, give sufficient ventilation for horticultural purposes, the former may be sometimes useful for fixing in the brick walls of houses having no vertical lights; for letting cold air into, or hot air out of, the spaces below the beds of forcing-houses; or for maintaining an equilibrium between the bottom heat and atmospheric heat of cucumber or melon houses, &c. 

無双のガラス板はどんな場合も園芸目的にかなう十分な換気を提供することはありませんが、無双格子は、側壁にガラス窓のないハウスのレンガ壁に取り付けたり、促成栽培ハウスの栽培ベッドの下のスペースに取り付けて、外の冷気を入れたり、熱蒸気を排出したりと、キュウリやメロンハウスなどの発酵底熱と大気熱を調整する時などに役立ちます。

(h) 同じ平面で、周囲の固定ガラスから平行またはその他の動きで開くガラス窓またはシャッター。

このシステムは、果樹園または温室の棟全体に沿って垂木と同じ方向に換気する方式で、少量の換気を確保するのに役立つことが往々にあります。ただし、温度が上昇する前に冷たい空気が葉に接触するため、一般的に好ましくないと考えられています。

さらに、このシステムには、ねじれ歪みが発生しやすく接合部がしっかりと閉じにくいため、このタイプの換気口(通気帯)が使用されている温室では燻蒸することがほとんどできないという欠点があります。

このような方式が組み込まれたハウスでは外側にブラインドを簡単に取り付けることができません。


図85.—アルキメデスのスクリュー式換気口。ホーワース社特許取得。


(i) 吸引式換気口

これは、中空の円筒内で、非常に速いピッチで回転するスクリューが付いていますです。回転しながら空気を吸い込み、風羽によって作動します(図 85 を参照)。

(k) スロットル換気装置は、主にトービンやその他の通気孔に使用されます。

暖房装置のある温室ではあまり使用されませんが、花室やコンサバトリーに導入すると効果的です。花室やコンサバトリーでは、入ってくる空気を任意の方向に送る必要があったり、建物内の空気と混合する前に冷たい空気の流れを熱いパイプに当てる必要があるので、そういった場合に有効です。

これらは、回転(ピボット)式換気窓 (c) と同様に、フタが平衡状態を保っていると言えます。なぜなら、開いている量や空気が通過する速度に関係なく、回転軸(ピボット)の片側の圧力が常にもう一方の圧力と釣り合うように開いたり閉じたりすることがないためです(図 86 を参照)。

図 86. —「スロットル」換気装置の縦断面。


(l) 恒久的な開口部

栽培ハウスに関して恒久的な開口部は、当然ながら、例外的とみなされるかもしれません。

この換気システムについて言及する理由は、新鮮な空気は常に、どんな状況でも必要ですが、新鮮な空気の流入を制御することも必要なことだからです。

それでも、恒久的な換気口を維持するために設けられた廊下や大きなウィンターガーデンなどに繋がるガラスが備わっていない鉄組みの小領域では空気の流れを制御することは求められていません。

密閉性に優れたドアやサッシなどでも、その周囲にある多数の割れ目は避けられない恒久的な換気口とみなすことができます。

一般的に園芸施設で求められるものを考えるにあたり、使用する換気装置はすべてかなりぴったりとフィットする必要があることを念頭に置くべきです。そうしないと、ハウスを燻蒸または燻煙にするのが難しくなる可能性があります。

もし可能であれば、暖房された温室に入る空気は、入室後できるだけ早く必要な温度に上げる必要があります。

一般的に言えば、下部換気口(入気口)はできるだけ低く、上部換気口(流出口)はできるだけ高くする必要があります。

また、一般的に言えば、下部換気口と上部換気口は建物の全長さにわたって設置される必要があります。

可能であれば、上部換気口は強風の影響を最も受けにくい位置に配置する必要があります。

すべての換気口のジョイントは、開いている時も閉っている時も雨が流れ込んでハウス内に滴り落ちないように構築する必要があります。植物を地面より高く持ち上げる必要がある場合、そのための栽培ベンチは状況に応じてさまざまな材料で作られます。

2025年2月11日火曜日

19世紀末の園芸施設:30. 栽培ベンチ

本項は英語で"Staging"となっています。植物の栽培や鑑賞用の置き台のことのようですが、現代風に「栽培ベンチ」としました。観賞用だと「ステージ」の方がぴったりくるのかもしれませんが。。。各種栽培ベンチの寸法まで事細かに書かれていて、当時の意匠的なこだわりが感じられます。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

栽培ベンチ

植物を地面より高く持ち上げる必要がある場合、そのための栽培ベンチは状況に応じてさまざまな材料で作られます。


木製の栽培ベンチ

植木鉢を支え、排水し、湿気がたまらないような栽培ベンチがほしい場合は、通常の厚板、たとえば 3 インチ x 1 インチの材木を1 インチ間隔であけてスノコにしたものに、短い間隔で支え棒を付けた格子細工が最適です。適切な長さの脚かレンガを支え棒とします。

これが「木製スノコベンチ」と呼ばれるものです。

栽培ベンチを計画する際は、スペースの節約と利便性を検討してください。1 つの通路で十分なら、通路を2つ設ける必要はありません。

ベンチは手が届かないような幅にしてはいけません。

ベンチとガラス面の間の距離をよく確認してください。

栽培する予定の植物の種類と高さにも注意してください。

栽培ベンチの計画の良し悪しは、こういった点すべてに注意を払っているかどうかによって決まります。

どの場合も、それぞれのメリットに基づいて決定する必要がありますが、次のヒントが役立つでしょう。


両屋根ハウスの栽培ベンチ。

幅が最大 12〜 13 フィート (3.6〜3.9 m) の両屋根温室では、中央に 1 本の通路を設け、その両側に平らなベンチを配置するのが最も経済的です(図 73 を参照)。

平らなベンチの最も便利な高さは床面から 2 フィート 6 インチ (75 cm) 、つまり通常の栽培ハウスの側面のガラス窓を支えているレンガ造りの側壁の高さとほぼ同じです。

通路が 2 フィート 9 インチ (82.5 cm) の一定の幅で、各側面の 幅9 インチ (22.5 cm) の壁に 4 インチ (10 cm) 幅の木組みの窓枠が施工されていると仮定した場合の最も経済的なベンチ幅は表 XII のとおりです。

図 73. 幅の狭い両屋根ハウスにおける栽培ベンチの平面配置図。


表 XII.—小型両屋根ハウスの栽培ベンチの寸法

通常の植物であれば4 フィート 9 インチ (142.5 cm)が平らなベンチで手が届く幅の限界です。

庭師にとって、手が届く範囲を越えると植木鉢や植物の世話が面倒になるだけでなく、側面の換気窓に同時開閉ギアが付いておらず別々に開けなければならない場合、各サッシの「セット オープン」が異常に長くなってしまい邪魔になります。さもなくば、庭師の腕が痛くなり、機嫌が悪くなるでしょう。

幅が 12〜 13 フィート (3.6〜3.9 m) を超える両屋根ハウスの場合は、必ず 2本の通路が必要です (図 74 を参照)。

すなわち、両サイドに2つと中央に1つの栽培ベンチができます。中央の栽培ベンチは最も便利で、必要に応じて平らなベンチにも段状のベンチにもできます。

各通路幅が2 フィート 9 インチ (82.5 cm) で、側壁の木枠部分の幅が 4 インチ (10 cm) だとすると、中央の栽培ベンチと両サイドの栽培ベンチに割り当てることができる寸法は表 XIII のようになります。

