2024年11月14日木曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 8. トイレ・堆肥置き場・サマーハウス

栽培用途以外で庭に付帯する施設の最後は、トイレと堆肥置き場とサマーハウスです。ここでのサマーハウスは、北欧の森や湖畔に建つ夏の家、ドイツのクラインガルテンやロシアのダーチャの小屋みたいなのが、広いお屋敷の庭にある感じでしょうか?お茶を呼ばれに行きたいですわ(笑)。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

W.C. 

トイレはその大きさに関係なく、すべて庭近くに設置する必要があります。(トイレは大切な施設ですが、記述はこれだけでした。)


堆肥置き場 

園芸施設の設計において、必ずしも肥料や堆肥材料の置き場が計画に入っているとはかぎりません。しかし、これがないと庭は遅かれ早かれ散らかった感じになりがちです。

肥料(堆肥)は庭のあちこちで使用するので、堆肥置き場は使用に便利な場所にある一方で、できるだけ目立たないようにする必要があります。

ちゃんとしたピットフレームを設置することが、必ずしも得策とは言えません。多くの場合、堆肥材料や堆肥が発酵前に乱雑に散らばるのを防ぐには、ちょっとした擁壁で囲っておくだけで十分です。


サマーハウス 

サマーハウスは園芸用の施設ではありませんが、これがなければ庭は完成したとは言えません。

素朴な茅葺きのサマーハウスが一般に採用されています。それは一部の人にとっては絵のように美しいと思われるかもしれませんが、実際に使用した人はその欠点をよく理解しています。

図57は、著者である私が設計・製作し、数年間使用したサマーハウスの概観を示しています。

このサマーハウスは、赤レンガで作られ、(木材部は)着色され、ニスが塗られています。

屋根は赤いタイルです。壁の3 面はガラス張り (床から 2 フィート以上の高さにあります)で、下部は透明ガラス、上部は色付きの鉛のステンドガラスになっています。

背面の壁と床は板張りです。室内は、背面の壁とガラス張りの壁 2 面にベンチが設けられています。ベンチには幅の広い手すりが付いているので、座っている人がベンチに寄りかかってもガラスが割れることはありません。また、丈夫なはね上げ式のテーブルとスライド棒に取り付けられた軽めのカーテンが備えられています。

サマーハウスの構造に調和したテラコッタの頂飾りとドーマーが屋根に付けられていますが、図でははっきりしないかもしれません。


図 57.デザイン性の良くなったサマーハウス


サマーハウスの実用上の利点は次のとおりです。

—虫が入ってこない。

—内部を普通の部屋と同じくらい清潔に保てる。

—木々で覆われ、屋根は断熱性があり、十分な換気と日よけのカーテンがあるため、夏は非常に涼しい。

—完全に窓などの開口部を閉じることができるので、ランプを灯すだけで冬は比較的暖かい。

—喫煙室としても最適で、実際、とても魅力的な小さなカントリーハウスとなっている。

建築の観点から見ると、こういった、赤いタイル、鉛ガラス、着色されニスを塗られた木組みのとりあわせは、庭に非常に心地よい色味と暖かさを与えます。しかし(茅葺き屋根のような)素朴な作りにしてしまうと、そうはなりません。なぜなら、素朴な作りは、(時間と共に傷みが増すので)自然に味わいが増したり、建築上の明確な特徴を持ったりすることがないので、通常、ここに示したような(魅力的な)サマーハウスのグロテスクな模倣にしかならないからです。

2024年11月5日火曜日

[近況] ”自然に還る”のキッチンガーデン:秋の収穫祭

いつも、しょぼ〜い収穫の”自然に還る”のキッチンガーデンですが、

この時期だけは渋柿の収穫があります。

今年は、夏の暑さのせいか小ぶりで見た目も悪いです。でも、数だけは変わりないです。色づいたと思ったらすぐ熟して虫(?)に喰われたりしているので、ちょっと色づきが悪くても収穫しました。

