栽培用途以外で庭に付帯する施設の最後は、トイレと堆肥置き場とサマーハウスです。ここでのサマーハウスは、北欧の森や湖畔に建つ夏の家、ドイツのクラインガルテンやロシアのダーチャの小屋みたいなのが、広いお屋敷の庭にある感じでしょうか?お茶を呼ばれに行きたいですわ(笑)。
HORTICULTURAL BUILDINGS. By F. A. FAWKES. (1881)
付属施設
W.C.
トイレはその大きさに関係なく、すべて庭近くに設置する必要があります。(トイレは大切な施設ですが、記述はこれだけでした。)
堆肥置き場
園芸施設の設計において、必ずしも肥料や堆肥材料の置き場が計画に入っているとはかぎりません。しかし、これがないと庭は遅かれ早かれ散らかった感じになりがちです。
肥料(堆肥)は庭のあちこちで使用するので、堆肥置き場は使用に便利な場所にある一方で、できるだけ目立たないようにする必要があります。
ちゃんとしたピットフレームを設置することが、必ずしも得策とは言えません。多くの場合、堆肥材料や堆肥が発酵前に乱雑に散らばるのを防ぐには、ちょっとした擁壁で囲っておくだけで十分です。
サマーハウス
サマーハウスは園芸用の施設ではありませんが、これがなければ庭は完成したとは言えません。
素朴な茅葺きのサマーハウスが一般に採用されています。それは一部の人にとっては絵のように美しいと思われるかもしれませんが、実際に使用した人はその欠点をよく理解しています。
図57は、著者である私が設計・製作し、数年間使用したサマーハウスの概観を示しています。
このサマーハウスは、赤レンガで作られ、(木材部は)着色され、ニスが塗られています。
屋根は赤いタイルです。壁の3 面はガラス張り (床から 2 フィート以上の高さにあります)で、下部は透明ガラス、上部は色付きの鉛のステンドガラスになっています。
背面の壁と床は板張りです。室内は、背面の壁とガラス張りの壁 2 面にベンチが設けられています。ベンチには幅の広い手すりが付いているので、座っている人がベンチに寄りかかってもガラスが割れることはありません。また、丈夫なはね上げ式のテーブルとスライド棒に取り付けられた軽めのカーテンが備えられています。
サマーハウスの構造に調和したテラコッタの頂飾りとドーマーが屋根に付けられていますが、図でははっきりしないかもしれません。
図 57.デザイン性の良くなったサマーハウス
サマーハウスの実用上の利点は次のとおりです。
—虫が入ってこない。
—内部を普通の部屋と同じくらい清潔に保てる。
—木々で覆われ、屋根は断熱性があり、十分な換気と日よけのカーテンがあるため、夏は非常に涼しい。
—完全に窓などの開口部を閉じることができるので、ランプを灯すだけで冬は比較的暖かい。
—喫煙室としても最適で、実際、とても魅力的な小さなカントリーハウスとなっている。
建築の観点から見ると、こういった、赤いタイル、鉛ガラス、着色されニスを塗られた木組みのとりあわせは、庭に非常に心地よい色味と暖かさを与えます。しかし(茅葺き屋根のような)素朴な作りにしてしまうと、そうはなりません。なぜなら、素朴な作りは、(時間と共に傷みが増すので)自然に味わいが増したり、建築上の明確な特徴を持ったりすることがないので、通常、ここに示したような(魅力的な)サマーハウスのグロテスクな模倣にしかならないからです。