図 74. 幅の広い両屋根ハウスにおける栽培ベンチの平面配置図。

表 XIII. 大型両屋根ハウスにおける栽培ベンチの寸法


両サイドの栽培ベンチは通路に十分な頭上スペースを確保できる幅が必要です。ハウスの軒の高さが 5 フィート (1.5 m) で、屋根の傾斜が 1 フィート (30 cm) あたり 6 インチ (15 cm) 以上である場合、2 フィート (60 cm) 幅のサイドベンチであれば、隣接する通路の中央で約 6 フィート 6 インチ (205 cm) の頭上スペースを確保することができます。

段状の栽培ベンチの寸法については後で説明します。

1 つの両屋根温室が別の温室と直に繋がっている場合、または内部の配置が許す場合は、図 74 の両端に示すように、2 つの通路を 1 つに収束させる必要はなく、連続させることができます。これにより、ベンチのスペースが節約できます。

この配置は、図 74 を 1 つの温室ではなく、点線で仕切りとドアによって区切られた2 つの温室と見なすと、より明確になります。


片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける栽培ベンチ

片流れ屋根(立て掛け式)ハウスの栽培ベンチを計画するにあたり、非常に便利な方法が図 75 に示されています。

図 75. 片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける栽培ベンチの配置。

この図では、前面に平らな栽培ベンチがあり、端まで続いています。後壁には別の平らな栽培ベンチと段状の栽培ベンチがあります。

いずれにしても、前面のベンチを広くしすぎるのはお勧めできません。また、段状であっても、後ろのベンチが屋根のガラス面から離れすぎてしまう可能性があります。

片流れ屋根ハウスの長さが短すぎて前面のベンチを端で折るのが難しい場合は、図 76 に示すように、前面のベンチと後ろのベンチを同様にまっすぐに配置してもかまいません。

図 76. 短い片流れ屋根ハウスにおける栽培ベンチの配置。

通路の幅を 2 ​​フィート 9 インチ (82.5 cm) 、前面の壁で木枠が占める幅を 4_1/2 インチ (11.25 cm)とすると、表 XIV はさまざまな幅の片流れ屋根ハウスにおける前面のベンチと後壁のベンチに適した寸法を示しています。

表 XIV. 片流れ屋根ハウスにおける栽培ベンチの寸法

もちろん、幅の広い片流れ屋根ハウスでは、後壁のベンチの後ろの部分にもアクセスしやすいように、前面だけでなく後壁にも通路を設ける必要があるかもしれません。

その場合、通路は後壁に直接接している方がよいでしょうが、そこに占める栽培ベンチのスペースを完全になくす必要はありません。通路から張り出したヘッドライン上の小さな棚が後ろのベンチの上部にあると非常に便利です。

同じ一般的な注意事項が、3/4 スパンハウスの栽培ベンチの設計にも適用できます。


段状の栽培ベンチ

特に片流れ屋根(立て掛け式)ハウスでは、はしご、階段、または段状のベンチを地面から棟まで同じ幅の多数の小さな段で作るのが過去に流行しました。

これを今でも適切だと考える庭師もいるかもしれませんが、一般的には段の数は少なくして、上に行くほど幅を広くする方が有利であることがわかっています。

そうすれば、スペースを節約し、さまざまなサイズの植木鉢や植物をうまく配置できます。

後部の段状のステージの最初の段は、床面から 2 フィート 6 インチ (75 cm) の高さにするなどして、前面の平らな栽培ベンチと同じ高さにすることもあります。

それに続く段は6 〜 9 インチ (15〜22.5 cm) ずつ高くしていきます。

ただし、この点については、置く植物の高さなどに大きく左右されるため、一般的な規則を定めることはできません。

通常、段状のベンチの傾斜は屋根の傾斜ほど急にする必要はありません。前に草丈の低い植物を、後ろに草丈の高い植物を配置すれば、樹上の葉のラインは屋根とほぼ同じ傾斜になります。

植物の生育条件、屋根の傾斜、ハウスの幅などに応じて段状のベンチの寸法も変えなければなりません。

なお、表 XV は一般的に片流れ屋根のハウスの段状のベンチがどのような構成になっているかを示しています。もちろん、前の項の最後で説明したように、後ろに通路を設けずに、このような段状のベンチを後ろの壁まで伸ばすことが望ましいとした場合を仮定しています。

後ろのベンチの端を折る必要があるけれども、ハウスにそのための長さが足りない場合は、段数を減らすのがよいでしょう。

表 XV.—片流れ屋根(立て掛け式)ハウスにおける段状ベンチの寸法

片流れ屋根ハウスでは16 〜18 フィート (4.8〜5.4 m) といった幅が必要になることはめったにありません。

両屋根ハウス用の段状ベンチは取り扱いがかなり簡単です。

通路に向かって両側に下​​りていく段となるため、このような段状の栽培ベンチは手が届きやすいものとなります。

片流れ屋根ハウスの段状のベンチのさまざまな条件に関する注意事項は、両屋根ハウスの段状のベンチにも当てはまりますが、一般的な用途には表 XVI の寸法が適切であることがわかっています。

表 XVI.  両屋根ハウスにおける段状ベンチの寸法

注意: 実際のベンチ全体は両側に段を形成するため、下の各段の幅の 2 倍に 最上段の幅を加えたものが中央の栽培ベンチの幅に等しくなります。

上記の栽培ベンチはすべて、ガラス屋根面の傾斜ラインとある程度まで対応しています。ただし、一部のコンサバトリーや花室の型ではガラス屋根面の傾斜ラインと対応しない場合もあります。

花を列状に見せたいけれども、それを純粋に自然な方法で作り出せない場合は栽培ベンチの最上段をガラス窓下の 2 フィート (60 cm) の高さの低い壁の上に置き、続く各段を地面に近づけるように下げていきます。この場合、栽培ベンチの傾斜方向は屋根の傾斜方向と反対になります。図 77 は、このベンチ配置を施工した八角形の小さなコンサバトリーを示しています。

このコンサバトリーの内部幅が 12 フィート (3.6 m) の場合、各段幅は 9 インチ (22.5 cm)で、中央に 5 フィート (1.5 m) の幅の舗装スペースが確保されます。

コンサバトリーのこのタイプのベンチの段は、栽培ハウスのベンチの段よりも幅が広くて、高さ方向の間隔は狭い方がよいでしょう。そうすることで、エッジによって形成される鋭いラインがそれほど目立たなくなります。

このような栽培ベンチに木製の脚を付ければ、前方の脚は回転させることができます。

図 77 - コンサバトリーにおける栽培ベンチの平面配置図

温水パイプや空きスペースを隠すために木製の格子(ラティス)を栽培ベンチの前方に固定することがあります。

段状のベンチが多数の狭い段で作られている場合、図 78 の断面図に示すように、多くの場合、支えがあります。

より広い段の場合、図 79 に示すようにとても優れた方法になります。

図 78.  狭い段で構成された段付き栽培ベンチの支えの断面図

図 79.  広い段で構成された段付き栽培ベンチの支えの断面図


固定ベンチ

多くの場合、縁に細長い帯を付けたスレート、石、またはコンクリートの棚を頻繁に使用する場合、植木鉢は湿らせておくことをお勧めします。

このクラスの栽培ベンチ、すなわち、すでに説明した通常の平らな格子状のスノコベンチは非常に安価で簡単に構築できる方式で、縁の周りを丸くして内側を亜鉛板(たとえば No. 20 B.W.G.)で裏打ちすれば非常に浅い防水ボックスができます。