アルコールで渋抜き中。


銀杏は拾い物。

果肉も一緒に持ち帰ってください、とのことで、家でせっせと洗いました。


シソも暑さで、葉はゴワゴワでしたが、シソの実は収穫して問題なく塩漬けにできました。残りはこぼれタネとして、来年もたくさん生えてね。


モロヘイヤも暑さで遅くに蒔いたら、葉が育たないうちに毒のあるタネが早々にできちゃいました。


食用ほおずきも暑さでやられておりましたが、実をつけ始めました。寒くならないうちに収穫できますように。甘さがのらなくても冷凍すると口直しのシャーベットに重宝します。


秋のタネまきも暑さが長引いたのでタイミングがわからず、ネギや花のタネは10月下旬に蒔きました。バラも挿し木で発根しましたが、接木無しなので育つんやろか?(どの苗もヘロヘロで恥ずかしい😅)

猛暑の影響を感じた年でしたが、来年も猛暑ですかね?積極的に日陰を使った栽培にしないといけないのかも。。。






2024年11月2日土曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 7. 庭師のオフィス・住居

庭師の事務所と住まいについて書かれていて、当時の庭師の立場が窺えます。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

庭師のオフィス 

庭師でも庭師でなくても人は誰でも、体系的な知恵を身につけるまで自ら学習するよう努めるべきです。思考やアイデアを整えることができれば、適切な手段と手順が行動に反映されます。

この優れた資質を増やし維持するために、庭師、特に大規模園芸の責任者は、仕事場の近くにオフィスを持つという贅沢が許されるべきです。

オフィスは独立した専用の建物である必要はありません。種子室の片隅に机と椅子を置いただけのスペースでもよいのです。

何らかのオフィスは必要であり、そこでアイデアを練ったり、レイアウトのデザインをスケッチしたり、通信を行ったり、参考書を保管したり、書類を整理したり、会計を行ったり、雇い主からの指示を受けたり(雇い主のおそらく作業現場から 1 マイル離れた邸宅でよりも、その場で指示を受けたいと願うでしょう)、部下に必要なヒントや提案を静かに与えたりすることができます。

実際、それほど簡単ではない多くのこまごましたことを行う場所、たとえばキュウリハウス、ブドウ園、堆肥塚、砂利道、といったオフィス以外の場所では、邪魔されずに作業に専念できる必要がありますから。


庭師の住居 

仕事に適さない贅沢品を用意する必要はありませんが、庭師長はできるだけ快適に過ごせるように住居を整えるべきです。

オフィスは仕事場の近くにあることが必要ですが、住居、寝る場所が仕事場からあまり離れていないことも同様に必要です。

庭師の小屋が園芸の建物の一部にない場合、この点を考慮すべきです。

おそらく、数千ポンド(当時の1ポンドが7万円とすると、3〜4億円くらい?)を植物や暖房、その他の作業にかかけているような大規模クラスでは、庭師の住居が園芸施設の近くに用意されていても不思議ではありません。

しかし、多くの場合、それほど大きな経営規模でない場合、庭師が快適であることに関心がはらわれていません。

庭師は自分の落ち度であってもなくても、気候やその他の制御不能な原因による不幸な結果について非難されることが多く、通常仕事に専念し、重要な責任を果たすことを頻繁に求められます。しかし、庭師の快適性については、彼らが受けるべき配慮を受けられないていないことがよくあります。

主任庭師にはあらゆる配慮を払うべきですし、実際にそうであることが多いのですが、若い庭師、助手、その他の人々の快適さについても忘れてはいけません。 

2024年10月20日日曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 6. 氷室・オープンシェッド

氷室は寒い地方に限られるでしょうが、便利そうです。ここでは一般的な深さが6mだそうで、結構大規模でした。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

氷室

多くの施設で氷室の管理は庭師が管轄するで、氷室を園芸の補助施設のリストに含めるのは妥当でしょう。

氷の塊を溶かすには、周囲の空気か華氏 32 度(0℃)以上の温度の物質によらなりません。

ただし、融解による熱は、氷が溶けるまでは顕熱(周囲の温度の低下)として現れません。

融解による熱は液化潜熱と呼ばれます。

氷が湿った土や水に囲まれている場合、乾燥した大気に囲まれている場合よりもずっと速く融解します。

イギリスの地表と地表面近くの平均気温は、約 47 度(8℃)です。したがって、氷を保管する際には、地表と大気から隔離すること、排水を良くすること、周囲が乾燥している環境が条件となります。