ボックスの角や適切な間隔に穴を開け、余分な水分を排出するように栽培ベンチをこれらの穴に向かってわずかに傾斜させるようにします。

この浅いボックスに砂、細かい砂利、苔、またはその他の適切な材料を詰め、植木鉢をこの湿っているが水はけのよい上に置くか、または、このベンチを乾いた状態で使用して、洗った砂利または小石の薄い層の上に置き、栽培ベンチを満たすことができます。この砂利または小石は、鉢からの排水のための媒体となります。

この栽培ベンチは常に非常にすっきりとした外観で、安価であり、その木組みは​​、植木鉢の排水が滞らなければ腐りにくいです。

補足しますが、非常に重要な栽培ベンチは「イチゴ棚」です。

これは(必ずしもイチゴに限定されるわけではありませんが)ガラス面近く、前面のガラス窓の近くや両屋根ハウスの屋根の頂点の近く、または片流れ屋根ハウスや3/4スパンハウスの後壁の棟高さ近くに設置する必要があります。

このような棚に置かれた植木鉢は、過度の太陽光線から保護することが強く望まれます。これを行う簡単な方法は、イチゴ棚の片側または両側に、鉢とほぼ同じ高さの垂直の板を固定し、必要に応じて内部を亜鉛板で覆うか、そのまま使うかにして、こうしてできたボックスには排水穴を設け、必要に応じて湿った苔で過度の日射から鉢をさらに保護するようにします。

栽培ベンチが石、スレート、または亜鉛で覆われていて、暖房用の加熱パイプを通路の片側に配置する必要がある場合、片側のベンチの支柱を前面に少し引っ込めて、加熱パイプが邪魔にならないようにすることが望ましい。

一方、加熱パイプが外壁の横に設置され、栽培ベンチの前面が壁で支えられているなら、ベンチの下に多かれ少なかれ区切られた空間ができます。その場合は、熱がベンチを経由せずにハウスの内部に到達するように、外壁だけでなく内部にも換気装置を設置して空気の流れを作ることをお勧めします。

「キノコ栽培ハウス」の項( 80 ページ)に、こういったハウスに必要な棚の説明があります。


装飾用の鉄製ベンチ

装飾用の鉄製ベンチは栽培用ハウスにはほとんど不要で、主にコンサバトリーでのみ使用されます。

「展示ハウス」の 記事(63 ページ)で述べたように、展示目的で収集された植物や花は、できるだけ自然な方法でグループ化し、ベンチ方式を栽培ベッドやボーダーに採用しないでください。

コンサバトリーで栽培ベンチがどうしても必要になった場合は、装飾用の鋳鉄を使用しても問題ありませんが、塗装をしっかり行い、高くせず、目立たないように、できるだけ葉で隠れるようにする必要があります。

木製の格子状のベンチは鉄製よりもはるかに安価で、手入れをすれば長持ちし、著者の意見としてはあらゆる用途に応えるものです。

木製、スレート、石、またはコンクリート製の栽培ベンチの下のスペースは光がなくても熱を必要とする植物のためにしばしば利用されますが、鉄製のベンチの下に置かれた植物は錆びの滴りによる損傷を受けるものと考えなければなりません。 

2025年1月27日月曜日

19世紀末の園芸施設:29. 窓ガラスの開閉装置

   現代の換気窓の開閉は自動制御可能で、ガラス温室だとラックアンドピニオンのギア、プラスチックフィルムのトンネルハウスだとくるくる巻き上げ機、家庭用の小さなハウスだと形状記憶のウィンドウオープナー、が浮かびます。150年くらい前の本書に書かれている“セットオープン”は形状記憶なしのウィンドウオープナーといったところでしょうか。ラックアンドピニオンはあまりお勧めされていないようです。どれも人力が必要で大変そうです。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

窓ガラスの開閉装置

開閉装置とは、ハウスの屋根の窓ガラス(天窓)、側面の鉛直の窓ガラス(側窓)などに付けられた換気装置で、1 回以上の操作で開ける装置を指します。

窓ガラスの開閉装置は他の装置同様、最も単純な操作で動作するものが最良であることがわかります。

セットオープン 

垂直にスイングする窓ガラスを個々に開ける装置は、通常“セットオープン”のことです。窓ガラスの中央、上部、側面どこを支点にスイングするかに関りなく、通常のセット オープンは鉄製のアームまたは四分儀で、固定した垂直ピンに引っ掛けるための穴か、間隔をとって切り込みがつけられているものです。

セット オープンのアームの長さは、アームの位置や窓ガラスの前に置かれた栽培ベンチが幅広いか狭いかによって決まります。

栽培ベンチがなく、通路が垂直のガラス窓のすぐ近くにある場合、セット オープンはスイベル ジョイントを使っているので、開口部を閉じている時にアームが方立(ほうだて)または窓の下枠近くまで迫っても通常、支障ありません。

栽培ベンチを窓ガラスの前に設置する場合、セット オープンは常に開口部に対して直角になるようにしておく必要があります。そうしないと、セット オープンを伸ばした時にベンチ上の鉢を置くスペースを占拠してしまうからです。

天窓を個々に開く場合、各窓ガラスに穴の付いた四分儀で固定することができます。

穴に取り付けたひもを垂木または主梁に固定した小さな滑車に通して動かすだけで、窓ガラスを開くことができます。

必要に応じて、ひもの端にカウンターウェイト(釣り合い重り)を取り付けることもできます(図 71 を参照)。

あるいは、ひもを後壁に取り付けた滑車に通して都合のよい長さで固定するか、カウンターウェイトで留めます。



図 71.個々の天窓用の開閉装置。


開閉装置を必要としない小さな施設を除き、スライド式の窓ガラスは現在、ヒンジ付き換気装置に取って代わられ、事実上無くなっています。したがって、スライド式の窓ガラスの開閉の配置について、ここで説明する必要はないでしょう。


一斉開閉ギア

複数の垂直窓を一斉に開閉する最も一般的で最適な方法は、各方立に固定した小さなベアリングにロッドを通すことです。ロッドには、適切な間隔で、たとえば各窓に 2 本ずつ、エルボジョイントの端を固定し、もう一方の端は窓の下部のレールに取り付けます。



図 72.—レバー式の開閉ギア。


ロッドを部分的に回転させると、エルボジョイント全体がまっすぐになります。まっすぐになることでサッシが開く仕組みです。

ロッドを作動させるには、サッシの開き具合を調整できるように穴を開けた鉄の円弧に沿って動くレバーを、ロッドの任意の都合の良い位置にねじ込むだけです。

また、栽培ベンチ、栽培ベッド、またはボーダーが窓ガラスの前にある場合、ロッドを使用して、レバーを任意の都合の良い位置に固定すればよいのです(図 72 を参照)。

この図のエルボ ジョイントは、ロッドに固定された歯車付きのピニオンで動作するラック セット オープン(ラックアンドピニオン)よりも優れています。

窓ガラスが閉じているとき、このような“ラックセットオープン”はハウスの中にロッドが突き出るので植物や花に当たりがちです。一方、エルボジョイントは閉じているときも開いているときも、植物や鉢に接触することがありません。

ギアの接続部分に「遊び」が生じないように注意する必要があります。そうしないと、風で窓ガラスがガタガタと鳴り、大きな問題が生じる危険があります。

上記のレバーと四分儀の代わりに、特に駆動力が必要で速度を犠牲にする場合は、回転ロッドを作動させるウォームアンドピニオンを使用することがあります。

しかし、実際には、どうしてもウォームアンドピニオンが必要な場合を除き、レバーギアが好まます。ピニオンがウォームに対して摩耗して、しばらくすると、わずかな不快な「遊び」が発生することがほぼ確実だからです。


ウォーム(上の棒)とピニオン(下の歯車)の組み合わせ
(ウォーム(上の棒)がガラス窓を押すことで窓が開く。)



ラック(下の棒)とピニオン(上の歯車)の組み合わせ
(ラック(下の棒)がガラス窓を押すことで窓が開く。)

ここまでは、垂直の窓ガラス(側窓)に関して説明しましたが、屋根やその他のヒンジ付き換気装置についても同様です。

一斉開閉装置の強度は、開閉する窓ガラスの重量に合ったものにすることを忘れてはいけません。

窓ガラスが重くバランスが崩れやすいほど、操作に必要な力は大きくなります。

ロッドに埋め込まれたキー溝または止めねじのいずれかによって、セットオープンがロッドに沿ってしっかりと固定されているよう注意する必要があります。そうしないと、セットオープンの一部がわずかに位置を変える可能性があります。

この場合、すべての換気窓、すべての部品が同時に閉じなくなります。フレームに力がかかって歪み、大きな不都合が生じることとなります。

換気窓の一斉開閉を実現するために、さまざまなメーカー会社がさまざまな工夫をしていますが、通常、上記のシステムが最も有利であるとして採用されています。

時には、チェーン ギアによって操作者が換気装置を一斉に開閉することも可能ですが、芝刈り機、牽引エンジン、またはあらゆる種類の動力を伝達するチェーン ギアを扱う経験が豊富な人なら、園芸施設にそれを導入することに躊躇するでしょう。


一斉開閉ギアの使用

一斉開閉のギアは慎重に使用する必要があります。

通常、垂直の窓ガラス(側窓)に簡単に手が届く大きさの小規模や中規模のハウスでは、一斉ギアは役に立たないどころか悪影響を及ぼします。

風向きの影響やハウス内の特定の場所の植物を外気の直撃から護る必要があるため、特定の換気窓だけを開けて、近くの換気窓は閉じたままにしたほうが良いことがよくあります。

一斉開閉ギアを使用する場合は、一定数の窓ガラスを同時に同じだけに開けることになります。

垂直の窓ガラス(側窓)が通路から少し離れていて、手が窓ガラスに届くにはブドウを植えたボーダーを踏む必要がある場合、促成栽培ハウスの栽培ベッドが 4 フィートまたは 5 フィート幅の場合、ハウスの栽培ベンチが通路と窓ガラスの間にある場合は、長くて扱いにくいセットオープンを各窓ガラスに設置するか、または、より望ましいのは、一斉ギアを使用するべきです。

連続する複数の換気用の窓ガラスをまとめてフレーム化することもあります。

この場合、一斉ギアは個別の窓ガラスと同じ方法でフレームに取り付ける必要があります。開口部のベアリングが少なすぎると、フレームがどうしても歪んだりねじれたりします。

前壁にある垂直の換気窓では、窓ガラスをまとめてフレーム化することは、将来的に窓ガラスを個別に開く可能性があるので、好ましくありません。

このことは屋根の換気装置(天窓)には当てはまりません。屋根の換気窓を個々に開閉する必要性はほとんどないからです。

通常、1 つの用途に限られる、仕切りのない長い園芸施設を除き、上部または下部の換気窓を約 20 ~ 25 フィート(6 ~ 7.5 m)以上にわたって同時に開くような換気はお勧めできません。

2025年1月14日火曜日

19世紀末の園芸施設:28. 誘引ワイヤー

    現在のトマト栽培の商業温室では誘引してつるおろしをしていく温室独自の仕立てが確立されていますが、19世紀の温室では庭での方法を素直に持ち込んだようで面白かったです。当時、温室独自と呼べるのはガラス面近くに誘引する点でしょうか。ガラス面近くだと温度変化が激しそうですが、受光を最優先で考えたんでしょうね。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

誘引ワイヤー

ガラス温室の内部に取り付ける誘引棒、誘引ワイヤーは3種類に分けられます。すなわち、、屋根用、後壁(立て掛け式ハウスの場合)などの壁用、屋根や壁で支えられていない独立タイプです。

これらは、垂直 (サッシ バー(窓の桟)と平行)に固定するか、水平 (サッシ バーに直角)に固定するか、あるいは垂直と水平両方に固定する場合があります。

鉄製の誘引棒がよく使用されますが、その厚みによってはひっぱりをかけずに棒だけで支えることができ、長さに関係なくしっかり誘引できます。しかし、鉄製の棒は高価で扱いにくく、重く、通常誘引する植物が必要とする力に比べて過大で釣り合いが取れていません。

バーミンガムのワイヤ ゲージ 12 番程度の亜鉛メッキの鉄線は、適切なひっぱりを間隔を置いてかければ支えにできます。軽くて安価で、必要な強度があり、ほとんどの誘引に使えます。

垂直のワイヤー

ガラス面の直下に誘引する必要があるブドウ、メロン、キュウリなどの場合は次の配置が最も簡単で有利であることがわかります。

(立て掛け式の)ハウスの片流れの屋根で、主要な垂木とそれに対応するマリオン(方立、建物の開口部に設ける垂直な部材。)が 4 ~ 5 フィート (1.2~1.5 m) 離れており、中間のサッシバー(窓の桟)が 10 インチ (25 cm) ~ 1 フィート (30 cm) 間隔だとします。

1 本のワイヤーを各サッシバーと垂木と平行にし、約 10 インチ (25 cm) 下に置きます。
これを行うには、2 本の平らな鉄棒を縦方向にして、間隔​​を置いて後壁と前壁に必要な高さで固定し、後壁では壁に穴をあけて留め、前壁では各マリオン(方立)にボルトで固定します。

この 2 本の平らな鉄棒に対して、間隔をとってサッシ バーに取り付けたねじのワイヤーガイドのくぼみにワイヤーを通して固定し、端は通常の締め付け器具「raidisseur(鉄線張り器)」(図 70 を参照)のソケットの右ねじと左ねじ、または長いねじとバックナットによってワイヤーの長さを調整して張ります。


垂直ワイヤーの取り付けは多分こんな感じ

この方法はシンプルで、木や鉄の骨材の塗装も簡単にできますし、構造的にもしっかりしたテンションロッドとして機能し、後壁と前壁の横方向にかかる力にも対抗するのに役立ちます。


図 70 raidisseur(鉄線張り器)

ハウスが片流れ屋根ではなく両屋根の場合、鉄棒は各側面のマリオン(方立)にしっかりと固定し、ワイヤーは棟板にねじ込まれたアイまたは棟の下に吊り下げられた 3 番目の平らな鉄棒の穴に通した後、その間に張ります。鉄棒またはアイはガラス面から適切な距離にとるように注意してください。

この方式なら、庭師はこのバーに沿ってワイヤーを動かしたり、いろいろな方法でグループにまとめたり、完全に取り外したり、交換したりといった作業を非常に簡単にできることがわかります。