氷室は直射日光を避け、北向きに設置する必要があります。氷室の形状は、地面に埋められた円錐形の穴(卵形の穴)が一般的です。

壁は二重で、その間に空気層を設け、必要に応じて十分な換気ができるようにし、暑すぎる時期には外気の流れを遮断します。

地中の穴蔵タイプで排水できない場合は、周囲がまんべんなく地上部に盛土が作られるよう注意します。(水が決して穴蔵に流れ込まないように)

氷室の底をできるだけ乾燥させた後、良質で丈夫な藁や葦で覆った木製の格子上に氷を置きます。氷と壁の間も藁や葦で覆うようにします。

全体は厚い藁葺き屋根で覆い、軒を張り出させて、雨が壁を伝って入らないようにします。

傷んだり濡れた藁や腐った藁は使用しないでください。丈夫で乾燥した、切れていない藁や葦に比べて熱伝導性が低いからです。

粗氷の場合、通常、112ポンド(50kg)につき約 6 立方フィート(0.17 立米)のスペースを確保します。

氷の保管は、よく知られている原理に基づいて、非伝導性の覆いを介在させます。氷をフランネルで包むと、最も長く溶けずに保管できるという事実によって示されています。同じ素材で体を包むと、最も暖かく保たれます。前者では熱が入らないようになり、後者の場合は熱が逃げないようになるのは同じ原理というわけです。

氷は完全に乾燥した状態を保っているように見えても氷塊が目に見えて減ることがあります。これは、氷塊の表面が溶けて蒸発し、空気の流れによって運ばれるためです。

氷室に少量の塩が使用される場合もあります。これは、氷の一部を犠牲にして急速な液化プロセスを作り出して残りの氷を溶かす余分な熱をそちらにまわすためです。

しかし、氷室が適切に建設され、氷が地面、水、暖かい大気から十分に隔離されている場合、この塩はまったく必要ありません。

氷室の最適な寸法は、最大直径が 12 ~ 15 フィート(3.6 ~  4.5 m)で、深さが 20 フィート(6 m)です。

氷の塊が大きいほど、溶けるのに時間がかかります。


オープンシェッド(雨除け小屋)

農業用の施設と同様に、園芸用の施設でも、オープンシェッド(雨除け小屋)は非常に便利です。

屋根の下に保管する必要があるものの、泥棒や外気に晒しても構わない物は数多くあります。

こういった物には、使用していない手押し車、土を運ぶための板、はしご、組み立てフレーム、手持ちのガラスサッシなどがあります。

2024年10月14日月曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 5. 燃料小屋・道具小屋

当時の温室の暖房は温水や蒸気や煙道を使っていると思います。燃料は薪や石炭でしょうか。ガスや石油もあったのかしら?

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

燃料小屋

燃料置き場は言うまでもなく、ボイラーの近くに設置する必要があります。

ボイラー室またはストークホール(焚口前の部分)が十分に大きい場合は、ボイラーや焚き口と反対の端に高さ 3 フィートの横格子の頑丈な仕切り板を垂直に取り付け、これを後ろに向かって上向きに傾斜させることで、その一端を優れた燃料貯蔵庫として利用できます。

これを利用する場合でも、ストークホールが十分に大きくなくて燃料小屋を別に建設した場合でも、可能であれば、燃料をボイラーの焚口扉と同じ高さにすることをお勧めします。

通常のサドルボイラーなどの下から燃料をくべるタイプのボイラーの場合、燃料貯蔵庫はストークホールの床と同じ高さにすることができます。


サドルボイラー https-//etc.usf.edu/clipart/27000/27040/saddle_boil_27040.htm
サドルの形をしています。下の空洞で燃料を燃やして、上の空洞の熱くなった空気は煙道に送られるんじゃないかと思います。

ただし、クラウン(頂部)から燃料を投下するシャフト​​を備えたサドル状のボイラーの場合や、上から燃料を供給する管状のボイラーの場合、上部にある燃料供給口より低い位置で燃料を保管しないでください。そうしないと、ボイラーに燃料を供給するのに不必要な時間と手間がかかります。

これらの注意事項はどんな場合にも当てはまりますが、ストークホールが非常に深く、床と燃料供給場所の間の高さの違いが大きく、供給する燃料の量が多い大規模な施設に比べて 非常に小さな施設では厳守することがそれほど重要ではありません。

道具小屋

専用の建物であっても、何かの建物の一部であっても、庭で使用する道具、器具、小型機械はすべて適切な場所に保管することが非常に重要です。

使用していないときはきれいにしておく必要があることは言うまでもありません。

道具を保管する場所は、明るく、乾燥していて、風通しがよく、鍵がかかっている必要があります。

シャベル・鍬、つるはし、くわ、熊手、フォーク、こて、掘り棒、ほうき、ランマーなどの道具、そしてシャベルを掃除するための1 つか 2 つの木製のへらなども忘れないように。ごくわずかな費用ですみますから、それらを収納するためのラックを作って、そこに保管します。

ハンマー、木槌、やっとこ、ペンチ、各種の剪定用ナイフ、大鋏、はさみ、斧、鋏、のみ、のこぎり、鎌などの道具は、革の輪を付けて壁に吊るすことができます。ただし、道具は釣り合いをとって配置し、かける壁はむき出しの壁ではなく板張りになっている必要があります。そうでないと、結露した湿気で錆びてしまいます。

また、ラインやリール、測定チェーン、さお、杭、下げ振り、直定規、地面コンパス、レベルなど、測血に使用する器具を置く場所も確保する必要があります。

道具置き場には、芝刈り機、ガーデンエンジン、シリンジ(散水機)、じょうろ、小型の道具や機械なども置かれます。そのためにも乾燥していて鍵をかけることができる保管場所が必要です。

木製と鉄製の万力と砥石を載せたベンチは非常に便利です。また、ポット、ふるい、スクリーン、果物など用のバスケット、修理用のガラスなどを保管するスペースも必要です。

水準器、余剰の気象計器、または時々使用する計器用に、鍵付きの引き出しや仕切りを設けることもできます。

最後に、ラベル、予備の靴泥スクレーパー、ベルグラス(ガラスのクロシェ)、ネズミ捕り、網、より糸、壁の破片、釘、ネジ、キャンバス、さまざまな種類のワイヤーなど、さまざまな物のためのスペースも確保してください。

2024年10月7日月曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 4. 根菜の貯蔵庫・種子室

付属施設、まだまだいっぱいありますよ。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

根菜の貯蔵庫

果物の保存室で述べたことと同じことが根菜の貯蔵庫にも当てはまりますが、棚の配置や構造は果物ほど複雑である必要はなく、根菜同志は果物ほど種別で完璧に隔離する必要はないという点が異なります。

根菜専用の貯蔵庫が建てられることはめったにありません。乾燥した暗い地下室を貯蔵に利用することが多いです。大量の果物や農産物を保管するだけでなく、タウンハウスや他の施設へ出荷する必要がある場合、果物の保管室の他、梱包用の小屋や部屋も必要です。


種子室

種子を適切に保存することは極めて重要です。なぜなら、どんなに優れた種子であっても、播種時期が来る前に簡単に発芽力が損なわれたり、壊れたりすることがあるからです。

種子のほとんどは乾燥している室内で保存する必要があり、必要に応じて外気を完全に入れないような手段を用意しておく必要があります。

表 XIX によれば、水は華氏 39.2 度(4 ℃)で密度が最大になることがわかります。したがって、この温度域は (他の条件が同じであれば) 種子の保存に最適です。温度がこの温度域より大幅に高くなったり低くなったりすると、種子に含まれる水分が膨張し、種子の内部組織に悪影響を与える可能性があります。

表 XIX .各温度における水の相対密度

家庭菜園用の種子のほとんどは各種厚さのキャンバス地の袋で保存できます。紙で保存した方がよりよく保存できるものもあります。

乾燥した土にしっかりと詰めておく方が、他の方法よりもはるかによく生命力を保つものもあります。

湿った砂や少し湿った苔の中に保管すべきものもあります。こういった種子は乾燥すると発芽力が失われてしまうからです。ただし、これらの詳細は園芸家の専門分野です。

種子は光を避けて保存する必要がありますが、必ずしも暗室を意味するものではありません。

多くの場合、園芸家のオフィスが種子室を兼ねていて、その逆に、種子室をオフィスにも利用する例もあります。

ただし、種子はどのような素材で包まれて保管されているにせよ、スムーズに調べたり使用したりできるよう、引き出し、ピジョンホール(郵便局にあるような手紙の仕分け棚)、またはコンパートメント(仕切り)に保管する必要があります。