両屋根ハウスのワイヤーを調整しなくてもよい場合は、縦方向のバーの 1 つを省略し、その側のワイヤーは木組み(木骨部材)に直接固定することもできます。

もちろん、さまざまな形状や外観のハウスにあわせてこのシステムは調整が必要でしょうが、上記の説明はほとんどの場合に参考になるものです。

時には3 本の平行な垂直ワイヤーを各マリオンにねじ込んだ留め具を使って X 字型に張ることがあります。この場合の留め具には両端と上部部材の中央に穴があり、幅は 18 インチなので、ワイヤーを 9 インチ (22.5 cm) 離して張ることができます。

この方法は明らかに前述の配置方法ほど強力ではなく信頼性も高くありません。

水平のワイヤー

サッシバー(窓の桟)と直角の向きにワイヤーを張ることもありますが、その場合、屋根の骨材に簡単に塗装できないほか、横方向の力への対抗力がないので、サッシバーと平行のワイヤーほど有利ではないことが一般的です。

サッシバーに直角と平行に(縦横に)ワイヤーを張る場合も時々みかけますが、そうすると屋根に上がって修理などを行うのが難しく、余計な費用がかかる上に、​​あえてそうする目立った利点もないため、推奨しかねます。

温室の後ろの壁で果樹やその他の樹木を支える必要がある場合、壁に水平ワイヤーを約 10 ~ 12 インチ (25~30 cm) 間隔で張り巡らせれば簡単に誘引を行うことができます。各ワイヤーは、一方の端をステープルで固定し、もう一方の端を「raidisseur(鉄線張り器)」またはその他の締め付け方法 (上記に詳述) で固定し、壁に約 10 フィート (3 m) 間隔で打ち込んだガイド アイにワイヤーを通していきます。

張り巡らすことができるワイヤーの長さは、末端の留め具の強度によって異なりますが、通常 100 ~ 150 フィート (30~45 m) までの長さであれば簡単に張り巡らすことができます。

片流れ屋根のモモ栽培ハウスでは後壁面にワイヤーを張ることができるのが普通ですが、ブドウの木は後壁面にワイヤーを張っても必ずしも利点があるわけではありません。

桃の木は一般に幹がブドウほど長くなく、ブドウの木ほど樹がハウスに入射する太陽光線を遮ることもないからです。

固定支柱

屋根や壁で支えのないハウス内でエスパリエなど樹木を仕立てる必要がある場合、必要な高さの錬鉄製の支柱を間隔をあけて地面に打ち込むかレンガ部分に固定し、この支柱に約 10 インチ(25 cm) 間隔で穴を開けてワイヤーを通すことにより、木を誘引して仕立てることができます。

もちろん、このようなワイヤー1本ごとに両端に2 つの強力な支柱が必要であり、そのうちの 1 つにワイヤーを固定して、もう 1 つの端に「raidisseurs 」などで張力をかけます。

この方法は、立て掛け式のモモハウスなどの栽培施設で多用されています。そこでは、前壁のボーダーに植えられた樹木の幹があまり伸びないように、また、補充用の樹木が後壁に沿って仕立てられているため、屋根全体にワイヤーを張ることは望ましくありません。


誘引ワイヤーを配置するのに次のような方式を時々見かけますが、ここではその否定的な面についてのみ言及しましょう。

その方式とは、ハウスの奥行き方向に対して横向きに、間隔を置いて垂直のトレリスを固定し、各トレリスにアーチ型の通路を設けることで、通路用のスペースを確保する方法です。

このようなトレリスに誘引された木は、ガラス面へと伸びてゆき、ハウスの奥行き方向に一連の樹木の仕切りを形成します。

もちろん、この方法は、通常の方法 (つまり、屋根や前壁に平行に沿った平面トレリス) で仕立てられた場合よりも広い領域を活用できます。ハウスが南向きの立て掛け式で傾斜屋根の場合、後壁が葉影であまり覆われない箇所を一定の間隔で確保できます。

しかし、木々の間隔が狭い場合 (そうでない場合、スペースを節約する利点が失われます)や妻面が南を向いているハウスの場合は、あるときは木々が互いに影を落とし、あるときは太陽は端だけに当たることは明らかです。

どちらの場合も、太陽光線の恩恵を十分に受けることができません。

さらに、枝のほとんどはガラスから遠く離れていることになり、後壁に日が当たるのは正午のわずかな時間だけです。

ハウスが立て掛け式の片流れ屋根でなく、南北棟または東西棟の両屋根ハウスでも同様の不都合が生じるでしょう。

トレリス

木製で塗装された格子状のトレリスは、グリーンハウスの後壁でつる植物を支えたり、小さな壁面トレリスにしてむき出しのレンガを隠したり、栽培ベンチの前の温水パイプを隠したりできるので便利です。

ただし、トレリスは慎重に使用し、修理、清掃、塗装などのために持ち運び可能な大きさのパネルや部材にしておいて簡単に取り外せるようにする必要があります。

木製のトレリスは注意を怠らず定期的に手入れしないと、ガラス温室の貴重な栽培植物に害を及ぼす虫の巣になる可能性があります。

展示鑑賞用のハウスで使用するトレリスは、きれいな幾何学模様にすれば、多くの場合、効果的です。そして、持ち運び可能なものにしておけばいつでも利用することができます。



2025年1月6日月曜日

19世紀末の園芸施設:27. 塗料

   体に悪い鉛白から体に良さそうな亜麻仁油まで、いろいろな材料を使って温室に塗装がされていたことを知りました。今も温室の部材の維持管理は大切ですが、それよりずっと手入れの手間がかかってそう。


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

塗料

木材」に関する記事と「鉄骨ハウスと木骨ハウス」の項で、木材が使用に適した状態にあり、必要な加工を施したなら、何らかの不浸透性の物質でコーティングして湿気の害から守る必要があると述べました。このために使用される最も一般的な物質は「塗料」です。

塗料は粘液質で空気にさらされると硬くなる性質をもちます。
すべての塗料の主成分は鉛白ですが、これは一般に鉛の水和酸化物である炭酸鉛です。
亜鉛白は淡色に使用される別種の金属塗料ですが、鉛白よりも粘り気が弱いです。

塗料にはいくつかの調合物が加えられています。
Carson の防錆塗料には、(顔料を除く)ベース材料として、すりつぶしたガラス瓶、鉛精錬から得られるスラグのスコリア、あるいは焼いたカキ殻が使用されています。

ほかにも鉄酸化物塗料、鉄珪酸塩塗料などなどがあります。


塗布にあたって最適な媒体は良質の亜麻仁油です。
屋外の塗装では、テレピン油はこの油より水に弱いため、できるだけ使用しないでください。

ただし、白色にする必要があり、鉛白を使用する場合は少量の植物性黒鉛を加えることがよくあります。
黒鉛を入れるのは奇妙に思えるかもしれませんが、これにより鉛白と油の塗料が変色するのを防ぎます。

少量の乾燥剤(酸化鉛)は塗料をより硬く、より速く乾燥させます。

油材をテレピン油に変えた塗装(通常は室内の仕上げ塗装にのみ使用する。)は、「平滑化」作業と言われます。
このような平らに滑らかになった表面では光は不規則に反射します。


木材を十分に乾燥させて、完全に乾くまでは塗料を塗ってはいけません。

木材は必要な形に仕上げたら、すぐに節どめ、下塗りをして、隙間を塞ぎます。

「節どめ」は、赤鉛と接着剤を同量の水と混ぜた混合物を熱いうちに塗布して節目を塞ぐ作業です。すぐに使える状態になっている「節どめ材」と呼ばれる製品を使用することもあります。

「下塗り」は、鉛白と少量の赤鉛に亜麻仁油を混ぜたもので薄く塗ることです。

隙間を塞いだ後、すなわちパテで欠けや穴を補修した後、さらに濃い色で下塗りします。その後、加工・塗装した木材を固定すればガラスを張る準備が完了です。

工場で加工された木材は、下塗りをせずに目的地に送ってはいけません。

雨に当たらなくても、湿気は木材の表面で凝縮し木の組織に入り込みます。そこで塗装されれば、水は閉じ込められ蒸発も妨げられるので、最終的に木材を腐らせ破壊してしまいます。

いずれにしても、木板の底面やレンガ造りに取り付ける木工品のレンガとの接触面は、取り付ける前に十分塗装する必要があります。
ガラスをはめ込んだ後、良質の油性の着色塗料を 2 度塗りします。
最後の塗りには、煮沸した亜麻仁油と煮沸していない亜麻仁油をほぼ同量混ぜたものを使ってもよいでしょう。

園芸向けに最適な仕上げの色はストーンカラー(石のような色)と白色です。

木目調のペイントやステイン、ニスを塗るのは、園芸上の見た目としては好ましくありませんが、花室や廊下において建築上望まれるなら、そういった塗装がされる場合もあります。実際、花室や廊下では植物は建築の添え物的なものだからです。

室内の木材は、つや消し塗装すると非常に見栄えがよい場合があります。特に、植物や花は、光沢のある塗装ではなく、光を吸収せず反射するような塗装の木材や骨組みが近くにある方が見栄えがすると考えられてます。ただし、塗装は湿気のある室内環境には適していないことを常に念頭に置いておく必要があります。

コンサバトリーにおいてマリオン(方立)やサッシ、鉄細工の装飾品が明るい青やチョコレート色で強調されているのを見るのは珍しいことではありませんが、これは明らかに残念なことで、構造(建物)ではなく中身(植物)を目立たせるべきであるという前提が忘れられています。

しかし、醜悪な趣味が存在する限り、明るい色の着色ガラスや青色やチョコレート色の塗装、その他の突飛な手段によって植物や花が台無しにされるのをコンサバトリーで目にする事例はなくならないでしょう。

園芸ハウスを定期的に塗装することは必要不可欠です。
園芸用の建物を取り巻く非常に厳しい気象条件から建築材料を保護することが真の節約となります。
建設時に 3 層から 5 層で塗装した場合は、屋外側は最低1年に1回 1層塗装(1回塗り)し、その後は 3 年ごとに屋外も屋内も 2層塗装(2回塗り)します。

新しいガラス板をはめ込むときは必ず、古いガラスを取り除いた後の木工部分とパテは、次の定期的な塗装まで放置せず、新しいガラス板をはめ込んだらすぐに塗装しなければなりません。
温水パイプは通常の方法で塗装できます。また、油性塗料が加熱されて乾燥していく際の匂いがしばらく残りますが、温室では住宅ほどの不快感は感じないでしょう。

パイプに光沢を持たせたい場合、ブランズウィックブラックと呼ばれる高価なワニス塗料が効果的です。または、煮沸した良質の油とごく少量の乾燥剤を混ぜた植物性の黒塗料を使用することもできます。
いずれにしても、臭いはそれほど長くは続かないと思われます。
臭いを完全に避ける必要があり、色がくすんでいても問題がない場合は、塗料から油を省いた顔料とターペン(テレピン油)を使用するか、またはパイプにジステンパー(水性塗料、例えば粉末状のチョーク (炭酸カルシウム) とウサギの皮の接着剤などのサイズ (ゼラチン) から作られる。)を塗布することができます。あるいは、パイプに黒鉛を塗ってもよいです。

ただし、この方法は必ずしも満足できるものではありません。かん水中に表面が濡れてしまった場合、パイプに再度黒鉛を塗らなければならないからです。

2024年12月31日火曜日

19世紀末の園芸施設:26. ガラス後半

  建物へのガラスの取り付け、特に優美な曲線の建物ではいろいろな留め方が工夫がされていたことがわかりました。が、結局、当時、温室はパテが1番といった結論になっとります。

100年後の1980年頃のガラス温室はパテ(融着物質)と留め具(クリップ)の併用で、ガラス板同士の重なりはありません。手入れが悪いと結構雨漏りします。ガラス自体は割れなければ、掃除すれば、輝きは40〜50年経つ現在でも保たれています。

これからは3Dプリンターにより、取り外し簡単で永久に1滴の水漏れもない、奇抜な形の温室が登場するかも?被覆材はガラスに限らないでしょうし、夢がありますね。

ちなみに私のトンネルのフィルムの留め具は19mm直管用のパッカーです。近くのホームセンター2軒回りましたが、どちらでも取り扱いがありませんでした。みなさん、パッカー使わないの?


HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

ガラス

パテを使ったガラス張り

まずガラスの裁断について述べましょう。

サッシ枠のバーは通常垂直または屋根の傾斜と同じ方向になので、1 枚のガラスでサッシ枠のバーの全長にわたって被覆することはできないのは明らかです。水平方向にバーを入れずに、ガラスを「重ねて」張るのが通例です。

この重ね幅は約 1 インチを超えてはいけません。それを超えると、霜が降りた時に毛細管現象によって重なりの隙間に保持されていた水分が凍って、ガラスを割れるほどの力になります。さらに、重ねる幅が長いと、隙間に付着した汚れで見苦しくなることがあります。

屋根やハウスのどこでも、この重ね合わせが生じる部分は連続的で規則的なラインになるようにする必要があります。つまり、12 フィートの垂木がある片流れ(立て掛け式の)屋根に、約 2 フィートの長さのガラス板を使用するつもりなら、重ね合わせによって 5 本の連続的で規則的な重ね合わせのラインができるはずであり、互いに等距離に、そして棟と樋からも等距離にする必要があります。図必要?

両屋根、八角形屋根、などがこの片流れ屋根に接する場合も、「ラップ(重ね合わせ)」のラインは同じ高さで周回するようにする必要があります。

重なり部分に水分が保持されていて、その後、凍結によって破損を生じないようにするため、ガラスの裁断にはいくつかの方法が提案されています。

図 60,  61 は2つの裁断例を示しています。

 
図60, 61 ガラス裁断の色々な方法

最初の方法(図60)では、ガラスを交互に鋭角と鈍角でカットすることで、重なりができず、ガラスの端同志を「突き合せ」る方法になっています。その目的は、重なりがなく、したがって毛細管現象が起こらないので、どんな水分も滴り落ちて、まずは一方のサッシバーに流れ集まるようにすることです。

しかし、こういった方法が実用的でないことは自明です。

ガラスは常に同じ角度にカットできるわけではありません。ガラスが幅全体にわたってきちんと突き合わなければ、角度のずれた開口部が生じ、熱が急速に失われます。

さらに、ガラスは非常に鋭角にカットできない限り、水分はガラス板のわずかな隙間からも滴り落ちます。

2番目の配置方法(図61)は端が曲がった状態でカットされたガラスを使う方法です 。

これは水分がガラス板の中央へ流れるようにし、凝集した水分がガラス板の重なり部分から滴り落ちるのを防ぐことを意図しています。

しかし、ガラス板の上部が水平にカットされていて、その上に重ねたガラスの下面が上のガラス板の点線で示すように湾曲しているので、おのずと重なり部分が円の一部を形成することになり、不規則に毛細管現象が発生することになります。