2024年10月3日木曜日

19世紀末の園芸施設:22 - 3. 梱包小屋・きのこハウス

現代の単一作物の商業温室ではかん水機器などの設置や出荷調整を行うエリア、いわゆる「中間室」がハウスの一部に組み込まれていることが多いですが、当時はお屋敷での需要を賄うのにヤサイ、果樹、きのこと多彩な作物が栽培されていたので、必然的に付属施設も多様なんでしょうね。

HORTICULTURAL BUILDINGS.  By F. A. FAWKES. (1881)

付属施設

梱包小屋

大量の果物や農産物を保管するだけでなく、タウンハウスや他の施設へ出荷する必要がある場合、果物の保管室の他、梱包用の小屋や部屋も必要です。

果物の梱包と保管は、同じ部屋で行うこともあれば、それぞれ別の場所で行うこともありますが、いずれにせよ、梱包場所と保管場所は離れすぎないようにしてください。

果物を長距離輸送するのに適した梱包方法は次のとおりです。

適切な大きさの箱をいくつか作り、各箱にトレイを複数格納できるようにします。

トレイで区画を区切るようにします。その深さは詰める果物を1段分が必要です。

トレイを箱に入れるとき、詰める果物の取り扱い方法に応じて、トレイの間に詰め物の層を設けたり設けなかったりします。

すべてのトレイがきちんと配置され、蓋を締めれば、箱全体が非常にコンパクトでしっかりした状態になり、果物が横方向にスライドすることはありません。


きのこハウス

これは厳密には付属建物とは言えません。本来は(きのこの)栽培用ハウスだからです。

しかし、きのこ栽培には光は不要なので、温室などのうしろに設置します。そのため、一般的にはきのこハウスは鉢植え小屋、果物保管室などと同じ、付属施設に分類されます。

きのこハウスに必要なのは、暗く、温度が一定で、高温多湿な環境です。

したがって、きのこハウスは果物保存室とほぼ同じように建てる必要があります。

ただし、床は湿気の影響を受けないように木ではなく、レンガなどの固い材料にします。

壁にも木製の棚や木組みは使用しないでください。

果物保存室と同様に、きのこハウスの屋根も熱伝導率の低い素材で作る必要があります。

窓や天窓と閉じることができるシャッターを用意する必要があります。

きのこハウスの長さは必要な生産量によって調整する必要がありますが、幅は、中央に 2 フィート 9 インチ (0.84 m) 幅の通路と、その両側に 3 フィート 6 インチ (1.07 m) 幅のベッドを配置できる程度で十分です。

通路の両側に、高さ 6 〜 9 インチのスレート棚を垂直に立てればベッド内に菌床材料を保持することができます。

両側のベッド上にいくつかのスレート棚を作ればスペースをさらに活用できます。

各棚には、通路に隣接する側に直立したスレート縁石を持たせ、棚から棚までは約 2 フィート 0 インチ(60 cm) から 3 フィート 6 インチ(105 cm) の距離をとります。

ベッドを構成する材料(菌床)は(発酵により)必要な熱のほとんどを供給しますが、上記の幅のハウスでは、通路に沿って 径4 インチの流入パイプと戻りパイプがあると便利です。

パイプの上部には蒸発用に凹みが付けられていて、必要に応じてハウス内に湿気を与えることができます(この凹みに水を張っておけばパイプからの熱で水が蒸発するしくみ)。

外部温度の急激な変化は有害であり、ハウス内での影響を中和するように注意する必要があります。

きのこハウスは、ルバーブ、シーケール、チコリなどの遮光栽培にも使用できます。

19世紀末の園芸施設:22 - 8. トイレ・堆肥置き場・サマーハウス

栽培用途以外で庭に付帯する施設の最後は、トイレと堆肥置き場とサマーハウスです。ここでのサマーハウスは、北欧の森や湖畔に建つ夏の家、ドイツのクラインガルテンやロシアのダーチャの小屋みたいなのが、広いお屋敷の庭にある感じでしょうか?お茶を呼ばれに行きたいですわ(笑)。 HORTICU...