そうすると、ガラスの中央部分は他の部分よりも重なりの厚みが大きくなっているので、必然的にそこに水がたまって、その水が凍結すればガラスの破損がほぼ確実に生じます。

この対策として、重なり部分において上下両方のガラス板のふちを下のガラス板に対する点線で示したのと同じ曲線にカットすれば、ある程度は克服できます。

しかし、これは実際には困難です。なぜなら、ガラスのふちに凸曲線を付けるように切断するのは簡単にできますが、凹曲線を付けるのは大変難しいからです。

たとえ凹曲線を付けたとしても、重なり部分に不規則に水が溜まる箇所が生じる可能性はゼロにはなりません。

ガラス板に関して重要なことは、重ね合わせ部分を確実に水平にすることです。


次の注意点は、パテとその使用箇所に関するものです。

園芸用の建物は厳しい気象条件と日射にさらされるため、パテは硬化し、ひび割れ、剥がれ、木材が露出して腐り、隙間から湿気や虫が入り込み、内部に水滴が落ちる傾向があります。

これを回避するため、多くの園芸家はガラス板をパテで埋め込んでいますが、上部にパテは使用せず、単に「スプリギング(バネ留め)」にするか、割りピンでガラスを押さえるだけにします。

この方法は、キュウリのフレームや小型の栽培温室などには適しているかもしれませんが、見た目は決して美しくありません。そのため、栽培だけでなく観賞目的で建てられたコンサバトリーや温室には適していません。

ただし、パテを適切に作って正しく使用すれば、これらをすべて回避できます。

良質の煮沸した亜麻仁油 (約 9 割) と獣脂 (約 1 割) を混ぜ、次に必要な粘度になるまで攪拌して十分に混ぜ合わせると、パテは硬化したり割れたりしにくくなります。

ガラスは正確にカットし、下部のパテにしっかりと埋め込む必要があります。そうすることで、下部のパテは溝とガラスの間に薄く均一な層を形成します。

ガラスは銅の鋲で「固定する」必要があります。

次に、上部のパテを均一かつ滑らかにカットする必要があります。多すぎず、かつ、パテは垂直の角度にカットするのではなく、かなり急角度の直角三角形の断面にします。そのために十分な量のパテを使いましょう。

図 62.—パテのカット断面。
表面にバリや割れ目が残っていないこと。水が溜まる心配がなく、パテは実用上十分な硬さがありながら、修理が必要なときにはナイフで切れるほど柔らかいこと。


パテが硬すぎてひび割れしないようにすることは、鉄骨のハウスでも木骨のハウスでも重要です。特に鉄とガラスの膨張と収縮に影響を受けて損傷するのはパテである確率が高いからです。

木材は、ガラスを張る前と後に徹底的に塗装する必要があります。

通常のパテが非常に硬くなった場合、苛性カリまたは苛性ソーダで短時間湿らせておけば柔らかくなって、パテを簡単に取り除くことができます。または、パテに硝酸または塩酸を塗ると、約 1 時間で柔らかくなります。

ガラス板の重なりにパテを塗るのは昔からよくある方法ですが、そうすればハウスは暖まりやすくなり、重なり部分が広いとガラスが割れるのを防ぐこともあります。しかし、これは見栄えが悪いだけでなく、屋根面の太陽光線を遮る面積が増えてしまいます。


パテを使わないでガラスを張る方法。

特許を取得しているパテを使用しない方法が数多くあります。主なものとして、Helliwelli Johnsonによる発明、Rendleによる発明、Shelleyによる 発明があります。

図 63 はHelliwell の方法でガラス張りした屋根の一部を示しています。

垂木は約 6 フィートの間隔で設置し、これに水平のガラス張り用のバーを固定しています。そこに、銅、真鍮、または亜鉛製のクリップを使ってガラス板を固定しています。

鉄骨の屋根では、クリップは鉄のアングルバー(山形鋼)にボルトで固定します。

Helliwell 氏は、大面積の屋根で非常に大きな正方形のロールガラスまたは鋳造ガラスを張る場合、Helliwell特製の垂直バーにガラス板を張るのが最も適している、と推奨しています。


図 63.— ヘリウェルのガラス張りの方法。

図 64 はこの垂直バーの断面を示しています。


図 64.-Helliwell のバーの断面図。


通常の垂木と棟木で亜鉛の垂直バーを支え、そのバーがガラスを支えます。

真鍮のボルトとナットでバーに銅製のキャップをねじ込んでガラス張りが完成します。

特許権者は、この方法について次のように主張しています。

—この方法は円形であれどんな形でも、鉄骨屋根にも木製屋根にも使用できます。

—木工作業が省力できます。

—パテは不要です。

—腐りやすい材料が露出しません。

—外側の塗装は不要です。

—ガラスは簡単に取り外して洗浄し、再度取り付けることができます。

—膨張や収縮による破損がありません。

—ガラスの縁に隙間ができません。

—ガラスがガタガタしたり緩んだりしません。

—結露による水滴の落下がありません。


Johnson の方法は、ガラスの取り付けに圧縮性のある亜鉛(できれば、銅)のチューブを使用しています。その断面は図 65 のとおりです。弾力性のあるチューブがガラスを受け留めてクリップで固定します。

ガラス板を真鍮のクリップで固定し、コッター(くさび)またはネジで所定の位置に固定します。こうすれば、コッターやネジは簡単に取り外すことができるので、必要に応じてガラスをスライドさせれば付けたり外したりが自由にできます。

以下のような利点が主張されています。

- パテを使用しない完全防水のジョイント。

- 膨張と収縮に耐え、破損が防止されます。

- 内側も外側も塗装は不要。

- 優れた耐久性。

- 故障の可能性がほとんどありません。

- 光と熱を比較的よく通します。

- 曲げガラス不使用。

- 軽快ですっきりとした外観。


図65.—Johnsonの圧縮性のあるガラス管の断面図。


Rendle の方法は以下のとおりです。

1)水平の亜鉛または銅のバーを、通常の方法で垂木で支えられた母屋に固定します。

これらのバーはそれぞれ断面が異なります。棟に取り付けるバーは逆 U 字型断面、中間のバーは長い S 字型断面で、上部の部材はS字の下部まで直線で続いています。下部のバーは J 字型断面です。

これらのバーには穴があいていて、水が逃げるように下端から間隔を置いてカットされています。

ガラスは、上端をバーにできるだけ押し込むと下端がバーに収まるようにカットされています。ガラスは垂直に 1 〜 1.5 インチ重ねます。


図 66.—Rendle の「コンビーネーション」方式のガラス張り方法。
A 水平バー。C ガラス。F 垂直バー。
a b 湿気を下のガラスから外に逃すための穴。


2)もう1つの方法は「コンビネーション」と呼ばれます。

これは垂直ジョイントを除けば1)と似ています。ガラスを重ねる代わりに、垂直バーを使用します(図66を参照)。

このバーには溝がきってあり、そこにガラスが嵌め込まれます。バーの溝は、ガラスの内側に凝縮した水分をガラス下から外に排出します。

バーはガラスの強力な支持部となっているため、4フィートまでの長さのガラスを使用することができます。

発明者はこの方法を平らな屋根や非常に広い屋根といった大きなガラス板を使いたい場合に推奨しています。


3)また別の方法は「アクメ」と呼ばれます(図67を参照)。

このシステムは、次の点で前のシステムと異なります。

ガラスを固定するクリップが狭いのを勘案して重なりを大きくとっています。

クリップがないぶん、雨水はスムーズに流れます。

垂直バーの溝は四角形であるため、水平バーのスロットが埋まり、ガラスに対する強度が増します。

母屋は狭くなっています。


図67。Rendle の「Acme(アクメ)」ガラス張りシステム。
C 水平バー。E 垂直バー。G ガラス。J 木製母屋。
K 木材を使わない溝付き鉄製母屋。


木材の代わりに、溝付きの鉄製の垂木を使用することができます。

Rendle 氏は、このシステムについて、次のような利点があると述べています。

—メンテナンスと修理のコストが 80 ~ 90 パーセント削減されます。

—ガラスはどの方向にも「遊び」があるため、収縮や膨張による破損はありません。

—強風や列車の通過による振動による破損はありません。

—ガラスの取り付け時間は従来の 4 分の 1 で、すぐに交換できます。

—凝縮した水蒸気による滴下はありません。

—パテ、セメント、フェルトなどは一切不要です。

—円形の屋根に直線のガラス板をはめ込むことができます。


Shelleyの方法は冷却鋳鉄の棒を用います。このバーのフラップにガラス板が滑り込む溝が刻まれています(図 68 および 69 を参照)。

溝には間隔を置いてストッパーが設けられており、ガラスが所定の位置に嵌め込むときに、ガラスが吹き飛んだり溝から外れたりするのを防ぎます。

溝の上端とガラスの間には、ガラスを固定するための弾剛性のバルカナイトコード(硬質ゴムでできたコード)が配置されています。


図 68. — Shelley の展張バーの断面図。
a a ガラス。
b バルカナイト(硬質ゴム)(可動式)。
c 特許取得済みのストッパー。
d バーに固定されたバルカナイト
e 湿気を逃がす溝。
f バーを屋根に固定するための突起。


図69.—Shelley のガラスの取り付けバーの断面図。
ガラスの重なりが見える。


バーには、屋根の母屋にねじ止めするための耳が鋳造して付けられています。また、バーの下端には、下部のガラス板を固定して、下の屋根部分や雨どいにガラス板が滑り落ちないようにするための肩が付けられています。

ガラスを更新、修理、また取り外す場合は、ガラス板を溝の位置で持ち上げてストッパーから外し、ガラス板の両端が交互にはずれるように横方向に動かす必要があります。

ただし、ストッパーの特徴を知らなければ、ガラスを取り外すのは容易ではありません。

垂木は必要ありませんが、母屋は約 6 フィートの間隔で設置する必要があります。

特許権者はこの方法に次のような利点があると主張しています。

—大気やその他の影響にさらされて腐敗しやすい材料を使う必要がない。

—木材をほとんど使用しなくてすむ。

—母屋は約 8 (6?)フィート間隔で設置すればよい。

—ガラスの取り付けが簡単かつ迅速にできる。

—パテが不要。

—塗装は任意でよい。

—ガラスが吹き飛ばされることがない。

—この方法を知らない人がガラスを外すことは困難なので、屋根はある程度侵入の防犯になる。

—膨張や収縮による破損がない。

—どのような角度への取り付けにも同じようにできる。

—亜鉛不使用。

—円形の屋根に平らなガラスを張ることができる。

こういったパテを使わないガラス張り方法は、鉄道駅、展示場、浴場、市場、織物工場、倉庫などの屋根には有利な施工方法ですが、園芸用栽培ハウスに関してはパテを使ったガラス張りに代わる方法はいまだ発明されていないことが分かっている。

全体として見ると、世界は非常に保守的であり、どんな方法でも、それがいかに優れていても、既存の方法がどれほど劣っていても、それを置き換えることはなかなか難しいものです。

パテを使ったガラスの張り付けが園芸用の建築物では今でもその独自の地位を維持しているのは、それ以外の方法はどれも園芸家の要求をパテ以上に満たすものがないからです。

パテを使わないなら、次の2つの方法のどちらかを採用する必要があります。ガラスを金属とくっ付けてある程度の「遊び」を持たせるか、ガラスを何らかの柔軟な物質とくっつけるかのいづれかです。

前者の場合、熱が逃げやすく、建屋を適切に燻蒸できず、毛細管現象によって水が溜まる隙間が多くなり、その後この水が凍結してガラスが頻繁に破損する可能性があります。さらに、水が溜まるこの隙間に虫が住みつくこともあります。

2 つ目の方法では、たとえ使用される弾力性の物質が屋根を密閉するように十分に調整して施工されていたとしても、暖房温室特有の厳しい温湿度の変化の影響を受け、弾力性物質が急速に破壊される可能性があります。その場合、それを更新する費用と手間はおそらくパテを使った場合よりもはるかに大きくなるでしょう。

確かに、ガラスの取り付け部となる鉄筋、垂木、棟木などといった構造材の大部分は建屋内にあります。

しかし、屋根の外側に板やはしごを設置しない場合、この利点はデメリットとなる可能性もあります。すなわち、ハウス(温室)の内側からガラスを張ることができない場合もあるということです。特にブドウ用ハウスのガラスの張り替えは、ブドウの木がガラス面の近くで屋根全体を覆っている場合などには内側から施工できません。

パテを使わないガラス張りの主な利点の 1 つは、ガラスを素早く簡単に出し入れできることです。これもまた、利点がデメリットとなる可能性があります。なぜなら、そのような場合、鍵やその他の侵入防止措置があっても、数枚のガラスを子供でも 5 分で外して中に入って貴重な果実を持ち出し、再度ガラスをはめ直すことができるからです。


パテなしで留め具でガラスを張る方法の中には、パテでガラスを張るよりもコストがかかるものもあります。

また、ガラスの重なり部分が非常に大きくなってしまう場合もあります。

重なりが大きいと、そこに湿気が溜まりやすくなり、汚れも溜まりやすく、見栄えが悪くなり、植物が日射で焼けやすくなります。

園芸家は、パテでガラスを張る手間がなくなればとても喜ぶでしょう。しかし、留め具によるガラス張りのさまざまな方法を注意深く観察し、長期間にわたって経験した結果、適切な材料を使用し、慎重に作業すれば、栽培目的の園芸用建物にはパテでガラス張りするのが最善だとわかります。園芸用建物におけるガラスの重要性は当然、非常に大きいので、ガラスに関する栽培上の科学的知見を無視するわけにはいきません。

2024年12月16日月曜日

[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:マイ・ベストシーズン

やってきました。ビバ、蚊のいない世界! ナメクジに悲鳴をあげることもないし、雑草との戦いも一時休戦。

にぎやかさは去り、すっかり落ち着いた庭で、暖かいお茶を飲むひと時、サイコーです。
寒いとはいえ、霜柱も立たない地域なので、風が止み 陽がさせば居心地が良いです。
柿や桑の木をどう剪定しようか、ぼんやり眺めたり。

世間の師走の慌ただしさとは別世界。ありがたいことです。

寒風が抜ける場所のヤローはロゼット化してすっかり冬支度。

食用ほおずきの花は咲いていますが、実になるのは難しそう。

フェンネルは新芽を出しています。

野良ルートパセリを発見。

フレームの中のヒョロヒョロ苗たち。

トンネルにフィルムを張りましたが、中はぐちゃぐちゃ(笑)

冬の陽射しのおやつタイム。

19世紀末の園芸施設:31. 換気

 ここでの 換気はもっぱら、機械式の換気扇を使わない自然換気を指しています。そのため、換気装置として、開閉するガラス窓や換気筒、換気口があげられています。 HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881) 換気 一般原則 植物は主...